公開日 2016/10/17 12:38
北米最大級のオーディオショウ「Rocky Mountain Audio Fest」レポート - ピュアオーディオ編
各社新製品が続々と登場
北米最大のオーディオショウ「Rocky Mountain Audio Fest 2016」が、10月7日から9日まで米デンバーで開催された。その模様を島幸太郎氏(エミライ/OPPO Digital Japan)が連続レポート。第1回目は、ピュアオーディオ/ハイエンドオーディオ分野の出展内容をレポートしていく。
近年、アメリカ最大の家電見本市「Consumer Electronics Show(CES)」のピュアオーディオ/ハイエンドオーディオ分野での存在感を失いつつあると囁かれるなか、急速にその存在感を高めてきたのが、アメリカはコロラド州デンバーで開催されている「Rocky Mountain Audio Fest(RMAF)」だ。
RMAFはもともと地域のオーディオ同好会のローカルなイベントで、出展料が他のオーディオショーと比べて格安ということもあり、スタートアップのオーディオブランドが多数出展している。しかし、年々拡大する規模にあわせるように大手メーカーの出展も増えており、近年では北米を代表するイベントとして重要な地位を確立しつつある。
10年前はCESがハイエンドオーディオを含むピュアオーディオ分野最大のショーとして存在感を発揮していたが、近年オーディオ分野についてはポストCESのオーディオショーを模索する動きが続いている。
その理由はいくつかあるが、ひとつには近年のPCオーディオ/ネットワークオーディオ関連製品の隆盛でメーカーが顧客の声をダイレクトに把握したいという需要が高まっており、従来のトレード・ショーではこうした役割を担えないこと。もうひとつは特にヨーロッパのオーディオブランドが、ヨーロッパでのオーディオショー開催を強く望んでいることが挙げられる。
その結果、ドイツのミュンヘンで開催されている「High End Munich Show」は欧州メーカーを中心とした世界最大のオーディオショーに発展した。他方で、ポストCESはやはりアメリカで、という思惑もアメリカのオーディオブランドには根強く、ポストCESの駆け引きはしばらく続きそうだ。
さて、話をRMAFに戻そう。海外のオーディオショーは基本的にホテルの施設を借りて実施されるが、RMAFも例外ではない。その規模は大きく、ホテルのすべてのフロアを貸し切り、大半の部屋をデモ用の部屋に利用、その数は100近くに及ぶ。また、各種の講演会やセミナーなども行われるなど、様々なコンセプトで来場者を楽しませる工夫がなされている(余談だが、会場で使われたデモ品の特価販売を実施するブースもある)。
ただ、今回はやや異例の展開で、昨年の規模からやや縮小されたものになってしまった。というのも、会場となっているホテル Marriott Denver Tech Centerの改装工事が予定より6ヶ月遅れ、本来完了しているはずの工事が継続した結果、出展可能な部屋に制限が生じたようだ。そのため出展自体を取りやめ、あるいは縮小したブランドも多数あったとのことだが、それでも100近くのブースがあるのだから、その規模が巨大であることは疑いようがないだろう。
また、RMAFを含め最近のオーディオショーは、参加費用(入場料)が有料であるという特徴がある。これは出展費の高さを理由に参加する出展者の数が減ってしまうのを避けたいという意図だけでなく、参加者の実数を正確に把握してイベントとしての信頼度を高めたいという主催者側の意図があるようだ。日本のショウは参加費無料のものがほとんどだが、今後は参加費が必要となるイベントも増えてくるかもしれない。
前置きが長くなったが、各社の新製品を中心にRMAFの様子をご紹介しよう。なお、すべての価格はアメリカでの希望小売価格であり、発売時期についてもアメリカでの発売時期であることに注意されたい。(掲載はアルファベット順)
■Auralic
同社は初のインテグレーテッドアンプ「POLARIS」(2016年11月中旬発売予定、3,799ドル)を参考出展した。ネットワーク機能を搭載し、DLNA(UPnP)、OpenHome、RoonReadyに対応する。またUSB-DAC機能も搭載し、USBメモリー内のデータの再生も可能。DACチップにはESS Technology社の「ES9018K2M」を搭載し、32bit/384kHzまでのPCMデータおよびDSD256までのDSDデータ再生に対応する。また、アンプ部には8Ω時120W/chの出力が可能なHypex社の「UcD180」モジュールを採用している。操作用に純正アプリである「Lightning DS」が提供される。
■Aurender
同社は初めてDACを搭載したメディアサーバー「A10」(5,000ドル)を展示した。内部構成としては同社製メディアサーバー「N100H」にDACを搭載したもの。DAC部は3系統の強力な電源部を搭載するほか、AK4490をチャンネルごとに1枚、合計2枚搭載。MQAファイルのデコードが可能で、32/384kHzまでのPCMデータ、DSD128までのDSDデータの再生に対応している。同社のアメリカにおける売上は非常に好調とのことで、他のブースでも多くの製品が使われていた。
近年、アメリカ最大の家電見本市「Consumer Electronics Show(CES)」のピュアオーディオ/ハイエンドオーディオ分野での存在感を失いつつあると囁かれるなか、急速にその存在感を高めてきたのが、アメリカはコロラド州デンバーで開催されている「Rocky Mountain Audio Fest(RMAF)」だ。
RMAFはもともと地域のオーディオ同好会のローカルなイベントで、出展料が他のオーディオショーと比べて格安ということもあり、スタートアップのオーディオブランドが多数出展している。しかし、年々拡大する規模にあわせるように大手メーカーの出展も増えており、近年では北米を代表するイベントとして重要な地位を確立しつつある。
10年前はCESがハイエンドオーディオを含むピュアオーディオ分野最大のショーとして存在感を発揮していたが、近年オーディオ分野についてはポストCESのオーディオショーを模索する動きが続いている。
その理由はいくつかあるが、ひとつには近年のPCオーディオ/ネットワークオーディオ関連製品の隆盛でメーカーが顧客の声をダイレクトに把握したいという需要が高まっており、従来のトレード・ショーではこうした役割を担えないこと。もうひとつは特にヨーロッパのオーディオブランドが、ヨーロッパでのオーディオショー開催を強く望んでいることが挙げられる。
その結果、ドイツのミュンヘンで開催されている「High End Munich Show」は欧州メーカーを中心とした世界最大のオーディオショーに発展した。他方で、ポストCESはやはりアメリカで、という思惑もアメリカのオーディオブランドには根強く、ポストCESの駆け引きはしばらく続きそうだ。
さて、話をRMAFに戻そう。海外のオーディオショーは基本的にホテルの施設を借りて実施されるが、RMAFも例外ではない。その規模は大きく、ホテルのすべてのフロアを貸し切り、大半の部屋をデモ用の部屋に利用、その数は100近くに及ぶ。また、各種の講演会やセミナーなども行われるなど、様々なコンセプトで来場者を楽しませる工夫がなされている(余談だが、会場で使われたデモ品の特価販売を実施するブースもある)。
ただ、今回はやや異例の展開で、昨年の規模からやや縮小されたものになってしまった。というのも、会場となっているホテル Marriott Denver Tech Centerの改装工事が予定より6ヶ月遅れ、本来完了しているはずの工事が継続した結果、出展可能な部屋に制限が生じたようだ。そのため出展自体を取りやめ、あるいは縮小したブランドも多数あったとのことだが、それでも100近くのブースがあるのだから、その規模が巨大であることは疑いようがないだろう。
また、RMAFを含め最近のオーディオショーは、参加費用(入場料)が有料であるという特徴がある。これは出展費の高さを理由に参加する出展者の数が減ってしまうのを避けたいという意図だけでなく、参加者の実数を正確に把握してイベントとしての信頼度を高めたいという主催者側の意図があるようだ。日本のショウは参加費無料のものがほとんどだが、今後は参加費が必要となるイベントも増えてくるかもしれない。
前置きが長くなったが、各社の新製品を中心にRMAFの様子をご紹介しよう。なお、すべての価格はアメリカでの希望小売価格であり、発売時期についてもアメリカでの発売時期であることに注意されたい。(掲載はアルファベット順)
■Auralic
同社は初のインテグレーテッドアンプ「POLARIS」(2016年11月中旬発売予定、3,799ドル)を参考出展した。ネットワーク機能を搭載し、DLNA(UPnP)、OpenHome、RoonReadyに対応する。またUSB-DAC機能も搭載し、USBメモリー内のデータの再生も可能。DACチップにはESS Technology社の「ES9018K2M」を搭載し、32bit/384kHzまでのPCMデータおよびDSD256までのDSDデータ再生に対応する。また、アンプ部には8Ω時120W/chの出力が可能なHypex社の「UcD180」モジュールを採用している。操作用に純正アプリである「Lightning DS」が提供される。
■Aurender
同社は初めてDACを搭載したメディアサーバー「A10」(5,000ドル)を展示した。内部構成としては同社製メディアサーバー「N100H」にDACを搭載したもの。DAC部は3系統の強力な電源部を搭載するほか、AK4490をチャンネルごとに1枚、合計2枚搭載。MQAファイルのデコードが可能で、32/384kHzまでのPCMデータ、DSD128までのDSDデータの再生に対応している。同社のアメリカにおける売上は非常に好調とのことで、他のブースでも多くの製品が使われていた。