• ブランド
    特設サイト
公開日 2006/03/09 17:01

TI、圧縮音声高音質化技術やバーチャルサラウンド技術など発表

  • Twitter
  • FaceBook
  • LINE

デモに使われたDSP
日本テキサスインスツルメンツ(日本TI)は、小口径スピーカーの音質や圧縮音声ファイルの音質を向上する2種類のアルゴリズムと、2スピーカーでバーチャルサラウンドを創出するアルゴリズムを開発。本日同社にて記者発表会を開催した。

発表した新技術は以下の3つ。


■低音域拡張技術

AV機器の薄型・小型化によるスピーカーの小型化で、低音再生能力が低下しているという現状を背景に開発された低音域の拡張技術。音響心理学で知られる“Missing Fundamental”という現象を利用した技術で、実際には再生されていない音を、その倍音を鳴らすことで聞こえているように錯覚させるというもの。本技術は、この倍音を発生させる「倍音発生器」が特長で、特許も取得しているという。

本技術によって拡張された低音は、実際の低周波として出力されてはいないので、集合住宅などで近隣にあたえる振動騒音も回避できるという。またTI製のDSPに最適化することで、高精度かつ低演算量を実現している。

発表会で行われたデモンストレーションでは、同技術により低音を拡張した音声を液晶テレビのスピーカーから再生。量感の増した低音をはっきりと確認することができた。

小型スピーカーは低域の再生が苦手

倍音である100,150,200Hzを再生することで50Hzも聞こえるという原理を利用

倍音発生器が独自技術



高域補完前(上)と補完後
■バンド幅拡張技術

MP3やWMAに代表される圧縮音声の高音域を原音に近い形まで補完する技術。圧縮音声は人間には聞こえづらい高音域をカットする傾向にあるが、この高音域を創り出し付加することで、原音のクリアな音声を再現する。

本技術は、カットされた音域を検出しその部分を創出した音声で補う。自然界で高域は倍音から成っていることから、本技術では中音域の倍音成分を複製し高音域を創出。これを滑らかに繋げることで、高域補完を実現する。

圧縮音声ファイルはカットオフ周波数が1曲の中で動くものもあるが、本技術ではこのカットオフ周波数をリアルタイムで追従するのが特長。常に適切な処理を行うように設計されている。また本技術はビットレートなどに依存しないため、テレビやラジオなどの圧縮音声以外の音声にも効果を発揮する。

圧縮音声は高域がカットされている

倍音成分を高域部分にコピー

本技術の概要



バーチャルスピーカー技術の概要
■バーチャルサラウンド技術

・バーチャルスピーカー技術
2本のスピーカーでマルチチャンネルサラウンドを実現するための新技術。従来のバーチャルスピーカー技術と同様に、右の音は右耳に、左の音は左耳にだけ届けるような音の打ち消し処理を行う技術だが、フィルタ設計に独自性を持たせた「周波数領域クロストーク相殺フィルタ設計法」を採用し、相殺すべき音声のみを相殺するのが特長だ。また、逆フィルタによるダイナミックレンジの低下を防ぐ「電力相補フィルタ」の採用も特長の一つ。

・バーチャルヘッドホン技術
ヘッドホンで臨場感のあるサラウンド再生を実現する技術。今回、仮想の聴取環境における音波反射パターンのシミュレーションを可能にする独自の「ルームモデル」を開発。任意のバーチャルスピーカー配置に対して、「ルームモデル」は動的にフィルタ係数を生成するのが特長だ。


TTCは日本の拠点の一つ

TTCの概要

TTCの高見澤センター長も発表会に出席

なお、今回の新アルゴリズムを開発したのは同社「筑波テクノロジーセンター(TTC)」。同センターは1991年に開設された「筑波R&Dセンター」が2000年にプロダクト・デザイン・グループを統合し活動を開始した機関で、アメリカ以外に初めてつくられたTIの研究・開発機関だ。


(Phile-web編集部)

この記事をシェアする

  • Twitter
  • FaceBook
  • LINE
クローズアップCLOSEUP
アクセスランキング RANKING
1 楽天ブラックフライデーでJBLの超人気サウンドバー「BAR 1000/800」が激安!プロも驚く革新的モデルはどんな音を鳴らす?
2 評論家が厳選!マランツ「MODEL M1」でPolk Audio/KEF/TAD/Harbethのスピーカーを鳴らす
3 ビクター新ワイヤレスヘッドホン「HA-S99N」速攻レビュー! 評論家が「もう驚きでしかない」と高評価した魅力とは?
4 ボーズ、McIntosh Groupを買収。マッキントッシュ、ソナス・ファベールが傘下に
5 レグザが100型クラス大画面4Kテレビを拡充する理由とは? 目黒蓮の特別コメントも
6 パナソニック「2023年度 優秀ご販売店様謝恩会」を開催。21店が栄誉に輝く
7 山之内 正氏によるエソテリック×アキュフェーズ×マランツ比較試聴会、「ハイエンドオーディオ&アクセサリーショウ2024」で開催
8 オーディオファイル待望の物量投入型プリメインアンプ!デノン「PMA-3000NE」をクオリティチェック
9 B&Wの音は “信頼に値する重要な指標”。音元出版の新試聴室に「802 D4」が導入されたワケ
10 新開発ユニットを巧みに操る懐深いサウンド。ELAC「Debut 3.0」フロア型/ブックシェルフ型を聴く
11/22 10:41 更新
MAGAZINE
音元出版の雑誌
オーディオアクセサリー193号
季刊・オーディオアクセサリー
最新号
Vol.194
オーディオアクセサリー大全2025~2026
別冊・ケーブル大全
別冊・オーディオアクセサリー大全
最新号
2025~2026
プレミアムヘッドホンガイドマガジン vol.22 2024冬
別冊・プレミアムヘッドホンガイドマガジン
最新号
Vol.22
プレミアムヘッドホンガイド Vol.32 2024 AUTUMN
プレミアムヘッドホンガイド
(フリーマガジン)
最新号
Vol.32(電子版)
VGP受賞製品お買い物ガイド 2024年冬版
VGP受賞製品お買い物ガイド
(フリーマガジン)
最新号
2024年夏版(電子版)
DGPイメージングアワード2024受賞製品お買い物ガイド(2024年冬版)
DGPイメージングアワード受賞製品お買い物ガイド
(フリーマガジン)
最新号
2024年冬版(電子版)
音元出版の雑誌 電子版 読み放題サービス
「マガジンプレミアム」お試し無料!

雑誌販売に関するお問合せ

WEB
  • PHILE WEB
  • PHILE WEB AUDIO
  • PHILE WEB BUSINESS
  • ホームシアターCHANNEL
  • デジカメCHANNEL
AWARD
  • VGP
  • DGPイメージングアワード
  • DGPモバイルアワード
  • AEX
  • AA AWARD
  • ANALOG GPX