公開日 2014/11/14 12:11
<イベントレポート>オノセイゲン氏が語る、ハイレゾ時代の“良い音”とは?
アップルストアにてオーディオイベントを実施!
11月2日(日)、今年6月にオープンしたApple Store表参道店にて、ミキシング/マスタリング・エンジニアとしても活躍しアーティスト活動も行うオノセイゲン氏による、ミニライブ&トークセッション形式のオーディオイベントが開催された。テーマは「良い音について考えてみよう」というものだ。
まずイベント開始後には、女性アーティストのおおたか静流とのライブセッションが行われた。スピーカーシステムにはイクリプスのハイエンドスピーカー「TD712zMK2」×10本、「TD-M1」×8本が使用され、ライブが始まるとオノセイゲン氏のギターサウンドとおおたか静流氏の大らかな歌声がアップルストア表参道店のフロアを包み、来場者全員が息を呑むほどの演奏が披露された。
続くトークセッションは、音楽専門誌「サウンド&レコーディング」の編集長を務める國崎 晋氏を司会に迎え入れ、オノセイゲン氏との一対一による構成で始まった。お題は、もちろん今回のイベントテーマである”良い音”についてだ。
セッションではまず、第一に部屋の「響き」と「静けさ」は残響音に関係し、音の明瞭度を左右する要素になり、良い音をつくる要素の一つだということが語られた。続いて、その関係性が良い音を作るためにいかに重要であるかということについて、コンサートホールやレコーディングスタジオの特長や差異について解説が行われた。
オノセイゲン氏「響きが強い空間にはコンサートホールなどが多く、ヴァイオリンやビオラなど生楽器は、適度な響きにより音楽性の高いサウンドになります。また反対に響きがデッドな空間の代表にはレコーディングスタジオなど、音の性質を確認する必要のある場に適しています。部屋の特性を知り、残響音をコントロールすることは、アーティストがより表現したい音を再現するために必要なのです」。
トークセッションの中盤、オノセイゲン氏は来場者に対して、「あなたが思う良い音とは何か?」と質問をぶつけた。多数の来場者がいる中、前列の方から順に聞いていくと、「心に残る音」「波の音」「雨の音」「雑音の無い音」「調和の取れている音」「帯域の広い音」「透明感のある音」など、多数の意見が飛び交った。オノセイゲン氏がこの質問をした意図には「嗜好の音」と「正確な音」の違いについて、来場者の方々に考えてもらいという思いがある。
オノセイゲン氏「人は良い音と言われると、自身の好きな音を選択してしまいがちですが、良い音を語る上で「正確な音」が重要になってきます」。
ここでは、信号処理的に1:1の音が「正確な音」とされており、たとえば録音の際、アーティストが奏でた音の表現をそのままマイク録音し、その録音された音を色付けなく元の信号に近い情報をスピーカーなどで出力することが、「正確な音」のひとつだと挙げている。この「正確な音」は、コンサートなどでも必要になるが、特に重点を置かれるのが録音環境だと言う。レコーディングの際、アーティストが表現したい音を、いかにそのままのデジタル音声信号にA/D変換し、CDやSACDなどのディスクメディアや配信用のデジタルデータへと変換処理していくかという過程の中で、とても重要になる。アーティストの奏でる音を「正確な音」で判断しなければ、アーティストが表現したいものと違ったものになってしまうからだ。
そして「正確な音」を再現するには、トランスペアレントなオーディオ機器が必要だという。今回のミニライブで使用されたイクリプスのスピーカーシステムは、トランスペアレントが高く、「タイムドメイン理論」を追求し正確な音を再現する際に核となる「インパルス応答性」が非常に高い製品だと紹介された。また、まだ「正確な音」を体感していないユーザーには、一度この「正確な音」を聴き、そこから自分の好きな音を追求して欲しいと、オノセイゲン氏は自身の願いを伝えた。
なお現在、CDよりも高スペックなコンテンツデータとして“ハイレゾ”に注目が集まっているが、オノセイゲン氏はハイレゾ=良い音だという風潮に苦言を呈した。
オノセイゲン氏は「最近はハイクオリティ・コンテンツとしてPCM 192kHz/24bitやDSD音源が“ハイレゾ”として主流になってきているが、それはあくまでも質の高いデジタル音源を楽しめるということであって、=良い音ではありません。アーティストの演奏力、レコーディング/マスタリング現場のクオリティが伴ってこそ良い音であり、それなくして良い音は語れません」と語る。
アーティストの技量、録音現場の質の良さを、CDよりも大容量かつ高スペックで処理できるからこそ、”ハイレゾ”は良い音と捉えられているが、反対にコンテンツの再現力が高くなるからこそ様々な質の悪さが見えてくる面もある。“ハイレゾ”だから全て良い音ではなく、まずコンテンツのクオリティが良く、CDよりも実際の録音現場に近い状態で音楽を楽しめることが、ファンにもアーティストにもメリットになると解説した。
オノセイゲン氏は最後に、「今はユーザーの方々がアーティストの再現する音をそのまま聴けるような環境が揃えやすくなっている。そういった時代になったからこそ、“良い音”とは何か考え、音楽を楽しんでもらいたいです」とその思いを語り、イベントを締めくくった。
また、Apple Store表参道店は今後もこうしたオーディオイベントを随時開催していくという。Phile-web読者の方もぜひ今後のイベントをチェックされたい。
まずイベント開始後には、女性アーティストのおおたか静流とのライブセッションが行われた。スピーカーシステムにはイクリプスのハイエンドスピーカー「TD712zMK2」×10本、「TD-M1」×8本が使用され、ライブが始まるとオノセイゲン氏のギターサウンドとおおたか静流氏の大らかな歌声がアップルストア表参道店のフロアを包み、来場者全員が息を呑むほどの演奏が披露された。
続くトークセッションは、音楽専門誌「サウンド&レコーディング」の編集長を務める國崎 晋氏を司会に迎え入れ、オノセイゲン氏との一対一による構成で始まった。お題は、もちろん今回のイベントテーマである”良い音”についてだ。
セッションではまず、第一に部屋の「響き」と「静けさ」は残響音に関係し、音の明瞭度を左右する要素になり、良い音をつくる要素の一つだということが語られた。続いて、その関係性が良い音を作るためにいかに重要であるかということについて、コンサートホールやレコーディングスタジオの特長や差異について解説が行われた。
オノセイゲン氏「響きが強い空間にはコンサートホールなどが多く、ヴァイオリンやビオラなど生楽器は、適度な響きにより音楽性の高いサウンドになります。また反対に響きがデッドな空間の代表にはレコーディングスタジオなど、音の性質を確認する必要のある場に適しています。部屋の特性を知り、残響音をコントロールすることは、アーティストがより表現したい音を再現するために必要なのです」。
トークセッションの中盤、オノセイゲン氏は来場者に対して、「あなたが思う良い音とは何か?」と質問をぶつけた。多数の来場者がいる中、前列の方から順に聞いていくと、「心に残る音」「波の音」「雨の音」「雑音の無い音」「調和の取れている音」「帯域の広い音」「透明感のある音」など、多数の意見が飛び交った。オノセイゲン氏がこの質問をした意図には「嗜好の音」と「正確な音」の違いについて、来場者の方々に考えてもらいという思いがある。
オノセイゲン氏「人は良い音と言われると、自身の好きな音を選択してしまいがちですが、良い音を語る上で「正確な音」が重要になってきます」。
ここでは、信号処理的に1:1の音が「正確な音」とされており、たとえば録音の際、アーティストが奏でた音の表現をそのままマイク録音し、その録音された音を色付けなく元の信号に近い情報をスピーカーなどで出力することが、「正確な音」のひとつだと挙げている。この「正確な音」は、コンサートなどでも必要になるが、特に重点を置かれるのが録音環境だと言う。レコーディングの際、アーティストが表現したい音を、いかにそのままのデジタル音声信号にA/D変換し、CDやSACDなどのディスクメディアや配信用のデジタルデータへと変換処理していくかという過程の中で、とても重要になる。アーティストの奏でる音を「正確な音」で判断しなければ、アーティストが表現したいものと違ったものになってしまうからだ。
そして「正確な音」を再現するには、トランスペアレントなオーディオ機器が必要だという。今回のミニライブで使用されたイクリプスのスピーカーシステムは、トランスペアレントが高く、「タイムドメイン理論」を追求し正確な音を再現する際に核となる「インパルス応答性」が非常に高い製品だと紹介された。また、まだ「正確な音」を体感していないユーザーには、一度この「正確な音」を聴き、そこから自分の好きな音を追求して欲しいと、オノセイゲン氏は自身の願いを伝えた。
なお現在、CDよりも高スペックなコンテンツデータとして“ハイレゾ”に注目が集まっているが、オノセイゲン氏はハイレゾ=良い音だという風潮に苦言を呈した。
オノセイゲン氏は「最近はハイクオリティ・コンテンツとしてPCM 192kHz/24bitやDSD音源が“ハイレゾ”として主流になってきているが、それはあくまでも質の高いデジタル音源を楽しめるということであって、=良い音ではありません。アーティストの演奏力、レコーディング/マスタリング現場のクオリティが伴ってこそ良い音であり、それなくして良い音は語れません」と語る。
アーティストの技量、録音現場の質の良さを、CDよりも大容量かつ高スペックで処理できるからこそ、”ハイレゾ”は良い音と捉えられているが、反対にコンテンツの再現力が高くなるからこそ様々な質の悪さが見えてくる面もある。“ハイレゾ”だから全て良い音ではなく、まずコンテンツのクオリティが良く、CDよりも実際の録音現場に近い状態で音楽を楽しめることが、ファンにもアーティストにもメリットになると解説した。
オノセイゲン氏は最後に、「今はユーザーの方々がアーティストの再現する音をそのまま聴けるような環境が揃えやすくなっている。そういった時代になったからこそ、“良い音”とは何か考え、音楽を楽しんでもらいたいです」とその思いを語り、イベントを締めくくった。
また、Apple Store表参道店は今後もこうしたオーディオイベントを随時開催していくという。Phile-web読者の方もぜひ今後のイベントをチェックされたい。