公開日 2017/03/24 11:16
【集中連載】現地で見たNetflix “最強” の理由(4)より速く高画質な環境を実現する「Netflix推奨テレビ」
ホテルや飛行機内等スマートな視聴体験の場も広がる
山本敦氏が米Netflixの本社を訪問、Netflixの最新動向やその取り組み、今後の展開についてレポートしていく連続企画。第4回目では、スマートテレビの評価基準『Netflix推奨テレビ』の取り組み、また2017年度の新たな基準について話を伺った。
■より速く・より高画質に。Netflix推奨テレビの2017年度新基準が発表
Netflixは、コンテンツを視聴できる様々なデバイスの中で特にスマートテレビの体験をより良いものへ押し上げていくことに力を入れてきたブランドだ。そのために「Netflix Recommended TV(=Netflix推奨テレビ)」の基準を定め、自社でも各社のスマートテレビの評価に力を入れている。同部門の取り組みについては、Global Head of Business DevelopmentのBill Holmes氏が歴史的背景から説明を切り出した。
「Netflixのオンラインストリーミングは2007年にはじまり、当時は現在よりもっと数少ない映像コンテンツをPCで楽しむというものでした。その後は作品も順調に増えて、メディアストリーミング端末の『ROKU』や、2008年にはTiVoにLG・サムスンが発売したビデオレコーダー、Xboxにも対応を広げました。現在ではご存知の通り、スマホやタブレット、ゲーム機などでも楽しめます。スマートOSを搭載するインターネット接続機能搭載テレビでも、PCやモバイル端末に負けないスムーズな使い勝手を実現できるように、当社が2015年につくった基準が『Netflix推奨テレビ』です」
Director of Business DevelopmentのDavid Holland氏は、Netflix推奨テレビは「快適なパフォーマンス」「シンプルなアプリへのアクセス」「新しいフィーチャー」を積極的に取り込む、進化に貪欲なスマートテレビを応援するためのプログラムであると強調している。現在国内で発売されているスマートテレビの中には、Netflix推奨テレビをうたっている製品も少なくない。
認定基準については、電源を投入後すぐにNetflixをはじめとするスマートアプリケーションが立ち上がり、起動後も機敏に動作すること、リモコンやGUIの分かりやすい位置にNetflixボタンが搭載されていることのほか、GUIのナビゲーションが配置・画質ともに見やすく、最新版Netflixアプリが動かせることなど7つの評価項目が並ぶ。この中から5つの評価項目をクリアすれば推奨テレビとして認定され、ロゴが使用可能になる。
Holland氏は、Netflix推奨テレビの基準はスマートテレビの恒常的なレベルアップを図るために毎年アップデートされていると語る。そして今年2017年版の基準が3月20日に発表された。内容には新しく「電源を投入後、数秒間でNetflixやその他スマートテレビ向けアプリが素速く立ち上がること」と「アプリとテレビ放送の切替が素速くできること」が加わる。
新たな基準をクリアしたテレビが、LGエレクトロニクスの最新Web OS3.5を搭載する4Kテレビ、サムスンのQシリーズと9/8/7シリーズの液晶テレビ、ソニーのAndroid TV搭載液晶テレビなどの2017年モデルであることも明らかにされた。
NetflixのGUIも画質が720pから1080pにブラッシュアップされ、イメージやテキストの表示がさらに切れ味を増した。本社ツアーでは、LGの2017年モデルと昨年発売された他社製のNetflix推奨テレビによる動作速度の比較デモが行われたが、従来のテレビらしいスローなインターフェースから、スマホ・タブレットのグレードに迫る機敏なレスポンスを実現したことが明らかに感じられた。
今回のNetflix推奨テレビに関連する報道発表を英文のまま読むと、例えば「You can power on your TV and start using Netflix or other internet TV apps in just a few seconds.」と記載されている。その内容からは、同社がNetflix単体での体験向上に止まらず、すべてのスマートテレビによるアプリ体験とコンテンツ視聴の快適さを高めようとする意図も見え隠れしている。
スマートな視聴が体験できる場所を増やすこともHolmes氏とHolland氏が所属するビジネス・デベロップメントチームの役割になる。通信事業者とのパートナーシップも強化しており、全世界に散らばる約60社の通信事業者と協力関係を築いてきた。コラボの一例として、T-Mobileが北米で展開する「Binge-On」のサービスでは、Netflixを含むいくつかの動画アプリサービスを月額のデータプランの中でカウントフリーにして“見放題”とするサービスがある。
ホテル産業もNetflixを活用したサービスの差別化に乗り出した。マリオット・インターナショナルでは、同社グループのホテルであるマリオット、リッツ・カールトン、ルネッサンス、コートヤードなどにNetflixが無料で見られる客室を設置。米国内で2015年からスタートし、徐々に拡大している。
「Netflix会員なら旅先でも無料でコンテンツを視聴できて、チェックアウト時には視聴履歴も削除される。プライバシーに対する配慮も十分に気を配っています」とHolmes氏が強調する。
他にも、バージン・アメリカやメキシコの航空会社であるアエロメヒコでは、飛行中にNetflixをパーソナルエンターテインメントスクリーンでストリーミング視聴できることで顧客に魅力をアピール。「Netflix Everywhere」を実現することが、Holmes氏とHolland氏に課せられた使命だ。
(山本 敦)
■より速く・より高画質に。Netflix推奨テレビの2017年度新基準が発表
Netflixは、コンテンツを視聴できる様々なデバイスの中で特にスマートテレビの体験をより良いものへ押し上げていくことに力を入れてきたブランドだ。そのために「Netflix Recommended TV(=Netflix推奨テレビ)」の基準を定め、自社でも各社のスマートテレビの評価に力を入れている。同部門の取り組みについては、Global Head of Business DevelopmentのBill Holmes氏が歴史的背景から説明を切り出した。
「Netflixのオンラインストリーミングは2007年にはじまり、当時は現在よりもっと数少ない映像コンテンツをPCで楽しむというものでした。その後は作品も順調に増えて、メディアストリーミング端末の『ROKU』や、2008年にはTiVoにLG・サムスンが発売したビデオレコーダー、Xboxにも対応を広げました。現在ではご存知の通り、スマホやタブレット、ゲーム機などでも楽しめます。スマートOSを搭載するインターネット接続機能搭載テレビでも、PCやモバイル端末に負けないスムーズな使い勝手を実現できるように、当社が2015年につくった基準が『Netflix推奨テレビ』です」
Director of Business DevelopmentのDavid Holland氏は、Netflix推奨テレビは「快適なパフォーマンス」「シンプルなアプリへのアクセス」「新しいフィーチャー」を積極的に取り込む、進化に貪欲なスマートテレビを応援するためのプログラムであると強調している。現在国内で発売されているスマートテレビの中には、Netflix推奨テレビをうたっている製品も少なくない。
認定基準については、電源を投入後すぐにNetflixをはじめとするスマートアプリケーションが立ち上がり、起動後も機敏に動作すること、リモコンやGUIの分かりやすい位置にNetflixボタンが搭載されていることのほか、GUIのナビゲーションが配置・画質ともに見やすく、最新版Netflixアプリが動かせることなど7つの評価項目が並ぶ。この中から5つの評価項目をクリアすれば推奨テレビとして認定され、ロゴが使用可能になる。
Holland氏は、Netflix推奨テレビの基準はスマートテレビの恒常的なレベルアップを図るために毎年アップデートされていると語る。そして今年2017年版の基準が3月20日に発表された。内容には新しく「電源を投入後、数秒間でNetflixやその他スマートテレビ向けアプリが素速く立ち上がること」と「アプリとテレビ放送の切替が素速くできること」が加わる。
新たな基準をクリアしたテレビが、LGエレクトロニクスの最新Web OS3.5を搭載する4Kテレビ、サムスンのQシリーズと9/8/7シリーズの液晶テレビ、ソニーのAndroid TV搭載液晶テレビなどの2017年モデルであることも明らかにされた。
NetflixのGUIも画質が720pから1080pにブラッシュアップされ、イメージやテキストの表示がさらに切れ味を増した。本社ツアーでは、LGの2017年モデルと昨年発売された他社製のNetflix推奨テレビによる動作速度の比較デモが行われたが、従来のテレビらしいスローなインターフェースから、スマホ・タブレットのグレードに迫る機敏なレスポンスを実現したことが明らかに感じられた。
今回のNetflix推奨テレビに関連する報道発表を英文のまま読むと、例えば「You can power on your TV and start using Netflix or other internet TV apps in just a few seconds.」と記載されている。その内容からは、同社がNetflix単体での体験向上に止まらず、すべてのスマートテレビによるアプリ体験とコンテンツ視聴の快適さを高めようとする意図も見え隠れしている。
スマートな視聴が体験できる場所を増やすこともHolmes氏とHolland氏が所属するビジネス・デベロップメントチームの役割になる。通信事業者とのパートナーシップも強化しており、全世界に散らばる約60社の通信事業者と協力関係を築いてきた。コラボの一例として、T-Mobileが北米で展開する「Binge-On」のサービスでは、Netflixを含むいくつかの動画アプリサービスを月額のデータプランの中でカウントフリーにして“見放題”とするサービスがある。
ホテル産業もNetflixを活用したサービスの差別化に乗り出した。マリオット・インターナショナルでは、同社グループのホテルであるマリオット、リッツ・カールトン、ルネッサンス、コートヤードなどにNetflixが無料で見られる客室を設置。米国内で2015年からスタートし、徐々に拡大している。
「Netflix会員なら旅先でも無料でコンテンツを視聴できて、チェックアウト時には視聴履歴も削除される。プライバシーに対する配慮も十分に気を配っています」とHolmes氏が強調する。
他にも、バージン・アメリカやメキシコの航空会社であるアエロメヒコでは、飛行中にNetflixをパーソナルエンターテインメントスクリーンでストリーミング視聴できることで顧客に魅力をアピール。「Netflix Everywhere」を実現することが、Holmes氏とHolland氏に課せられた使命だ。
(山本 敦)
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