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ウーファー/トゥイーターにそれぞれ独自構造を採用

MISSION「QX-4/QX-2」レビュー。最新技術をまとった英国老舗ブランドのスピーカー

公開日 2018/06/07 08:00 井上 千岳
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室内楽には、それこそ伝統的な英国らしい手触りを感じさせるものがある。弦楽器の適度な艶やかさと量感。それがぼやけることなく、ゆったりした呼吸で引き出されている。どちらかというと下寄りのバランスだが、それがまた当たりのよさとなってハーモニーを豊かに聴かせる結果を呼ぶのである。

オーケストラは低音弦やティンパニーだけでなく、ホルンやトランペットにも弾力的で大きなエネルギーが乗っている。瞬発的に突き刺すような力感ではなく、全体を包むように押し寄せてくる波のようなエネルギー感がある。またジャズもホットな感触が強く、トロンボーンやドラムの厚手の音色が音楽を身近なものに感じさせる。そういうなじみやすさも、魅力のひとつと言えそうである。

■ウーファーを2基とした仮想同軸構成のフロア型「QX-4」

QX-4は同じ15cmウーファーを2基使用し、トゥイーターを上下から挟んだ仮想同軸に構成している。キャビネットには底部にスパイクが装着できるようになっていて、スパイクベースも付属している。

フロア型のQX-4。特徴的なバスレフのエッジもQX-2と同様

QX-2の厚手の音調を上下に引き伸ばしたような再現性で、その分解像度が細かくなり整理が利いている。特にピアノでは低音部のタッチが明快さを増し、鉄枠の響きのような芯の強い余韻が充満する。中・高域のタッチは刺を抑えて穏当だが、質感を濁らせるようなにじみは感じられない。

QX-2と同じウーファーユニットを2基搭載。トゥイーターを挟むように配置し、仮想的な同軸構造を構築する

室内楽も同じようなバランスで、チェロの低音域が一回り深く沈んでいる。艶やかな弦楽器の質感はそのままだが、余韻に瑞々しさがもうひとつ加わってくる感触である。ハーモニーも響きの厚みを増しているが、レンジが上下に広がったせいかほぐれ方も明瞭になっているようである。

オーケストラはダブルウーファーの威力を生かした力感が華々しく、意識的に音量を上げるとさらに効果的だ。遠近のメリハリが付き、低音弦の量感や金管楽器のシャープな張りなどが目覚ましく描き出される。色彩感が鮮やかなのも、大編成ソースに相応しい鳴り方と言っていい。

QX-4は低音の豊かさに加え、解像感も増している

同じことがジャズやフュージョンにも当てはまる。強靭な低音やパーカッションのエネルギッシュなシャープネスなど、ちょっと意外だがマッチングのいい鳴り方である。

ソースやアンプなどによって多彩な対応力を見せるのも、QX-2およびQX-4に共通するこのシリーズの特質のようだ。使う人に応じて、様々な表情を見せてくれそうなスピーカーである。

(井上千岳)

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