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公開日 2009/07/10 11:50

クラムボンが新曲をDRMフリーのWAV配信でリリース − パイオニア「PDX-Z10」を使った先行試聴会を開催

音楽ダウンロードサイト「レコミュニ」が24bit/48kHzで提供
Phile-web編集部
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(株)レコミュニは、同社が運営するDRMフリーの音楽ダウンロードサイト「レコミュニ」(http://recommuni.jp)にて、クラムボンの約2年ぶりとなるオリジナルの新曲「NOW!!!」を24bit/48kHzのWAV形式で独占販売する。8月からの販売に先立ち、パイオニアのミュージックレシーバー「PDX-Z10」(製品データベース)を用いた先行試聴会を9日に開催した。


パイオニアのミュージックレシーバー「PDX-Z10」

クラムボンのミトさんもレコーディングスタジオから参加
「レコミュニ」では、インディーズの音源を中心に、HDDやiPodなどのデジタルオーディオプレーヤーに自由に転送できるDRMフリーの音楽配信を行っている。配信形式はWAVとMP3の2種類で、MP3は楽曲によって異なるが192kbpsを上限とした可変ビットレート方式で提供しているという。

「NOW!!!」は09年8月1日より1ヶ月間、24bit/48kHzのWAV形式で配信する。価格は300円。9月1日からはMP3(128kbps)でも200円で販売を開始する。

マスター音源に近いクオリティの楽曲をDRMフリーで提供する高音質音楽配信サービスは「LINN RECORDS http://www.linnrecords.com/」や「KRIPTON HQM STORE http://hqm-store.com/」(関連ニュース)等で既に行われているが、入手できる音源はジャズやクラシックが中心だった。同社によるとクラムボンのようなメジャーなアーティストが24bit/48KHzで配信を行うというのは日本では初めての試みで、海外でも稀なケースだという。

本日の試聴会はパイオニアのショールーム「STUDIO HINOKI」にて開催。ミュージックレシーバー「PDX-Z10」(製品データベース)、スピーカーシステム「TAD-R1」を用い、AVアンプ「SC-LX90」のプリ部とPass LabのパワーアンプでWAV形式の「NOW!!!」の再生が行われた。


試聴会ではパイオニアのフラグシップスピーカー「TAD-R1」で「NOW!!!」を再生した

24bit/48KHzの「NOW!!!」の出来映えに笑顔をのぞかせるミトさん
「PDX-Z10」はSACD、CD、CD-R/-RWのディスク再生に加え、USB端子経由でのWMA/MP3/MPEG-4 AAC/WAV/FLACファイル再生が可能。iPodのデジタル入力にも対応する。さらにLAN端子を装備しており、DLNAでPC内の音楽ファイルを再生したり、インターネットラジオを聴くこともできる。PDX-Z10のネットワーク機能に注目したレコミュニのシニア・プロデューサー・高橋健太郎氏がパイオニアに協力を依頼し、今回の試聴会が実現したという。

試聴時にはクラムボンのミトさんも小淵沢のレコーディングスタジオからskypeを通して参加。レコーディング時点では配信でリリースするということは決まっておらず、24bit/48kHz用の特別な録音手法やマスタリングは行わなかったというが、「配信用のWAVの音質を聴いて、情報量がCDとは違うと感じた。音楽の感動や楽しさを提供できると思うと制作者としてもやる気がでるし嬉しい」とコメント。16bit/44.1kHzというCDが収録できるキャパシティを越えて、よりマスターに近い音源をリスナーに提供できることに制作者として手応えを感じている様子だった。


会場には「PDX-Z10」が3台用意された。写真はスピーカー「S-81B-LR 」との組み合わせ

「PDX-Z10」にピュアモルトスピーカー「S-PM300」を組み合わせた

■アーティスト、レーベル、リスナー、ハードメーカーと協力し音楽の楽しさを伝えたい
音楽ダウンロードサイト「レコミュニ」の取り組み


試聴会では(株)レコミュニ代表取締役の竹中直純氏、シニア・プロデューサーで音楽プロデューサーとしても活躍する高橋健太郎氏が出席し、レコミュニのサービスや取り組みなどを説明した。

レコミュニは、04年に設立した音楽ダウンロードサイト。設立当初は一般ユーザーが自身の作品をアップロードできる音楽SNSの提供が中心だったが、07年にリニューアルを実施。“読む、聴く、買う”という新コンセプトのもと、音楽配信を行いながら音楽ライターによる注目アーティストのインタビュー記事などコンテンツを増強し展開してきた。そのなかで徐々にアーティストとのコミュニケーションを図れるようになり、クラムボンのようなメジャーアーティストとの取り組みが実現したという。


(株)レコミュニ 代表取締役 竹中直純氏
竹中氏は「日本で音楽配信サイトを運営しようとすると著作権の問題が必ずつきまとう。レコミュニでは違法にならない形で、我々の対価よりも音楽の楽しさをユーザーに伝えることを第一に運営している。配信形式や価格等の規定も我々は口をはさまず、アーティスト側の希望に沿った形で行っている」と運営方針を説明する。


(株)レコミュニ シニア・プロデューサー 高橋健太郎氏
また高橋氏は「シングルCDの市場が減少傾向にある中で、レコード会社側も新曲のプロモーションを大きく打ち出せない状況がある。そんな中で、今回のクラムボンのように、どうせなら配信のみで新曲をリリースしようと戦略的に配信を利用するレコード会社もこれから増えてくるのではないか」と予測する。

また「配信でモノを届けるということは、ディスクの枠に縛られないというメリットがある。例えばCDアルバムに収録しきれなかったトラックを配信したり、CDアルバムのジャケットは12ページだが、配信では50ページのブックレットを提供するなど作り手のモチベーションによっていくらでも面白い取り組みが自由に行え、アーティスト側からも要望がある。このようなデジタルボックスという手法も提案できれば」と新しい取り組みを考えていることも明らかにした。

レコミュニの今後のWAVでの配信は、ムーンライダーズの新曲やゴンチチのライブ音源などが決定している。

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