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公開日 2008/01/08 19:44
松下電器、次世代プラズマディスプレイのための新技術“Neo PDP”を発表
松下電器産業(株)は、米国で開催中のCES2008会場でも発表された次世代プラズマディスプレイ向け新技術「Neo PDP」の記者発表会を同社の尼崎工場で開催し、超大型150V型PDPの試作機などを展示した。
今回同社が発表した「Neo PDP」は、新材料と新プロセス技術の開発や、セル設計技術、駆動回路技術など、これまでのPDP技術を抜本的に見直すことによって実現された新技術である。殊に、従来から約2倍にプラズマディスプレイパネルの発光効率を向上させたという「高発光効率化技術」については、デバイスの低消費電力化だけでなく、将来的なPDPの大画面化・高画質化・薄型化にも結びつけることのできる画期的な基幹技術であるという。
本日の発表会場には新技術を応用した3種類の試作機が展示され、それぞれの技術に関する特徴を同社パナソニックAVCネットワークス社 映像・ディスプレイデバイス事業グループ PDPデバイスBU PDPモジュール技術グループ グループマネージャーの辻原進氏が説明した。
コア技術となる「高発光効率化技術」のデモは、これを組み込んだ42V型フルHDディスプレイの試作機と現行モデルとの比較で行われた。本技術については、蛍光体などの新材料の開発に加え、放電効率を向上させる新放電ガスやセル設計の技術、ならびに電力ロスを大幅に削減する新回路駆動方式の、3つの主要ファクターにより実現された。試作機では、現行機種と同じ輝度の映像を約半分の消費電力で実現するデモが行われた。また本技術ではピーク輝度の向上が図れることから、映像の高画質化・高精細化なども同時に可能になるという。なお、今回展示された試作機では約30,000対1のコントラスト値が実現されている。
世界最大サイズとなる150V型の超大型PDP試作機も紹介された。本機の画面サイズは横幅が3,317.7mm、高さが1,874.8mmと、その縦幅には等身大の人物の映像を映し出すこともできてしまうほどの迫力だ。さらに画素数は水平4,096×垂直2,160の4K2K対応としながら、新開発の「超高速駆動技術」により、103V型モデルと同等の高輝度が実現されている。コントラスト値は10,000対1。
本機に用いられた超大型パネルには、同社の103V型モデルで培われた超大型パネル形成技術をさらに進化させ、150V型クラスの超大画面のリブや電極を均一に形成できるプロセス技術が導入されている。これにより、50V型のパネルが9枚取れるという超大画面の全画素において、放電の均一性や安定性を確保できるという。
さらにもう一つの試作機として、フルフラット形状で24.7mmの厚さを実現したフルHD対応の50V型プラズマディスプレイも展示された。この奥行きサイズについては、現行機種「TH-50PZ750SK」の約1/4となり、質量では同比で約1/2と、軽量化も合わせて実現できている。本試作機については、駆動電圧や電力ロスの低減により回路を小型化したほか、パネル構造や回路レイアウトの大幅な見直しによりパネルの薄型化・軽量化を図り実現した。
同社では本技術を次世代PDPに活かして行くことにより、壁掛けや天吊りなどPDPの新しい視聴スタイルを提案していく考えだ。またCES2008会場に出展しているフルHD映像の非圧縮無線伝送を実現した「WirelessHD」対応の無線伝送システムと組み合わせによる、レイアウトフリーなハイビジョン映像の楽しみ方がPDPで可能になることも合わせて訴求している。
本日の記者発表会に登壇した同社理事 パナソニックAVCネットワークス社 映像・ディスプレイデバイス事業グループ PDPデバイスビジネスユニット長の長野寛之氏は新技術にかける意気込みを語り、「昨今のテレビの大型化・薄型化は当初の予想をはるかに上回るスピードで進んでいるが、今後も世界的な成長が続くであろう市場の中で、当社は“Neo PDP”の技術を軸に勝ち抜いていきたい」と、PDPを軸にした技術進化の可能性を強調した。
以下に本日の会場で行われた質疑応答の模様を掲載する。
【質疑応答】
Q:今回の展示試作機が商品化される時期の見通しは。
A:150V型の大型モデルは尼崎第5工場が稼動を予定している2009年以降が目処。薄型モデルは2009年から2010年頃を目標にしている。
Q:150V型の需要はどの程度と見ているか。また既に商品化されている103V型の販売実績はどれほどか。
A:150V型の需要についてはまだはっきりとはわからないが、今後も業務用、パーソナルユースの両方について探っていきたい。103V型の実績については、2006年度で約1000台を販売した。本年度は約3000台を見込んでおり、今後さらに増やしたいと考えている。
Q:今回の技術による製造コストへの効果をどのように考えるか。
A:高効率化できるということは、消費電力が少なくなるということなので、電気部品の様々な合理化に結びつくと考えている。製造コスト的には削減できる方向に向かうものと期待している。これをいかにして商品に反映させていくかということについては、今後検討していきたい。
Q:昨今は液晶テレビの人気が高まりつつあるが、尼崎第5工場を含む松下電器のPDP戦略に変更はないか。
A:工場の建設は当初の予定通り順調に進んでおり、変更する予定は全くないと考えている。当社は今回の技術発表により、PDPはまだまだ進化するデバイスであり、新しいニーズを掘り起こせることを強くアピールしたいと考えている。新しい技術は第5工場に反映させていくと同時に、既存の工場で生産されているPDP関連のデバイスにも横展開して行きたい。
Q:今回の技術はAPDC(次世代PDP開発センター)の技術をベースに開発しているのか、あるいは松下電器の独自開発によるものなのか。
A:APDCの様々な知見は参加各社でで共有化しているものだが、今回はその知見をベースにしながら、新しい材料の開発など独自に挑戦したということだ。
Q:パイオニアが今年のCESで発表した最薄部9mmのプラズマディスプレイ技術(関連ニュース)については、御社でも実現が可能なのか。
A:最薄部でならば可能だ。ただ当社としては、ディスプレイデバイスとしてのトータルの厚みこそが重要であると考えている。
【問合せ先】
松下電器産業(株)
コーポレートコミュニケーション本部 広報グループ
TEL/03-3436-2621、06-6908-0447
(Phile-web編集部)
今回同社が発表した「Neo PDP」は、新材料と新プロセス技術の開発や、セル設計技術、駆動回路技術など、これまでのPDP技術を抜本的に見直すことによって実現された新技術である。殊に、従来から約2倍にプラズマディスプレイパネルの発光効率を向上させたという「高発光効率化技術」については、デバイスの低消費電力化だけでなく、将来的なPDPの大画面化・高画質化・薄型化にも結びつけることのできる画期的な基幹技術であるという。
コア技術となる「高発光効率化技術」のデモは、これを組み込んだ42V型フルHDディスプレイの試作機と現行モデルとの比較で行われた。本技術については、蛍光体などの新材料の開発に加え、放電効率を向上させる新放電ガスやセル設計の技術、ならびに電力ロスを大幅に削減する新回路駆動方式の、3つの主要ファクターにより実現された。試作機では、現行機種と同じ輝度の映像を約半分の消費電力で実現するデモが行われた。また本技術ではピーク輝度の向上が図れることから、映像の高画質化・高精細化なども同時に可能になるという。なお、今回展示された試作機では約30,000対1のコントラスト値が実現されている。
世界最大サイズとなる150V型の超大型PDP試作機も紹介された。本機の画面サイズは横幅が3,317.7mm、高さが1,874.8mmと、その縦幅には等身大の人物の映像を映し出すこともできてしまうほどの迫力だ。さらに画素数は水平4,096×垂直2,160の4K2K対応としながら、新開発の「超高速駆動技術」により、103V型モデルと同等の高輝度が実現されている。コントラスト値は10,000対1。
本機に用いられた超大型パネルには、同社の103V型モデルで培われた超大型パネル形成技術をさらに進化させ、150V型クラスの超大画面のリブや電極を均一に形成できるプロセス技術が導入されている。これにより、50V型のパネルが9枚取れるという超大画面の全画素において、放電の均一性や安定性を確保できるという。
さらにもう一つの試作機として、フルフラット形状で24.7mmの厚さを実現したフルHD対応の50V型プラズマディスプレイも展示された。この奥行きサイズについては、現行機種「TH-50PZ750SK」の約1/4となり、質量では同比で約1/2と、軽量化も合わせて実現できている。本試作機については、駆動電圧や電力ロスの低減により回路を小型化したほか、パネル構造や回路レイアウトの大幅な見直しによりパネルの薄型化・軽量化を図り実現した。
同社では本技術を次世代PDPに活かして行くことにより、壁掛けや天吊りなどPDPの新しい視聴スタイルを提案していく考えだ。またCES2008会場に出展しているフルHD映像の非圧縮無線伝送を実現した「WirelessHD」対応の無線伝送システムと組み合わせによる、レイアウトフリーなハイビジョン映像の楽しみ方がPDPで可能になることも合わせて訴求している。
以下に本日の会場で行われた質疑応答の模様を掲載する。
【質疑応答】
Q:今回の展示試作機が商品化される時期の見通しは。
A:150V型の大型モデルは尼崎第5工場が稼動を予定している2009年以降が目処。薄型モデルは2009年から2010年頃を目標にしている。
Q:150V型の需要はどの程度と見ているか。また既に商品化されている103V型の販売実績はどれほどか。
A:150V型の需要についてはまだはっきりとはわからないが、今後も業務用、パーソナルユースの両方について探っていきたい。103V型の実績については、2006年度で約1000台を販売した。本年度は約3000台を見込んでおり、今後さらに増やしたいと考えている。
Q:今回の技術による製造コストへの効果をどのように考えるか。
A:高効率化できるということは、消費電力が少なくなるということなので、電気部品の様々な合理化に結びつくと考えている。製造コスト的には削減できる方向に向かうものと期待している。これをいかにして商品に反映させていくかということについては、今後検討していきたい。
Q:昨今は液晶テレビの人気が高まりつつあるが、尼崎第5工場を含む松下電器のPDP戦略に変更はないか。
A:工場の建設は当初の予定通り順調に進んでおり、変更する予定は全くないと考えている。当社は今回の技術発表により、PDPはまだまだ進化するデバイスであり、新しいニーズを掘り起こせることを強くアピールしたいと考えている。新しい技術は第5工場に反映させていくと同時に、既存の工場で生産されているPDP関連のデバイスにも横展開して行きたい。
Q:今回の技術はAPDC(次世代PDP開発センター)の技術をベースに開発しているのか、あるいは松下電器の独自開発によるものなのか。
A:APDCの様々な知見は参加各社でで共有化しているものだが、今回はその知見をベースにしながら、新しい材料の開発など独自に挑戦したということだ。
Q:パイオニアが今年のCESで発表した最薄部9mmのプラズマディスプレイ技術(関連ニュース)については、御社でも実現が可能なのか。
A:最薄部でならば可能だ。ただ当社としては、ディスプレイデバイスとしてのトータルの厚みこそが重要であると考えている。
【問合せ先】
松下電器産業(株)
コーポレートコミュニケーション本部 広報グループ
TEL/03-3436-2621、06-6908-0447
(Phile-web編集部)