公開日 2008/03/05 10:31
僕の可愛い真空管iPodオーディオ〜Roth Audio「Music Cocoon MC4」を聴く
真空管の味わいとともにiPodサウンドが楽しめる「MC4」の魅力
英国の新鋭オーディオブランドであるRoth Audio(ロス・オーディオ)社から、出力デバイスに“真空管”を用いたiPod対応のプリメインアンプ「Music Cocoon MC4」が誕生した。真空管サウンドの魅力を最大限に活かしつつ、「品質」と「スタイル」にこだわり抜いて、音楽の持つ魅力を最大限に引き出すという、そのアンプの実力をオーディオライターの岩井喬氏がレポートする。
「真空管」と「iPod」新旧のテクノロジーが融合
まったく新しい分野のプリメインアンプが生まれた
レポート/岩井喬
【Roth Audio社のヒストリー】
民生とプロ、両方のノウハウが集まるRoth Audio社の開発環境
2007年創業という、まだ産声を上げたばかりのメーカーであるRoth Audio。創業者であるJames Roth氏は、民生/プロ用オーディオ機器製作とそのマネージメントに携わってきた経歴を持っている。またバンドミュージシャンとしての腕も趣味のレベルを超えるほどであるというが、そういった点からも音楽を演奏する側、再生する側、両方の視点を持って製品開発に当たっているという特色を持つ。音楽性を大事にしたオーディオとはどういったものであるのか、それを理解した製品作りが同社最大の利点となっているのだ。
なお同社の親会社である英・TL Audio社は、真空管を用いた業務用エフェクター機器の製造開発を行っており、このTL Audio社のエンジニアたちが持つノウハウや研究設備をそのまま反映できるという強みがRoth Audioにはある。彼らが着目している“真空管”というデバイスはクリーンなトーンからわざと歪ませたディストーションサウンドまで、非常に幅広く再現できるものであり、そのことがよりニュアンスに富んだアナログに近いイメージのサウンド作りを実現できることから、デジタルオーディオの世界であっても製品開発の軸となっているのだ。
今回ご紹介するRoth Audio「Music Cocoon MC4(以下、MC4)」はこのような経緯の中で開発された「音楽性の追及」と「アナログデバイスの幅広い表現力」という要素を内包した製品である。そして“真空管”と“iPod”という新旧のテクノロジーが融合した、これまでのドックシステムとは全く違う、新しい分野のプリメインアンプとなっている。
【MC4のプロフィール】
2本/chの真空管を装備した“豪勢な”回路構成を採用
「MC4」最大の特徴はiPod用ドックを備えた非常にコンパクトな真空管アンプとなっている点である。使われている真空管はメジャーなMT管である、12AX7と12AU7が2本ずつ、左右合計で4本搭載されている。出力段にはMOS-FETを用い、効率的な音声増幅を実現している。管球による出力段ではないものの、最適なインピーダンスは8Ωとされているので、接続するスピーカーのインピーダンスのチェックは忘れないようにしたい。
真空管を保護する目的も合わせて構成される、透明なアクリルボードは、アルミ製トッププレートに合わせたラウンドフォルム形状で、上部に真空管冷却用の通気穴が設けられ、ネジ留めされている。電源投入時には真空管下部に設けられたLEDによってライトアップされ、暖色系のほのかな灯りが癒しの効果を倍増させる。また、設置に当たっては箱から取り出して電源部を接続するだけで、特に設定などは必要ないイージーオペレートが魅力の一つになっている。
さらに外部入力も通常のステレオピン入力によるAUX入力と、ステレオミニプラグ入力によるMP3用入力も用意されており、iPodだけではなく通常のCDプレーヤーなどにも対応できるのだ。加えてiPodの操作もメニュー項目まで快適に動作する、しっかりした重量のあるリモコンも付属し、非常に利便性が高い。ドックシステム同様にiPodの充電機能やSビデオ出力(第5世代iPodまでのビデオ再生機能用)も装備しているので、様々な生活スタイルに同化できるシステムだ。
このように魅力的な点がたくさんある「MC4」であるが、その中でも特に筆者が注目したのは音質面、プリアンプ段に採用された真空管についてである。現在管球式ミニアンプの分野において、プリ部となる前段に2本もの電圧増幅段を持たせた製品はほぼ皆無である。また、管球とのハイブリッド構成となるアンプの場合は、本機にも搭載されている12AX7がchあたり1本装備されているものがほとんどだ。こうした状況の中、本機はchあたり2本の真空管を装備した“豪勢な”回路構成となっているのだが、この仕様がサウンドにどのような影響を及ぼすのか。まず非常に中域成分が充実し、倍音豊かなサウンドを得ることができる。さらに2段増幅のため、音の厚みが増すのと同時にドライブ力も向上し、音圧感も十分で、より重心の下がった傾向になるのだ。
こういった発想は楽器用エフェクターも開発しているメーカーならではのポイントで、通常のミニアンプであればここまで凝った作りにはしないであろう。まさに“音楽”に寄り添った考え方が反映されたシステムといえるのではないだろうか。
【MC4のサウンドを聴く】
Part1:ECLIPSE「TD508II」で聴く
〜MC4の中域成分の厚みを上手に引き出す組み合わせ デザインマッチングも良好
「MC4」はれっきとした民生モデルではあるが、開発の経緯を考えるとプロの血筋を持つモデルともいえる。そういった意味で、この「TD508II」は民生モデルでありながら、究極の点音源再生を実現した、モニタースピーカーとしての性能の高さも併せ持つ実力機。本機との相性も良いのではないだろうか。
「ボズ・スキャッグス」ではドラムの質感も豊かで、クリアに引き立つボーカルが点音源の良さを感じさせる。8cmフルレンジ1発の構成なので、高〜低域の音の繋がりも自然で、全帯域バランスよくエネルギーが分散している印象。また「MC4」の中域成分の厚みがうまく活かされ、ボーカルやギターの帯域が鮮度良く浮き上がり、粒立ちも豊かだ。特に「デイヴ・メニケッティ」のレスポールサウンドにおいては“厚み”の再現性が非常に魅力的で、ピッキングの細やかさも失われていない。「ファイト」のオーケストラサウンドも音場豊か。「Suara」の情感溢れる生々しいボーカルは聞き入ってしまった。チェロの有機的な響きも質感、存在感が伴い、非常にリアリティがある。
「MC4」も「TD508II」もコンパクトで置き場所も選ばない。デザインも流線を基調としており、マッチングも良好だ。「TD508II」は大きさのわりにとてもエネルギー量が豊富なスピーカーで、デスクトップに置いて使用する場合でも数10cm〜1mほど距離を置いてリスニングした方がなお良いと思われる。最適な距離感でのヒアリングでは良好なバランスのサウンドを得られるであろう。
Part2:KEF「iQ3」で聴く
〜肉厚なボーカル帯域の魅力 音楽の根本にある表現を熟知したサウンド
KEF「iQ3」は温かみのあるウッドキャビネットと、独特なメタルコーンユニットとの対比が特徴となっている、小型同軸2ウェイスピーカーだ。「ファイト」では重厚なオーケストラのハーモニーに圧倒される。特に木管系の楽器に関しては響きがふくよかで、ウォームな音場である。「ジャシンサ」でも低域は厚めで、ウッドベースのサウンドもリリース音をより際立たせる方向性の鳴り方。落ち着きがあり非常に聴きやすい。「Suara」ではピアノがローエンドまで誇張なく伸びている様を実感でき、サウンド全体の安定度も高い。
「MC4」ならではの傾向が現れるのは、やはりボーカルやエレキギターのサウンドだろう。「小田和正」や「宇多田ヒカル」、「槇原敬之」のJ-POP系サウンドにおいて、サウンドの中心としてバランスが組まれるボーカル帯域の鳴り方がとても肉厚で、女性の声でもか細さを感じさせない。滑らかでウォームな音質は真空管の特色が色濃く現れているといえよう。そして「デイヴ・メニケッティ」や「イーグルス」で実感できる鮮やかなギターサウンドは、倍音成分も良く伸びて、耳なじみの良い方向にまとまる。違う音色のギターの音が重なった時の音場のハーモニーの煌びやかさ、豊潤さは量感も伴って非常にリッチである。音数が多いソースだと厚い中低域成分によって多少混濁した印象も受けるが、全く嫌味のない明るい傾向にまとめてくれるところは評価できる。音楽の根本にある表現を邪魔をしない味付けを心得ているようだ。
【試聴を終えて】
iPodサウンドを真空管ならではの力強く表情豊かな味わいとともに楽しめる
「MC4」は小型であってもプリメインアンプとして非常に高い能力を持っていることを実感できた。そのサウンドもむやみな大きさを感じさせない、力強さと真空管ならではの表情豊かな深みのある音質を提供してくれる。特に余裕ある中域成分の再現性は魅力的で、シングル・ウェイの小型スピーカーとの相性は見事。リッチに肉付けをしてくれる真空管サウンドのメリットはもう一つあり、MP3などの圧縮音源に対して、やせ細って乾いたサウンドも効果的にウェットな傾向へと甦らせてくれる。そのため圧縮をかけていないソース共々、ふくよかで安定度のある音が楽しめるものとなっている。iPodとの相性も抜群に良いサウンドシステムといえるだろう。
【MC4 取扱店一覧】
■Timelord Direct:http://timelord.shop-pro.jp/
■amazon.japan:http://www.amazon.co.jp/
■トムテック:http://www.tomtech.jp/
■河口無線:http://www.kawaguchimusen.co.jp/
【MC4 スペック】
■出力部:スピーカー出力(L/R)、S映像出力 ■入力部:RCA入力(L/R)、MP3入力、iPodドック ■出力パワー:13W×2 ■周波数特性:20Hz〜30kHz ■T.H.D.:<0.5% ■SN比:>90dB ■入力インピーダンス:100kΩ ■出力インピーダンス:8Ω ■電源電圧:100VAC 50〜60Hz ■消費電力:50V/A ■真空管タイプ:12AX7×2、12AU7×2、MOSFET ■外形寸法:174W×108H×187Dmm ■質量:1.8kg(本体) ■付属品:電源アダプター、電源コード、スピーカーケーブル(1ペア)、3.5mm ステレオケーブル、リモートコントローラー、iPodドック・スペア(2個)、手袋(1ペア)
【問い合わせ先】
株式会社タイムロード
TEL/03-5758-6070
http://www.timelord.co.jp/Roth/MC4.html
英国の新鋭オーディオブランドであるRoth Audio(ロス・オーディオ)社から、出力デバイスに“真空管”を用いたiPod対応のプリメインアンプ「Music Cocoon MC4」が誕生した。真空管サウンドの魅力を最大限に活かしつつ、「品質」と「スタイル」にこだわり抜いて、音楽の持つ魅力を最大限に引き出すという、そのアンプの実力をオーディオライターの岩井喬氏がレポートする。
Roth Audio
iPod対応真空管プリメインアンプ「Music Cocoon MC4」
¥OPEN(予想実売価格100,000円前後)
「真空管」と「iPod」新旧のテクノロジーが融合
まったく新しい分野のプリメインアンプが生まれた
レポート/岩井喬
【Roth Audio社のヒストリー】
民生とプロ、両方のノウハウが集まるRoth Audio社の開発環境
2007年創業という、まだ産声を上げたばかりのメーカーであるRoth Audio。創業者であるJames Roth氏は、民生/プロ用オーディオ機器製作とそのマネージメントに携わってきた経歴を持っている。またバンドミュージシャンとしての腕も趣味のレベルを超えるほどであるというが、そういった点からも音楽を演奏する側、再生する側、両方の視点を持って製品開発に当たっているという特色を持つ。音楽性を大事にしたオーディオとはどういったものであるのか、それを理解した製品作りが同社最大の利点となっているのだ。
なお同社の親会社である英・TL Audio社は、真空管を用いた業務用エフェクター機器の製造開発を行っており、このTL Audio社のエンジニアたちが持つノウハウや研究設備をそのまま反映できるという強みがRoth Audioにはある。彼らが着目している“真空管”というデバイスはクリーンなトーンからわざと歪ませたディストーションサウンドまで、非常に幅広く再現できるものであり、そのことがよりニュアンスに富んだアナログに近いイメージのサウンド作りを実現できることから、デジタルオーディオの世界であっても製品開発の軸となっているのだ。
今回ご紹介するRoth Audio「Music Cocoon MC4(以下、MC4)」はこのような経緯の中で開発された「音楽性の追及」と「アナログデバイスの幅広い表現力」という要素を内包した製品である。そして“真空管”と“iPod”という新旧のテクノロジーが融合した、これまでのドックシステムとは全く違う、新しい分野のプリメインアンプとなっている。
【MC4のプロフィール】
2本/chの真空管を装備した“豪勢な”回路構成を採用
「MC4」最大の特徴はiPod用ドックを備えた非常にコンパクトな真空管アンプとなっている点である。使われている真空管はメジャーなMT管である、12AX7と12AU7が2本ずつ、左右合計で4本搭載されている。出力段にはMOS-FETを用い、効率的な音声増幅を実現している。管球による出力段ではないものの、最適なインピーダンスは8Ωとされているので、接続するスピーカーのインピーダンスのチェックは忘れないようにしたい。
真空管を保護する目的も合わせて構成される、透明なアクリルボードは、アルミ製トッププレートに合わせたラウンドフォルム形状で、上部に真空管冷却用の通気穴が設けられ、ネジ留めされている。電源投入時には真空管下部に設けられたLEDによってライトアップされ、暖色系のほのかな灯りが癒しの効果を倍増させる。また、設置に当たっては箱から取り出して電源部を接続するだけで、特に設定などは必要ないイージーオペレートが魅力の一つになっている。
さらに外部入力も通常のステレオピン入力によるAUX入力と、ステレオミニプラグ入力によるMP3用入力も用意されており、iPodだけではなく通常のCDプレーヤーなどにも対応できるのだ。加えてiPodの操作もメニュー項目まで快適に動作する、しっかりした重量のあるリモコンも付属し、非常に利便性が高い。ドックシステム同様にiPodの充電機能やSビデオ出力(第5世代iPodまでのビデオ再生機能用)も装備しているので、様々な生活スタイルに同化できるシステムだ。
このように魅力的な点がたくさんある「MC4」であるが、その中でも特に筆者が注目したのは音質面、プリアンプ段に採用された真空管についてである。現在管球式ミニアンプの分野において、プリ部となる前段に2本もの電圧増幅段を持たせた製品はほぼ皆無である。また、管球とのハイブリッド構成となるアンプの場合は、本機にも搭載されている12AX7がchあたり1本装備されているものがほとんどだ。こうした状況の中、本機はchあたり2本の真空管を装備した“豪勢な”回路構成となっているのだが、この仕様がサウンドにどのような影響を及ぼすのか。まず非常に中域成分が充実し、倍音豊かなサウンドを得ることができる。さらに2段増幅のため、音の厚みが増すのと同時にドライブ力も向上し、音圧感も十分で、より重心の下がった傾向になるのだ。
こういった発想は楽器用エフェクターも開発しているメーカーならではのポイントで、通常のミニアンプであればここまで凝った作りにはしないであろう。まさに“音楽”に寄り添った考え方が反映されたシステムといえるのではないだろうか。
【MC4のサウンドを聴く】
Part1:ECLIPSE「TD508II」で聴く
〜MC4の中域成分の厚みを上手に引き出す組み合わせ デザインマッチングも良好
「MC4」はれっきとした民生モデルではあるが、開発の経緯を考えるとプロの血筋を持つモデルともいえる。そういった意味で、この「TD508II」は民生モデルでありながら、究極の点音源再生を実現した、モニタースピーカーとしての性能の高さも併せ持つ実力機。本機との相性も良いのではないだろうか。
「ボズ・スキャッグス」ではドラムの質感も豊かで、クリアに引き立つボーカルが点音源の良さを感じさせる。8cmフルレンジ1発の構成なので、高〜低域の音の繋がりも自然で、全帯域バランスよくエネルギーが分散している印象。また「MC4」の中域成分の厚みがうまく活かされ、ボーカルやギターの帯域が鮮度良く浮き上がり、粒立ちも豊かだ。特に「デイヴ・メニケッティ」のレスポールサウンドにおいては“厚み”の再現性が非常に魅力的で、ピッキングの細やかさも失われていない。「ファイト」のオーケストラサウンドも音場豊か。「Suara」の情感溢れる生々しいボーカルは聞き入ってしまった。チェロの有機的な響きも質感、存在感が伴い、非常にリアリティがある。
「MC4」も「TD508II」もコンパクトで置き場所も選ばない。デザインも流線を基調としており、マッチングも良好だ。「TD508II」は大きさのわりにとてもエネルギー量が豊富なスピーカーで、デスクトップに置いて使用する場合でも数10cm〜1mほど距離を置いてリスニングした方がなお良いと思われる。最適な距離感でのヒアリングでは良好なバランスのサウンドを得られるであろう。
Part2:KEF「iQ3」で聴く
〜肉厚なボーカル帯域の魅力 音楽の根本にある表現を熟知したサウンド
KEF「iQ3」は温かみのあるウッドキャビネットと、独特なメタルコーンユニットとの対比が特徴となっている、小型同軸2ウェイスピーカーだ。「ファイト」では重厚なオーケストラのハーモニーに圧倒される。特に木管系の楽器に関しては響きがふくよかで、ウォームな音場である。「ジャシンサ」でも低域は厚めで、ウッドベースのサウンドもリリース音をより際立たせる方向性の鳴り方。落ち着きがあり非常に聴きやすい。「Suara」ではピアノがローエンドまで誇張なく伸びている様を実感でき、サウンド全体の安定度も高い。
「MC4」ならではの傾向が現れるのは、やはりボーカルやエレキギターのサウンドだろう。「小田和正」や「宇多田ヒカル」、「槇原敬之」のJ-POP系サウンドにおいて、サウンドの中心としてバランスが組まれるボーカル帯域の鳴り方がとても肉厚で、女性の声でもか細さを感じさせない。滑らかでウォームな音質は真空管の特色が色濃く現れているといえよう。そして「デイヴ・メニケッティ」や「イーグルス」で実感できる鮮やかなギターサウンドは、倍音成分も良く伸びて、耳なじみの良い方向にまとまる。違う音色のギターの音が重なった時の音場のハーモニーの煌びやかさ、豊潤さは量感も伴って非常にリッチである。音数が多いソースだと厚い中低域成分によって多少混濁した印象も受けるが、全く嫌味のない明るい傾向にまとめてくれるところは評価できる。音楽の根本にある表現を邪魔をしない味付けを心得ているようだ。
<岩井喬氏の試聴ソース一覧(アーティスト名/アルバム名/曲名)> ・ボズ・スキャッグス「What's Number One」/『Other Loads』 ・Suara「POWDER SNOW」/『Pure〜AQUAPLUS LEGEND OF ACOUSTICS〜』 ・デイヴ・メニケッティ「Messin'With Mr.Big」「I Remember」/『MENIKETTI』 ・「ファイト メインテーマ」/『ファイト』オリジナルサウンドトラック ・ジャシンサ「And The Angels Sing」/『Autumn Leaves』 ・EAGLES「How Long」/『LONG ROAD OUT OF EDEN』 ・槇原敬之「GREEN DAYS」/『悲しみなんて何の役にも立たないと思っていた。』 ・小田和正「たしかなこと」/『そうかな〜相対性の彼方』 ・宇多田ヒカル「Beautiful World」/『Beautiful World』 ※iPod nano(第3世代)にはWAVファイルで収録 |
【試聴を終えて】
iPodサウンドを真空管ならではの力強く表情豊かな味わいとともに楽しめる
「MC4」は小型であってもプリメインアンプとして非常に高い能力を持っていることを実感できた。そのサウンドもむやみな大きさを感じさせない、力強さと真空管ならではの表情豊かな深みのある音質を提供してくれる。特に余裕ある中域成分の再現性は魅力的で、シングル・ウェイの小型スピーカーとの相性は見事。リッチに肉付けをしてくれる真空管サウンドのメリットはもう一つあり、MP3などの圧縮音源に対して、やせ細って乾いたサウンドも効果的にウェットな傾向へと甦らせてくれる。そのため圧縮をかけていないソース共々、ふくよかで安定度のある音が楽しめるものとなっている。iPodとの相性も抜群に良いサウンドシステムといえるだろう。
| 【筆者プロフィール】 岩井喬 Takashi Iwai 1977年・長野県北佐久郡出身。東放学園音響専門学校卒業後、レコーディングスタジオ(アークギャレットスタジオ、サンライズスタジオ)で勤務。その後大手ゲームメーカーでの勤務を経て音響雑誌での執筆を開始。現在でも自主的な録音作業(主にトランスミュージックのマスタリング)に携わる。プロ・民生オーディオ、録音・SR、ゲーム・アニメ製作現場の取材も多数。小学生の頃から始めた電子工作からオーディオへの興味を抱き、管球アンプの自作も始める。 JOURNEY、TOTO、ASIA、Chicago、ビリー・ジョエルといった80年代ロック・ポップスをこよなく愛している。 |
【MC4 取扱店一覧】
■Timelord Direct:http://timelord.shop-pro.jp/
■amazon.japan:http://www.amazon.co.jp/
■トムテック:http://www.tomtech.jp/
■河口無線:http://www.kawaguchimusen.co.jp/
【MC4 スペック】
■出力部:スピーカー出力(L/R)、S映像出力 ■入力部:RCA入力(L/R)、MP3入力、iPodドック ■出力パワー:13W×2 ■周波数特性:20Hz〜30kHz ■T.H.D.:<0.5% ■SN比:>90dB ■入力インピーダンス:100kΩ ■出力インピーダンス:8Ω ■電源電圧:100VAC 50〜60Hz ■消費電力:50V/A ■真空管タイプ:12AX7×2、12AU7×2、MOSFET ■外形寸法:174W×108H×187Dmm ■質量:1.8kg(本体) ■付属品:電源アダプター、電源コード、スピーカーケーブル(1ペア)、3.5mm ステレオケーブル、リモートコントローラー、iPodドック・スペア(2個)、手袋(1ペア)
【問い合わせ先】
株式会社タイムロード
TEL/03-5758-6070
http://www.timelord.co.jp/Roth/MC4.html