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[連載]高橋敦のオーディオ絶対領域【第239回】

OVER10万円クラス!ダイナミック型ハイエンドイヤホン2019冬、注目の3モデルを徹底レビュー

公開日 2019/11/29 07:00 高橋 敦
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▼Astell&Kern「AK T9iE」

次に紹介するAstell&Kern「AK T9iE」は、同社「AK T8iE」「AK T8iE MKII」の後継モデルだ。

フェースプレート側頂点にベントホールが設けられている

付属サイズを拡充しつつ独特な形状のイヤーチップを継承

ドライバーは、beyerdynamicによる「TESLAテクノロジー」採用ドライバーを継承。新規開発ドライバーではないというのは、それこそ、2016年夏にT8iE MKIIに搭載されて登場したこのドライバーの「完成度」が、現在においても改良の余地がないものだったということだろう。

しかし、心臓部であるドライバーに変化がないのであれば、T9iEはT8iE MKIIのマイナーアップデートに過ぎないではないか? そう思うかもしれないが、まったくそんなことはない。

技術的に言えば、新開発の「アコースティックベントホール」や、二層構造となった「アコースティックフィルター」というのが大きな違いだが、それ自体がポイントということではなく、重要なのは「それらの技術は何のために導入されたのか?」である。

技術導入の理由であり、それによって実現されたもの。それは彼ら曰く「よりニュートラル/フラットなサウンドへのアップデート」である。そのための手段が低域のレスポンスを向上させるアコースティックベントポートであり、高域特性を最適化し高域再生をスムースにするアコースティックフィルターというわけだ。

後ほど詳しく説明するが、実際にそのサウンドはT8iE MKIIから大きく変化。技術的な進化がどうというよりも、「サウンドチューニングの世代が変わった新モデル」と受け取る方が適当と思える。

さて装着感やフィッティングだが……何はともあれ付属ケーブルが超ゴツい! 実は太いけれどしなやかなので、ケーブル全体は意外と取り回しに苦労しない。だが耳周りのいわゆる針金入りの部分の収まりがよろしくない。

ゴツい!ケーブル超ゴツい!

2.5mmバランス駆動ケーブルが標準となっており、3.5mmシングルエンド駆動には付属変換ケーブルで対応

なのでまずベストポジションを見つけにくく、それを見つけて以降も、装着のたび毎回そのポジションにしっかり収めて、ベストサウンドを得るのに少し手間がかかる。ここは慣れを要するだろう。

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