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公開日 2014/02/06 10:13

MIDEMレポート(3) −世界各国の有識者が「ハイレゾの今後」を語るパネルディスカッション

日本からは山之内正氏が登壇
山之内正
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2月4日、南仏カンヌで開催されたMIDEMが盛況のうちに幕を閉じた。音楽産業のなかでの緊密な情報交換という本来の目的に加え、音楽とデジタルオーディオやネットワークの関わりなど、いまの時代を象徴する話題にもスポットが当たり、音楽産業の未来にも意識を及ばせる充実した内容が目を引いた。


ソニーブースは大盛況だった
MIDEMのブース展示以外にも重要なイベントが数多く開催された。会場内のホールや周辺の特設会場ではクラシック、ジャズ、ワールドミュージックなどジャンルを問わず連日ライヴやコンサートが行われ、アーティストたちが存在感を示していた。さらに、様々なテーマでのセミナーやパネルディスカッションも多数企画され、熱心な来場者を集めている。

最新技術と音楽の関わりがテーマの「Innovation Factory」セッションの一環として、3日午後にはハイレゾオーディオをテーマにしたパネルディスカッションが行われた。英国Music Allyのスチュアート・ドレッジ氏の司会のもと、ハイレゾ配信サイトを代表して米HD Tracksのデイヴィッド・チェスキー氏と仏Quobuzのイヴ・リーゼル氏、メーカー代表としてはソニー・ヨーロッパのエリック・キングドン氏が英国から参加、日本のハイレゾ配信の紹介は筆者が担当し、ハイレゾミュージックの可能性や課題を論じた。


セッションの参加メンバー。左から司会のドレッジ氏、キングドン氏、筆者、リーゼル氏、チェスキー氏。
Chesky氏は音楽の再創造(Re-Invent)という表現でハイレゾ音源の長所を力説、欧州市場への本格参入を視野に入れてハイレゾ配信へのパッションを熱く語った。Riesel氏が主宰するQuobozは欧州最大級のオンラインミュージックストアで、24bitのスタジオマスター音源だけで約6,000タイトルを擁している。ストリーミングを含め、高音質を前面に打ち出すQuobozのアプローチはハイレゾミュージックストアのモデルケースになる可能性がある。


「ハイレゾオーディオ」パネルディスカッションの様子
MIDEMと同時期に日本では複数のハイレゾ配信サイトがスタートし、昨秋ハイレゾ配信に本格参入したmoraや歴史のあるe-onkyo musicと合わせ、海外からも注目が高まっている。特にアニメ関連の音源が充実し始めたことに関心を示す来場者が多く、日本市場への参入を期待するマイナーレーベルも少なからず存在する。日本の配信サイトの多くは海外からのダウンロード購入に対応していないケースが多いが、そろそろグローバルな販売戦略を準備する時期に来ているのではないだろうか。

音質チューニングのエキスパートとして知られるキングドン氏はソニーのハイレゾオーディオ戦略と具体的な機器を紹介し、ウォークマンからハイエンドまで、広いレンジでハイレゾオーディオを展開していくことをアピールした。

MIDEMを取材した経験からも実感したが、欧州に限らず、ハイレゾミュージックという概念自体が音楽制作の関係者にまだそれほど浸透していない。ソニーVEプロジェクト室の中田吉秋氏は「ソニーが今回MIDEMに参加したのは、音楽業界の人々にハイレゾオーディオの価値を知ってもらうことが目的です。音楽制作に関わっている人たちにハイレゾミュージックの素晴らしさを実際に体験してもらうことが重要で、その体験をもとに、アーティストが意図していた音で楽しめることが重要だと考えてもらえるようになることを期待しているのです」と語っていた。実際にヘッドホンやスピーカーで聴いた来場者の反応は予想以上に好評だという。日本だけでなく、欧州の音楽産業にとっても今年は「ハイレゾ元年」なのである。

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