• ブランド
    特設サイト
公開日 2006/06/02 18:49

対決! B&W「CM1」と「805S」を山之内 正が聴き比べる<後編>

  • Twitter
  • FaceBook
  • LINE
B&W同士の小型スピーカー対決、今回は後半の試聴結果をお伝えしよう。前回は普及クラスのコンポーネントで聴き比べたが、ここではまずマランツのミドルクラスのプレーヤーとアンプを用意し、両者を同じ条件で鳴らす。

→B&W「805S」の関連ニュース
→B&W「CM1」の視聴レポート / 関連ニュース


「CM1」¥121,800(税込/ペア)

「805S」¥173,250(税込/1本)

【SA-15S1+PM-15S1との組み合わせ】


試聴中の山之内氏
SA-15S1PM-15S1との組み合わせから聴いていこう。まずCM1でウィンドオーケストラを聴く。楽器の音が出る瞬間のスピード感に続いて、響きが柔らかい感触で伸びていく。低音もゴリゴリとした肌触りではなく、適度な量感と柔らかさが感じられた。そうした響きの質感は、アンプのクオリティが上がるといっそう素直に出てくる印象がある。

805Sは、一つひとつの楽器を鳴らし分ける分解能の高さはCM1と通じるところがあるが、それに加えて響きの空間的な関係がいっそう緻密に見えてくる。転調した瞬間の響きの変化や、フレーズが変わるときの緊張感の一瞬の緩みなども、805Sの方が生々しく伝えてきた。倍音までハーモニーが正確で、楽器が増えても不自然な混濁が起こらないことは、両方のスピーカーに共通する長所である。

オーケストラは低音楽器まで音程が正確に把握できることに驚かされたが、CM1のディテールを曖昧にしない良さが功を奏しているようだ。楽譜を見ながら聴いたわけではないが、スコアに書いてある和音の構成や楽想の指示がそのまま読み取れるような、忠実度の高いバランスが見事である。弦楽器のしなやかな歌い方は見事に共通し、CM1と805Sが同時期に開発されたことを思い出させる。

ジャズは前回と少し違う鳴り方で、ピアノはタッチがやや鋭いものの、かえってライブ感、リアリティが増してきた。アンプの音調と相性がいいのか、勢いの乗った鳴り方をしてくれるのだ。低音にふやけたところがなく、声にもエコーや付帯音がほとんどつかない。爽快な動きと勢いがアクティブな印象を生む。805Sはそこにしっとりとした柔らかさが加わった。


【SA-11S1+SC-7S1+MA-9S1との組み合わせ】


様々なプレーヤーやアンプを組み合わせた
最後の試聴はセパレートアンプを組み合わせ、SA-11S1SC-7S1MA-9S1のシステムで聴いた。CM1、805Sともに同じソースをかけているのだが、奥行きが明らかに深まって、スケール感が1ランク向上する。特に805Sでマーラーの交響曲を聴くと、低弦の立ち上がりと動きが、サイズの制約を忘れさせる。CM1の低域はやや小ぶりになるが、楽器のフォーカスがよいので、存在感は十分だ。

フルオーケストラではこれまで以上に両スピーカーの雰囲気の違いが浮かび上がってきたことが面白い。805Sでは同じ音域の音でも低音がぐっと沈み込んで深さが出てくるが、切れ込みの鋭さはCM1の方が強く、金管楽器の立ち上がりや、速いパッセージの弦楽器の動きにもスピード感が実感できた。

ソプラノは声のなめらかさでは805Sがよい。805Sの方がややふくみ声になるが、これはこの歌手の声の特徴で、それを素直に引き出してきたのである。

【対決を終えて】

コンポーネントのグレードを変えて聴き比べたことには大きな意味があった。組み合わせるアンプやプレーヤーの質感やスケール感の違いを引き出す能力という点では、805Sの方が懐が深い。だが、程度の差はあるものの、CM1でもアンプの違いは明らかに聴き取ることができるし、メリットも十分に感じられた。本文で触れたように、音楽ソースによってはCM1の明るい音調がマッチするものも少なくない。CM1がここまで健闘するとは予想していなかった。意外な発見である。

(山之内 正)

山之内 正 プロフィール
神奈川県横浜市出身。東京都立大学理学部卒。在学時は原子物理学を専攻する。出版社勤務を経て、音楽の勉強のためドイツで1年間過ごす。帰国後より、デジタルAVやホームシアター分野の専門誌を中心に執筆。また年に数回、オペラ鑑賞のためドイツ、オーストリアへ渡航。音楽之友社刊の『グランドオペラ』にも執筆するなど、趣味の枠を越えてクラシック音楽の知識も深く、その視点はオーディオ機器の評論にも反映されている。


【CM1 SPEC】
●形式:2ウェイ2スピーカーバスレフ型 ●使用ユニット:25mmメタルドーム・トゥイーター×1、130mmケブラーコーン・ミッド/ウーファー×1 ●再生周波数帯域: 45Hz〜50kHz(-6dB) ●出力音圧レベル:84dB(2.83V/1m) ●公称インピーダンス:8Ω(最低5.1Ω) ●クロスオーバー周波数:4kHz ●外形寸法:165W×280H×276Dmm(グリル&ターミナルを含む) ●質量:6.7kg

【805S SPEC】
●形式:2ウェイ2スピーカー、バスレフ型 ●使用ユニット:1×165mmバランスドライブ方式ウォーブン・ケブラーコーン、ミッド/ウーファー・ 25mmチューブローディング・アルミニウムドーム・トゥイーター ●再生周波数帯域:42Hz〜50kHz(-6dB) ●出力音圧レベル:88dB (2.83V/1m) ●公称インピーダンス:8Ω(最低3.7Ω) ●クロスオーバー周波数:4kHz ●外形寸法:238W×418H×351Dmm  ●質量:11.5kg

この記事をシェアする

  • Twitter
  • FaceBook
  • LINE

トピック

クローズアップCLOSEUP
アクセスランキング RANKING
1 【ミニレビュー】空き電源コンセントに挿入するだけ。オーディオみじんこ「SILVER HARMONIZER AC-ADVANCE」
2 連載:世界のオーディオブランドを知る(3)日本発ブランドの象徴「デノン」の歴史を紐解く
3 ボーズ、ながら聴きTWS「Bose Ultra Open Earbuds」にさらに新色。計7色のカラバリを用意
4 FX-AUDIO-、ヘッドホンアンプ/プリアンプとしても使えるコンパクトDAC「DAC-T3J」。税込7480円
5 【完全ワイヤレスイヤホン特集 PART.1】10000円未満のオススメは?
6 日本発、高コスパイヤホン新本命。final「ZE3000SV」は機能充実、そして何より音が良い!
7 BenQ、ノングレアIPSパネル搭載のプログラミング向け31.5型4Kモニター「RD320U」
8 e☆イヤホン、2025年「福耳袋」を12/20から順次販売開始。スタッフセレクト袋や100万円の「超福耳袋」も
9 装着性が向上してさらに進化! “ハイルドライバー” AMT搭載のオープン型ヘッドホン「HEDDphone TWO」を聴く
10 【インタビュー】エソテリックとティアック、進化し続ける2ブランド。世界にアピールする技術力でオーディオを推進
12/18 9:21 更新
MAGAZINE
音元出版の雑誌
オーディオアクセサリー193号
季刊・オーディオアクセサリー
最新号
Vol.195
オーディオアクセサリー大全2025~2026
別冊・ケーブル大全
別冊・オーディオアクセサリー大全
最新号
2025~2026
プレミアムヘッドホンガイドマガジン vol.22 2024冬
別冊・プレミアムヘッドホンガイドマガジン
最新号
Vol.22
プレミアムヘッドホンガイド Vol.32 2024 AUTUMN
プレミアムヘッドホンガイド
(フリーマガジン)
最新号
Vol.32(電子版)
VGP受賞製品お買い物ガイド 2024年冬版
VGP受賞製品お買い物ガイド
(フリーマガジン)
最新号
2024年夏版(電子版)
DGPイメージングアワード2024受賞製品お買い物ガイド(2024年冬版)
DGPイメージングアワード受賞製品お買い物ガイド
(フリーマガジン)
最新号
2024年冬版(電子版)
音元出版の雑誌 電子版 読み放題サービス
「マガジンプレミアム」お試し無料!

雑誌販売に関するお問合せ

WEB
  • PHILE WEB
  • PHILE WEB AUDIO
  • PHILE WEB BUSINESS
  • ホームシアターCHANNEL
  • デジカメCHANNEL
AWARD
  • VGP
  • DGPイメージングアワード
  • DGPモバイルアワード
  • AEX
  • AA AWARD
  • ANALOG GPX