公開日 2014/04/22 08:30
リン、スピーカーまでデジタル伝送する“EXAKT”新モデル「AKURATE EXAKT」
社長のギラード氏がその優位性を解説
リンジャパンは、スピーカーまでデジタル伝送を行うネットワークオーディオシステム「EXAKT」の新モデルとして、「AKURATE EXAKT SYSTEM」を発表した。出荷開始は5月を予定。本システムは下記のようにヘッドユニット部とスピーカー部で構成されている。
・「AKURATE EXAKT DSM」(EXAKTシステム・ヘッドユニット)¥650,000(税抜)
・「EXAKT AKUBARIK」(EXAKTスピーカー)¥3,450,000(税抜)
発表に際して、英国リンのギラード・ティーフェンブルン氏が来日。製品についての説明を自ら行った。
AKURATE EXAKT SYSTEMは、2013年10月に発表された「KLIMAX EXAKT SYSTEM」(関連ニュース)に続くEXAKTシステムとなる。“AKURATE”の名前が示すとおり、KLIMAXに次ぐ価格帯のモデルだ。
EXAKTシステムは、「EXAKT DSM」と「EXAKTスピーカー」で構成されたオーディオシステム。この2つがEXAKT LINK(カテゴリー5のLANケーブルを使用)で接続される。スピーカー内部にデコード、D/A変換などを行うEXAKT ENGINEを搭載しており、実際に音を出すスピーカーまでデジタルデータを損失することなく伝送できる。このため、情報の保持、低レイテンシー、ジッターの極小化、左右スピーカーの正確な同期という点で、理想的な伝送・再生が可能としている。
同社では、スピーカーにEXAKT ENGINEを内蔵するメリットとして、アナログクロスオーバーにおいて不可避となる振幅歪と位相歪を除去できること、個々のドライブユニットの製造時の個体差をデジタルで補正できること、各過程の試聴環境に合わせて最適な補正が行えることを挙げている。
■音源をスピーカーの元まで損失なく伝送する
ギラード・ティーフェンブルン氏はこのEXAKTシステムについて、リンの創業者であり父であるアイバー・ティーフェンブルン氏が創立当初より掲げた「アーティストが奏でる音と自宅でリスニングする音のギャップをなるべく小さくする」という思想を体現する最新システムと説明。EXAKTシステムでは、音楽ソースの情報のロスを最小源に抑えられるとアピールする。
また同氏は、EXAKTシステムのポイントとして「音源」「アクティブスピーカー」「最適化」の3点を挙げた。
ひとつめの「音源」については、アナログプレーヤー「LP12」の時代から分かっていたことと説明。「ソースの時点で失われた情報が戻ってくることはありません。その点、EXAKTは“音源第一”を体現しています。なぜなら、音源がそのままスピーカー自体にまで伝送されており、スピーカーまで音楽的な情報が全く失われません。伝送上のロスという意味では限りなくゼロに近いのです」と説明した。
この音源の伝送については、同社が「DS」シリーズで培ったLANによるデジタルストリームが、EXAKTシステムのベースになっている。「EXAKTはベストなスピーカーであり、ベストなDS」とも付け加えていた。
ギラード氏はEXAKTシステムがフォノイコライザーを内蔵し、高精度なA/D変換によりアナログレコードなどの再生にも対応している点に言及。「EXAKTの登場により、デジタルで完璧にできたことがアナログでもできるようになったのです。EXAKTシステムを介することで、デジタルだけでなくアナログもロスなく伝送できる。EXAKTにおいては、デジタル対アナログという対立構図さえ無意味になるのです」。
二番目に挙げたのは「アクティブスピーカー」ということだ。オーディオ再生における歪みの第一の理由は、パッシブスピーカーにおけるクロスオーバーであるとギラード氏は語る。そのためリンは、当初からアクティブスピーカーを展開してきた。リンのアクティブスピーカーは各帯域ごとにアンプを持ち、デジタルでクロスオーバーが行われる。このマッチングによって、歪みが最小源に抑えられるとした。また、このEXAKTで採用されたデジタルクロスオーバーは、リン史上においても初めてと言える、完璧なものであると述べた。
また、クロスオーバーの振幅と位相を完璧に歪みを取り除くためには、スピーカーのデザインも重要と説明。EXAKTはスピーカーまで自社工場で製造しているので、各ドライブユニットの個体差を測り、その差をEXAKTで補正することが可能。製造の過程で、全てのEXAKTにこうした修正が行われる。
3つめのポイントとしては、補正による「最適化」を挙げた。ユーザーの試聴環境は、部屋のサイズも家具の置き方も様々で、さらには生活空間との共存を考慮すると、必ずしもスピーカーをベストな位置に置けるとは限らない。EXAKTは部屋の寸法とスピーカーの位置を入力することで最適な補正を行える。「こうした機能はエンドユーザーにとっては一番うれしいものになると思います。個人に最適なスピーカーを作り出すというコンセプトなのです」とコメントした。
AKURATE EXAKTヘッドユニット部の入力は、LAN×1、HDMI入力×4、同軸デジタル×3、光デジタル×3、アナログLR(XLR)×1、アナログLR(RCA)×2(うちフォノ入力1系統)を搭載。出力はHDMI×1、同軸デジタル×1、光デジタル×1となる。スピーカーへの出力を行うEXAKT Linkは4系統を搭載し、将来的にはマルチチャンネル再生に対応することも明言されている。
■ルームオプティマイゼーションでスピーカーを最適化
会場では既存のAKUBARIKとAKURATE DSMを組み合わせたシステムと、EXAKTシステムの比較試聴も行われた。ハイレゾ音源に加え、アナログレコードもソースとして用意された。
加えて、ルームオプティマイゼーションのデモも行われた。機能のオン/オフに加え、故意にスピーカーを壁ギリギリに近づけた状態でのオン/オフもデモし、その効果をアピールしていた。
ギラード氏はルームオプティマイゼーションについて以下のように述べた。「低域が改善されているのがわかると思います。ルームオプティマイゼーションは、エネルギーが多すぎる周波数帯域を調整して、その下に隠れてしまっていた音を聴こえるようにしてあげるのです。機能をオンにするとベースにキレが出て、ボーカルが聴こえやすく鳴ったでしょう?」
なお、このルームオプティマイゼーションは、特に80Hz以下の帯域を補正しているとのこと。部屋自体の最適化という点では、この帯域の補正が重要になるという。それより高い周波数の調整は壁の材質などによる反射などの影響の問題になり、また別のステップだとも述べていた。さらに、ルームオプティマイゼーションで重要なのは、音楽的な要素を変えないこととギラード氏。そのため補正は最小源に抑えているとした。
このルームオプティマイゼーション機能は、ユーザー自身が行うのではなく、リンが教育を行った、経験あるリテーラーが行うという。ただし「いずれユーザーが自分で調整を行いたい、ということにもなるでしょう」とも述べていた。
今回発表されたAKURATE EXAKTと、KLIMAX EXAKTとの違いについても質問が飛んだ。DACも含めたデジタル部やFPGAのレベルは、基本的には同一とのこと。もちろんスピーカーは異なるわけだが、加えてA/D変換についてはKLIMAXがより優れているとのこと。ヘッドユニット部についてもKLIMAXは「KLIMAX DS」と同様のシャーシを用いており、このあたりでも音質に差が現れる可能性があると述べていた。
また、同社のアクティブスピーカー「AKUBARIK」のユーザー用に「Exact Upgrade」というアップグレード・パッケージも用意。「Akurate Exact DSM」「Akubarik用Exactモジュール」「測定済み 3K Arrey(シリアルナンバー13470321以降のAkubarikには必要なし)」の3点で構成されており、既存のAKUBARIKのモジュールと3K Arreyドライバーの交換をすることでアップグレードできるという。なお、パッシブタイプの「AKUBARIK-P」は本アップデートには対応しない。
・「AKURATE EXAKT DSM」(EXAKTシステム・ヘッドユニット)¥650,000(税抜)
・「EXAKT AKUBARIK」(EXAKTスピーカー)¥3,450,000(税抜)
発表に際して、英国リンのギラード・ティーフェンブルン氏が来日。製品についての説明を自ら行った。
AKURATE EXAKT SYSTEMは、2013年10月に発表された「KLIMAX EXAKT SYSTEM」(関連ニュース)に続くEXAKTシステムとなる。“AKURATE”の名前が示すとおり、KLIMAXに次ぐ価格帯のモデルだ。
EXAKTシステムは、「EXAKT DSM」と「EXAKTスピーカー」で構成されたオーディオシステム。この2つがEXAKT LINK(カテゴリー5のLANケーブルを使用)で接続される。スピーカー内部にデコード、D/A変換などを行うEXAKT ENGINEを搭載しており、実際に音を出すスピーカーまでデジタルデータを損失することなく伝送できる。このため、情報の保持、低レイテンシー、ジッターの極小化、左右スピーカーの正確な同期という点で、理想的な伝送・再生が可能としている。
同社では、スピーカーにEXAKT ENGINEを内蔵するメリットとして、アナログクロスオーバーにおいて不可避となる振幅歪と位相歪を除去できること、個々のドライブユニットの製造時の個体差をデジタルで補正できること、各過程の試聴環境に合わせて最適な補正が行えることを挙げている。
■音源をスピーカーの元まで損失なく伝送する
ギラード・ティーフェンブルン氏はこのEXAKTシステムについて、リンの創業者であり父であるアイバー・ティーフェンブルン氏が創立当初より掲げた「アーティストが奏でる音と自宅でリスニングする音のギャップをなるべく小さくする」という思想を体現する最新システムと説明。EXAKTシステムでは、音楽ソースの情報のロスを最小源に抑えられるとアピールする。
また同氏は、EXAKTシステムのポイントとして「音源」「アクティブスピーカー」「最適化」の3点を挙げた。
ひとつめの「音源」については、アナログプレーヤー「LP12」の時代から分かっていたことと説明。「ソースの時点で失われた情報が戻ってくることはありません。その点、EXAKTは“音源第一”を体現しています。なぜなら、音源がそのままスピーカー自体にまで伝送されており、スピーカーまで音楽的な情報が全く失われません。伝送上のロスという意味では限りなくゼロに近いのです」と説明した。
この音源の伝送については、同社が「DS」シリーズで培ったLANによるデジタルストリームが、EXAKTシステムのベースになっている。「EXAKTはベストなスピーカーであり、ベストなDS」とも付け加えていた。
ギラード氏はEXAKTシステムがフォノイコライザーを内蔵し、高精度なA/D変換によりアナログレコードなどの再生にも対応している点に言及。「EXAKTの登場により、デジタルで完璧にできたことがアナログでもできるようになったのです。EXAKTシステムを介することで、デジタルだけでなくアナログもロスなく伝送できる。EXAKTにおいては、デジタル対アナログという対立構図さえ無意味になるのです」。
二番目に挙げたのは「アクティブスピーカー」ということだ。オーディオ再生における歪みの第一の理由は、パッシブスピーカーにおけるクロスオーバーであるとギラード氏は語る。そのためリンは、当初からアクティブスピーカーを展開してきた。リンのアクティブスピーカーは各帯域ごとにアンプを持ち、デジタルでクロスオーバーが行われる。このマッチングによって、歪みが最小源に抑えられるとした。また、このEXAKTで採用されたデジタルクロスオーバーは、リン史上においても初めてと言える、完璧なものであると述べた。
また、クロスオーバーの振幅と位相を完璧に歪みを取り除くためには、スピーカーのデザインも重要と説明。EXAKTはスピーカーまで自社工場で製造しているので、各ドライブユニットの個体差を測り、その差をEXAKTで補正することが可能。製造の過程で、全てのEXAKTにこうした修正が行われる。
3つめのポイントとしては、補正による「最適化」を挙げた。ユーザーの試聴環境は、部屋のサイズも家具の置き方も様々で、さらには生活空間との共存を考慮すると、必ずしもスピーカーをベストな位置に置けるとは限らない。EXAKTは部屋の寸法とスピーカーの位置を入力することで最適な補正を行える。「こうした機能はエンドユーザーにとっては一番うれしいものになると思います。個人に最適なスピーカーを作り出すというコンセプトなのです」とコメントした。
AKURATE EXAKTヘッドユニット部の入力は、LAN×1、HDMI入力×4、同軸デジタル×3、光デジタル×3、アナログLR(XLR)×1、アナログLR(RCA)×2(うちフォノ入力1系統)を搭載。出力はHDMI×1、同軸デジタル×1、光デジタル×1となる。スピーカーへの出力を行うEXAKT Linkは4系統を搭載し、将来的にはマルチチャンネル再生に対応することも明言されている。
■ルームオプティマイゼーションでスピーカーを最適化
会場では既存のAKUBARIKとAKURATE DSMを組み合わせたシステムと、EXAKTシステムの比較試聴も行われた。ハイレゾ音源に加え、アナログレコードもソースとして用意された。
加えて、ルームオプティマイゼーションのデモも行われた。機能のオン/オフに加え、故意にスピーカーを壁ギリギリに近づけた状態でのオン/オフもデモし、その効果をアピールしていた。
ギラード氏はルームオプティマイゼーションについて以下のように述べた。「低域が改善されているのがわかると思います。ルームオプティマイゼーションは、エネルギーが多すぎる周波数帯域を調整して、その下に隠れてしまっていた音を聴こえるようにしてあげるのです。機能をオンにするとベースにキレが出て、ボーカルが聴こえやすく鳴ったでしょう?」
なお、このルームオプティマイゼーションは、特に80Hz以下の帯域を補正しているとのこと。部屋自体の最適化という点では、この帯域の補正が重要になるという。それより高い周波数の調整は壁の材質などによる反射などの影響の問題になり、また別のステップだとも述べていた。さらに、ルームオプティマイゼーションで重要なのは、音楽的な要素を変えないこととギラード氏。そのため補正は最小源に抑えているとした。
このルームオプティマイゼーション機能は、ユーザー自身が行うのではなく、リンが教育を行った、経験あるリテーラーが行うという。ただし「いずれユーザーが自分で調整を行いたい、ということにもなるでしょう」とも述べていた。
今回発表されたAKURATE EXAKTと、KLIMAX EXAKTとの違いについても質問が飛んだ。DACも含めたデジタル部やFPGAのレベルは、基本的には同一とのこと。もちろんスピーカーは異なるわけだが、加えてA/D変換についてはKLIMAXがより優れているとのこと。ヘッドユニット部についてもKLIMAXは「KLIMAX DS」と同様のシャーシを用いており、このあたりでも音質に差が現れる可能性があると述べていた。
また、同社のアクティブスピーカー「AKUBARIK」のユーザー用に「Exact Upgrade」というアップグレード・パッケージも用意。「Akurate Exact DSM」「Akubarik用Exactモジュール」「測定済み 3K Arrey(シリアルナンバー13470321以降のAkubarikには必要なし)」の3点で構成されており、既存のAKUBARIKのモジュールと3K Arreyドライバーの交換をすることでアップグレードできるという。なお、パッシブタイプの「AKUBARIK-P」は本アップデートには対応しない。