やっと出たボーズのワイヤレススポーツイヤホン
ボーズ初のBluetooth+スポーツイヤホン「SoundSport wireless」をジョギング好きの筆者が使ってみた
■いよいよ試聴!SoundSportワイヤレスを着けてジョギングをしながら音楽を聴いてみた
今回はSoundSportワイヤレスを身に着けてジョギングをしながら音楽を聴いてみた。その後、自宅の静かな環境でも試している。
まずは筆者がいつも走っている近所の公園へ。緑に恵まれ、走るコースも整備された、近所で一番人気のジョギングコースだ。走っている時にスマートフォンは重荷になるので、音楽再生機能を搭載するソニー製スマートウォッチ「SmartWatch 3」をSoundSportワイヤレスとペアリングして使用した。
イヤーピースのフィット感は申しぶんない。本体に付属するクリップをケーブルに取り付けて、Tシャツの襟元などに固定すれば、ケーブルが衣服とこすれて生じるタッチノイズとは無縁になる。
3ボタンリモコンは操作のレスポンスが正確で機敏。マイクも集音性能が高く、ハンズフリーコールの音声もきれいに通話相手に届けられる。マルチポイントペアリングに対応しているので、ポータブルオーディオプレーヤーとスマホを同時にペアリングしておけば、プレーヤーで音楽を聴いているときに着信しても取り逃さずに済む。
SoundSportワイヤレスのハウジングには2つのベンチレーションポートが設けられている。恐らく音のチューニングを整えるため、そしてスポーツイヤホンにとって大事な外音を適度に取り込むために配置された穴だろう。イヤーピースは耳栓タイプなので高い遮音性を備えているが、音楽を鳴らしている時にもある程度外の環境音が聞こえてくる。
そのおかげで屋外のジョギングコースを走っていても、後ろから近づいてくるランナーの足音に気が配れるし、周囲を歩く人との距離感もつかみやすい。当然サイレンなどにも注意を向けられる。
音楽は中高域に心地よいヌケ感を備えながら、全体の印象が薄まらず、平板にもきこえない。低域にしっかりとした厚みがあって、身体の芯に響いてくるようだ。ボーカルは滑舌がシャープなので、歌モノが気持ち良く聴ける。メロディ楽器の存在感も前面に押し出してくる立体的な音場感だ。
例えば上原ひろみのジャズピアノは音色が鮮やかだし、アグレッシブな演奏の力強さが痩せてしまうことがない。音楽のパワーに背中を押されながら、力強いステップを踏んで走ることができた。
■静かな室内でゆっくり音質チェック!音楽配信を楽しんでみる
静かな室内では、iPad Proにペアリングして音をチェックした。iPadをWi-Fiにつないだ状態でAWAを立ち上げて、320kbpsの高音質設定でいくつかの楽曲を聴いてみる。
マイケル・ブーブレの『Haven't Met You Yet』では、鮮やかなボーカルの再現力をあらためて確認した。解像度が高く、ボーカリストの声質や歌い方のクセまでよく見える。ドラムスは高音域の切れ味や粒立ちの良さが光る。金管楽器は音色が明るく、伸びやかに突き抜けてくる。ベースのリズムには弾力感と切れ味もあり、ダンス系の楽曲ではその魅力が余すところなく発揮される。
スヌープ・ドッグの『So Many Pros』では、軸の安定した重低音がガツンと響いてくる。余韻が無駄に尾を引かないので音像は精悍だ。ベースラインとエレキギター、シンセサイザーなどメロディ楽器の音がきれいに分離して、複数のレイヤーが重なり合ってもほぐれがいい。ベースが過度に強調されがちなEDMやヒップホップ系の楽曲もスピード感が失われず、それぞれの音色が色鮮やかなため、緊張感あふれる雰囲気が漂ってくる。
女性ボーカリスト、ジュリア・フォーダムのライブアルバムから『Manhattan Skyline』では、エレキのコードストロークがふんわりと甘やかに広がる。声の清涼感を見事に再現しながら、奥底のエネルギーも引き出す。その独特のバランス感が、本機にしか出せない音の魅力だ。生楽器の音色もクールなのに、芯から温かみが伝わってくる。バンドの演奏が縦横へ立体的な空間を広げる。ライブの生っぽい雰囲気をリアルに伝える能力にも長けている。
SoundSportワイヤレスは「スポーツと音楽を最良なバランスで楽しませてくれるイヤホン」だ。本体は防滴仕様なので、汗をかくスポーツをしながらでも安心して音楽を楽しめる。有線タイプの「Bose SoundSport in-ear headphones」を試聴した時にも感じたことだが、きっとスポーツ以外のアウトドアシーンでも幅広く活躍してくれるだろう。ボーズサウンドを満喫できるワイヤレスイヤホンの新しい定番モデルになりそうだ。
(山本 敦)