PR最新パラダイムと銘機JBLのスピーカーでテスト
コスパ抜群、“初めての真空管アンプ”に最適!トライオードのコンパクトプリメイン「TRS-34」を新旧スピーカーでテスト
真空管アンプブランドとして知られるトライオードの「TRS-34」は、「創業時の理念に立ち返り、手が届きやすい価格で高音質なアンプ」として開発されたプリメインアンプである。より身近に真空管サウンドを楽しめるように、一回りコンパクトなサイズに仕上げられている。そのサウンドを土方久明氏が体験した。
日本を代表する真空管アンプメーカーのトライオードより、嬉しいニュースが飛び込んだ。エントリーモデルの新作プリメインアンプ「TRS-34」が登場した。
トライオードは、ジュエリーシリーズのコンパクトな「Ruby」から、TRVシリーズ、TRXシリーズ、EVOLUTIONシリーズ、高級シリーズのJUNONEなど、人気メーカーとして多数の真空管アンプラインナップを持つ。
そのような中で登場したTRS-34は、設立者で代表でもある山崎順一氏が創業時より提唱してきた「サラリーマンでも購入できる品質の良い真空管アンプ」というコンセプトを改めて具現化し、さらに「今まで真空管アンプを使ったことのないオーディオファイル」にも使って欲しいという願いも込められたモデルである。安価ながら大変力の入った製品に仕上がっている。
出力管には出力などの電気的な特性に優れた五極管「EL34」をプッシュプルで使用。動作はAB級で18W+18W(8Ω)という十分な出力を確保している。初段は12AX7を1本。ドライブ段には12AU7を2本という構成。また、自己バイアス方式により真空管交換時のバイアス調整を不要としてメンテナンス性も高い。
TRS-34の大きな魅力は、音質に関係のない部分や機能をコストダウンしつつも、音質に影響を与えるパーツは良質なものを投入したことが挙げられる。例えばシャーシ周りでは、コストのかかるアルミ素材を使わず構成されたフロントパネルやシャーシの仕上げをマット塗装にすることで製造時の歩留まりを上げる、また電源スイッチをシャーシ左脇に取り付けることで、電源ボタンを目立つ位置に設置した場合に使用する装飾用カバーなども必要としない。
といっても、艶消しブラックとトライオード製品らしい深みのある赤色のトランスは、同社の高級ラインにある、EVOLUTIONシリーズやMUSASHI、スタンダードシリーズにはない配色で新鮮だし、さらにシャーシサイズとトランス、また前段と出力段の真空管の配置のバランスなど視覚的なバランスは良好だ。
ソースやボリュームなどのプリントされた表示部は少し明度を落としたホワイト文字を採用し、フロントパネルのパワーボタンが真空管のフィラメントと同じオレンジに点灯するセンスなど、長年真空管アンプに携わる同社らしい安定感のあるデザインだと思った。
フロントパネル右側にはボリュームノブとソースセレクターノブがあり、6.3mm標準シングルエンドのヘッドホン端子も搭載されているので、家族に気を使う深夜のヘッドホンリスニングにも対応できるのは嬉しいところ。入力はLINE端子を4系統搭載。
フォノイコライザーやリモコンはあえて搭載していないが、真空管を保護するカバーも剛性感のあるしっかりとしたものが付属する。山崎さんはオーディオファイルの心情を大切にしてくれているのだと感じ取れるのだ。またボリュームノブを回した時の感触も良い。
そして僕が最も感心したのは、TRS-34の持つ音の素性が良いことだった。EL34真空管は1940年代後半にフィリップス系列の会社によって生み出されたスタンダードな管で、上述した通り動作上のバランスに長け、音質が安定している。TRS-34からはその素性の良さが存分に伝わってくる。
試聴は筆者宅で行った。新旧のスピーカーと組み合わせてTRS-34の素性を確認する。
最初は価格的なバランスが崩れることは承知の上でカナダ・パラダイム社のハイエンド2ウェイ・ブックシェルフスピーカー「Persona B」と組み合わせ、CDなどのディスクメディアからハイレゾファイル、TIDALなどのストリーミングサービスも聴取した。
オーバーオールの音の印象としては、高音域から低音域にかけてのクセがなく、質感表現に長けた音で、それに加えて多極管ならではの俊敏なトランジェントやディテールの輪郭が明確なことを聴き取れた。そして、18W(8Ω)という数値出力の通り、ウーファーをしっかりと駆動させる。
CDで聴いた女性ヴォーカル、メロディ・ガルドー&フィリップ・バーデン・パウエル『オントレ・ウー・ドゥ』は、浸透力があるメロディ・ガルドーのヴォーカルと、倍音成分がたっぷりのピアノというまさに真空管アンプの魅力を感じるサウンドで、シームレスで密度感のある中低域に支えられメロディアスだ。
続いてハイレゾファイルから、現代ポップスの、ホセ・ジェイムズ『リーン・オン・ミー』から「ジャスト・ザ・トゥー・オブ・アス」(44.1kHz/24bit FLAC)を聴いたのだが、良質なハイレゾソースが持つ分解能とグルーヴという音楽的にノリの良い音を両立して引き出すことができた。
僕は、本アンプを聴いているうちに「このアンプは安価だからこそ、様々なスピーカーと組み合わせたい」と思った。そこで、一昨年中古で手に入れたJBLが1993年に発売した2ウェイ・ブックシェルフスピーカー「Ti1000」を投入、さらに「ジャズといえば真空管でしょ!(と思っているのは僕だけではないと思います)」ということで、ストリーミングサービスのTIDALよりマイルス・デイヴィス『カインド・オブ・ブルー』から「ソー・ホワット」(96kHz/24bit FLAC)を聴いたのだが、これがドンピシャな音を出せたのだ。
アンプの持つ弾力的な低音域と、Ti1000に搭載されるピュアチタンダイアフラムの2.5cmドーム型トゥイーター「050Ti」から出る、少しギラっとした高音域の相性が良く、熱気のあるグルーヴを演出できた。最高。
まとめとなるが、TRS-34は音の素性の良い大変使いやすいアンプで、様々なスピーカーと組み合わせることができる。価格上昇を続けるオーディオ界だが、真空管アンプとして抜群のコストパフォーマンスを感じた次第で、多くの方に使ってほしいと願わずにはいられない。
(提供:トライオード)
本記事は『季刊・Audio Accessory vol.193』からの転載です
■初めての真空管アンプに最適なエントリーモデル
日本を代表する真空管アンプメーカーのトライオードより、嬉しいニュースが飛び込んだ。エントリーモデルの新作プリメインアンプ「TRS-34」が登場した。
トライオードは、ジュエリーシリーズのコンパクトな「Ruby」から、TRVシリーズ、TRXシリーズ、EVOLUTIONシリーズ、高級シリーズのJUNONEなど、人気メーカーとして多数の真空管アンプラインナップを持つ。
そのような中で登場したTRS-34は、設立者で代表でもある山崎順一氏が創業時より提唱してきた「サラリーマンでも購入できる品質の良い真空管アンプ」というコンセプトを改めて具現化し、さらに「今まで真空管アンプを使ったことのないオーディオファイル」にも使って欲しいという願いも込められたモデルである。安価ながら大変力の入った製品に仕上がっている。
出力管には出力などの電気的な特性に優れた五極管「EL34」をプッシュプルで使用。動作はAB級で18W+18W(8Ω)という十分な出力を確保している。初段は12AX7を1本。ドライブ段には12AU7を2本という構成。また、自己バイアス方式により真空管交換時のバイアス調整を不要としてメンテナンス性も高い。
■音質に関わるパーツは良質なものを投入
TRS-34の大きな魅力は、音質に関係のない部分や機能をコストダウンしつつも、音質に影響を与えるパーツは良質なものを投入したことが挙げられる。例えばシャーシ周りでは、コストのかかるアルミ素材を使わず構成されたフロントパネルやシャーシの仕上げをマット塗装にすることで製造時の歩留まりを上げる、また電源スイッチをシャーシ左脇に取り付けることで、電源ボタンを目立つ位置に設置した場合に使用する装飾用カバーなども必要としない。
といっても、艶消しブラックとトライオード製品らしい深みのある赤色のトランスは、同社の高級ラインにある、EVOLUTIONシリーズやMUSASHI、スタンダードシリーズにはない配色で新鮮だし、さらにシャーシサイズとトランス、また前段と出力段の真空管の配置のバランスなど視覚的なバランスは良好だ。
ソースやボリュームなどのプリントされた表示部は少し明度を落としたホワイト文字を採用し、フロントパネルのパワーボタンが真空管のフィラメントと同じオレンジに点灯するセンスなど、長年真空管アンプに携わる同社らしい安定感のあるデザインだと思った。
フロントパネル右側にはボリュームノブとソースセレクターノブがあり、6.3mm標準シングルエンドのヘッドホン端子も搭載されているので、家族に気を使う深夜のヘッドホンリスニングにも対応できるのは嬉しいところ。入力はLINE端子を4系統搭載。
フォノイコライザーやリモコンはあえて搭載していないが、真空管を保護するカバーも剛性感のあるしっかりとしたものが付属する。山崎さんはオーディオファイルの心情を大切にしてくれているのだと感じ取れるのだ。またボリュームノブを回した時の感触も良い。
そして僕が最も感心したのは、TRS-34の持つ音の素性が良いことだった。EL34真空管は1940年代後半にフィリップス系列の会社によって生み出されたスタンダードな管で、上述した通り動作上のバランスに長け、音質が安定している。TRS-34からはその素性の良さが存分に伝わってくる。
■俊敏なトランジェント、ディテールの輪郭も明確
試聴は筆者宅で行った。新旧のスピーカーと組み合わせてTRS-34の素性を確認する。
最初は価格的なバランスが崩れることは承知の上でカナダ・パラダイム社のハイエンド2ウェイ・ブックシェルフスピーカー「Persona B」と組み合わせ、CDなどのディスクメディアからハイレゾファイル、TIDALなどのストリーミングサービスも聴取した。
オーバーオールの音の印象としては、高音域から低音域にかけてのクセがなく、質感表現に長けた音で、それに加えて多極管ならではの俊敏なトランジェントやディテールの輪郭が明確なことを聴き取れた。そして、18W(8Ω)という数値出力の通り、ウーファーをしっかりと駆動させる。
CDで聴いた女性ヴォーカル、メロディ・ガルドー&フィリップ・バーデン・パウエル『オントレ・ウー・ドゥ』は、浸透力があるメロディ・ガルドーのヴォーカルと、倍音成分がたっぷりのピアノというまさに真空管アンプの魅力を感じるサウンドで、シームレスで密度感のある中低域に支えられメロディアスだ。
続いてハイレゾファイルから、現代ポップスの、ホセ・ジェイムズ『リーン・オン・ミー』から「ジャスト・ザ・トゥー・オブ・アス」(44.1kHz/24bit FLAC)を聴いたのだが、良質なハイレゾソースが持つ分解能とグルーヴという音楽的にノリの良い音を両立して引き出すことができた。
僕は、本アンプを聴いているうちに「このアンプは安価だからこそ、様々なスピーカーと組み合わせたい」と思った。そこで、一昨年中古で手に入れたJBLが1993年に発売した2ウェイ・ブックシェルフスピーカー「Ti1000」を投入、さらに「ジャズといえば真空管でしょ!(と思っているのは僕だけではないと思います)」ということで、ストリーミングサービスのTIDALよりマイルス・デイヴィス『カインド・オブ・ブルー』から「ソー・ホワット」(96kHz/24bit FLAC)を聴いたのだが、これがドンピシャな音を出せたのだ。
アンプの持つ弾力的な低音域と、Ti1000に搭載されるピュアチタンダイアフラムの2.5cmドーム型トゥイーター「050Ti」から出る、少しギラっとした高音域の相性が良く、熱気のあるグルーヴを演出できた。最高。
まとめとなるが、TRS-34は音の素性の良い大変使いやすいアンプで、様々なスピーカーと組み合わせることができる。価格上昇を続けるオーディオ界だが、真空管アンプとして抜群のコストパフォーマンスを感じた次第で、多くの方に使ってほしいと願わずにはいられない。
(提供:トライオード)
本記事は『季刊・Audio Accessory vol.193』からの転載です