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公開日 2010/02/15 17:55

アナログ“RPM”やデジタル出力対応“Dock Box”の最新動向が見えてきた − Pro-Ject社長リヒテネガー氏・来日緊急インタビュー

今年も魅力的な新製品を多数投入予定
ファイル・ウェブ編集部
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(株)ナスペックが取り扱うオーストリアのHiFiオーディオブランド「Pro-Ject」のプレジデント、Heinz Lichtenegger氏が2月来日した。今回インタビューの機会を得たPhile-webが、同社のアナログプレーヤー最高峰機やiPod専用ドックの最新動向をうかがった。


Heinz Lichtenegger氏
Pro-Jectは創立者であるHeinz Lichtenegger(ハインツ・リヒテネガー)氏により、1991年に誕生したHiFiオーディオブランド。本社はオーストリアの首都であり、“音楽の都”としても知られるウィーンに構える。ブランド創立当初から基幹製品としてラインナップするアナログプレーヤーが多くのハイエンドファンの支持を獲得するほか、iPod専用ドックやUSB DACなど、最新のデジタルオーディ技術を採り入れ、かつスタイリッシュに音楽が楽しめる“Box Component”シリーズも注目を集めている。

今回、製品のプロモーションのため来日したリヒテネガー氏に、今年のPro-Jectが展開を予定している新製品の計画を訊ねることができた。

アナログプレーヤーのフラグシップモデルが進化

− 日本のアナログファンから高い支持を獲得しているアナログプレーヤー製品の最新動向をお聞かせ下さい。

リヒテネガー氏:アナログプレーヤーのフラグシップである“RPM line”の「RPM10」「RPM9.1」は、おかげさまで全世界のオーディオファイルから高い評価をいただいています。今年はRPM lineの進化をお見せしたいと考えています。


アナログプレーヤーのフラグシップモデル「RPM10」
RPMの高音質を支える技術のひとつに「マグネットフローティング方式」というものがあります。プラッターの軸受け部は、上部に支点を置いた倒立型の吊り下げ方式にして、真円に研磨したセラミックボールとセラミックソーサーによるワンポイント支持構造としています。そこに加えて、アクリルターンテーブルとメインシャーシの両方にサークル形状の磁石をはめ込むことにより、軸受けの負担を軽減するという技術を投入することで、非常にスムーズな回転が得られ、引いてはRPMの高音質再生力をもたらしています。

今年、「RPM10」は「RPM10.1 evolution」へ進化を遂げます。ターンテーブルの軸受け部に採用して大きな成果を得たマグネットフローティング方式を付属ボードのフット部にも応用することによって、高い制振効果が得られ、より一層の音質向上を図ることに成功しました。加えてフローティングの高さを調整できる構造にして、音質のカスタマイズも可能な仕様を実現したいと考えています。さらにトーンアームにも改良を加え、ベアリングの部分に特殊素材を用いることで不要な振動を抑制する効果を高めている点が特長となります。

また、マグネットフローティング方式の成功から得たノウハウは、RPMのラインナップに限らず、その他のアナログプレーヤーのシリーズにも応用して行きたいと検討しています。

Pro-Jectでは、“Simple is best”のブランドコンセプトの下、アナログプレーヤーにおいてもエントリーの音楽ファンが気軽に楽しめる、コストパフォーマンスの高いシリーズを開発してきました。1997年に誕生した「DEBUT line」は、それまでRPMを始めとするHiFiモデルを中心に獲得してきたオーディオファイルのファン層を、さらに広く一般の音楽ファンの方々にまで拡大する起爆剤となったモデルです。DEBUT lineの優れたコストパフォーマンス、スタイリッシュなデザインと多彩なカラーバリエーションを持たせたライフスタイル性の高さは、多くの音楽ファンに「アナログをホビーとして楽しむよろこび」を再認識するきっかけをもたらしました。

今年は「DEBUT line」の開発で獲得した高音質技術とコストパフォーマンスを元に、よりエントリー層向けのローコストなモデルのラインナップ追加を計画しています。シリーズ名は「ESSENTIAL line」となる予定で、DEBUTの85%から75%程度で価格設定を検討しています。特徴としては、Pro-Jectの上位機種に採用されている高音質技術を惜しみなく投入することで、ブランドの名前に恥じることのない高音質を実現していることです。また、通常のアナログ出力のモデルに加えてPhono USB搭載機もラインナップするなど、タイムリーな最新のオーディオ技術も積極的に盛り込みたいと考えています。

先進&スタイリッシュな“Box Component”シリーズにデジタル出力対応iPod専用ドックが登場予定

− iPodやPCオーディオとの連携など、オーディオの最新技術を取り込みながら、コンパクトでスタイリッシュな“Box Component”シリーズもオーディオファンがいま注目している製品です。今年は本シリーズの新製品投入も計画していますか。

リヒテネガー氏:“Box Component”シリーズを開発したきっかけは、MP3などデジタルオーディオソースを楽しむ方々に、より高品位な再生環境を提供できるコンポーネントを、ローコスト、かつスモールサイズで提案したいと考えたことにあります。例えばiPodやPCに保存した音楽を良い音で、ホームリスニングしたいと考えたときに、オーディオ市場にはまだ高品位なサウンドを提供できる製品は少ないのが現状です。

Pro-Jectが昨年発表した「Dock Box」は、iPodの音源をお手持ちのアンプやスピーカーを揃えた環境でも、豊かなサウンドで楽しんでもらいたいと構想し、つくり上げた製品です。 はじめは簡易なオーディオセットにつないで楽しんでいただいたユーザーが、後に「もっと良い音を楽しみたい」と考えた際に、アンプやスピーカーのステップアップに挑戦するきっかけを本機が提供できればとても嬉しく思います。


iPod専用ドック「Dock Box」

アナログオーディオ入力に対応した各種オーディオ機器とPCをつなげられるDAC「USB Box」
「Dock Box」の進化については、アップル社のライセンスを獲得して、デジタル出力に対応するモデルを近く発表したいと考えています。デジタル出力はS/PDIFを搭載する予定です。価格は現在の所まだ検討中ですが、多くの方々が気軽にiPodのソースを高音質に楽しんでいただけるようにしたいと考えています。

他にもシリーズの新製品としてFMチューナー搭載の「Tuner Box」、USBからアナログレコードの信号をデジタルにしてPCに取り込める「Phono Box V USB」、DAコンバーター「DAC Box」などもお届けできるものと思います。既に発売しているプリアンプやパワーアンプなどと組み合わせて、上質なオーディオ環境を拡張して行けるのが“Box Component”の魅力であると言えるでしょう。

また年末の投入に向けて、CDプレーヤーの開発も進めています。こちらは高音質なCD再生にこだわって、ドライブはCD再生に特化したものを搭載しています。ドライブはサブシャーシ構造にして、高音質化を図っています。本体の横幅サイズは既存のシリーズモデルの約2倍ほどになる予定ですが、それでも既存のHiFiのCDプレーヤーと比較しても十分にコンパクトでスタイリッシュな製品がお届けできるものと自負しています。こうした革新的な“Box Component”の新製品を、いち早く日本のオーディオファン、音楽ファンの皆様にご紹介したいと考えています。

【問い合わせ先】
(株)ナスペック
TEL/03-5313-3831

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