PS3やPCオーディオをDLNAで楽しみたい! − 私的NAS導入記(前編)
■DLNAクライアントソフト「XBMC」で難を逃れた
そこで次に考えたのは、iTunesを諦め、ほかのメディアクライアントソフトを利用するという方法だ。ざっと調べてみると「Plex」や「Boxee」というソフトの評判が良いようだ。どちらもXBMC Media Centerというソフトをベースに作られたものだ。XBMCはその名前から何となく推測できるように、もともとXbox用に開発されたメディアプレーヤーだが、現在では様々なプラットフォームに移植されている。
実はBoxeeについては試用したことがあり、機能が豊富でユーザーインターフェースが美しいこと、Appleリモートに対応していることなどが気に入っていた。標準では日本語が文字化けしてしまうが、オープンソースプロジェクトなので、有志が作った日本語化キットが用意されている。これを使ってファイルをいくつか入れ替えれば、きっちり日本語表示が行えることも確認していた。なおBoxeeはMac版だけでなく、Windows版やUbuntu版もフリーでダウンロードできるので、興味がある方はぜひダウンロードしてみてほしい。
しかし、これにも問題があった。PlexもBoxeeも、Intelプロセッサー搭載のMacにしか対応しておらず、PowerPCを搭載したPowerBookにはインストールできないのだ。まあ、今どきPowerPCのMacを使っている人はかなり珍しいとは思うのだが…。
気を取り直して、本家のXBMCにPowerPC対応版がないか、念のためチェックしてみたら…。あった! このときばかりは快哉を叫んだ。
さっそくダウンロードし、まずはNAS内のライブラリが見られるか、再生できるかをチェック。なぜかUPnPではNASが認識されないが、慌てずにSMBを使ってNASにアクセス。ちなみにAFPは使えずSMBのみの対応となっているようで、MacなのにWindowsネットワークに入るという妙な手順を辿るが、何とかNASのライブラリを一覧表示する事に成功した。いくぶん緊張しながら再生ボタンを押してみると、すぐさま再生がスタートし、音切れも全く起きない。ここに至ってようやく、ホッと胸を撫で下ろした。
XBMCもダウンロードした“素”の状態では日本語が文字化けしてしまうので、次は日本語化を試みる。まずはググって探した日本語化キットをダウンロード。次にXBMC側の設定で言語を日本語、文字セットを日本語(Shift-JIS)に設定した後、いったんXBMCを終了。日本語化キットに入っていたいくつかのフォントファイルとxmlファイルを、アプリケーションのパッケージに上書きし、再度XBMCを立ち上げ直す。すると、日本語ファイルがしっかり読めるようになっただけでなく、メニューや設定項目までもが日本語化され、快適さが格段に向上した。
XBMCを使ってみて少々意外だったのは、アップルロスレス(ALAC)の再生が行えること。せっかくNASを導入したのは良いが、大容量ストレージを活かすためにCDをリッピングし直すにあたって、コーデックを何にしようか決めかねていた。XBMCでALACが再生できることが分かったので、これで統一してしまおうと考えている。またXBMCは設定項目が豊富で、プラグインも多数用意されているので、のんびり機能拡張を行うのも楽しそうだ。
現在の2階の構成を紹介しておこう。PCからUSBでラステームシステムズの「RDA-520」に接続。これをDDCとして使用し、デジタル出力をAVアンプに入力している。AVアンプをプリアンプ代わりにしているのは、2チャンネルとマルチチャンネルを併存させるためだ。フロントチャンネルはAVアンプのプリアウト出力からモノラルパワーアンプ×2台に送り出し、最終的にスピーカーから音を出している。
現在のところこのシステムは快調に動いているが、ようやく音が出たというレベルなので、まだ音質うんぬんを語れる段階ではない。記事タイトルに「PCオーディオ」と書いているが、その入り口にようやく立てたかな、というのが正直なところだ。また、SMBでNASにアクセスしていることからもお分かりの通り、今回の音楽再生環境にDLNAは使われていない。記事タイトルと乖離があるが、紆余曲折を経たものの、何とか自分なりのネットワークオーディオ環境を構築できたと満足している。
この記事を読んで、もしかしたら「NASとかネットワークオーディオってやっぱり面倒そうだな」と感じた方もいるかもしれないが、やっている本人からしてみたら、実に楽しい作業だったことも付け加えておきたい。色々と調べたり考えたりして、結果的に音がちゃんと出たときの感動は忘れられない。これからはデバイスやアクセサリーによる音質の違いを確かめたりなど、色々な楽しみが待っていそうだし、家庭内で楽曲ファイルを共有できることで、非常に便利になったことも間違いない。
さて、次回は後編として、PS3を使ったネットワークAV環境の構築についてレポートしたいと思う。これは正真正銘、DLNAを利用したものだ。実はこっちの方がはるかに大変で、いまだにトラブルを解決できていなかったりするのだが…。