PRデュアル増幅回路にAKM最先端DACを加えた高い完成度
セパレートDACの“リアルサウンド”を手元で実現。HiBy上級DAP「R6 Pro II」レビュー
クラシックの飛騨高山ヴィルトーゾオーケストラ コンサート2013「プロコフィエフ:古典交響曲」をAB級動作で聴くと、低域方向まで引き締まった管弦楽器の澄んだ響きがキレ良く鮮やかに立ち上がり、空間性も素直で定位も明確に掴める。
一方、A級動作では旋律のしなやかさや楽器のボディ感が増し、ローエンドまでゆったりと表現。余韻の豊潤な響きも上品に感じられる。
続いてロック音源のTOTO「TAMBU」を、こちらもまずはAB級動作でチェック。キックドラムのアタックはタイトにまとめ、キレ良く逞しいベースの存在もすっきりと描く。エレキギターやボーカルはエッジをソリッドにまとめているが、全体に安定感の伴った落ち着き良い描写となる。
A級動作に切り替えるとキックドラムのファットなエアー感が増し、リズム隊のニュアンスをより立体的に引き出す。ギターやボーカルのエッジは幾分マイルドになり、しなやかで質感の艶もより豊かに変化。広がり良くウェットで大人びたサウンドだ。
女性ボーカルものとして、ヨルシカ「斜陽」でも試聴。AB級動作ではリズムが幾分腰高に描かれ、ボーカルの口元もかっちりとした明晰な表現となる。エレキギターのクリーントーンも透明度が高く、倍音の艶もくすみがない。
A級動作になると、ボーカルの肉付きの良さ、質感のナチュラルさが際立ち、声の潤いを伴った穏やかさがより良く感じられる。エレキギターのディストーションも深みが増し、リフのコシの太さ、倍音の豊かさも向上。リズムの密度も高まり、ベースの厚みやコーラスワークの存在感も高まっている。
またバランス駆動では、より音像のフォーカス感が高まり、音像のディテールも一層きめ細やかに描写。A級動作でも立ち上がりの良さ、分離の高さが味わえ、よりリアルでありながら、艶の乗った音楽性豊かな躍動感あるサウンドを聴かせてくれる。DAC由来のS/Nの良さ、歪みの少なさをより良く際立たせてくれる構成といえるだろう。
R6 IIIでA級/AB級デュアル増幅回路を搭載し、機能やスペックだけでなく音質面でも飛躍を遂げたHiByのDAPであったが、AKMのセパレートDACソリューションを組み合わせたこのR6 Pro IIは、これまでの歩みの総決算ともいえる完成度の高さを誇る。
まだまだ “高嶺の花” の印象が強いセパレートDACソリューションを積んだシステムとしては破格のプライスでもある。ぜひともR6 Pro IIで、旧来の汎用DACチップとは違う世界 ―― すなわち “空間の深さ” も感じられるリアルなサウンドに触れていただきたい。
(企画協力:ミックスウェーブ)