公開日 2022/01/02 07:00
ラックスマン 末吉達哉氏:パワーアンプ旗艦モデル「M-10X」で新時代の方向性を示して次なる飛躍へ
オーディオ銘機賞2022 受賞インタビュー
オーディオ銘機賞2022
受賞インタビュー:ラックスマン
国内オーディオマーケットに展開される数々の製品の中で、卓越した性能、革新的な内容を持ち、かつオーディオマインドに溢れる“真の銘機”を選定する一大アワード「オーディオ銘機賞2022」において、創業95周年記念モデルに位置付けられるステレオパワーアンプの旗艦モデルが金賞を獲得したラックスマン。同社の末吉達哉社長が、受賞に際しての思いを語った。
ラックスマン株式会社 代表取締役社長 末吉達哉氏
インタビュアー 徳田ゆかり(ファイルウェブビジネス担当)
■大きな節目に向け、圧倒的な存在感を放つパワーアンプの旗艦モデル「M-10X」
ーー 「オーディオ銘機賞2022」にて、ステレオパワーアンプの「M-10X」が金賞を、さらにプリメインアンプの「L-507Z」、MCカートリッジの「LMC-5」が銀賞を受賞されました。誠におめでとうございます。
末吉達哉氏(以下、末吉) このたびは誠に有難うございます。「M-10X」「L-507Z」は今年の新製品であり、コロナ禍の中でのリリースとなって困難も伴いました。社員の頑張りによって、おかげさまで無事商品の発売を果たすことができ、さらに栄誉ある賞を頂戴いたしました。非常に嬉しく有難く思っております。
ーー ラックスマンブランドにとって、ステレオパワーアンプは非常に重要な存在であり、さらに旗艦モデルである「M-10X」の登場は意味深いことですね。
末吉 2025年に当社は100周年を迎えますが、「M-10X」は重要な節目に向けたひとつの記念碑となります。そして次のステップは、この方向性を次のラインナップに浸透させていくこと。そういう意味でも、今回ご評価いただけたことは大変有り難く存じます。
今回、“LIFES”という帰還エンジンを新たに開発しました。 “Luxman Integrated Feedback Engine System”の略称で、これまでのラックスマン製品に採用された増幅回路「ODNF(Only Distortion Negative Feedback)」を刷新した、増幅帰還エンジンです。重要な製品である「M-10X」に初めて搭載し、続いて「L-507Z」にも搭載しています。
開発にあたってはすべての回路に再シミュレーションを施しました。これまでのバージョンアップで肥大化したところを一旦そぎ落とし、回路を構成するパーツのひとつひとつの特性をあらためて確認したのです。理想の回路構成とした上で、オーディオ性能に優れたパーツを吟味し当てはめていきました。この開発については何年も前から培ってきた技術の下地があり、長年の地道な開発の積み重ねのおかげで完成させることができたのです。
ラックスマンにとって、ステレオパワーアンプの旗艦モデルを出すのは8年振りです。重要な位置付けのモデルとして、「M-10X」についてはかなり以前から検討や開発を重ねてきましたが、それがようやく実を結んだかたちです。これまでラックスマンがやってきたこと、我々が信じた方向性に間違いがないと再確認できた思いです。私自身、現職に就任して2年目になりますが、ラックスマンの確固たる姿をしっかりと皆様にお示しすることができたかと思っております。
■「東京インターナショナルオーディオショウ」開催、リアルイベントの復活は明るいきざし
ーー 製品のプロモーションについて、昨今はどのように行っていますか。
末吉 コロナ禍で昨年は中止を余儀なくされましたが、今年は11月に「東京インターナショナルオーディオショウ2022」を開催することができました。先日協議会の総会があって、ようやく一息ついたところです。私は事務局としても携わっていますが、こうした状況の中でやり方を変え、工夫を凝らすべきことがたくさんありました。
今回は入場者数に制限を設けて、お客様には事前に予約をとっていただくかたちとしました。ご来場数は例年より少なくはなりましたが、展示の空間にも余裕ができ、お客様ご自身もゆったりとご試聴できたのではないでしょうか。我々のブースでも、お客様に対して落ち着いて試聴いただける場をご提供できたかと思いますし、それがセールスにも結びついております。
また開催期間中は混乱などもなく、無事運営することができました。朝一番だけはお客様の列ができましたが、警備の方が上手に対応してくださり、スムーズに誘導させていただけました。総じて成功裡に終わったと感じております。おかげさまで皆様からも充実したショーになったとのお言葉をいただきました。
東京インターナショナルオーディオショウが開催できたことは、業界全体にとっても吉報だったと思います。その後は各地域での販売店様の大型イベントも開催されていますし、お客様との接点の場が少しずつ広がって有り難く思います。
■製品供給の課題を工夫で乗り越え、2022年の進化へ
ーー これまで、コロナ禍でもオーディオは好調な手応えとお聞きしていましたが、直近はいかがですか。
末吉 波はありましたが、需要の面では比較的順調だと思います。ただ生産の状況は芳しくありません。さまざまな部品の供給にコロナ禍の影響があり、ご存じのように半導体を始め、さまざまな部材が不足しています。何かの供給量が戻ってくると、別の何かが不足するといった具合に状況は日々変化しており、先を予測するのも難しくなっています。
これは弊社だけでなく、どこの会社様でも同様だと思いますが、大変苦労しています。受注をいただきながら出荷できず、特に人気モデルはお待ちいただく状況が続いて、お客様にはご迷惑をおかけしております。中国での電力不足や、東南アジア、ロシアや東欧などでのロックダウン、さまざまことが影響し合っていますね。
部品の発注のタイミングも前倒しし、先を読んで2〜3ヶ月ほど早く発注もしていますが、それだけ前倒ししていても、生産の段階に間に合わないこともあります。そういう中で、機器どうし共有しているパーツがあれば生産の順番を替え、新製品を優先させるなど臨機応変にやりくりしています。
ーー 大変な状況の中ですが、オーディオに対するお客様の動向はいかがですか。
末吉 コロナ以前より、皆さんが家にいらっしゃる時間が長くなっていますから、オーディオに対する皆さんの思い入れも深い状況は続いています。まだまだ需要の動向は明るい手応えですね。ただ、とにかく供給の問題が深刻です。まずはお客様の手に製品をお渡しできる体制をしっかり整えるのが第一です。来年もラックスマンの新しいモデルの開発が控えていますから、そこにも影響のないよう注力いたします。
来年以降、イベントなどの活動は徐々に増えていくと思われ、お客様の気持ちを高める手立てはいろいろとあると思います。ただコロナ以前の状態に戻るだけでなく、動画コンテンツなどネットでの発信も含めた別のやり方も加えて、リアルのイベントと並行する考え方もあります。コロナ禍で多くの方が、オンラインに対する抵抗感を払拭したかと思いますので、新しい方向を積極的に取り入れたいですね。
ーー 一年を振り返ってみて、いかがでしたでしょうか。
末吉 昨年に引き続きコロナの影響は受けましたが、社員の皆が頑張ってくれ、2021年もいい年となりました。2022年もこの勢いで進んでいき、またオーディオ銘機賞を受賞できるよう頑張ってまいります。
ーー 2022年のご活躍も期待しております。ありがとうございました。
受賞インタビュー:ラックスマン
国内オーディオマーケットに展開される数々の製品の中で、卓越した性能、革新的な内容を持ち、かつオーディオマインドに溢れる“真の銘機”を選定する一大アワード「オーディオ銘機賞2022」において、創業95周年記念モデルに位置付けられるステレオパワーアンプの旗艦モデルが金賞を獲得したラックスマン。同社の末吉達哉社長が、受賞に際しての思いを語った。
ラックスマン株式会社 代表取締役社長 末吉達哉氏
インタビュアー 徳田ゆかり(ファイルウェブビジネス担当)
■大きな節目に向け、圧倒的な存在感を放つパワーアンプの旗艦モデル「M-10X」
ーー 「オーディオ銘機賞2022」にて、ステレオパワーアンプの「M-10X」が金賞を、さらにプリメインアンプの「L-507Z」、MCカートリッジの「LMC-5」が銀賞を受賞されました。誠におめでとうございます。
末吉達哉氏(以下、末吉) このたびは誠に有難うございます。「M-10X」「L-507Z」は今年の新製品であり、コロナ禍の中でのリリースとなって困難も伴いました。社員の頑張りによって、おかげさまで無事商品の発売を果たすことができ、さらに栄誉ある賞を頂戴いたしました。非常に嬉しく有難く思っております。
ーー ラックスマンブランドにとって、ステレオパワーアンプは非常に重要な存在であり、さらに旗艦モデルである「M-10X」の登場は意味深いことですね。
末吉 2025年に当社は100周年を迎えますが、「M-10X」は重要な節目に向けたひとつの記念碑となります。そして次のステップは、この方向性を次のラインナップに浸透させていくこと。そういう意味でも、今回ご評価いただけたことは大変有り難く存じます。
今回、“LIFES”という帰還エンジンを新たに開発しました。 “Luxman Integrated Feedback Engine System”の略称で、これまでのラックスマン製品に採用された増幅回路「ODNF(Only Distortion Negative Feedback)」を刷新した、増幅帰還エンジンです。重要な製品である「M-10X」に初めて搭載し、続いて「L-507Z」にも搭載しています。
開発にあたってはすべての回路に再シミュレーションを施しました。これまでのバージョンアップで肥大化したところを一旦そぎ落とし、回路を構成するパーツのひとつひとつの特性をあらためて確認したのです。理想の回路構成とした上で、オーディオ性能に優れたパーツを吟味し当てはめていきました。この開発については何年も前から培ってきた技術の下地があり、長年の地道な開発の積み重ねのおかげで完成させることができたのです。
ラックスマンにとって、ステレオパワーアンプの旗艦モデルを出すのは8年振りです。重要な位置付けのモデルとして、「M-10X」についてはかなり以前から検討や開発を重ねてきましたが、それがようやく実を結んだかたちです。これまでラックスマンがやってきたこと、我々が信じた方向性に間違いがないと再確認できた思いです。私自身、現職に就任して2年目になりますが、ラックスマンの確固たる姿をしっかりと皆様にお示しすることができたかと思っております。
■「東京インターナショナルオーディオショウ」開催、リアルイベントの復活は明るいきざし
ーー 製品のプロモーションについて、昨今はどのように行っていますか。
末吉 コロナ禍で昨年は中止を余儀なくされましたが、今年は11月に「東京インターナショナルオーディオショウ2022」を開催することができました。先日協議会の総会があって、ようやく一息ついたところです。私は事務局としても携わっていますが、こうした状況の中でやり方を変え、工夫を凝らすべきことがたくさんありました。
今回は入場者数に制限を設けて、お客様には事前に予約をとっていただくかたちとしました。ご来場数は例年より少なくはなりましたが、展示の空間にも余裕ができ、お客様ご自身もゆったりとご試聴できたのではないでしょうか。我々のブースでも、お客様に対して落ち着いて試聴いただける場をご提供できたかと思いますし、それがセールスにも結びついております。
また開催期間中は混乱などもなく、無事運営することができました。朝一番だけはお客様の列ができましたが、警備の方が上手に対応してくださり、スムーズに誘導させていただけました。総じて成功裡に終わったと感じております。おかげさまで皆様からも充実したショーになったとのお言葉をいただきました。
東京インターナショナルオーディオショウが開催できたことは、業界全体にとっても吉報だったと思います。その後は各地域での販売店様の大型イベントも開催されていますし、お客様との接点の場が少しずつ広がって有り難く思います。
■製品供給の課題を工夫で乗り越え、2022年の進化へ
ーー これまで、コロナ禍でもオーディオは好調な手応えとお聞きしていましたが、直近はいかがですか。
末吉 波はありましたが、需要の面では比較的順調だと思います。ただ生産の状況は芳しくありません。さまざまな部品の供給にコロナ禍の影響があり、ご存じのように半導体を始め、さまざまな部材が不足しています。何かの供給量が戻ってくると、別の何かが不足するといった具合に状況は日々変化しており、先を予測するのも難しくなっています。
これは弊社だけでなく、どこの会社様でも同様だと思いますが、大変苦労しています。受注をいただきながら出荷できず、特に人気モデルはお待ちいただく状況が続いて、お客様にはご迷惑をおかけしております。中国での電力不足や、東南アジア、ロシアや東欧などでのロックダウン、さまざまことが影響し合っていますね。
部品の発注のタイミングも前倒しし、先を読んで2〜3ヶ月ほど早く発注もしていますが、それだけ前倒ししていても、生産の段階に間に合わないこともあります。そういう中で、機器どうし共有しているパーツがあれば生産の順番を替え、新製品を優先させるなど臨機応変にやりくりしています。
ーー 大変な状況の中ですが、オーディオに対するお客様の動向はいかがですか。
末吉 コロナ以前より、皆さんが家にいらっしゃる時間が長くなっていますから、オーディオに対する皆さんの思い入れも深い状況は続いています。まだまだ需要の動向は明るい手応えですね。ただ、とにかく供給の問題が深刻です。まずはお客様の手に製品をお渡しできる体制をしっかり整えるのが第一です。来年もラックスマンの新しいモデルの開発が控えていますから、そこにも影響のないよう注力いたします。
来年以降、イベントなどの活動は徐々に増えていくと思われ、お客様の気持ちを高める手立てはいろいろとあると思います。ただコロナ以前の状態に戻るだけでなく、動画コンテンツなどネットでの発信も含めた別のやり方も加えて、リアルのイベントと並行する考え方もあります。コロナ禍で多くの方が、オンラインに対する抵抗感を払拭したかと思いますので、新しい方向を積極的に取り入れたいですね。
ーー 一年を振り返ってみて、いかがでしたでしょうか。
末吉 昨年に引き続きコロナの影響は受けましたが、社員の皆が頑張ってくれ、2021年もいい年となりました。2022年もこの勢いで進んでいき、またオーディオ銘機賞を受賞できるよう頑張ってまいります。
ーー 2022年のご活躍も期待しております。ありがとうございました。
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