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公開日 2010/05/31 20:27
パイオニア、2013年度までの中期経営戦略を発表 − 売上6,300億円、純利益210億円まで回復を目指す
コストダウン/アライアンス強化/新興国市場での拡大など目指す
パイオニア(株)は、本日都内にて同社の2013年度までの中長期経営戦略説明会を開催した。小谷 進社長をはじめ、各部門の責任者が列席した。
同社は、2013年度に売上高6,300億円、営業利益300億円、純利益210億円を達成することを目標に設定。そのため毎期着実に利益を拡大させていくことを目指している。
各部門でも、2013年の目標達成のため、下記のように事業を展開していく。
■カーエレクトロニクス事業
三菱電機(株)とのカーナビゲーションプラットフォーム共同開発によってソフト開発費低減を図るほか、協業の分野も更に拡大させていく。また、グローバルマーケットでも、生産を現地で行ったり、アライアンスの活用を含めた効率的な開発・生産を行えるようつとめていく。さらに、部品の標準化や共通化を設計段階から行ったり、回路や構造、製造工程をシンプルにすることで生産効率を向上。ローカルの低価格部品の採用も図る。
以上のような展開により、固定費と変動費を低減させることを狙う。
具体的には、市場のボリュームゾーンに競争力ある製品を投入していくほか、インドや中国、ブラジルなど新興国で、地域の市場性に合った製品を市場性に合った価格で提供することにより、販売拡大を図る。
さらに、地図情報やプローブ情報などの同社の強みを活かした展開も行う。まず、スマートフォンを活用したカーナビを提案。パイオニア自社アプリ、あるいはサードパーティーによるアプリケーションをインストールした各社のスマートフォンなどに、地図情報やプローブ情報を提供したり、スマートフォンに対応したディスプレイオーディオなどペリフェラルの部分も充実させる考えだ。
また、先日発表した「エコ・ルート探索」機能のように、環境・省エネ・安全を実現するサービスの提供も計画する。
小谷社長も「これらパイオニアの強みを活かした製品で、市場をリードする新ビジネスモデルを展開していきたい」と熱意を見せた。
■ホームエレクトロニクス事業
ホームAV事業では、OEMやODM化による効率的な開発体制を整えるほか、設計プロセスを改革し、開発期間の2〜3ヶ月短縮を狙う。また日本や北米、欧州での販売マーケティング体制の再構築と強化を図る。これらにより、2012年度中に技術費は約40%、販管費は約30%の削減を狙う。
具体的には、欧米を中心にAVレシーバー売上拡大を図りトップシェアを狙うほか、ODM/OEMによるラインナップ強化を図る。またiPod対応オーディオや住設オーディオaccoのような新市場にも製品を投入していく。
さらに中国や中南米での販路拡大を狙う。特に中国では蘇寧電器との提携により、中国市場での売上を拡大。ゆくゆくは販路を1,200店舗程度まで拡大することを目指しているという。
またDJ機器事業ではファイル音楽やPCを活用したDJスタイルに対応した製品のラインナップ強化や、クラブ市場での強みを生かした音響機器製品の導入などを図る。
光ディスク事業では、普及が進むBD関連製品の売上拡大を目標に、他社に先んじた新規格・新技術の製品化や、AV機器とPC関連製品の技術を融合した製品の提案などを行っていく。
■新規事業開発
・有機EL照明
カーエレクトロニクス、ホームエレクトロニクスといった従来事業に加え、新規事業にも積極的に参入する構えを見せる同社。三菱化学(株)と共同で、有機EL照明に関する業務提携を行い、照明用有機ELパネルや、塗布型有機EL照明の開発や事業化を検討する。「環境に優しい次世代照明である有機EL照明は、LED照明とも共存するものだと考える。来年の量産化に向けて開発を進めたい」(小谷社長)
・HVTスピーカー
薄型&軽量&高音質を実現する新技術「HVT方式」を活用。カー用ステルススピーカーのほか、住宅オーディオ用の天井スピーカー、ホームシアター用の薄型スピーカーなどさまざまなジャンルの製品に搭載することを計画する。
■2015年に向けたビジョン「街でも家でも車でも、笑顔と夢中が響き合う」
最後に同社は2015年に向けた「次のパイオニアを、はじめよう 2015ビジョン」を発表した。「今日発表した中期事業計画は、そのビジョンへの道筋を示すものと言える」と語る小谷社長。そのキーワードを「街でも家でも車でも、笑顔と夢中が響き合う」と発表した。
「『より多くの人と、感動を』というパイオニア企業理念を根底に、ユーザーと社員、会社が一緒になって夢中になり笑顔になり、価値をつくっていき、成長していきたい、という思いを込めた。社会に望まれるような会社になれるよう、全社一丸となってこの目標を達成したい」とビジョンを示した小谷社長。「厳しい構造改革をやり終え、これからは成長戦略に舵を切っていく段階になった。しかしユーロ高など経済状況は予断を許さない。痛みを伴った構造改革を無にしないためにも、また厳しいときに支えてくれたステークホルダーのためにも、今期は何としても3期振りの営業利益、7期ぶりの純利益を確保したい。また来期以降も着実に黒字を生み出すため、当面は既存事業でしっかり黒字を出すとともに、将来のため新規事業に積極的に取り組んでいきたい」と締めくくった。
以下、会場で執り行われた主な質疑応答の内容を掲載する。
Q. 目標値の実現可能性についてうかがいたい。2013年度の業績目標は、堅い数字なのか、それとも社員を鼓舞する意味も込めた数字なのか。
A. 確実に達成できるものを盛り込んだ、保守的な数字とご理解いただきたい。
Q. 昨年はテレビ事業撤退などで非常に厳しい状況にあったが、現在再建に向けてどのようなステージにいると考えているか。また、どのようになったら回復したと言えると思うか。
A. 昨年1年かけて厳しい構造改革を行ってきた。これが前期末に終了し、体質としては筋肉質な体制が整ったと思っている。これからの課題は、売上をどう上げて成長していくかだ。また完全復活というのは、社員に対してお願いしてきた厳しい条件が通常に戻ること、また株主の皆様に配当を再開できるようになった段階ではないかと考えている。
Q. 次の3年間で光ディスク事業の売上が倍増するという、力強い展望を示しているが、BDのマーケットはPCに広がっていないという現状がある。またストレージデバイスがクラウドに移行していくという流れのなかで、BDについてはどう考えているのか。
A. 今後BDがどのように成長していくかは大きな問題。いまはシャープさんと提携し、お互いの技術を融合させることで事業が成り立っている。PC向けBDがどのくらい成長するかはまだ予断を許さないが、需要は増えてきたと言える。DVDの過去の普及よりも早めに立ち上がってくるだという予測のもと、今回の計画を作成している。
Q. 変化の激しい競争環境のなかで勝ち残っていくには、どういう戦略でいく必要があると考えているのか。
A. まずパイオニアの規模でやれる事業を選択すること、他社と差別化できる製品やビジネスモデルを構築することが大切だと考えている。今回アライアンスなどを発表したが、それはパイオニアが得意とするジャンルで、シナジー効果が出せる相手と組んでいるのだ。もうひとつはスピード。今までのような自前主義ではなく、ODMなどを積極的に使い、コストダウンを図る必要があると考えている。
同社は、2013年度に売上高6,300億円、営業利益300億円、純利益210億円を達成することを目標に設定。そのため毎期着実に利益を拡大させていくことを目指している。
各部門でも、2013年の目標達成のため、下記のように事業を展開していく。
■カーエレクトロニクス事業
三菱電機(株)とのカーナビゲーションプラットフォーム共同開発によってソフト開発費低減を図るほか、協業の分野も更に拡大させていく。また、グローバルマーケットでも、生産を現地で行ったり、アライアンスの活用を含めた効率的な開発・生産を行えるようつとめていく。さらに、部品の標準化や共通化を設計段階から行ったり、回路や構造、製造工程をシンプルにすることで生産効率を向上。ローカルの低価格部品の採用も図る。
以上のような展開により、固定費と変動費を低減させることを狙う。
具体的には、市場のボリュームゾーンに競争力ある製品を投入していくほか、インドや中国、ブラジルなど新興国で、地域の市場性に合った製品を市場性に合った価格で提供することにより、販売拡大を図る。
さらに、地図情報やプローブ情報などの同社の強みを活かした展開も行う。まず、スマートフォンを活用したカーナビを提案。パイオニア自社アプリ、あるいはサードパーティーによるアプリケーションをインストールした各社のスマートフォンなどに、地図情報やプローブ情報を提供したり、スマートフォンに対応したディスプレイオーディオなどペリフェラルの部分も充実させる考えだ。
また、先日発表した「エコ・ルート探索」機能のように、環境・省エネ・安全を実現するサービスの提供も計画する。
小谷社長も「これらパイオニアの強みを活かした製品で、市場をリードする新ビジネスモデルを展開していきたい」と熱意を見せた。
■ホームエレクトロニクス事業
ホームAV事業では、OEMやODM化による効率的な開発体制を整えるほか、設計プロセスを改革し、開発期間の2〜3ヶ月短縮を狙う。また日本や北米、欧州での販売マーケティング体制の再構築と強化を図る。これらにより、2012年度中に技術費は約40%、販管費は約30%の削減を狙う。
具体的には、欧米を中心にAVレシーバー売上拡大を図りトップシェアを狙うほか、ODM/OEMによるラインナップ強化を図る。またiPod対応オーディオや住設オーディオaccoのような新市場にも製品を投入していく。
さらに中国や中南米での販路拡大を狙う。特に中国では蘇寧電器との提携により、中国市場での売上を拡大。ゆくゆくは販路を1,200店舗程度まで拡大することを目指しているという。
またDJ機器事業ではファイル音楽やPCを活用したDJスタイルに対応した製品のラインナップ強化や、クラブ市場での強みを生かした音響機器製品の導入などを図る。
光ディスク事業では、普及が進むBD関連製品の売上拡大を目標に、他社に先んじた新規格・新技術の製品化や、AV機器とPC関連製品の技術を融合した製品の提案などを行っていく。
■新規事業開発
・有機EL照明
カーエレクトロニクス、ホームエレクトロニクスといった従来事業に加え、新規事業にも積極的に参入する構えを見せる同社。三菱化学(株)と共同で、有機EL照明に関する業務提携を行い、照明用有機ELパネルや、塗布型有機EL照明の開発や事業化を検討する。「環境に優しい次世代照明である有機EL照明は、LED照明とも共存するものだと考える。来年の量産化に向けて開発を進めたい」(小谷社長)
・HVTスピーカー
薄型&軽量&高音質を実現する新技術「HVT方式」を活用。カー用ステルススピーカーのほか、住宅オーディオ用の天井スピーカー、ホームシアター用の薄型スピーカーなどさまざまなジャンルの製品に搭載することを計画する。
■2015年に向けたビジョン「街でも家でも車でも、笑顔と夢中が響き合う」
最後に同社は2015年に向けた「次のパイオニアを、はじめよう 2015ビジョン」を発表した。「今日発表した中期事業計画は、そのビジョンへの道筋を示すものと言える」と語る小谷社長。そのキーワードを「街でも家でも車でも、笑顔と夢中が響き合う」と発表した。
「『より多くの人と、感動を』というパイオニア企業理念を根底に、ユーザーと社員、会社が一緒になって夢中になり笑顔になり、価値をつくっていき、成長していきたい、という思いを込めた。社会に望まれるような会社になれるよう、全社一丸となってこの目標を達成したい」とビジョンを示した小谷社長。「厳しい構造改革をやり終え、これからは成長戦略に舵を切っていく段階になった。しかしユーロ高など経済状況は予断を許さない。痛みを伴った構造改革を無にしないためにも、また厳しいときに支えてくれたステークホルダーのためにも、今期は何としても3期振りの営業利益、7期ぶりの純利益を確保したい。また来期以降も着実に黒字を生み出すため、当面は既存事業でしっかり黒字を出すとともに、将来のため新規事業に積極的に取り組んでいきたい」と締めくくった。
以下、会場で執り行われた主な質疑応答の内容を掲載する。
Q. 目標値の実現可能性についてうかがいたい。2013年度の業績目標は、堅い数字なのか、それとも社員を鼓舞する意味も込めた数字なのか。
A. 確実に達成できるものを盛り込んだ、保守的な数字とご理解いただきたい。
Q. 昨年はテレビ事業撤退などで非常に厳しい状況にあったが、現在再建に向けてどのようなステージにいると考えているか。また、どのようになったら回復したと言えると思うか。
A. 昨年1年かけて厳しい構造改革を行ってきた。これが前期末に終了し、体質としては筋肉質な体制が整ったと思っている。これからの課題は、売上をどう上げて成長していくかだ。また完全復活というのは、社員に対してお願いしてきた厳しい条件が通常に戻ること、また株主の皆様に配当を再開できるようになった段階ではないかと考えている。
Q. 次の3年間で光ディスク事業の売上が倍増するという、力強い展望を示しているが、BDのマーケットはPCに広がっていないという現状がある。またストレージデバイスがクラウドに移行していくという流れのなかで、BDについてはどう考えているのか。
A. 今後BDがどのように成長していくかは大きな問題。いまはシャープさんと提携し、お互いの技術を融合させることで事業が成り立っている。PC向けBDがどのくらい成長するかはまだ予断を許さないが、需要は増えてきたと言える。DVDの過去の普及よりも早めに立ち上がってくるだという予測のもと、今回の計画を作成している。
Q. 変化の激しい競争環境のなかで勝ち残っていくには、どういう戦略でいく必要があると考えているのか。
A. まずパイオニアの規模でやれる事業を選択すること、他社と差別化できる製品やビジネスモデルを構築することが大切だと考えている。今回アライアンスなどを発表したが、それはパイオニアが得意とするジャンルで、シナジー効果が出せる相手と組んでいるのだ。もうひとつはスピード。今までのような自前主義ではなく、ODMなどを積極的に使い、コストダウンを図る必要があると考えている。