公開日 2017/08/21 12:46
GENELECの日本法人が設立。ブランド40周年間近、今後は「ホームオーディオ」にも注力
世界トップのスタジオモニターカンパニー
フィンランドに本拠を置くスピーカーブランドであるGENELEC。この度、その日本法人となるジェネレックジャパン(株)が2017年7月7日に設立されたことを受けて、スタジオエンジニアや販売店、そしてプレス向けとなるレセプションがフィンランド大使館にて開催された。
今回のレセプションの開催に先立ち祝辞を述べたフィンランド大使館の公使参事官となるユハ・ニエミ氏は、ところどころにユーモアも交えつつ「今年はフィンランドの独立100周年にあたり、その歴史を振り返った上でも日本は特別な国」と語り、互いのイメージがポジティブであることを強調。 マナーの良さや謙遜の文化を持つ点など、さまざまな面での共通点に触れたうえで「高い開発能力に引っ張られるようにして伸びているフィンランド経済の中で、GENELECはそれを支えるひとつ。今回のように大使館でレセプションを主催できることは本当に喜ばしいことです」とジェネレックジャパン設立についてコメントした。
日本法人が立ち上がったことで同社は今後どのような展開を行うのか。本レセプションではそのビジョンが発表されることも大きなテーマのひとつだったが、これについては同社の代表取締役となる村井幹司氏から説明された。
ネイミ氏の言葉の通り、今年はフィンランド独立100周年となるが、それだけではなく来年はGENELECが創業されて40周年という大きな節目を迎えることになる。
「GENELECは、これまでの積み重ねもあって日本においても世界においてもナンバー1のスタジオモニターの会社です。ジェネレックジャパンのミッションとしても、ここ日本でもご評価いただいているサステナビリティとユーザビリティを提供していくことにあります」と前置きした上で、大きく4つの展開を挙げた。
まずひとつめが、グローバルサポート。GENELECの特徴として何年も前の製品でも修理できることを挙げ、その特徴をさらに活かすことのできるサービスセンターの整備を進めていることを明かした。また、ヨーロッパでは浸透している5年保証への対応についても並行して進めているという。
ふたつめは、クリーン&エコ。「これはGENELECが常に進めてきたもので、地球環境への配慮やリサイクルといったワールドクラスの製造クオリティ、そして平等やオープンと言うフィンランドの文化に則って、クリーンなビジネスを目指します」(村井氏)。
3つめが、エクリペアリエンスセンターの設置だ。これはGENELECのサウンドクオリティを体験するための場所「GENELECエクスペアリエンスセンター」を設置し、リスナーにいつでもGENELECのサウンドを体験してもらうというもの。現在はオフィスのある東京、本社のある長野、そして新たに大阪の3ヵ所での準備を進めている。
最後は、一環した技術開発である。GENELECの製品はフィンランド・イーサルミの自社工場にて全て生産されることも大きな魅力で、今後もユニットやエンクロージャーなどのハード的な部分から、DSP、ソフトウェアといったデジタル技術開発の部分に至るまで、全てを自社で行っていくという考えを明確に示した形となる。
この4つをジェネレックジャパンのミッションとした同社だが、これは今後積極的に展開する予定の新たなビジネスにも深く関わっているようだ。GENELECはスタジオユースでは圧倒的な支持を獲得するブランドだが、今後はそのクオリティをホームオーディオユースへも積極的に展開していく。
「ジェネレックジャパンは、グループ会社にシンタックスジャパンという会社がありますが、そちらで扱っているRMEなどでも展開してきたように、録音や音楽制作でご使用いただいている機材を使って、ご家庭でもスタジオと同じ環境で再生することを訴求してきました。これは実に理にかなったことで、ハイレゾブームにしてもやはりスタジオと同じ音が手に入るということが大きな魅力となっているところがあります。そんな音が生まれてくるスタジオと、その音楽を楽しむリビングでも、同じ環境を提供することをGENELECの新たな挑戦として行っていきます」と、村井氏はコンシューマー分野での展開に意欲を見せる。
実のところ、これまでもGENELECはドイツ・ミュンヘンにて開催されるMunich HIGH END等のコンシューマー向け展示会にも積極的に出展しており、同社の誇るサウンドとSAM、GLMなど最先端の技術力をオーディオファンへ強くアピールしてきた。
プロとコンシューマーというふたつのマーケットが異なる特性を持つのは確かだ。しかし、あえて「音」という軸上で考えることで、村井氏が述べた「スタジオとリビングで同じ環境を作る」ということはこれ以上にない武器となる。
GENELECが手がけるのは、通常コンシューマーで使用されるパッシブタイプではなく、アンプを内蔵するアクティブタイプ。このことも今後のコンシューマー市場にとってはひとつの大きな武器となりそうだ。昨今のDAコンバーターやネットワークオーディオの市場を見てみると、ボリューム機能を備えたいわゆる「DACプリ」としての性格が強い製品も多く登場してきている。特にここ日本でのリスニング環境を考えた場合、スペースファクター的やサウンド的な意味合いでも、アンプ内蔵スピーカーで評価を受けるGENELECのホームオーディオへの展開は、大きな意味を持つことになることが予想できる。
また村井氏は、現在世界的に関心が高まっている「イマーシブ」というキーワードも挙げた。Dolby AtmosやAuro 3Dなど多くのスピーカーを必要とする多チャンネル再生において、アンプを内包するアクティブスピーカーはスペース的にもコスト的にも魅力的な選択肢となることは間違いない。まだまだイマーシブ・サラウンドに対応した音源の数は少ないものの、現在の世界的なカー市場の様子を見ても、今後家庭内でのイマーシブは新しい市場へ向けての起爆剤となる可能性を秘めている。その意味でも、今後のコンシューマー市場おけるジェネレックジャパンの展開は注目すべきものということができるだろう。
レセプションでは、このほかジェネレック側からマネージング・ディレクターのSiamäk Naghian氏と創業者、Ilpo Martikainen氏の息子であるJuho Martikainen氏からGENELECについてのコメントがあったほか、(株)豊島総合研究所の所長であり、現(株)ミキサーズラボ最高顧問である豊島政実氏と(社)日本音楽スタジオ協会の名誉会長でもある潟~キサーズラボ会長の内沼映二氏より、これまでのGENELECの歩みが紹介された。
世界トップクラスのスタジオモニターカンパニーが日本法人を立ち上げたことで、どのような発展を見せて行くのか。今後の展開はよりオーディオファンにとって魅力的なものとなりそうだ。
今回のレセプションの開催に先立ち祝辞を述べたフィンランド大使館の公使参事官となるユハ・ニエミ氏は、ところどころにユーモアも交えつつ「今年はフィンランドの独立100周年にあたり、その歴史を振り返った上でも日本は特別な国」と語り、互いのイメージがポジティブであることを強調。 マナーの良さや謙遜の文化を持つ点など、さまざまな面での共通点に触れたうえで「高い開発能力に引っ張られるようにして伸びているフィンランド経済の中で、GENELECはそれを支えるひとつ。今回のように大使館でレセプションを主催できることは本当に喜ばしいことです」とジェネレックジャパン設立についてコメントした。
日本法人が立ち上がったことで同社は今後どのような展開を行うのか。本レセプションではそのビジョンが発表されることも大きなテーマのひとつだったが、これについては同社の代表取締役となる村井幹司氏から説明された。
ネイミ氏の言葉の通り、今年はフィンランド独立100周年となるが、それだけではなく来年はGENELECが創業されて40周年という大きな節目を迎えることになる。
「GENELECは、これまでの積み重ねもあって日本においても世界においてもナンバー1のスタジオモニターの会社です。ジェネレックジャパンのミッションとしても、ここ日本でもご評価いただいているサステナビリティとユーザビリティを提供していくことにあります」と前置きした上で、大きく4つの展開を挙げた。
まずひとつめが、グローバルサポート。GENELECの特徴として何年も前の製品でも修理できることを挙げ、その特徴をさらに活かすことのできるサービスセンターの整備を進めていることを明かした。また、ヨーロッパでは浸透している5年保証への対応についても並行して進めているという。
ふたつめは、クリーン&エコ。「これはGENELECが常に進めてきたもので、地球環境への配慮やリサイクルといったワールドクラスの製造クオリティ、そして平等やオープンと言うフィンランドの文化に則って、クリーンなビジネスを目指します」(村井氏)。
3つめが、エクリペアリエンスセンターの設置だ。これはGENELECのサウンドクオリティを体験するための場所「GENELECエクスペアリエンスセンター」を設置し、リスナーにいつでもGENELECのサウンドを体験してもらうというもの。現在はオフィスのある東京、本社のある長野、そして新たに大阪の3ヵ所での準備を進めている。
最後は、一環した技術開発である。GENELECの製品はフィンランド・イーサルミの自社工場にて全て生産されることも大きな魅力で、今後もユニットやエンクロージャーなどのハード的な部分から、DSP、ソフトウェアといったデジタル技術開発の部分に至るまで、全てを自社で行っていくという考えを明確に示した形となる。
この4つをジェネレックジャパンのミッションとした同社だが、これは今後積極的に展開する予定の新たなビジネスにも深く関わっているようだ。GENELECはスタジオユースでは圧倒的な支持を獲得するブランドだが、今後はそのクオリティをホームオーディオユースへも積極的に展開していく。
「ジェネレックジャパンは、グループ会社にシンタックスジャパンという会社がありますが、そちらで扱っているRMEなどでも展開してきたように、録音や音楽制作でご使用いただいている機材を使って、ご家庭でもスタジオと同じ環境で再生することを訴求してきました。これは実に理にかなったことで、ハイレゾブームにしてもやはりスタジオと同じ音が手に入るということが大きな魅力となっているところがあります。そんな音が生まれてくるスタジオと、その音楽を楽しむリビングでも、同じ環境を提供することをGENELECの新たな挑戦として行っていきます」と、村井氏はコンシューマー分野での展開に意欲を見せる。
実のところ、これまでもGENELECはドイツ・ミュンヘンにて開催されるMunich HIGH END等のコンシューマー向け展示会にも積極的に出展しており、同社の誇るサウンドとSAM、GLMなど最先端の技術力をオーディオファンへ強くアピールしてきた。
プロとコンシューマーというふたつのマーケットが異なる特性を持つのは確かだ。しかし、あえて「音」という軸上で考えることで、村井氏が述べた「スタジオとリビングで同じ環境を作る」ということはこれ以上にない武器となる。
GENELECが手がけるのは、通常コンシューマーで使用されるパッシブタイプではなく、アンプを内蔵するアクティブタイプ。このことも今後のコンシューマー市場にとってはひとつの大きな武器となりそうだ。昨今のDAコンバーターやネットワークオーディオの市場を見てみると、ボリューム機能を備えたいわゆる「DACプリ」としての性格が強い製品も多く登場してきている。特にここ日本でのリスニング環境を考えた場合、スペースファクター的やサウンド的な意味合いでも、アンプ内蔵スピーカーで評価を受けるGENELECのホームオーディオへの展開は、大きな意味を持つことになることが予想できる。
また村井氏は、現在世界的に関心が高まっている「イマーシブ」というキーワードも挙げた。Dolby AtmosやAuro 3Dなど多くのスピーカーを必要とする多チャンネル再生において、アンプを内包するアクティブスピーカーはスペース的にもコスト的にも魅力的な選択肢となることは間違いない。まだまだイマーシブ・サラウンドに対応した音源の数は少ないものの、現在の世界的なカー市場の様子を見ても、今後家庭内でのイマーシブは新しい市場へ向けての起爆剤となる可能性を秘めている。その意味でも、今後のコンシューマー市場おけるジェネレックジャパンの展開は注目すべきものということができるだろう。
レセプションでは、このほかジェネレック側からマネージング・ディレクターのSiamäk Naghian氏と創業者、Ilpo Martikainen氏の息子であるJuho Martikainen氏からGENELECについてのコメントがあったほか、(株)豊島総合研究所の所長であり、現(株)ミキサーズラボ最高顧問である豊島政実氏と(社)日本音楽スタジオ協会の名誉会長でもある潟~キサーズラボ会長の内沼映二氏より、これまでのGENELECの歩みが紹介された。
世界トップクラスのスタジオモニターカンパニーが日本法人を立ち上げたことで、どのような発展を見せて行くのか。今後の展開はよりオーディオファンにとって魅力的なものとなりそうだ。