• ブランド
    特設サイト
公開日 2017/05/30 11:45

「ミュージシャンの声に背中押された」− FenderがマルチBAの最上位機「FXA9」を作った理由

6BAドライバー搭載の最新モデル
ファイルウェブ編集部
  • Twitter
  • FaceBook
  • LINE
Fenderはイヤホン参入第二弾モデルとして、BAドライバーを6基搭載したハイエンドモデル「FXA9」を発表した(関連ニュース)。今回、Fenderイヤホン開発を一手に担うDale Lott(デール・ロット)氏と、マーケティングを担当するJim Ninesling(ジム・ナインスリング)氏という二人のキーマンに、FXA9の詳細や開発秘話、そして今後の展開について伺った。

Jim Ninesling氏(左)とDale Lott氏(右)にFenderイヤホン新モデルについてインタビュー

Fenderは昨年からイヤホン事業を展開、第一弾として5モデルを市場に参入。第一弾ラインナップでは、上位2機種においてBA型ドライバーとダイナミック型ドライバーを組み合わせたハイブリッド型を採用。クロスオーバー回路を用いないという独自のアプローチを用いていた。しかし、新たに登場した「FXA9」では、6ドライバーによるマルチBA構成を採用。ネットワーク回路も用いており、仕様面だけを見ると従来モデルとは方向を異にしているように思われる。

「FXA1」

インタビューは、FXA9のドライバー構成や独自技術にどのような意図があるか質問するところからスタートした。

ミュージシャンの強い要望に応えて開発したマルチBAドライバーモデル

―― 「FXA9」では、全てBA型による6ドライバー構成を採用しました。ブランドの特色として打ち出してきたハイブリッド方式を今回は採用しなかった理由を教えてください。

デール氏 多くのミュージシャンやエンジニアから、FenderのマルチBAドライバー・イヤホンが欲しい!という要望をいただいたのが大きな理由でした。プロの現場で用いられるインイヤーモニターはBAによるマルチドライバーが一般的なので、現場で使うとなると、どうしても慣れたもののほうが使いやすいということなのです。

ご存じの通り、私はAurisonicsの時代から、ハイブリッド型に強い信念を持っていました。しかしFenderには、「ミュージシャンが最適なパフォーマンスを実現するためのツールを提供していく」というカンパニーポリシーがあります。ミュージシャンからそのような要望があれば、それに応えていくのが務めです。本心では「No...」と感じていましたが、ジムからも「デールの技術で、FenderならではのマルチBAドライバー・イヤホンを作ったら、きっと素晴らしいものが出来上がるはずだ」と背中を押されました。

ミュージシャンからの要望に応える形でオールBA構成を採用したと語るデール氏

―― BAによる6ドライバー構成ですが、各帯域への割り当てが高域×1、中域×1、低域×2、超低域(サブウーファー)×2と、構成もユニークなものだと思います。

デール氏 ポイントとなるのはサブウーファーですね。この部分をどう仕上げていくかが大きな課題でした。このサブウーファーには、BAドライバーでありながらポートを設けることで、より低く、かつ音に自然な広がりのある低音を実現することができました。これが「Groove tuned bass port」技術なのですが、今までハイブリッド方式の開発を手がけて経験があるからこそ生まれた発想だと思います。

ーー 「FXA9」のクロスオーバー・ネットワークについて教えてください。

BAによる6ドライバー構成となると、現実問題として、位相や歪みの問題を解決するためにはクロスオーバー・ネットワークは不可欠となります。ただし、ネットワーク回路は高域と中域、中域と低域の間にのみ設けて、低域とサブウーファーの間には使用していません。サブウーファーに設けたポートが位相やハーモニクスの問題を解決しているため、ネットワークを用いることなく最適な音の振り分けができたのです。

ハウジングはクリア仕様なので、ドライバーなど内部の様子を伺うことができる

ちなみに、各帯域で異なるBAドライバーを用いています。いずれも本機のために特別チューニングを施したものです。特にポートを設けたサブウーファー用のBAドライバーについては、専用のチューニングが必要になりました。

次ページ3Dプリンティング技術があってこそ実現した緻密なドライバー配置

1 2 3 4 次へ

この記事をシェアする

  • Twitter
  • FaceBook
  • LINE

トピック

クローズアップCLOSEUP
アクセスランキング RANKING
1 楽天ブラックフライデーでJBLの超人気サウンドバー「BAR 1000/800」が激安!プロも驚く革新的モデルはどんな音を鳴らす?
2 評論家が厳選!マランツ「MODEL M1」でPolk Audio/KEF/TAD/Harbethのスピーカーを鳴らす
3 ビクター新ワイヤレスヘッドホン「HA-S99N」速攻レビュー! 評論家が「もう驚きでしかない」と高評価した魅力とは?
4 ボーズ、McIntosh Groupを買収。マッキントッシュ、ソナス・ファベールが傘下に
5 レグザが100型クラス大画面4Kテレビを拡充する理由とは? 目黒蓮の特別コメントも
6 パナソニック「2023年度 優秀ご販売店様謝恩会」を開催。21店が栄誉に輝く
7 山之内 正氏によるエソテリック×アキュフェーズ×マランツ比較試聴会、「ハイエンドオーディオ&アクセサリーショウ2024」で開催
8 オーディオファイル待望の物量投入型プリメインアンプ!デノン「PMA-3000NE」をクオリティチェック
9 B&Wの音は “信頼に値する重要な指標”。音元出版の新試聴室に「802 D4」が導入されたワケ
10 新開発ユニットを巧みに操る懐深いサウンド。ELAC「Debut 3.0」フロア型/ブックシェルフ型を聴く
11/22 10:41 更新
MAGAZINE
音元出版の雑誌
オーディオアクセサリー193号
季刊・オーディオアクセサリー
最新号
Vol.194
オーディオアクセサリー大全2025~2026
別冊・ケーブル大全
別冊・オーディオアクセサリー大全
最新号
2025~2026
プレミアムヘッドホンガイドマガジン vol.22 2024冬
別冊・プレミアムヘッドホンガイドマガジン
最新号
Vol.22
プレミアムヘッドホンガイド Vol.32 2024 AUTUMN
プレミアムヘッドホンガイド
(フリーマガジン)
最新号
Vol.32(電子版)
VGP受賞製品お買い物ガイド 2024年冬版
VGP受賞製品お買い物ガイド
(フリーマガジン)
最新号
2024年夏版(電子版)
DGPイメージングアワード2024受賞製品お買い物ガイド(2024年冬版)
DGPイメージングアワード受賞製品お買い物ガイド
(フリーマガジン)
最新号
2024年冬版(電子版)
音元出版の雑誌 電子版 読み放題サービス
「マガジンプレミアム」お試し無料!

雑誌販売に関するお問合せ

WEB
  • PHILE WEB
  • PHILE WEB AUDIO
  • PHILE WEB BUSINESS
  • ホームシアターCHANNEL
  • デジカメCHANNEL
AWARD
  • VGP
  • DGPイメージングアワード
  • DGPモバイルアワード
  • AEX
  • AA AWARD
  • ANALOG GPX