• ブランド
    特設サイト
公開日 2010/03/19 11:21

「torne」の“録画機能”をじっくり使い込んだ − ケースイが導入速報をお届け【録画・ネットワーク編】

使い勝手の善し悪しが見えてきた
レビュー:鈴木桂水
  • Twitter
  • FaceBook
  • LINE
自腹で買ったtorneを存分に使ってみた。まず録画については、想像の範囲内で機能し、快適操作の番組表を使いながら次々と録画予約ができる。


番組録画中のtorne。フロントのイルミネーションが赤色に点灯する
気になったのが番組情報の表示方法だ。番組表で見つけた番組の内容を確認したい場合は、サブメニューを呼び出してから、さらに十時キーを使って番組情報を表示させることになる。これは不便なので、できれば知りたい情報へ一発でアクセスできるように、あとでセッティングメニューから「○×△□」ボタンもしくは「LR」ボタンに割り振るべきだろう。

録画予約に関してはシングルチューナーゆえの不便さが常につきまとう。録画の仕様は予約番組の前に放送中の番組を予約してしまうとそちらが優先され、予約番組は録画されない。使い勝手の善し悪しは一概に割り切れないことはわかっているが、放送中の番組を思いつきで録画した場合と、予定を入れて録画した場合では、録画予約の方を優先したほうが良いように筆者は思う。番組表が快適なだけに、“録画が弾む”のだが、それ故にシングルチューナーの不便さがユーザーを悩ませるはずだ。

まず先に13時5分から13時20分の番組を予約した

次に13時55分まで放送されている放送中の番組を録画


すると予約に関しての警告画面が出る。ここで予約を決定した

ちなみに録画番組のリストから録画中の番組を再生しようとすると警告が出て見られない


予約リストを見ると、録画中の番組と予約が重なっている注意書きが表示される。この画面で予約取り消しができればいいのだが、残念ながら一度この画面を抜けて、番組表から予約削除をしなければならない

torneのHDDに録画した番組はPSPに転送して視聴できる。筆者はソニーのBDレコーダーが搭載する「おでかけ転送」のいような使い勝手だと思っていたのだが、以外と不便だったので、ちょとガッカリした。BDレコーダーのおでかけ転送の参考記事は筆者連載の過去記事を参照していただきたい。

torneに録画した番組をPSPに持ち出すには、まずPS3とPSPを接続しなければならない。それから転送する番組を選んで動画変換を行ったのち、PSPに保存される。この場合「ダビング10」のルールに従い、torne上の番組のダビング数は「-1」になる。問題は変換中もPSPの電源を入れて接続する必要があるということ。途中でPSPのバッテリーが切れたら転送は失敗してしまう。PSPにACアダプターを挿せば問題ないが、その間PSPが使えないのは不便だ。

BDレコーダーのBDZシリーズの場合は、録画しながら持ち出し用の動画ファイルを作成するので、待ち時間は不要。それでも「レコーダー2」で録画した番組に関しては、リアルタイム変換ができないので、実時間でも変換が発生する。しかしながら、こんな場合でもPSP本体が接続されていなくても、先に変換だけを行ってHDD上に保存できるのでPSPをムダに接続しなくて済む。ほかに、メモリースティック専用リーダライター「MSAC-US40」があればメモステに直接、動画を転送できるのも便利だ。このMSAC-US40はUSB端子からの電源で動作するので、むやみにコンセントの口数を消費しないのがメリットだ。torneの録画番組の持ち出し機能については改善の余地ありだと感じた。

録画リストから持ち出したい番組を選択して変換する。テストしたところ30分番組を約8分で転送できた

torneはBDZシリーズよりも高画質(1Mbps)な持ち出し用動画が作成できる。BDZの持ち出し動画と比べるとかなりキレイだ


動画を持ち出せるのはPSPPSP(PSP1000/2000/3000/go)のみ。BDZはウォークマン、携帯電話、カーナビなど対応する製品に持ち出せる。UIのデザインを見ると、いまにも対応機器が追加されそう

PSPに動画を転送するとダビング回数が1回分減る


torneで録画した番組をPSP用の動画に変換すれば、移動中でも番組視聴ができる

筆者がBDZからの動画転送時に重宝しているメモリースティック用のリーダライター「MSAC-US40」。torneだとこれが使えないので、転送時にはPSPが必要だ

筆者はBDZで録画した番組をPSP用動画にいったん変換して、PS3のHDDに保存している。というのもPS3のHDDにPSP用の録画番組を保存しておけば、一つの動画を複数のPSPで楽しめる。動画ファイルは一つなので、同時に多数で見られるわけではないが、変換に使った個体でないと視聴できない、という縛りはなくなる。ここ一番の地デジの番組はtorneで録画して、高画質に変換してコレクションしたい。


torneは離れた場所からPSPを使って操作できるリモートプレイに対応している。離れた場所で地デジやtorneに録画した番組を楽しめて、実に便利な機能だ。ただ、このリモートプレイ使用中は本体が使えなくなってしまうのはいささか不便だった。

「それなら屋外からインターネットを使って地デジの番組や録画番組を楽しめる」と思って方もいるだろうが、残念ながらそれはできない。torneのリモートプレイはインターネットには対応しておらず、PS3のワイヤレス信号が届く範囲でしか利用できない。実際に使ってみると、PS3のワイヤレス信号が弱く、筆者宅の場合では部屋を移動すると回線が途切れてしまった。壁などで仕切られると、ダメなようだ。リモートプレイを利用するなら、PS3とPSPが目で見える範囲内で使った方がいいだろうと感じた。

PS3のメニューの設定から「リモートプレイ」を選択

機器登録にはリモートプレイで使うPSPとPS3を接続して準備する


PSPとPS3を接続したままPSPを操作して接続認証を行う

PS3のセッティングが終わったらPSPの操作に移る。画面の指示にあわせて操作すれば準備は完了


PSPの準備が終わったらPS3の「ネットワーク」から「リモートプレイ」を選択して準備する

次にPSP側も「ネットワーク」から「リモートプレイ」を選んで操作をすれば、PS3をPSPで操作できるようになる。手順は複雑だが、接続してしまえば楽しく使える


家の中にいれば、PSPからPS3を操作してtorneの機能を離れた場所から楽しめた
ざっとだがtorneの基本機能についてのインプレッションをお送りした。シングルチューナーということもあり、専用レコーダーに比べると使い勝手は良くない。これについてはSCEの開発スタッフからも「シングルチューナーの不便さは承知の上で、シンプルなかたちを優先して開発した」という話を伺っているので、他の部分で楽しみを見つける方がいいだろう。

気になっていた「ゲームをしながら録画すると映像にコマ落ちが発生する」という使い勝手については、30分程度テストしてみたが、とくに映像に気になる現象は起こらなかった。これは録画時の全体的な動作負荷の状況にもよるということなので、ネットなどで多くのユーザーの声を参考にしてみたい。


こうして世に出たtorneだが、今後一般ユーザーの声がどのようなものなるか、とても興味深い。Phile-webの読者のように録画機について熟知している人なら、「PS3+torne」≠「専用レコーダー」という製品だと言うことがわかっていて、この仕様を割り切って使いこなせると思う。しかし、一般ユーザーは「PS3でテレビを録画できる」=「専用レコーダーと同じ使い勝手」と勘違いしている人は多いのではないだろうか?その人たちが実際にtorneを購入して毎日使ったとき、どう感じるか、じつに興味深い。

例えば電気代はどうだろう。PS3の最大消費電力は最新型の120GBのHDDを搭載した「CECH-2000A」で「約250W」、旧モデルの80GB HDD搭載機「CECHL00」は「約280W」になっている。一方でソニーのBDレコーダー「BDZ-RX30」(HDD容量320GB)の消費電力は最大でも「約49W」に止まっている。もちろん、PS3は負荷によって消費電力が変わるので、いつも200Wオーバーで動いているわけではないのだが、最大消費電力だけを見るとPS3はBDレコーダー5台分の電気を食っているようにも見える。ちなみに40型の液晶テレビ“BRAVIA”「KDL-40HX700」の消費電力が「172W」、46型の「KDL-46HX700」だと「210W」だった。

AV機器マニアの感覚ではクオリティを追求するなら消費電力なんて二の次、というのは当たり前のことかもしれない。むしろ電力を消費した方がいいクオリティがえら得れてベター、ぐらいの雰囲気が漂っている。ただ、一般家庭でこの電力消費をゲーム以外でもフル稼働、なんてことなったら、ママや奥様は許してくれるだろうか?

もう一点気になるのがHDDの容量だ。今回は速報体制だったので、第一段階のテストは編集部で行った。編集部が所有する60GB版のPS3を使って録画テストをしたが、あっという間に残量がなくなってきた。「これはイカン」と言うわけで、次回は筆者が日々愛用している、2種類の1TB版のPS3と、安定して動作しているHDDケースを紹介しようと思う。


ところどころ使い勝手など気になった部分もそのまま報告してしまったが、総じてtorneはテレビ録画の楽しさを広げる素晴らしいツールだと感じた。これまで以上にテレビ録画が弾んでしましそうだ。これだけの機能を備えながら、価格が1万円を切っているのは奇跡的と言わざるを得ないだろう。以前インタビューを受けていただいたSCEの開発陣を含め、本機の全ての開発スタッフに敬意を払いたいとおもう。PS3を持っている人なら、購入を検討してみてはいかがだろうか。


◆筆者プロフィール 鈴木桂水
元産業用ロボットメーカーの開発、設計担当を経て、現在はAV機器とパソコン周辺機器を主に扱うフリーライター。テレビ番組表を日夜分析している自称「テレビ番組表アナリスト」でもある。ユーザーの視点と元エンジニアの直感を頼りに、使いこなし系のコラムを得意とする。そのほかAV機器の情報雑誌などで執筆中。

この記事をシェアする

  • Twitter
  • FaceBook
  • LINE
クローズアップCLOSEUP
アクセスランキング RANKING
1 「オーディオのオンキヨー」復活へ。新スピーカーとセパレートシステムを年明けのCESで発表
2 【完全ワイヤレスイヤホン特集 PART.10】音のプロが選ぶベストバイは?
3 CD再生とファイル再生の架け橋に!Shanlingからリッピング機能付きトランスポート「CR60」が登場
4 今こそ「ミニコンポ」が面白い! デノン/マランツ/B&Wの令和ライフにマッチする厳選5モデルレビュー
5 水月雨、『崩壊:スターレイル』とのコラボ完全ワイヤレス。ダイナミック+環状平面駆動の同軸ドライバー搭載
6 【ミニレビュー】空き電源コンセントに挿入するだけ。オーディオみじんこ「SILVER HARMONIZER AC-ADVANCE」
7 モニターオーディオ「GOLDシリーズ」レビュー。ユニット大幅刷新の第6世代機は「ハイスピードで焦点の明確な音調」
8 AVIOT、『らんま1/2』コラボ完全ワイヤレスイヤホン。完全新録ボイス240種類以上搭載
9 Nothing、スマホ/イヤホンが最大30%オフ価格になるウィンターキャンペーン。先着順で靴下もらえる
10 要注目の新興ブランド、ラトビア「アレタイ」スピーカー試聴レビュー!広大な空間描写力が魅力
12/20 10:05 更新
MAGAZINE
音元出版の雑誌
オーディオアクセサリー193号
季刊・オーディオアクセサリー
最新号
Vol.195
オーディオアクセサリー大全2025~2026
別冊・ケーブル大全
別冊・オーディオアクセサリー大全
最新号
2025~2026
プレミアムヘッドホンガイドマガジン vol.22 2024冬
別冊・プレミアムヘッドホンガイドマガジン
最新号
Vol.22
プレミアムヘッドホンガイド Vol.32 2024 AUTUMN
プレミアムヘッドホンガイド
(フリーマガジン)
最新号
Vol.32(電子版)
VGP受賞製品お買い物ガイド 2025年冬版
VGP受賞製品お買い物ガイド
(フリーマガジン)
最新号
2025年冬版(電子版)
DGPイメージングアワード2024受賞製品お買い物ガイド(2024年冬版)
DGPイメージングアワード受賞製品お買い物ガイド
(フリーマガジン)
最新号
2024年冬版(電子版)
音元出版の雑誌 電子版 読み放題サービス
「マガジンプレミアム」お試し無料!

雑誌販売に関するお問合せ

WEB
  • PHILE WEB
  • PHILE WEB AUDIO
  • PHILE WEB BUSINESS
  • ホームシアターCHANNEL
  • デジカメCHANNEL
AWARD
  • VGP
  • DGPイメージングアワード
  • DGPモバイルアワード
  • AEX
  • AA AWARD
  • ANALOG GPX