公開日 2024/10/24 06:30
【インタビュー】シャープ「AQUOS」が夏商戦で躍動。まるっとおまかせ「AIオート」などテレビがもっと楽しくなる魅力が満載
シャープ TVシステム事業本部 国内事業部 事業部長 高橋秀行氏に聞く
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シャープ株式会社
5月14日に駆け巡った「シャープ、テレビ向け大型液晶パネル生産停止」のニュース。「シャープがテレビを止めてしまうのではないか」と多くの消費者が誤解し、不安を掻き立てられた。丁寧な説明でお客様の誤解と不安を取り除いているというシャープ。そんななか、夏商戦で活躍を見せたのが6月に発表された新製品。有機ELとmini LEDの “二刀流フラグシップ” を筆頭に、年末商戦も盛り上げていく勢いを見せる。国内テレビ事業の陣頭指揮を執る高橋秀行事業部長に話を聞く。<インタビュアー 音元出版 代表取締役・風間雄介>
シャープ株式会社
TVシステム事業本部 国内事業部 事業部長
高橋秀行氏
プロフィール/1991年 シャープ入社。AV機器営業、商品企画、経営管理等を経て、2023年4月より現職。
―― 5月17日に有機ELテレビ「GS1ライン」「GQ1/GQ2ライン」、mini LEDテレビ「GP1/GP2ライン」、さらに液晶テレビ「GN1/GN2ライン」と市場創造を牽引していく本年度の新製品4ライン計17機種を発表されました。一方、その3日前の5月14日に開催された決算会見のなかで、堺ディスプレイプロダクト(SDP)における大型液晶パネルの生産停止が発表され、報道でも大きく取り上げられました。各方面にも影響が出ていると伺っており、改めてこの点についてご説明をお願いします。
高橋 5月14日に開催した決算会見の経営方針についての説明のなかで、SDPの大型液晶パネル生産を停止する方針を発表しました。この発表に伴い、多くのお客様が関連したニュースをご覧になり、弊社コールセンターや店頭に「シャープはテレビを止めてしまうのか」「購入したテレビのアフターサービスはしっかりやってくれるのか」といった声を数多くお寄せいただきました。
コールセンターや店頭では、今後も引き続きテレビ事業を継続していくことをご説明するとご理解いただけますが、そうした対応が直接できない方のなかには、まだ不安に思われている方がおられるのではと大変危惧しています。
―― 8月21日に生産が停止され、報道でもまた大きく取り上げられました。
高橋 報道があった週末には再び、「シャープさんテレビ止めてしまうの?」といった声が大きくなりました。お客様お一人お一人に、そのようなことはないと丁寧に説明させていただいています。
先の経営方針のなかでは、大型液晶パネルの生産終了の一方で、商品系のブランド事業に集中した事業構造を確立することを明言しています。私は国内テレビを担当しておりますが、国内テレビもその取り組みのひとつに位置づけられ、「独自特長商品拡大による日本市場の収益力強化」を方針として打ち出しています。
―― テレビ市況も夏商戦では久々に回復の兆しが見受けられましたが、取り巻く環境も刻々と変化していくなか、御社の本年度のテレビ事業に対する取り組みについてご説明をお願いします。
高橋 大きな2つの軸があります。ひとつは、お客様それぞれにテレビを見る環境や楽しみ方があり、そうしたニーズにお応えしていくためにフルラインナップでしっかりと提案を行っていくこと。
具体的には、サイズでは小さな19V型からリビングで臨場感たっぷりの大画面が楽しめる85V型まで。デバイスでは液晶テレビ、mini LEDテレビ、そして、有機ELテレビの3つを揃え、フルラインナップでお客様にご提案します。なお、今夏モデルのGシリーズにおいては、SDP生産のパネルは採用していません。
もうひとつの軸が、経営方針にもあった独自特長商品、いわゆる高付加価値商品の強化です。液晶テレビに加え、2020年に有機ELテレビに参入し、2021年に日本メーカーとしては初となるmini LEDテレビ「AQUOS XLED」を市場投入、2023年には有機ELのなかでも量子ドット技術を搭載した最先端の有機ELデバイスを使ったテレビを発売しています。
画質のみならず音質も強化し、その画質・音質をコントロールするエンジンやソフトウェアにも力を注いでおり、2022年からはそこにAIも取り入れています。2024年モデルではAIによる追求を加速して、お客様の使いやすさに配慮した「AIオート」を実現しています。
―― 限られたリソースを高付加価値商品にシフトして展開されるメーカーも見受けられます。
高橋 手前味噌ながら、弊社は1987年に初号機となる3型カラー液晶テレビ「クリスタルトロン 3C-E1」を発売以来、業界最先端を走るさまざまなテレビを作ってきました。2001年1月1日には「AQUOS(アクオス)」のネーミングを冠した第1号機を発売しています。
以降、BD内蔵機、8Kテレビ、OLED、XLED、先ほどご紹介したQD-OLEDを発売と、かれこれ約40年にわたりテレビづくりに携わっています。そこには、先代の方たちが大切に築き上げて来られた技術やノウハウが随所に生かされています。まさにシャープ「AQUOS」だからこそ、このように全方位へ目を向けた“フルラインナップ”を特色として打ち出すことができると自負しています。
―― 夏商戦に久々に活気が見られたテレビ市場をどのようにご覧になられますか。
高橋 2020年に巣ごもり需要を背景に伸長し、国内全体の年間出荷台数は約570万台となりましたが、21年以降は前年割れの状況が続いていました。2023年下期から下げ止まり、2024年上期には若干ではありますが回復基調に転じてきた感があります。4 - 8月はメーカー出荷ベースで、台数が対前年比103%、金額が同104%まで戻しています。
弊社は高付加価値商品に力を入れることで、4Kテレビの販売価格で比較すると、2024年は2020年比で約3割上昇しており、商品の魅力を評価いただいている結果と考えています。
―― 6月には新製品17機種を一挙に発表されましたが、今年はどのような点に重きをおいて訴求されていますか。
高橋 お客様によって有機ELの画質を好まれる方もいれば、一方でmini LEDの明るい画質を好まれる方もおり、弊社ではどちらも選択肢として提供できるラインナップを構え、有機ELモデル「GS1ライン」とmini LEDモデル「GP1ライン」を “二刀流フラグシップ” と位置付けています。
新製品には2つのポイントがあります。ひとつ目はテレビの基本性能である画質・音質の追求です。お客様がご覧になられてキレイだと喜んでいただける画質、そして、臨場感をより感じていただける音質です。ふたつ目は使いやすさの追求です。AIを活用し、見ているコンテンツに応じて最適な画質・音質に自動で調整する映像モード「AIオート」を搭載しています。
「AIオート」は、外光や照明の明るさ・色などの視聴環境の変化にも適応し、面倒な設定までAIにまるっとおまかせできます。お客様に身近に親しんでいただけるよう、テレビに顔をデザインした「AIオート」のロゴマークもつくりました。
上杉 テレビに詳しい方はコンテンツに応じて映像モードを切り替えていただけますが、ほとんどの方は買った当時のままの設定でご視聴いただいていると思います。「AIオート」は、AIが自動で最適な画質・音質に調整しますので、難しい操作は必要ありません。AIが画質や音質を自動調整する機能は過去モデルから搭載しており、新モデルはさらに進化しています。トップクラスのハイエンド技術をできる限り多くの方に楽しんでいただきたい。通好みの方だけでなく、もっと一般の方に実感いただけるようにしたい。そういう想いが込められています。
―― 市場ではmini LEDテレビの人気が急上昇しています。ここには「GP1/GP2」ラインを投入されました。
上杉 mini LEDテレビの「GP1ライン」は、新開発の「N-Black Wideパネル」とバックライトの相性が良く、広視野角を実現しています。視野角と言えばこれまで有機ELテレビが有利な印象がありましたが、まさに液晶と有機ELの “いいとこどり” とも言えるオールマイティなモデルになります。
mini LEDは単純にバックライトを明るくする、暗くするだけではなく、液晶の開く度合いとの掛け算で決まり、ドット・バイ・ドットに迫る見栄えのコントラストをつくることができます。そこはデバイスではなく、エンジニアの合わせ込みの技術に負うところが大きい分野です。長年にわたり蓄積され、磨き上げられてきたシャープの液晶コントロール技術が物を言う、まさにわれわれにとっては相性がいいテレビと言うことができます。
―― 50V型と43V型の新しいサイズもラインナップに加わりました。
高橋 置く場所の制約から大きなサイズのテレビは置けないというお客様はいらっしゃいますから、今年はフラグシップのmini LEDテレビでもミドルサイズを展開しています。
上杉 43V型の4K画素は、85V型の8K画素と密度感ではほぼ同等となり、ミドルサイズ独自の高精細な映像が楽しめる点も評価いただいています。
―― 発売から3か月余り、新製品の市場での反響はいかがですか。
高橋 モデル・サイズによっては1か月ほどお待ちいただくケースもあり、まさにうれしい悲鳴で、増産に向けて取り組んでいます。お待ちいただいているお客様には、ご迷惑をおかけしており大変申し訳ないと思っています。
6月15日の発売から約2カ月、新製品17モデル、そのなかでも “二刀流フラグシップ” を謳う「GS1ライン」と「GP1/GP2ライン」の7機種の販売台数は、前年モデルの約2倍と大変好調に推移しており、この流れをしっかりとつないで年末商戦も盛り上げて参ります。
―― 微に入り細を穿つ機能も目に留まります。ゲームモードでは4K/144Hz VRR入力に対応されていますね。
上杉 ゲームも快適に楽しむことができます。UIはシンプルにわかりやすくすることをモットーとしていますが、ゲーム時に限っては雰囲気を重視して、サイバーのニュアンスを採り入れるなど世界観を大事にしています。
シャープならではの「2画面」機能を復活したことも見逃せないポイントです。一見簡単なように見えて、実はかなり実装に苦労しました。昔から親しまれている便利な機能ですので、ぜひ復活させたいとの想いで開発しました。
―― スタンドのチルト機能もあるとやはり便利でうれしいですね。
上杉 別売のUSBカメラを接続して、ご家族の写真やショートムービーの撮影ができる「リビングカメラ」も搭載しており、撮影した映像はもちろん大画面で楽しめます。この機能ではさらに、例えばYouTubeのヨガを子画面で見ながら、大画面テレビをミラー代わりにして、鏡に映る自分のフォームやポーズをチェックすることもできます。
―― こうした機能が搭載されていることも、より多くの方に知っていただきたいですね。
高橋 「リビングカメラ」などはまだまだ認知度も低く、認知向上のために販売店の皆様にもご提案して、店頭でUSBカメラをつないで実演していただいています。もう一段認知を広げられるように工夫を凝らしていきたいですね。我々のポリシーは、すべてのお客様のニーズにお応えすること。ご家族で使うことも多いテレビですので、すべてのお客様に「こんな機能が欲しかった」と笑顔で楽しんでいただきたいですね。
―― シャープの技術展示イベント「SHARP TECH-DAY’24 “Innovation Showcase”」が9月17日・18日に開催されました。テレビに関する展示をご紹介いただけますか。
上杉 まずは「AIヘルスケアトレーナー」(参考出展)です。さきほどのリビングカメラを進化させたもので、AIによる姿勢解析の技術を搭載し、人の体勢を解析してお手本の動画と比べ、ポイントがずれていないか指摘してくれます。
生成AIも搭載しており、判定結果や運動に関するアドバイスを自然言語でお伝えします。さらに、いろいろな家電を持つシャープの強みを活かし、お客様に合わせたレシピを提案し、そのメニューを弊社の調理家電にダウンロードすることもできます。
もうひとつは「テレビがしゃべったら面白いよね」という想いが発端となる「AIパートナー」。生成AIをテレビに搭載し、テレビの中のアバターと自然な会話をすることができます。問いかけに応じて言葉を返してくるのはもちろん、テレビならではの提案として、例えば、サッカーのコンテンツを見ていて得点が入った瞬間に、アバターがそれに対するコメントをします。ドラマのような世界がここまで来ています。
高橋 2001年1月1日に発売されたシャープ「AQUOS」は、今年度中に国内累計出荷台数が5,500万台を突破する見込みです。また、来年2025年には25年目を迎えます。これまでもさまざまな挑戦をし続けてきましたが、これからも新しいテレビの価値を追求して参りますので、シャープ「AQUOS」にどうぞご期待ください。
シャープ株式会社
5月14日に駆け巡った「シャープ、テレビ向け大型液晶パネル生産停止」のニュース。「シャープがテレビを止めてしまうのではないか」と多くの消費者が誤解し、不安を掻き立てられた。丁寧な説明でお客様の誤解と不安を取り除いているというシャープ。そんななか、夏商戦で活躍を見せたのが6月に発表された新製品。有機ELとmini LEDの “二刀流フラグシップ” を筆頭に、年末商戦も盛り上げていく勢いを見せる。国内テレビ事業の陣頭指揮を執る高橋秀行事業部長に話を聞く。<インタビュアー 音元出版 代表取締役・風間雄介>
シャープ株式会社
TVシステム事業本部 国内事業部 事業部長
高橋秀行氏
プロフィール/1991年 シャープ入社。AV機器営業、商品企画、経営管理等を経て、2023年4月より現職。
■夏商戦本番を前に巻き起こった「テレビ事業撤退」の誤解
―― 5月17日に有機ELテレビ「GS1ライン」「GQ1/GQ2ライン」、mini LEDテレビ「GP1/GP2ライン」、さらに液晶テレビ「GN1/GN2ライン」と市場創造を牽引していく本年度の新製品4ライン計17機種を発表されました。一方、その3日前の5月14日に開催された決算会見のなかで、堺ディスプレイプロダクト(SDP)における大型液晶パネルの生産停止が発表され、報道でも大きく取り上げられました。各方面にも影響が出ていると伺っており、改めてこの点についてご説明をお願いします。
高橋 5月14日に開催した決算会見の経営方針についての説明のなかで、SDPの大型液晶パネル生産を停止する方針を発表しました。この発表に伴い、多くのお客様が関連したニュースをご覧になり、弊社コールセンターや店頭に「シャープはテレビを止めてしまうのか」「購入したテレビのアフターサービスはしっかりやってくれるのか」といった声を数多くお寄せいただきました。
コールセンターや店頭では、今後も引き続きテレビ事業を継続していくことをご説明するとご理解いただけますが、そうした対応が直接できない方のなかには、まだ不安に思われている方がおられるのではと大変危惧しています。
―― 8月21日に生産が停止され、報道でもまた大きく取り上げられました。
高橋 報道があった週末には再び、「シャープさんテレビ止めてしまうの?」といった声が大きくなりました。お客様お一人お一人に、そのようなことはないと丁寧に説明させていただいています。
先の経営方針のなかでは、大型液晶パネルの生産終了の一方で、商品系のブランド事業に集中した事業構造を確立することを明言しています。私は国内テレビを担当しておりますが、国内テレビもその取り組みのひとつに位置づけられ、「独自特長商品拡大による日本市場の収益力強化」を方針として打ち出しています。
■選べるフルラインナップはシャープ「AQUOS」ならではの強み
―― テレビ市況も夏商戦では久々に回復の兆しが見受けられましたが、取り巻く環境も刻々と変化していくなか、御社の本年度のテレビ事業に対する取り組みについてご説明をお願いします。
高橋 大きな2つの軸があります。ひとつは、お客様それぞれにテレビを見る環境や楽しみ方があり、そうしたニーズにお応えしていくためにフルラインナップでしっかりと提案を行っていくこと。
具体的には、サイズでは小さな19V型からリビングで臨場感たっぷりの大画面が楽しめる85V型まで。デバイスでは液晶テレビ、mini LEDテレビ、そして、有機ELテレビの3つを揃え、フルラインナップでお客様にご提案します。なお、今夏モデルのGシリーズにおいては、SDP生産のパネルは採用していません。
もうひとつの軸が、経営方針にもあった独自特長商品、いわゆる高付加価値商品の強化です。液晶テレビに加え、2020年に有機ELテレビに参入し、2021年に日本メーカーとしては初となるmini LEDテレビ「AQUOS XLED」を市場投入、2023年には有機ELのなかでも量子ドット技術を搭載した最先端の有機ELデバイスを使ったテレビを発売しています。
画質のみならず音質も強化し、その画質・音質をコントロールするエンジンやソフトウェアにも力を注いでおり、2022年からはそこにAIも取り入れています。2024年モデルではAIによる追求を加速して、お客様の使いやすさに配慮した「AIオート」を実現しています。
―― 限られたリソースを高付加価値商品にシフトして展開されるメーカーも見受けられます。
高橋 手前味噌ながら、弊社は1987年に初号機となる3型カラー液晶テレビ「クリスタルトロン 3C-E1」を発売以来、業界最先端を走るさまざまなテレビを作ってきました。2001年1月1日には「AQUOS(アクオス)」のネーミングを冠した第1号機を発売しています。
以降、BD内蔵機、8Kテレビ、OLED、XLED、先ほどご紹介したQD-OLEDを発売と、かれこれ約40年にわたりテレビづくりに携わっています。そこには、先代の方たちが大切に築き上げて来られた技術やノウハウが随所に生かされています。まさにシャープ「AQUOS」だからこそ、このように全方位へ目を向けた“フルラインナップ”を特色として打ち出すことができると自負しています。
■快適視聴。面倒な設定まで「AIオート」にまるっとお任せ
―― 夏商戦に久々に活気が見られたテレビ市場をどのようにご覧になられますか。
高橋 2020年に巣ごもり需要を背景に伸長し、国内全体の年間出荷台数は約570万台となりましたが、21年以降は前年割れの状況が続いていました。2023年下期から下げ止まり、2024年上期には若干ではありますが回復基調に転じてきた感があります。4 - 8月はメーカー出荷ベースで、台数が対前年比103%、金額が同104%まで戻しています。
弊社は高付加価値商品に力を入れることで、4Kテレビの販売価格で比較すると、2024年は2020年比で約3割上昇しており、商品の魅力を評価いただいている結果と考えています。
―― 6月には新製品17機種を一挙に発表されましたが、今年はどのような点に重きをおいて訴求されていますか。
高橋 お客様によって有機ELの画質を好まれる方もいれば、一方でmini LEDの明るい画質を好まれる方もおり、弊社ではどちらも選択肢として提供できるラインナップを構え、有機ELモデル「GS1ライン」とmini LEDモデル「GP1ライン」を “二刀流フラグシップ” と位置付けています。
新製品には2つのポイントがあります。ひとつ目はテレビの基本性能である画質・音質の追求です。お客様がご覧になられてキレイだと喜んでいただける画質、そして、臨場感をより感じていただける音質です。ふたつ目は使いやすさの追求です。AIを活用し、見ているコンテンツに応じて最適な画質・音質に自動で調整する映像モード「AIオート」を搭載しています。
「AIオート」は、外光や照明の明るさ・色などの視聴環境の変化にも適応し、面倒な設定までAIにまるっとおまかせできます。お客様に身近に親しんでいただけるよう、テレビに顔をデザインした「AIオート」のロゴマークもつくりました。
上杉 テレビに詳しい方はコンテンツに応じて映像モードを切り替えていただけますが、ほとんどの方は買った当時のままの設定でご視聴いただいていると思います。「AIオート」は、AIが自動で最適な画質・音質に調整しますので、難しい操作は必要ありません。AIが画質や音質を自動調整する機能は過去モデルから搭載しており、新モデルはさらに進化しています。トップクラスのハイエンド技術をできる限り多くの方に楽しんでいただきたい。通好みの方だけでなく、もっと一般の方に実感いただけるようにしたい。そういう想いが込められています。
■進化したmini LEDテレビに新サイズ。二刀流フラグシップで市場を牽引
―― 市場ではmini LEDテレビの人気が急上昇しています。ここには「GP1/GP2」ラインを投入されました。
上杉 mini LEDテレビの「GP1ライン」は、新開発の「N-Black Wideパネル」とバックライトの相性が良く、広視野角を実現しています。視野角と言えばこれまで有機ELテレビが有利な印象がありましたが、まさに液晶と有機ELの “いいとこどり” とも言えるオールマイティなモデルになります。
mini LEDは単純にバックライトを明るくする、暗くするだけではなく、液晶の開く度合いとの掛け算で決まり、ドット・バイ・ドットに迫る見栄えのコントラストをつくることができます。そこはデバイスではなく、エンジニアの合わせ込みの技術に負うところが大きい分野です。長年にわたり蓄積され、磨き上げられてきたシャープの液晶コントロール技術が物を言う、まさにわれわれにとっては相性がいいテレビと言うことができます。
―― 50V型と43V型の新しいサイズもラインナップに加わりました。
高橋 置く場所の制約から大きなサイズのテレビは置けないというお客様はいらっしゃいますから、今年はフラグシップのmini LEDテレビでもミドルサイズを展開しています。
上杉 43V型の4K画素は、85V型の8K画素と密度感ではほぼ同等となり、ミドルサイズ独自の高精細な映像が楽しめる点も評価いただいています。
―― 発売から3か月余り、新製品の市場での反響はいかがですか。
高橋 モデル・サイズによっては1か月ほどお待ちいただくケースもあり、まさにうれしい悲鳴で、増産に向けて取り組んでいます。お待ちいただいているお客様には、ご迷惑をおかけしており大変申し訳ないと思っています。
6月15日の発売から約2カ月、新製品17モデル、そのなかでも “二刀流フラグシップ” を謳う「GS1ライン」と「GP1/GP2ライン」の7機種の販売台数は、前年モデルの約2倍と大変好調に推移しており、この流れをしっかりとつないで年末商戦も盛り上げて参ります。
■「リビングカメラ」「2画面」などうれしくなる機能が満載
―― 微に入り細を穿つ機能も目に留まります。ゲームモードでは4K/144Hz VRR入力に対応されていますね。
上杉 ゲームも快適に楽しむことができます。UIはシンプルにわかりやすくすることをモットーとしていますが、ゲーム時に限っては雰囲気を重視して、サイバーのニュアンスを採り入れるなど世界観を大事にしています。
シャープならではの「2画面」機能を復活したことも見逃せないポイントです。一見簡単なように見えて、実はかなり実装に苦労しました。昔から親しまれている便利な機能ですので、ぜひ復活させたいとの想いで開発しました。
―― スタンドのチルト機能もあるとやはり便利でうれしいですね。
上杉 別売のUSBカメラを接続して、ご家族の写真やショートムービーの撮影ができる「リビングカメラ」も搭載しており、撮影した映像はもちろん大画面で楽しめます。この機能ではさらに、例えばYouTubeのヨガを子画面で見ながら、大画面テレビをミラー代わりにして、鏡に映る自分のフォームやポーズをチェックすることもできます。
―― こうした機能が搭載されていることも、より多くの方に知っていただきたいですね。
高橋 「リビングカメラ」などはまだまだ認知度も低く、認知向上のために販売店の皆様にもご提案して、店頭でUSBカメラをつないで実演していただいています。もう一段認知を広げられるように工夫を凝らしていきたいですね。我々のポリシーは、すべてのお客様のニーズにお応えすること。ご家族で使うことも多いテレビですので、すべてのお客様に「こんな機能が欲しかった」と笑顔で楽しんでいただきたいですね。
―― シャープの技術展示イベント「SHARP TECH-DAY’24 “Innovation Showcase”」が9月17日・18日に開催されました。テレビに関する展示をご紹介いただけますか。
上杉 まずは「AIヘルスケアトレーナー」(参考出展)です。さきほどのリビングカメラを進化させたもので、AIによる姿勢解析の技術を搭載し、人の体勢を解析してお手本の動画と比べ、ポイントがずれていないか指摘してくれます。
生成AIも搭載しており、判定結果や運動に関するアドバイスを自然言語でお伝えします。さらに、いろいろな家電を持つシャープの強みを活かし、お客様に合わせたレシピを提案し、そのメニューを弊社の調理家電にダウンロードすることもできます。
もうひとつは「テレビがしゃべったら面白いよね」という想いが発端となる「AIパートナー」。生成AIをテレビに搭載し、テレビの中のアバターと自然な会話をすることができます。問いかけに応じて言葉を返してくるのはもちろん、テレビならではの提案として、例えば、サッカーのコンテンツを見ていて得点が入った瞬間に、アバターがそれに対するコメントをします。ドラマのような世界がここまで来ています。
高橋 2001年1月1日に発売されたシャープ「AQUOS」は、今年度中に国内累計出荷台数が5,500万台を突破する見込みです。また、来年2025年には25年目を迎えます。これまでもさまざまな挑戦をし続けてきましたが、これからも新しいテレビの価値を追求して参りますので、シャープ「AQUOS」にどうぞご期待ください。
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