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公開日 2007/04/24 15:02
1からわかるホームシアターづくり − 第3回:ホームシアターに必要な機器の選定ポイント
第1回ではコンセプトの固め方、第2回ではレイアウトのコツと、最低限必要な機器についてまとめた。第3回目となる今回は、前回お伝えした最低限必要な機器を選択する際にポイントとなることをおさらいしよう。
■スクリーン − 素材の違いが画質の違い 主流はマットタイプ
投写される映像を映し出す役割を担うスクリーンは、画質を大きく左右する。素材は反射率の違いによってマット、ビーズなどに分けられる。現在の主流は均一な拡散性を持つマットタイプ。可視範囲(サービスエリア)も広く、視聴位置で画質が変わらないのが魅力だ。
かつてはスクリーン側で明るさを補うようなゲインの高いスクリーンが好まれていたが、現在はプロジェクターの性能が向上し、輝度は以前と比べて確実に上がった。そのためスクリーンのゲイン値を過度に気にする必要はないだろう。
ビーズタイプのスクリーンを選ぶ場合、それぞれ反射特性が異なるため、プロジェクターの設置位置に注意することが大切だ。一般的にビーズは床置きに向いていると言われている。
設置スタイルとしては掛図式、巻上げ式、立ち上げ式、固定式(張り込み)などがあるが、本格派には固定式や巻上げ式がおすすめ。映画館のような雰囲気を味わいたい、視聴面いっぱいの大画面を楽しみたい、という方は、幕面に無数の穴を持ち、音響が透過するサウンドスクリーンを用いるのも手だ。映画館のようにスクリーンをスピーカーの前に配置することができる。
■プロジェクター − 液晶/DLP/LCOSの画づくりの違いを知る
プロジェクターは投射用デバイスの種類によって大きく3つに分けられる。「液晶プロジェクター」「DLPプロジェクター」「LCOS(D-ILA/SXRD)プロジェクター」だ。プロジェクターの心臓部であるデバイスの違いは、機械的構造のみならず、基本的な画のトーンにも影響してくる。必ず実際に視聴して選ぶこと。専門店の視聴スペースで体験して、自分の使用環境と好みにあったモデルを見つけよう。また、どの方式のものを選ぶとしても、投写距離と設置場所との関係だけは必ずチェックしておこう。
・液晶プロジェクター
RGB3枚の液晶パネルを利用して画像を表示する。手軽・簡単・コンパクトなホームプロジェクターとして、比較的低コストで自然な印象の画が得られるのが魅力だ。昨年末には、エプソン「EMP-TW1000」(製品データベース)やパナソニック「TH-AE1000」(製品データベース)、三菱電機「LVP-HC5000」(製品データベース)など、安価なフルHDモデルが登場してきた。
・DLPプロジェクター
DMDチップに敷き詰めたミラーの反射を利用して、画像を表示する。黒の表現性が高く、フィルムライクな画作りを得意とする。
単板式DLPプロジェクターは、構造上カラーブレーキングが起きやすいが、最近の製品ではカラーホイールを工夫するなどして、ほぼ実用上問題ないレベルに達している。また、DLPプロジェクターはかなり以前からフルHDモデルを世に送り出して来た実績がある。
・LCOSプロジェクター
透過型液晶デバイスを使用したもの。高開口率で光の利用効率が高いため、明るく、画素そのものをぐっと微細化でき、メッシュ感のない滑らかな映像が得られるのが特長だ。このタイプのプロジェクターは値段の高いハイエンドモデルが多いが、昨年末にはソニー「VPL-VW50」(製品データベース)、ビクター「DLA-HD1」(製品データベース)など、低価格かつ高画質なフルHDモデルも登場してきた。
■スピーカー − ブランドごとの個性を見極める
音の傾向のかなりの部分はスピーカーによって決まる。プレーヤーやアンプに比べてブランドによる個性の違いが大きく、キャビネットのサイズや形状によってもスケール感や重量感に違いが出てくる。専門店などの試聴ルームに聴き慣れたCDを持参し、同じ条件で複数のスピーカーを聴き比べてみて選ぼう。また、フロント、センター、リアの各スピーカーはなるべく同一ブランドで揃え、可能ならユニット構成が共通の同一シリーズで統一すると音のまとまりがよくなる。
埋め込みスピーカーはデザイン性や居住空間としての機能を損なうことなくホームシアターをインストールする上で魅力的な選択肢だ。天井に十分なスペースがあり、新改築時であれば、配線を壁裏や天井裏に通してすっきりと仕上げることができる。リアスピーカーやダイニング部、玄関などへの音楽配信用途などにも多く用いられている。
例えばリビングシアターなど、ホームシアターと生活空間とを両立させる場合、リアスピーカーやセンタースピーカーの置き場所の確保が難しいこともある。そんなとき候補に入れたいのが、前方スピーカーだけで立体音響を実現するフロントサラウンドシステムだ。これは最新のデジタル技術を応用して、聴覚の特性を活かしあらゆる方向に仮想音源を作り出すことができるもの。「ドルビーバーチャルスピーカー」「サウンドビーム」など、方式によって効果の大きさや特性が異なるので、用途に合わせて選択しよう。
また、最近のAVアンプにはバーチャルサラウンド機能を搭載しているものが多い。
■AVアンプ − 使い方に合わせてデコード機能を取捨選択
AVアンプは、5.1chなどマルチチャンネル再生にはかかせない存在。AVセンターとも呼ばれ、セレクターとしての役割も大きい。ディスプレイやオーディオ装置に多様化するAVソース機器を接続するホームシアターの要だ。ドルビーデジタルやDTSなどの各方式でエンコード(圧縮)されたマルチチャンネルのデジタル音声をデコード(解凍)し、アンプ部で増幅してスピーカーを駆動する。製品のグレードが高くなるほどデコードできるフォーマットやサラウンドモードの種類が増え、アンプのチャンネル数や出力数も多くなる傾向にある。
スピーカーを左右対称に置けない音響的に不利な条件で楽しむなら、音場を簡単にチューニングできるオートセットアップ機能があるものを選ぶとよいだろう。最近の製品は、ほとんどのモデルがこの機能を採用している。
■DVDレコーダー − 「手軽さ」か「クオリティ」か
単体プレーヤーよりも、録画もできるレコーダーの方が手軽だが、画質や音質のクオリティを重視するならレコーダーとプレーヤーを使い分けたい。 ディスクを再生する機能はレコーダーとプレーヤーの両方にあるが、プレーヤーは再生に特化した機構になっていて、それ以外の余分な回路がない。従って回路間で干渉なども起こらず、画質や音質の面ではレコーダーより有利になると一般的に言われている。
さあ、機器の選定を知り、自分が必要とする機器の目処がついてきただろうか? 次回はホームシアターが完成するまでの流れを見ていこう。
■スクリーン − 素材の違いが画質の違い 主流はマットタイプ
投写される映像を映し出す役割を担うスクリーンは、画質を大きく左右する。素材は反射率の違いによってマット、ビーズなどに分けられる。現在の主流は均一な拡散性を持つマットタイプ。可視範囲(サービスエリア)も広く、視聴位置で画質が変わらないのが魅力だ。
かつてはスクリーン側で明るさを補うようなゲインの高いスクリーンが好まれていたが、現在はプロジェクターの性能が向上し、輝度は以前と比べて確実に上がった。そのためスクリーンのゲイン値を過度に気にする必要はないだろう。
ビーズタイプのスクリーンを選ぶ場合、それぞれ反射特性が異なるため、プロジェクターの設置位置に注意することが大切だ。一般的にビーズは床置きに向いていると言われている。
設置スタイルとしては掛図式、巻上げ式、立ち上げ式、固定式(張り込み)などがあるが、本格派には固定式や巻上げ式がおすすめ。映画館のような雰囲気を味わいたい、視聴面いっぱいの大画面を楽しみたい、という方は、幕面に無数の穴を持ち、音響が透過するサウンドスクリーンを用いるのも手だ。映画館のようにスクリーンをスピーカーの前に配置することができる。
■プロジェクター − 液晶/DLP/LCOSの画づくりの違いを知る
プロジェクターは投射用デバイスの種類によって大きく3つに分けられる。「液晶プロジェクター」「DLPプロジェクター」「LCOS(D-ILA/SXRD)プロジェクター」だ。プロジェクターの心臓部であるデバイスの違いは、機械的構造のみならず、基本的な画のトーンにも影響してくる。必ず実際に視聴して選ぶこと。専門店の視聴スペースで体験して、自分の使用環境と好みにあったモデルを見つけよう。また、どの方式のものを選ぶとしても、投写距離と設置場所との関係だけは必ずチェックしておこう。
・液晶プロジェクター
RGB3枚の液晶パネルを利用して画像を表示する。手軽・簡単・コンパクトなホームプロジェクターとして、比較的低コストで自然な印象の画が得られるのが魅力だ。昨年末には、エプソン「EMP-TW1000」(製品データベース)やパナソニック「TH-AE1000」(製品データベース)、三菱電機「LVP-HC5000」(製品データベース)など、安価なフルHDモデルが登場してきた。
・DLPプロジェクター
DMDチップに敷き詰めたミラーの反射を利用して、画像を表示する。黒の表現性が高く、フィルムライクな画作りを得意とする。
単板式DLPプロジェクターは、構造上カラーブレーキングが起きやすいが、最近の製品ではカラーホイールを工夫するなどして、ほぼ実用上問題ないレベルに達している。また、DLPプロジェクターはかなり以前からフルHDモデルを世に送り出して来た実績がある。
・LCOSプロジェクター
透過型液晶デバイスを使用したもの。高開口率で光の利用効率が高いため、明るく、画素そのものをぐっと微細化でき、メッシュ感のない滑らかな映像が得られるのが特長だ。このタイプのプロジェクターは値段の高いハイエンドモデルが多いが、昨年末にはソニー「VPL-VW50」(製品データベース)、ビクター「DLA-HD1」(製品データベース)など、低価格かつ高画質なフルHDモデルも登場してきた。
■スピーカー − ブランドごとの個性を見極める
音の傾向のかなりの部分はスピーカーによって決まる。プレーヤーやアンプに比べてブランドによる個性の違いが大きく、キャビネットのサイズや形状によってもスケール感や重量感に違いが出てくる。専門店などの試聴ルームに聴き慣れたCDを持参し、同じ条件で複数のスピーカーを聴き比べてみて選ぼう。また、フロント、センター、リアの各スピーカーはなるべく同一ブランドで揃え、可能ならユニット構成が共通の同一シリーズで統一すると音のまとまりがよくなる。
埋め込みスピーカーはデザイン性や居住空間としての機能を損なうことなくホームシアターをインストールする上で魅力的な選択肢だ。天井に十分なスペースがあり、新改築時であれば、配線を壁裏や天井裏に通してすっきりと仕上げることができる。リアスピーカーやダイニング部、玄関などへの音楽配信用途などにも多く用いられている。
例えばリビングシアターなど、ホームシアターと生活空間とを両立させる場合、リアスピーカーやセンタースピーカーの置き場所の確保が難しいこともある。そんなとき候補に入れたいのが、前方スピーカーだけで立体音響を実現するフロントサラウンドシステムだ。これは最新のデジタル技術を応用して、聴覚の特性を活かしあらゆる方向に仮想音源を作り出すことができるもの。「ドルビーバーチャルスピーカー」「サウンドビーム」など、方式によって効果の大きさや特性が異なるので、用途に合わせて選択しよう。
また、最近のAVアンプにはバーチャルサラウンド機能を搭載しているものが多い。
■AVアンプ − 使い方に合わせてデコード機能を取捨選択
AVアンプは、5.1chなどマルチチャンネル再生にはかかせない存在。AVセンターとも呼ばれ、セレクターとしての役割も大きい。ディスプレイやオーディオ装置に多様化するAVソース機器を接続するホームシアターの要だ。ドルビーデジタルやDTSなどの各方式でエンコード(圧縮)されたマルチチャンネルのデジタル音声をデコード(解凍)し、アンプ部で増幅してスピーカーを駆動する。製品のグレードが高くなるほどデコードできるフォーマットやサラウンドモードの種類が増え、アンプのチャンネル数や出力数も多くなる傾向にある。
スピーカーを左右対称に置けない音響的に不利な条件で楽しむなら、音場を簡単にチューニングできるオートセットアップ機能があるものを選ぶとよいだろう。最近の製品は、ほとんどのモデルがこの機能を採用している。
■DVDレコーダー − 「手軽さ」か「クオリティ」か
単体プレーヤーよりも、録画もできるレコーダーの方が手軽だが、画質や音質のクオリティを重視するならレコーダーとプレーヤーを使い分けたい。 ディスクを再生する機能はレコーダーとプレーヤーの両方にあるが、プレーヤーは再生に特化した機構になっていて、それ以外の余分な回路がない。従って回路間で干渉なども起こらず、画質や音質の面ではレコーダーより有利になると一般的に言われている。
さあ、機器の選定を知り、自分が必要とする機器の目処がついてきただろうか? 次回はホームシアターが完成するまでの流れを見ていこう。