海上忍のラズパイ・オーディオ通信(19)
5ドルで買える「Raspberry Pi Zero」はオーディオ機器として使えるか?(後編)
■ZeroはVolimio 2(RC版)で動く!
さて、ハンダ付けが終われば組み立てだ。Zeroを英国のショップで購入した専用ケースに入れ、GPIOポートにDACボードを装着し…と見れば、ケースはmicro SDカードの着脱が不可能な形状になっている。ということは、カードを抜き差しせずに済むよう、事前にOSのセットアップを済ませておかなければならないわけだ。
Zeroを公式サポートするOSは、現在のところRaspberry Pi財団の公認Linuxディストリビューション「Raspbian」くらいなもの。しかし、ZeroのハードウェアはRaspberry Pi 2と互換性があるため、Raspbianの元となった「Debian 8(Jessie)」を使う音楽観賞に特化したOSであれば、そのまま動作する可能性は高い。
そこで目を付けたのが、Volumio次バージョンの最新リリース候補「Volumio 2 RC2」。動作対象機種ではないが、最新のRaspbian/Debian Jessieをベースに開発されているため、Raspbery Pi 2/3で(USBポートに接続した)Wi-Fiアダプタのセットアップを済ませ、そのmicro SDカードをZeroに持ち込むというプランだ。
そうすれば、データ通信可能なUSBポートが1基のみでキーボードやマウスの接続が難しく、EthernetポートがないためにSSH経由でのセットアップが困難なZeroでも、USBハブやUSB-Ethernet変換アダプタなどの周辺機器なしにLANにつないで使える状態になるだろう。
果たして、その目論見は当たった。電源のUSBケーブルを繋ぎしばらく待つと、Wi-FiアダプタのLEDが点滅を始め、WEBブラウザから「http://volumio.local」にアクセスするとVolumioのWEB GUIが現れる。
残るはDACボードのセットアップだが、SSH経由でZeroにログインし、/boot/config.txtを書き換えればOK。Raspberry Pi 2/3と設定手順は同じ、まったく苦労はなかった。念のため/etc/modulesで「snd_bcm2835」モジュールを無効化しておけば、準備は完了だ。