[連載]高橋敦のオーディオ絶対領域
【第189回】警官から声優まで御用達!これぞ“The 業務用”イヤホン、アシダ音響「PR-17」を試す
■そしてその音は……声の聞き取りやすさに超特化!
一通りのチェックは終えた。では実際に使ってみよう。
まず装着だが、基本はケーブルを耳の上に回すスタイルだろう。下に垂らしての装着もできることはできるが、そちらだとリケーブル端子が耳に干渉して収まりが悪い。それに上にかけた方が業務感強まって気分高まる。
遮音性は皆無だ。モノラルで片耳は空いているからというだけではなく、そもそもの遮音性が皆無。試しに黒と灰色を両方使って左右の耳を塞いでみたが、やっぱりほとんど遮音されない。イヤーピース部分が小さめサイズなことも大きいだろう。
ではイヤーピースを変えてみたら?というのも試してみたが、少しは良くなるが焼け石に水だ。そもそも今回は遮音性の低さも魅力と考えているし、他社イヤーピースを使っていたら耳の中で外れてしまった……的なリスクを負う必要もないだろう。標準イヤーピースがベストだ。
さて、では最後にサウンドチェック!iPhoneの「radiko.jp」アプリでチェックしていく。トークと音楽をどちらもチェックできる番組として、「小松未可子のリッスン?2-3」と「阿澄佳奈のキミまち!」をタイムフリー!
……スペック通りの超ハイカットサウンド!感覚としては「一昔前の携帯電話のような声」といったところか。あるいは「ザザ……ザザ……わたし…は……なた…心に……接、呼びかけています」的な遠さというか。もちろん途切れはしないが。
5月10日に発売されたアルバム「Blooming Maps」(初回盤にはライブDVD付)からの小松未可子さん「HEARTRAIL」も聴いてみたが、何というか、曲は最新なのに20年前のラジオから流れているような雰囲気。「キミまち!」から「ダーティペア」主題歌「ロ・ロ・ロ・ロシアン・ルーレット」などが流れてくれば、もはや今がいつなのかに自信を持てなくなってくる。
……これは……これはさすがに……いや慣れてきたら悪くはない感じがしてきてしまった。普段使っているオーディオ的に高音質なイヤホンとは全く別の世界なので、もうむしろ完全に別物として受け入れられそうな気もする。
またこの極端にハイカットしてあるサウンド、おそらくは屋外の騒音下で人の声を聞き取りやすくするため「あえて」この音にしてあるものと思われる。電車のアナウンスで車掌さんが用いるあの独特の声色と同じ理屈で、声の帯域を中域に集めることで声の届きを良くしているのではないだろうか。遮音性を上げずに声の聞き取りやすさは確保というわけだ。
なおインピーダンスごとの音量だが、150ΩモデルでもiPhone 6でボリューム2/3あたりから明らかに周りに迷惑レベルの音漏れするくらいの音量になるので、それよりインピーダンスが低く音量を稼げる8Ωだと音量を持て余すことになりそうだ。ということで今回のような「スマホでラジオ」用途なら150Ωをおすすめする。
さてガチの業務用イヤホン、どうだったろうか?
実際に欲しくなったという方はあまりいないと思うが、「イヤホンの世界にはこういう分野こういう製品もあるのか。へえ〜」と思っていただけたなら僕としてはそれでよし!だ。
高橋敦 TAKAHASHI,Atsushi 趣味も仕事も文章作成。仕事としての文章作成はオーディオ関連が主。他の趣味は読書、音楽鑑賞、アニメ鑑賞、映画鑑賞、エレクトリック・ギターの演奏と整備、猫の溺愛など。趣味を仕事に生かし仕事を趣味に生かして日々活動中。 |
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