公開日 2024/04/15 10:10
<AXPONA>Wilson Audioの弩級システムなどハイエンドの注目ブースを紹介!ソナスのAida IIも人気
意外な組み合わせの妙にも出会う
4月12日(金)よりシカゴにて開催されている北米最大規模のオーディオショウ、AXPONA(アクスポナ)。2日目を終えてほぼすべてのブースに足を踏み入れることができたので、大まかなショウの傾向についてレポートしよう。
当初の予測では“アメリカン・マッシブ”とでも言うべきか、巨大で重量感のあるパワフルなシステムが多数を占めるのか…と感じていたが、実際には非常にバリエーションに富んだ提案がなされていて驚いた。ブース数が200以上用意されており、ショウでならではの大型システムで威風を轟かせるブースもあれば、リビングでも鳴らせそうなコンパクトシステム、デスクトップオーディオ、ヘッドホン再生なども用意されている。
それでも95%以上の部屋は「ステレオスピーカー」によるHiFiのシステムを展開。映像を絡めたものやマルチチャンネルの提案もゼロではないが、片手で数えられるほどに少ない。ピュアオーディオに特化したイベントであることを改めて感じさせてくれた。
ちなみに再生ソースで最も多いのは、いわゆる「ファイル再生」。レコードはそれなり、CD再生はわずか。ファイル再生もローカルファイル再生とストリーミング(主にqobuz。おそらくスポンサードの関係だと思われる)、roon活用と幅広い。部屋でタブレットを渡されて、好きな曲を選んでいいよ、と言われるのもなかなか楽しい。1部屋だけ「foobar2000」を使っていた部屋があって懐かしさに涙がこぼれそうになった。
いくつか気になったブースについて紹介しよう。1F入口入ってすぐの大きめの部屋には、Quintessence Audioという地元・シカゴのハイエンドショップが3つのブースを展開している。
一つ目は、Wilson Audioの「Alexx V」にダン・ダゴスティーノのプリ&モノラルパワーアンプ「Rentless pre Amp」「Relentless M800」を組み合わせた超弩級システム。アナログ再生系にはクリアオーディオとDS AUDIO、デジタル再生系にはdCSを組み合わせていた。ケーブル類もTransparentで統一しており、ざっくりお値段100万ドルというシステムだ。
これぞパワフルでマッシブ、表現力の高いスピーカーを強力なアンプできっちり駆動するオーディオならではの楽しさが全面に飛び出してくる。DS AUDIOの「Grand Master」シリーズの引き出しもさすがのもので、情報量の多い現代のレコード再生そのもののサウンドを奏でてくれる。
もう一つの部屋はソナス・ファベールの「Aida MkII」にBoulderのアンプ「3010 Pre Amp」「2150 mono power amp」というまた違った表現力を持ったシステム。男性ボーカルのセクシーや息遣いのニュアンス感はまさに格別だ。
3つめはもう少しコンパクトに、Wilson Audioの「Sasha V」にMOONの最新North Collectionから「891」(ストリーミング/DAC/プリ)と「861」(パワーアンプ)というトップグレードのシステムで再生。記者にとってMOONのコスタ氏は2019年に工場を訪問して以来の旧知の中で、「クラシカルなロックが聴きたい」と言うリクエストをすると、Marcinというギタリストの演奏を再生してくれた。
演者の纏う空気感の表現は見事で、ギタリストのわずかな指先の動きも鮮明に見えながら、全体的なステージングの豊かさまで引き出してくれる。ギターってこれほどにリッチな表現力を持っていたのか、と改めて感じさせてくれた。
また、“よく知っているけれど組み合わせによって意外な美点が見えた”のは、DYNAUDIO「Confidence 60」とOctaveの真空管アンプ「MRE 220 SE」の組み合わせ。チェロの透明感あるサウンド、音と音の「間」(無音部分)までも表現として抉り出すような細部への行き届いた配慮に、思わず椅子から立ち上がれなくなるほどの感動を覚えた。
エステロンの「Forza」が存外EDMに合う、ということも新鮮な発見だった。VITUS AUDIOのアンプを組み合わせ、ミラーボールでディスコ風の照明を輝かせながら聴くForzaはまた特別な時間。低域をしっかり出してくるのにもたつかず、高域は伸びやかで息苦しいところなど皆無。踊り出したくなるような音の喜びに溢れている。
エステロン創業者のアルフレッド氏もそれなりの年配の方と見受けられたが、EDMで一緒になって踊っているのもまた楽しい。「私たちはユニット、キャビネット、ネットワーク回路全てを日々アップデートしながら開発を続けています。日本市場にも期待しています」と力強いメッセージ。
もうひとつ、予想外の引き出しにハッとしたのはLINNのモノラルパワーアンプ「KLIMAX solo 800」とYG アコースティックの「Sonja 3.2」。YGの色気と粘り気のあるサウンドに、LINNの理知的に洗練されたニュアンスが加わるとなんとも言えず魅力的。360 PWABの完成度もさすがだが、他のスピーカーとも組み合わせて聴いてみたい、という思いが高まる。
ディーアンドエムホールディングスの親会社であり、傘下にBowers&Wilkins、CLASSE、POLK AUDIOなどを擁するMasimoも出展。メインスピーカーには「801 D4 Signature」を据えてCLASSEのプリ&パワーアンプで鳴らすという強力なシステムを展開している。Masimoの医療技術を応用したDENONの「Perl」「Perl Pro」も一緒に展示されていたもなかなかに興味深い。
日本国内ではほとんど見かけない「平面バッフル型」スピーカーや「ラインアレイ型」スピーカーを見かけたのもなかなかに新鮮。Porzilli Audioの「THE NOTE」と言うスピーカーは、超小型のフルレンジユニットを縦に40個以上並べ、サブウーファーとセットで使用するというラインアレイ型スピーカー。「スペック押し」なBenchmarkのDAC&アンプと組み合わせることで生まれる不思議なサウンドステージにも驚かされた。
当初の予測では“アメリカン・マッシブ”とでも言うべきか、巨大で重量感のあるパワフルなシステムが多数を占めるのか…と感じていたが、実際には非常にバリエーションに富んだ提案がなされていて驚いた。ブース数が200以上用意されており、ショウでならではの大型システムで威風を轟かせるブースもあれば、リビングでも鳴らせそうなコンパクトシステム、デスクトップオーディオ、ヘッドホン再生なども用意されている。
それでも95%以上の部屋は「ステレオスピーカー」によるHiFiのシステムを展開。映像を絡めたものやマルチチャンネルの提案もゼロではないが、片手で数えられるほどに少ない。ピュアオーディオに特化したイベントであることを改めて感じさせてくれた。
ちなみに再生ソースで最も多いのは、いわゆる「ファイル再生」。レコードはそれなり、CD再生はわずか。ファイル再生もローカルファイル再生とストリーミング(主にqobuz。おそらくスポンサードの関係だと思われる)、roon活用と幅広い。部屋でタブレットを渡されて、好きな曲を選んでいいよ、と言われるのもなかなか楽しい。1部屋だけ「foobar2000」を使っていた部屋があって懐かしさに涙がこぼれそうになった。
いくつか気になったブースについて紹介しよう。1F入口入ってすぐの大きめの部屋には、Quintessence Audioという地元・シカゴのハイエンドショップが3つのブースを展開している。
一つ目は、Wilson Audioの「Alexx V」にダン・ダゴスティーノのプリ&モノラルパワーアンプ「Rentless pre Amp」「Relentless M800」を組み合わせた超弩級システム。アナログ再生系にはクリアオーディオとDS AUDIO、デジタル再生系にはdCSを組み合わせていた。ケーブル類もTransparentで統一しており、ざっくりお値段100万ドルというシステムだ。
これぞパワフルでマッシブ、表現力の高いスピーカーを強力なアンプできっちり駆動するオーディオならではの楽しさが全面に飛び出してくる。DS AUDIOの「Grand Master」シリーズの引き出しもさすがのもので、情報量の多い現代のレコード再生そのもののサウンドを奏でてくれる。
もう一つの部屋はソナス・ファベールの「Aida MkII」にBoulderのアンプ「3010 Pre Amp」「2150 mono power amp」というまた違った表現力を持ったシステム。男性ボーカルのセクシーや息遣いのニュアンス感はまさに格別だ。
3つめはもう少しコンパクトに、Wilson Audioの「Sasha V」にMOONの最新North Collectionから「891」(ストリーミング/DAC/プリ)と「861」(パワーアンプ)というトップグレードのシステムで再生。記者にとってMOONのコスタ氏は2019年に工場を訪問して以来の旧知の中で、「クラシカルなロックが聴きたい」と言うリクエストをすると、Marcinというギタリストの演奏を再生してくれた。
演者の纏う空気感の表現は見事で、ギタリストのわずかな指先の動きも鮮明に見えながら、全体的なステージングの豊かさまで引き出してくれる。ギターってこれほどにリッチな表現力を持っていたのか、と改めて感じさせてくれた。
また、“よく知っているけれど組み合わせによって意外な美点が見えた”のは、DYNAUDIO「Confidence 60」とOctaveの真空管アンプ「MRE 220 SE」の組み合わせ。チェロの透明感あるサウンド、音と音の「間」(無音部分)までも表現として抉り出すような細部への行き届いた配慮に、思わず椅子から立ち上がれなくなるほどの感動を覚えた。
エステロンの「Forza」が存外EDMに合う、ということも新鮮な発見だった。VITUS AUDIOのアンプを組み合わせ、ミラーボールでディスコ風の照明を輝かせながら聴くForzaはまた特別な時間。低域をしっかり出してくるのにもたつかず、高域は伸びやかで息苦しいところなど皆無。踊り出したくなるような音の喜びに溢れている。
エステロン創業者のアルフレッド氏もそれなりの年配の方と見受けられたが、EDMで一緒になって踊っているのもまた楽しい。「私たちはユニット、キャビネット、ネットワーク回路全てを日々アップデートしながら開発を続けています。日本市場にも期待しています」と力強いメッセージ。
もうひとつ、予想外の引き出しにハッとしたのはLINNのモノラルパワーアンプ「KLIMAX solo 800」とYG アコースティックの「Sonja 3.2」。YGの色気と粘り気のあるサウンドに、LINNの理知的に洗練されたニュアンスが加わるとなんとも言えず魅力的。360 PWABの完成度もさすがだが、他のスピーカーとも組み合わせて聴いてみたい、という思いが高まる。
ディーアンドエムホールディングスの親会社であり、傘下にBowers&Wilkins、CLASSE、POLK AUDIOなどを擁するMasimoも出展。メインスピーカーには「801 D4 Signature」を据えてCLASSEのプリ&パワーアンプで鳴らすという強力なシステムを展開している。Masimoの医療技術を応用したDENONの「Perl」「Perl Pro」も一緒に展示されていたもなかなかに興味深い。
日本国内ではほとんど見かけない「平面バッフル型」スピーカーや「ラインアレイ型」スピーカーを見かけたのもなかなかに新鮮。Porzilli Audioの「THE NOTE」と言うスピーカーは、超小型のフルレンジユニットを縦に40個以上並べ、サブウーファーとセットで使用するというラインアレイ型スピーカー。「スペック押し」なBenchmarkのDAC&アンプと組み合わせることで生まれる不思議なサウンドステージにも驚かされた。