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公開日 2009/01/11 12:12
見えてきた2009年の薄型大画面テレビのトレンド
折原一也のCES2009レポート
International CES 2009の会場ブースを取材していると、今年も主役は相変わらず「薄型大画面テレビ」だと感じる。しかも最大サイズ競争よりも幅広い側面のアピールを始めている。会場で展示されているものを通して、2009年のテレビのトレンドを簡単にまとめてみよう。
■キーワードは「動画性能向上」「部分駆動LEDバックライト」
薄型大画面テレビの画質向上ポイントは、「動画性能のさらなる向上」「部分駆動LEDバックライトの搭載」をあげたい。動画性能の向上は、昨年のソニーBRAVIA W1シリーズが搭載した240Hz駆動技術に端を発したもので、パナソニック、東芝、さらにLG電子、サムスンなど韓国勢まで240Hz駆動のデモを実施していた。また、長らく動画性能については新技術のなかったPDPにも、1080本の垂直解像度を達成する技術が登場した。
部分駆動LEDバックライトの技術にいたっては各社のブースでコントラスト比100万対1以上のデモを実施している。価格はともかくとして、2009年はどのメーカーからこれら技術に対応したモデルが登場してもおかしくない。
独自の高画質技術という点では、やはり東芝の「CELL TV」が気を吐く。CELL TVは、北米版モデルの60V型以上は4K2Kパネルを搭載した世界初の民生用テレビとして、画面を4分割して「Resolution+」(超解像技術)を用いている点でも新しい。50インチクラスで発売するという日本国内版では4K2Kパネルモデルの登場はお預けになるかもしれないが、それを差し引いても2009年ハイエンド機の画質は、東芝の技術に期待せずにはいられない。
余談ではあるが、有機EL、SEDなどの次世代ディスプレイ技術は、ソニーの21V型モデルとLGのプロトタイプのみ展示であった。画質のポテンシャルは高いとは言え、液晶、PDPの高画質化が進んだ今となっては、性能と価格との間で折り合いを付けることがますます難しくなっているのではないだろうか。
■「WirelessHD」で新設置スタイルを実現
米国という開催地ゆえか、日米間の違いという意味で印象的だったのは、設置性を強調したデモの少なさだ。
2008年のCEATECでは、「レイアウトフリー」は一大ブームと言ってもよいほどにスペースを占めていた。例えば、各社が壁寄せスタンドなどのラインナップを行い、超薄型競争と同時に設置の可能性、さらにインテリア化を進めていたのが印象的だった。
これに対してCES 2009は、超薄型の展示こそあるものの設置スタンドの展示はあまり見られない。やはり日米の住環境の違いゆえだろう。新技術の「WirelessHD」の技術は国内外メーカー各所で見ることができた。
■テレビの新しい視聴スタイルを実現するWidgetがブーム
北米ならではの進化としては、「Widget」は一つのブームとなりそうだ。これは気軽に追加できるアプリケーションのようなもので、テレビ視聴をしながら操作するネットワーク対応アプリという意味では、ソニーBRAVIAの搭載する「アプリキャスト」に近い。
北米では、Yahoo!などによる家電向けWidgetのオープン化を進めており、東芝、サムスン、LGで共通して使える。実際に使用してみると単にニュースなどのみならず映像配信のインタフェースまでWidget化しており、使い勝手も良さそうに見えた。米パナソニック、米シャープなどは自社展開、日本は「アクトビラ」などブラウザベースと方向性は様々だが、Widgetのエンジンが浸透すれば日本でも新しい形での操作性が提供されるかもしれない。
■低消費電力・モーションセンサーなどエコ展示も盛ん
最後に、会場のあちこちで見られたエコ関連の展示を挙げたい。大部分が液晶のLEDバックライトや開口率のコントロールなどで発光を調整するものであったが、注目はHCFL(Hot Cathode Fluorescent Lamp)方式のバックライトで、40%の消費電力限を可能とした。さらにモーションセンサーによって30分以上部屋を離れると自動でディスプレイをオフにする機能(人を検知すると自動復帰)、消費電力ゼロで待機するエコスイッチも備えている。
消費電力減は従来から行われてきた取り組み。テレビ関連メーカーのブースはどこを回ってもエコに関連する展示をおこない、取り組みをアピールする動きが見られた。米国ではオバマ次期大統領のグリーンニューディール構想もあり、改めてエコという視点が強調されるようになるかもしれない。
CEATECで展示されていたものが多いとの前評判もあったCES 2009だが、テレビの新技術を中心として様々な方向性での進歩を見ることができた。今回取り上げた以外には、実は3D関連技術の展示が各所に揃い今年最大のキーワードとなっていた。こちらについては後ほどお伝えしよう。
■キーワードは「動画性能向上」「部分駆動LEDバックライト」
薄型大画面テレビの画質向上ポイントは、「動画性能のさらなる向上」「部分駆動LEDバックライトの搭載」をあげたい。動画性能の向上は、昨年のソニーBRAVIA W1シリーズが搭載した240Hz駆動技術に端を発したもので、パナソニック、東芝、さらにLG電子、サムスンなど韓国勢まで240Hz駆動のデモを実施していた。また、長らく動画性能については新技術のなかったPDPにも、1080本の垂直解像度を達成する技術が登場した。
部分駆動LEDバックライトの技術にいたっては各社のブースでコントラスト比100万対1以上のデモを実施している。価格はともかくとして、2009年はどのメーカーからこれら技術に対応したモデルが登場してもおかしくない。
独自の高画質技術という点では、やはり東芝の「CELL TV」が気を吐く。CELL TVは、北米版モデルの60V型以上は4K2Kパネルを搭載した世界初の民生用テレビとして、画面を4分割して「Resolution+」(超解像技術)を用いている点でも新しい。50インチクラスで発売するという日本国内版では4K2Kパネルモデルの登場はお預けになるかもしれないが、それを差し引いても2009年ハイエンド機の画質は、東芝の技術に期待せずにはいられない。
余談ではあるが、有機EL、SEDなどの次世代ディスプレイ技術は、ソニーの21V型モデルとLGのプロトタイプのみ展示であった。画質のポテンシャルは高いとは言え、液晶、PDPの高画質化が進んだ今となっては、性能と価格との間で折り合いを付けることがますます難しくなっているのではないだろうか。
■「WirelessHD」で新設置スタイルを実現
米国という開催地ゆえか、日米間の違いという意味で印象的だったのは、設置性を強調したデモの少なさだ。
2008年のCEATECでは、「レイアウトフリー」は一大ブームと言ってもよいほどにスペースを占めていた。例えば、各社が壁寄せスタンドなどのラインナップを行い、超薄型競争と同時に設置の可能性、さらにインテリア化を進めていたのが印象的だった。
これに対してCES 2009は、超薄型の展示こそあるものの設置スタンドの展示はあまり見られない。やはり日米の住環境の違いゆえだろう。新技術の「WirelessHD」の技術は国内外メーカー各所で見ることができた。
■テレビの新しい視聴スタイルを実現するWidgetがブーム
北米ならではの進化としては、「Widget」は一つのブームとなりそうだ。これは気軽に追加できるアプリケーションのようなもので、テレビ視聴をしながら操作するネットワーク対応アプリという意味では、ソニーBRAVIAの搭載する「アプリキャスト」に近い。
北米では、Yahoo!などによる家電向けWidgetのオープン化を進めており、東芝、サムスン、LGで共通して使える。実際に使用してみると単にニュースなどのみならず映像配信のインタフェースまでWidget化しており、使い勝手も良さそうに見えた。米パナソニック、米シャープなどは自社展開、日本は「アクトビラ」などブラウザベースと方向性は様々だが、Widgetのエンジンが浸透すれば日本でも新しい形での操作性が提供されるかもしれない。
■低消費電力・モーションセンサーなどエコ展示も盛ん
最後に、会場のあちこちで見られたエコ関連の展示を挙げたい。大部分が液晶のLEDバックライトや開口率のコントロールなどで発光を調整するものであったが、注目はHCFL(Hot Cathode Fluorescent Lamp)方式のバックライトで、40%の消費電力限を可能とした。さらにモーションセンサーによって30分以上部屋を離れると自動でディスプレイをオフにする機能(人を検知すると自動復帰)、消費電力ゼロで待機するエコスイッチも備えている。
消費電力減は従来から行われてきた取り組み。テレビ関連メーカーのブースはどこを回ってもエコに関連する展示をおこない、取り組みをアピールする動きが見られた。米国ではオバマ次期大統領のグリーンニューディール構想もあり、改めてエコという視点が強調されるようになるかもしれない。
CEATECで展示されていたものが多いとの前評判もあったCES 2009だが、テレビの新技術を中心として様々な方向性での進歩を見ることができた。今回取り上げた以外には、実は3D関連技術の展示が各所に揃い今年最大のキーワードとなっていた。こちらについては後ほどお伝えしよう。