公開日 2016/12/02 11:00
JVC、“人工熟成響棒”で音質向上図ったウッドコーンスピーカー「SX-WD9VNT/WD7VNT」
スピーカー単体でフルレンジと2ウェイの2種類を展開
JVCケンウッドは、木の振動板を採用した“ウッドコーンスピーカー”新モデルとして、フルレンジモデル「SX-WD9VNT」と11cmウーファー&2cmトゥイーター搭載の2ウェイモデル「SX-WD7VNT」を12月中旬に発売する。オープン価格だが「SX-WD9VNT」は69,800円前後、「SX-WD7VNT」は59,800円前後での実売が予想される。
■ウーファーユニット下のチェリー響棒に人工熟成処理
2モデルとも、キャビネット内部に配置された響棒のひとつに、特定条件下の加熱処理を行って経年木材の音質向上効果を付加する人工熟成処理を施したものを採用。これにより、音場空間の拡大といった、より高い音楽表現力を実現したとしている。
開発にあたり、エンクロージャー内に配置している数種類の響棒のなかで、前方に広い音楽空間を再現するのに一番効果の高い部分はどこかを研究。その結果、ウーファーユニット下のチェリー響棒に人工熟成処理を実施した。それにより、音場空間の拡大、解像度の向上、低音の重厚さの改善、臨場感の向上などを実現したという。
これは以前に音展(オーディオ・ホームシアター展)で参考出展していた“まるごと熟成スピーカー”を製品化したもの。当時はスピーカーの木材すべてに人工熟成処理を行ったものだったが、「それだと(人工熟成処理を施す)釜へ一度に数個しか入らないなどコスト面の問題もあった。そこで、響棒1本だけの人工熟成処理でも当時の“まるごと熟成”を超えるスピーカーの開発を狙った」(ウッドコーンの開発を担当する同社の今村氏)という。
また、「人工熟成処理という一手間をかけるため、本品は大量生産に向いていない」(企画担当の一村氏)とのことで、12月中旬の初回出荷台数はフルレンジモデル「SX-WD9VNT」が100台程度、2ウェイモデル「SX-WD7VNT」が50台程度となる見込み。次のセカンドロット出荷は来年6月中旬頃になるという。
響棒への人工熟成処理以外では、本体背面にあるスピーカーターミナルの固定用ネジ4本(鉄/ニッケルメッキネジ)のうち、左上のネジだけをステンレス素材に変更。これにより、音の輪郭が鮮明になり、より広い音響空間を実現したとしている。
加えて、メイプル材チップ吸音材を再調整するとともに、内部配線の処理方法を変更。これによっても解像度と音楽表現の向上を図っている。
■SX-WD9VNTは「EX-HR9」から数々の高音質化技術を継承
フルレンジモデル「SX-WD9VNT」のベースになっているのは、2014年のウッドコーンシステム「EX-HR9」のスピーカー部。音の伝播速度を向上させるため、チェリー材の薄板シートをウッドコーンに最適配置した異方性振動板採用の9cmフルレンジスピーカーなど、数々の高音質化技術を継承しつつ、上記の人工熟成処理を施した響棒などによってさらなる高音質化を図った。
そして力強く躍動感のある低域再生を狙い、大型のメインマグネットを採用。また、ユニット磁気回路の後部には、メイプル材を使用した大型八角形のウッドブロックを装着。装着位置を最適化することにより、ダクトから生じる不要な高域成分を制御している。
スピーカーキャビネットには、デザイン面だけでなく音の響きや広い空間表現の再現が可能だというチェリーの無垢材を採用。また、内部構造は楽器でも採用されているチェリー材の響棒を使用し、剛性を高めると同時に繊維方向などもこだわった竹響板を最適配置。重心の低い低域再生と音のスケール感の拡大を実現したとしている。さらに、メイプル材の木製チップ吸音材も採用し、これによって楽器の音色を際立たせているという。
伝播速度に優れた“木”を薄さ80μに削り出して加工したボイスコイルボビンを採用。音の伝達ロスを抑制し、解像度の向上を図った。また、磁気回路にはアルミニウムショートリングや銅キャップを採用し、ひずみを抑制するとともに、センターキャップ内に発生する音を処理するためにポールピース上部へメイプル材の吸音材を装着している。
定格入力は12.5Wで、最大入力が50W、定格インピーダンスが4Ω。再生周波数帯域は55Hz〜30kHzで、出力音圧レベルが82dB/W・m。
■SX-WD7VNTはウーファー部に異方性振動板を採用
2ウェイモデル「SX-WD7VNT」のベースは「EX-HR7」のスピーカー部で、ウーファー部に異方性振動板を採用。また、センターキャップ内での音の濁りを抑制するため、ポールピース上部にメイプル木片を装着している。
加えて、艶やかで伸びやかに響くクリアな高域再生の実現を狙い、トゥイーターユニットのエッジ素材にはシルク繊維を、ボイスコイルには高純度99.9999%のOFC ボイスコイルワイヤーを採用。さらに、振動板内の音の濁りを軽減するため、ポールピース上部にスプルース木片を装着している。また、ひずみを最小限に抑えるために、磁気回路にアルミショートリング(ウーファー部)、銅キャップ(トゥイーター部、ウーファー部)を採用している。
ウーファーおよびトゥイーターの磁気回路後部へは八角形チェリー材のウッドブロックを装着。不要な振動や高域成分を低減するとともに、重心の低い低域とクリアな高域再生を実現するとしている。また、本機もメイプル材の木製チップ吸音材も採用している。
定格入力は25WWで、最大入力が100W、定格インピーダンスが4Ω。再生周波数帯域は55Hz〜50kHzで、出力音圧レベルが81dB・m、クロスオーバー周波数が11,000Hz。
■「『スピーカーだけ欲しい』という声が大きかった」
前出の一村氏は、「2003年に最初のウッドコーンを出して以来約20万台が世に出ている。リピーターも多く、いろんなご意見をいただいているが、そのなかでも『スピーカーだけ欲しい』という声は大きかった」とコメント。
「そこで、これまで蓄積してきた技術を余すところなく投入した上で、さらに人工熟成処理の内部響棒を採用した今回のモデルを開発した」と背景を語る。
なお、ウッドコーンのスピーカー単品販売はこれまでにも行われていたが、現行ラインナップには存在していなかった。また、過去のものはアンプ/プレーヤー部と一体となったウッドコーンオーディオシステムとして開発したモデルのスピーカーだけを別途で販売するというものだったが、今回はアンプ部なしで純粋にスピーカーだけを開発したという格好だ。
開発担当の今村氏は、「長く使われてきた楽器は経年変化によって音がいいと言われ、例えばバイオリンのストラディバリウスは十数億円で取引される」と、木材と音楽の関係に言及。「スピーカーにも同じことが言える」と、人工熟成処理技術を施す意義を説明した。
一方で、人工熟成処理による高音質化は「どんなスピーカーでもいいというわけではない」ともコメント。「ベースであるHR9/HR7に数々の高音質化技術を投入していたからこそ、今回の人工熟成処理が活きてくる」とした。
■ウーファーユニット下のチェリー響棒に人工熟成処理
2モデルとも、キャビネット内部に配置された響棒のひとつに、特定条件下の加熱処理を行って経年木材の音質向上効果を付加する人工熟成処理を施したものを採用。これにより、音場空間の拡大といった、より高い音楽表現力を実現したとしている。
開発にあたり、エンクロージャー内に配置している数種類の響棒のなかで、前方に広い音楽空間を再現するのに一番効果の高い部分はどこかを研究。その結果、ウーファーユニット下のチェリー響棒に人工熟成処理を実施した。それにより、音場空間の拡大、解像度の向上、低音の重厚さの改善、臨場感の向上などを実現したという。
これは以前に音展(オーディオ・ホームシアター展)で参考出展していた“まるごと熟成スピーカー”を製品化したもの。当時はスピーカーの木材すべてに人工熟成処理を行ったものだったが、「それだと(人工熟成処理を施す)釜へ一度に数個しか入らないなどコスト面の問題もあった。そこで、響棒1本だけの人工熟成処理でも当時の“まるごと熟成”を超えるスピーカーの開発を狙った」(ウッドコーンの開発を担当する同社の今村氏)という。
また、「人工熟成処理という一手間をかけるため、本品は大量生産に向いていない」(企画担当の一村氏)とのことで、12月中旬の初回出荷台数はフルレンジモデル「SX-WD9VNT」が100台程度、2ウェイモデル「SX-WD7VNT」が50台程度となる見込み。次のセカンドロット出荷は来年6月中旬頃になるという。
響棒への人工熟成処理以外では、本体背面にあるスピーカーターミナルの固定用ネジ4本(鉄/ニッケルメッキネジ)のうち、左上のネジだけをステンレス素材に変更。これにより、音の輪郭が鮮明になり、より広い音響空間を実現したとしている。
加えて、メイプル材チップ吸音材を再調整するとともに、内部配線の処理方法を変更。これによっても解像度と音楽表現の向上を図っている。
■SX-WD9VNTは「EX-HR9」から数々の高音質化技術を継承
フルレンジモデル「SX-WD9VNT」のベースになっているのは、2014年のウッドコーンシステム「EX-HR9」のスピーカー部。音の伝播速度を向上させるため、チェリー材の薄板シートをウッドコーンに最適配置した異方性振動板採用の9cmフルレンジスピーカーなど、数々の高音質化技術を継承しつつ、上記の人工熟成処理を施した響棒などによってさらなる高音質化を図った。
そして力強く躍動感のある低域再生を狙い、大型のメインマグネットを採用。また、ユニット磁気回路の後部には、メイプル材を使用した大型八角形のウッドブロックを装着。装着位置を最適化することにより、ダクトから生じる不要な高域成分を制御している。
スピーカーキャビネットには、デザイン面だけでなく音の響きや広い空間表現の再現が可能だというチェリーの無垢材を採用。また、内部構造は楽器でも採用されているチェリー材の響棒を使用し、剛性を高めると同時に繊維方向などもこだわった竹響板を最適配置。重心の低い低域再生と音のスケール感の拡大を実現したとしている。さらに、メイプル材の木製チップ吸音材も採用し、これによって楽器の音色を際立たせているという。
伝播速度に優れた“木”を薄さ80μに削り出して加工したボイスコイルボビンを採用。音の伝達ロスを抑制し、解像度の向上を図った。また、磁気回路にはアルミニウムショートリングや銅キャップを採用し、ひずみを抑制するとともに、センターキャップ内に発生する音を処理するためにポールピース上部へメイプル材の吸音材を装着している。
定格入力は12.5Wで、最大入力が50W、定格インピーダンスが4Ω。再生周波数帯域は55Hz〜30kHzで、出力音圧レベルが82dB/W・m。
■SX-WD7VNTはウーファー部に異方性振動板を採用
2ウェイモデル「SX-WD7VNT」のベースは「EX-HR7」のスピーカー部で、ウーファー部に異方性振動板を採用。また、センターキャップ内での音の濁りを抑制するため、ポールピース上部にメイプル木片を装着している。
加えて、艶やかで伸びやかに響くクリアな高域再生の実現を狙い、トゥイーターユニットのエッジ素材にはシルク繊維を、ボイスコイルには高純度99.9999%のOFC ボイスコイルワイヤーを採用。さらに、振動板内の音の濁りを軽減するため、ポールピース上部にスプルース木片を装着している。また、ひずみを最小限に抑えるために、磁気回路にアルミショートリング(ウーファー部)、銅キャップ(トゥイーター部、ウーファー部)を採用している。
ウーファーおよびトゥイーターの磁気回路後部へは八角形チェリー材のウッドブロックを装着。不要な振動や高域成分を低減するとともに、重心の低い低域とクリアな高域再生を実現するとしている。また、本機もメイプル材の木製チップ吸音材も採用している。
定格入力は25WWで、最大入力が100W、定格インピーダンスが4Ω。再生周波数帯域は55Hz〜50kHzで、出力音圧レベルが81dB・m、クロスオーバー周波数が11,000Hz。
■「『スピーカーだけ欲しい』という声が大きかった」
前出の一村氏は、「2003年に最初のウッドコーンを出して以来約20万台が世に出ている。リピーターも多く、いろんなご意見をいただいているが、そのなかでも『スピーカーだけ欲しい』という声は大きかった」とコメント。
「そこで、これまで蓄積してきた技術を余すところなく投入した上で、さらに人工熟成処理の内部響棒を採用した今回のモデルを開発した」と背景を語る。
なお、ウッドコーンのスピーカー単品販売はこれまでにも行われていたが、現行ラインナップには存在していなかった。また、過去のものはアンプ/プレーヤー部と一体となったウッドコーンオーディオシステムとして開発したモデルのスピーカーだけを別途で販売するというものだったが、今回はアンプ部なしで純粋にスピーカーだけを開発したという格好だ。
開発担当の今村氏は、「長く使われてきた楽器は経年変化によって音がいいと言われ、例えばバイオリンのストラディバリウスは十数億円で取引される」と、木材と音楽の関係に言及。「スピーカーにも同じことが言える」と、人工熟成処理技術を施す意義を説明した。
一方で、人工熟成処理による高音質化は「どんなスピーカーでもいいというわけではない」ともコメント。「ベースであるHR9/HR7に数々の高音質化技術を投入していたからこそ、今回の人工熟成処理が活きてくる」とした。