新製品批評
Phile-web >> 製品批評 >> Victor Digital Hi-Vision Movie「GR-HD1」

第2回
「GR-HD1」使用レポート 〜撮影編〜
1. ハイビジョン映像を「撮る」

我々はビクターが発売したGR-HD1を携え、雪景色が残る札幌の地に降り立った。3月の札幌は昼間こそ氷点下にならないが、風が吹けば身を切られるような寒さが襲う。それでも、時折射してくる日差しからは春の暖かさを感じることができた。今回の撮影はこうした状況下の中で行われた。
持参したのはHD1とスリックの三脚のみ。ハイビジョンカメラの撮影としては異例の“軽装”である。いくらHD1がハイビジョンカメラとはいえ、家庭用ビデオである以上、撮影はほとんど一人で行うことができる。ならば、できるだけ身軽なスタイルで撮影が出来なければならない。こうした身軽な状況下でもハイビジョン映像がきちんと撮影できるかどうかにポイントを置いたのだ。ただ、ハイビジョン映像という高精細な映像だけに、ブレが発生すると見苦しくなるのは目に見えている。そこで、三脚だけは用意して撮影に臨んだのだ。
取材風景
従来のハイビジョン撮影では考えられないほどの身軽さだ
専用ハンドル
HD1を携帯してまず気付いたのは、本体の上部に装着される大きめの専用ハンドルの扱いやすさだ。これは必要に応じてアクセサリーシューに取り付けて使うものだが、実にしっかりとしている。しかも真ん中に本体方向へ伸びているアームを中指と薬指とで挟んでつかむことで確実にカメラをホールドすることができるのだ。一見してタダのグリップに見えるが、こうした部分にも開発者のこだわりを感じる。
HD1は3つのモードで撮影が可能だ。デジタルハイビジョン映像(720/30p)撮影の「HDモード」、プログレッシブワイド映像(480p)撮影の「SDモード」、従来のデジタルビデオカメラと互換性のあるDV方式(480i)の「DVモード」の、3つである。これらは本体左横のスイッチで簡単に切り替えられ、また一つのカセット内での混在も可能となっている。レンズは新開発の光学式手ブレ補正システムを採用した光学10倍ズームレンズで、これに1/3型118万画素(有効画素114万画素)プログレッシブスキャンCCDを組み合わせた。ズームリングも装備するが、業務用カメラのようなカム式ではないので動作はやや遅れ気味となるが、それほど気になるレベルではない。ただ、HD1のモニターは20万画素ポリシリコン液晶採用した3.5型カラー液晶モニターで、DVカメラ時代なら十分な仕様なのだが、これでマニュアルフォーカスを試みようとすると解像度的に物足りなさを感じてしまう。
撮影切替スイッチ
映像3モードと静止画モードの切替が可能

一方で、とても使いやすいと感じたのがHD1で初採用された「ローテーティンググリップ」。グリップ部が90度回転するので、ローアングル時でもグリップから手を離すことなく撮影が可能となり、また通常撮影時も撮影者に合ったポジションで撮影が可能となる。手持ち撮影を行うときは、すぐにその実用度の高さが実感できるはずだ。思いっきり軽装で表現力豊かなハイビジョン映像が得られるHD1。その使いやすさは、スペックの高さからは想像が出来ないほどきわめてイージーに操作できたことをご報告しておきたい。
ローテーティンググリップ

第1回 1. Hi-Visionとは
2. 「GR-HD1」概要
3. 「ビクターハイビジョンワールド」
 ■ハイビジョン [用語解説]
第2回 1. ハイビジョン映像を「撮る」
2. 「HD1」徹底画質評価
第3回 1. 専用ソフトで作品を創る
2. HD1の持つ様々な可能性