[連載]高橋敦のオーディオ絶対領域
【第179回】高橋敦が指南! エントリークラスBluetoothイヤホンを買うときのポイント
JBL「E25BT」も製品情報ページにコーデックの記載はなく、特別に高音質コーデックの類いを採用しているということはなさそうだ。また、今回はiPhoneとの組み合わせで試聴したので、仮にイヤホン側が高音質コーデック対応でもiPhone側が対応していないので、組み合わせとしては最高でもAAC伝送となる。
しかしそのサウンドは悪くない。ここ数年で一気に飛躍した、同じ価格帯のワイヤードイヤホンの優秀モデルの音にはさすがに及ばない。しかし「あー、ワイヤレスなんてこんなもんだよねー」と感じる方よりも、「え?いまこの安さのワイヤレスってこんなしっかりした音になってるんだ」と感心する方が多いのではないだろうか。
基本的には明るい音調で、音の輪郭もくっきり強め。音楽的に豊かな音色ではないが、街中などで聴き取りやすい実用的な音作りだ。主役の歌は前述の明るさのおかげで、何をどのように歌っているかがすっと届いてくる。ポップスにおいてここはまず何よりも大切なポイントだ。歌声は少しドライで艶っぽさや細かな表現の描き込みは弱い。しかしそのさっぱり感が抜けの良さ、歌の届きの良さにもつながっている。「二兎を追わず堅実に一兎を得る」チューニングだ。
バンドサウンドでは、細かなリズムを刻むシンバル、大きなリズムを推進させるベース、それぞれが良い具合に強調されており、そこも聴き取りやすい。ペトロールズのグルーヴの洒落や軽妙さは伝わりにくくなるが、ベースとバスドラムにわかりやすい大きさ太さが与えられるため、ロック的なドライブは強まる。
サウンドの印象をまとめると、「明快!」「わかりやすい!」「届きやすい!」という感じだろうか。その特長を得るために切り捨ていてる要素もあるのは確かだ。しかし限られたコストの中で、切り捨てたものより多くのものを得ることに見事に成功している。このあたりが前述の「判断」「ノウハウ」だと思う。
■ちょっとした一工夫、でも見逃せないその工夫
引き続きJBL「E25BT」をサンプルに、今度は使い勝手などの面でのポイントを見ていこう。スタンダードな左右ワイヤード接続タイプでも、細かな工夫によってその使い勝手は地道に向上させられている。