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ハイレベルな純正レンズが目白押し!

パナソニック「LUMIX DC-S1R」レビュー。Sシリーズレンズで深まる「システム」としての魅力

公開日 2019/12/17 06:00 河田一規
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■「LUMIX S PRO 50mm F1.4」



50mmF1.4というスペックのレンズは昔から基本中の基本であり、どのメーカーにもラインナップされている、ある意味、そのレンズシステムの「顔」となるレンズでもある。

以前、パナソニックの開発者にインタビューする機会があったのだが、この「LUMIX S PRO 50mm F1.4」(285,000円/税抜)は、「どうせ作るなら世界一の50mmF1.4にしよう」というかけ声の下、世の中にある評価の高い50mmレンズを集めて片っ端からベンチマークを取って性能を解析。それらを超える性能で設計したという肝入りのレンズだ。

それだけ気合いが入っているわけだが、さすがに描写性能は優秀で解像力からボケ味、耐フレア性能や各種収差の少なさに至るまで文句の付けようがないパーフェクトな写りを見せてくれる。

絞り開放から画面中央と周辺部の画質差は最小限なので、被写界深度を深くする目的以外、例えば画面の均質性を上げる目的で絞り込む必要はまったくない。


ピントの合ったところの像の立ち上がりの良さとアウトフォーカス部の見事なボケ味が素晴らしい。ミラーレス機ならではのピント合焦の正確さもあり、積極的に絞り開放で使いたくなるレンズだ。


合焦部の像質の良さは「本当に開放?」と思うほどエッジの立ったシャープさがある。そこからなだらかにボケていくグラデーションが美しい。

■シグマ「MC-21」+キヤノン「EF24-105mm F4L IS II USM」



LUMIX Sシリーズが採用するLマウントは、他にはないユニークなマウントだ。「Lマウントアライアンス」によって、パナソニック、シグマ、ライカの3社が協業して製品を開発。それぞれのメーカーが発売するボディ、レンズは互換性があるため、ユーザーはメーカー3社の垣根を越えて、好きなボディとレンズの組み合わせを楽しむことができる。

そうしたLマウントアライアンスを組むシグマから発売された、ちょっと変化球的なアクセサリーが「MC-21/CANON EF-L」(37,500円/税抜)だ。これはシグマ製のキヤノンEFマウントレンズを、Lマウントボディで使えるようにするマウントアダプターで、読者の中にも興味を持っている人がきっと多いはず。

本来は、あくまでも「シグマ製」のEFマウントレンズを、Lマウントボディで使えるようにするものだが、ここではより使用者の多いと思われるキヤノン純正EFレンズ「EF24-105mm F4L IS II USM」(155,000円/税抜)を、MC-21経由でS1Rに装着。使えるかどうかを試してみた。ただし、これは動作保証のない、あくまでもイレギュラーな使い方であることをお断りしておきたい。

使ってみた結果は充分に「実用的」だと感じた。動く被写体をAFが追い続けるコンティニュアスAFには対応しないが、通常のシングルAFでは問題なく合焦する。さすがにAF速度はパナソニック純正レンズより遅いが、それでも遅くてイライラするというレベルではなく、そこそこのスピードで合焦してくれる。合焦精度も正確だ。

レンズ情報もボディに伝達されているようで、撮影画像のExif情報を確認すると、ちゃんと正確なレンズ名や焦点距離、絞り値などが記録されていた。恐らく、S1Rのボディ内手ブレ補正機構の制御にもこの焦点距離情報が使われているのでは?と想像する。

前述したとおり、動作保証のない組み合わせではあるが、S1Rを始めとするLマウントボディの使い勝手を考える上で、このMC-21はすごい可能性を持ったアクセサリーと言うことができるだろう。


コンティニュアスAFには非対応だが、静止した被写体ならシングルAFで難なくピントは合焦する。精度的にも問題はない。焦点距離76mmで撮影。


動作保証のないイレギュラーな使い方ではあるが、かなりの実用レベルでキヤノンEFレンズが使えてしまうのが興味深い。焦点距離24mmで撮影。

■S PROレンズとの組み合わせで、改めて感じたS1Rの実力

今回、3本のS PROレンズを試用してみて感じたのは、その性能が相当にハイレベルであるということだ。これだけ高性能であれば、将来的な高画素ボディにも余裕で対応できるだろう。

いずれのレンズも、遠方から近距離まで、撮影距離を問わず解像性能が変わらず、寄って撮ったときでもマクロレンズ並みにキレのいい描写が楽しめるのもいい。

また、改めて感じたのがS1Rのすごさだ。シャッターボタンを押すと、圧倒的に剛性感のある強固なボディの中で精密なシャッターが動作する感触が伝わってくるのだが、そこに機構ブレを引き起こすような雑味のある感触は皆無。スローシャッターでも「ブレる気がしない」絶大な安心感と共にレリーズできる。

こうした安心感の要因としては、もちろん強力なボディ内手ブレ補正機構の存在もあるのだが、それを高精度に作動させるためにはボディの剛性感が高いことも重要で、S1Rはそこが完璧に作り込まれていると感じた。

S PROレンズは今後もラインナップの拡充が予告されており、それらが登場したときには、レンズプラットフォームとしてのS1Rの魅力がよりいっそう実感できるだろう。

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