公開日 2012/09/11 10:30
ソニー・ヨーロッパ新社長 玉川勝氏に聞く、4K&テレビ戦略の今後と欧州でのビジネス展開
IFA2012スペシャルインタビュー
世界最大のエレクトロニクスショー「IFA2012」が、ドイツの首都ベルリンで8月31日から9月5日まで開催された。今年もメッセ・ベルリン会場に最大規模のブースを構えたソニーは、ブランドの最新製品やサービスを一堂に紹介。多くの来場者から注目を集めた。
IFA会場にて、今年7月1日にソニー・ヨーロッパ社 社長に就任した玉川勝氏を訪ね、玉川氏が前任地のソニー・インディア社で取り組んできた事柄と、これからヨーロッパに展開していくビジネスの戦略について話をうかがった。
「強い企業カルチャー」を構築するために ー 玉川氏のソニー・インディアにおける取り組み
玉川氏のソニーにおけるキャリアはタイに始まり、その後パナマ、日本国内勤務を経て、その後2000年度からドバイ、中東・アフリカの地域拠点会社であるソニー・ガルフへ。当地赴任中より現地販売会社の社長に就任し、続いてソニー・インディアへ渡って5年間、同社の社長を務めた。
自身を「“エマージングマーケット=新興国”のスペシャリスト」であると語る玉川氏は、これまで渡り歩いてきた各国でソニー製品の販売シェアを拡大させ、利益を獲得してきた。成功の背景には「いかにして強い企業カルチャーをつくるか」にこだわり、これに沿った戦略を徹底的に実行してきたことがあるのだという。「企業カルチャーが揺らぎ無いものになれば、将来企業のトップが交代しても“強い企業”そのものは残り続けていく」と玉川氏は説く。
強い企業カルチャーをつくるためのベースの一つは、「基本理念と基本動作の浸透・徹底」であり、これが企業のオペレーション上で最大の差別化になるという。
玉川氏が「基本理念」として掲げる要素は3つある。1つめが「短期的な利益を追わない」こと。
ソニー・インディア社で玉川氏は、月末に押し込みセールスを強いることを固く禁じてきた。押し込みセールスが常態化してしまうと、最終的に商品の価格下落と、商品価値そのものの低下を招いてしまうからだ。このルールを鉄則とした後、同社はリニアなセールスアップを実現してきた。
基本理念の2つめが「流通在庫の徹底管理」だ。「商品がディーラーからお客様の手元に渡ったとき、初めて売上げになるという考え方を徹底的に育成してきた」と玉川氏。不必要な在庫をディーラーに背負わせないことで、市場から余剰在庫がなくなる。その効果は新製品の発売時にも表れ、リプレイス製品における不必要な価格下落を発生させることなく、スムーズで迅速な新製品へのトランジションを実現できるようになる。玉川氏は販売会社とディーラー在庫のモニター管理システムを構築。例えば過去、BRAVIAの新モデルを投入した際には、6週間というスピードでモデルチェンジを完了させ、インド市場における垂直立ち上げを成功させた実績もあるという。
3つめの基本理念は価格設定のポリシーを遵守し、むやみに価格で遊ばないということ。発売前に必ず正しい需要予測を立て、発売後の価格変更は必要な時にしか行わない。需要予測を誤ると過剰在庫が生まれ、必要もないのに価格を下げなければならなくなる。ソニーが価格を下げると他社もこれに追随し、結果としては販売台数が伸び悩む割に、利益も減るという悪循環が生まれてしまうと玉川氏は語る。戦略に基づいたもの以外に、苦し紛れの価格変更を絶対に行わない。このルールを徹底してきたことで、インドにおけるソニーの商品価値は常に保たれてきたのだという。
IFA会場にて、今年7月1日にソニー・ヨーロッパ社 社長に就任した玉川勝氏を訪ね、玉川氏が前任地のソニー・インディア社で取り組んできた事柄と、これからヨーロッパに展開していくビジネスの戦略について話をうかがった。
「強い企業カルチャー」を構築するために ー 玉川氏のソニー・インディアにおける取り組み
玉川氏のソニーにおけるキャリアはタイに始まり、その後パナマ、日本国内勤務を経て、その後2000年度からドバイ、中東・アフリカの地域拠点会社であるソニー・ガルフへ。当地赴任中より現地販売会社の社長に就任し、続いてソニー・インディアへ渡って5年間、同社の社長を務めた。
自身を「“エマージングマーケット=新興国”のスペシャリスト」であると語る玉川氏は、これまで渡り歩いてきた各国でソニー製品の販売シェアを拡大させ、利益を獲得してきた。成功の背景には「いかにして強い企業カルチャーをつくるか」にこだわり、これに沿った戦略を徹底的に実行してきたことがあるのだという。「企業カルチャーが揺らぎ無いものになれば、将来企業のトップが交代しても“強い企業”そのものは残り続けていく」と玉川氏は説く。
強い企業カルチャーをつくるためのベースの一つは、「基本理念と基本動作の浸透・徹底」であり、これが企業のオペレーション上で最大の差別化になるという。
玉川氏が「基本理念」として掲げる要素は3つある。1つめが「短期的な利益を追わない」こと。
ソニー・インディア社で玉川氏は、月末に押し込みセールスを強いることを固く禁じてきた。押し込みセールスが常態化してしまうと、最終的に商品の価格下落と、商品価値そのものの低下を招いてしまうからだ。このルールを鉄則とした後、同社はリニアなセールスアップを実現してきた。
基本理念の2つめが「流通在庫の徹底管理」だ。「商品がディーラーからお客様の手元に渡ったとき、初めて売上げになるという考え方を徹底的に育成してきた」と玉川氏。不必要な在庫をディーラーに背負わせないことで、市場から余剰在庫がなくなる。その効果は新製品の発売時にも表れ、リプレイス製品における不必要な価格下落を発生させることなく、スムーズで迅速な新製品へのトランジションを実現できるようになる。玉川氏は販売会社とディーラー在庫のモニター管理システムを構築。例えば過去、BRAVIAの新モデルを投入した際には、6週間というスピードでモデルチェンジを完了させ、インド市場における垂直立ち上げを成功させた実績もあるという。
3つめの基本理念は価格設定のポリシーを遵守し、むやみに価格で遊ばないということ。発売前に必ず正しい需要予測を立て、発売後の価格変更は必要な時にしか行わない。需要予測を誤ると過剰在庫が生まれ、必要もないのに価格を下げなければならなくなる。ソニーが価格を下げると他社もこれに追随し、結果としては販売台数が伸び悩む割に、利益も減るという悪循環が生まれてしまうと玉川氏は語る。戦略に基づいたもの以外に、苦し紛れの価格変更を絶対に行わない。このルールを徹底してきたことで、インドにおけるソニーの商品価値は常に保たれてきたのだという。
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