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公開日 2012/02/01 15:53

【更新】シャープ、通期業績を約2,900億円の赤字へ下方修正 − 液晶テレビの落ち込み影響大

IGZO液晶へのシフトなどで改善図る
ファイル・ウェブ編集部
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シャープ(株)は、本日2011年度第3四半期の連結業績説明会を開催。代表取締役社長の片山幹雄氏らが登壇し、説明を行った。

シャープ 片山幹雄社長

第3四半期までの累計売上高は約1兆9,037億円で、前年同期比18.3%減。営業利益は約91億円で、前年同期比86.3%減となった。経常損益は約29億円の赤字、純損益については約2,135億円の赤字となった。

第3四半期の累計連結業績概要

部門別では、AV・通信機器部門は売上高8,512億円(前年同期比74.6%)、営業利益113億円(同30.9%)。液晶部門は売上高5,830億円(同74.5%)、営業利益は137億円の損失。6部門のうち黒字となったのは健康・環境機器部門、情報機器部門のみ。

これを受け、昨年10月27日に発表した2011年度通期の連結業績予想も下方修正。売上高は前回予想の2兆8,000億円から2兆5,550億円、営業利益は850億円から0円へと修正。経常損益は670億円の黒字から300億円の赤字へ、純損益も60億円の黒字から約2,900億円の赤字へと、大幅に下方修正した。

2011年度の連結業績見通しを大幅に下方修正

修正された連結業績予想の、部門別の見通し


■液晶テレビの“想定以上の急激な市場悪化”の影響大 − 経営体質改善を狙う費用の計上も

大幅な業績回復を実現した前期から一転した第3四半期。カギとなったのは「液晶テレビ」だった。


まず売上高では、国内液晶テレビ事業が「想定以上の急激な市場悪化」(片山社長)を見せたことに加え、グローバルでもテレビ用大型液晶パネルの外販が減少。国内携帯電話も販売・売上減となった。AV・通信部門は2,902億円、液晶部門は1,994億円の減収。さらに、太陽電池市場も市況悪化と単価ダウンにより440億円と低迷した。


国内液晶テレビ事業の急減などにより売上高が大幅に減少

部門別の売上高
片山社長は「12月の国内液晶テレビ市場は、台数は30%代、金額ベースでは20%代しかなかった。これはシャープは勿論、業界が想定していたものよりも大幅に低い数字だった」と語る。

また、前年同期比86.3%減となった営業利益については「一番の理由は、売上の減少」と説明。そのほか、経営体質改善を狙った在庫評価減や事業構造改革の推進、繰延税金資産の取り崩しなどイレギュラー的費用の計上を行ったことも理由となった。


営業利益は、売上減少のほか在庫評価減などにより大幅減少となった
部門別内訳は、AV・通信分野が国内液晶テレビの収益悪化により254億円の減益。液晶は、第1四半期前半で大型液晶パネル工場の稼働を停止したこと、亀山第2工場の操業率を低下させたこと、堺工場の外販減少などが重なったほか、大型液晶パネルの在庫評価減を行ったことにより、197億円の減益となった。


部門別の営業利益
さらに太陽電池は、市況悪化と単価ダウン、そして在庫評価減の実施により191億円の減益となった。

「大型テレビ用液晶パネルを中心に在庫が増え、今後の需要減も予想されるため、相当大きく在庫評価減をせざるを得なかった。また、亀山第2工場に於けるIGZO液晶の出荷が予定より2ヶ月ほど遅れ、立ち上げに手間取ったことも理由のひとつとなった。最終損益に大きく影響したのは、繰延税金資産の取り崩し。監査法人とも話をし、この判断に至った。しかし、この際こういったことを一気に行って、体質改善を図る考えだ」(片山社長)

主要製品やデバイスの状況についても詳細に報告された。


液晶テレビは地デジ移行完了による需要減の影響を受けた

液晶は、テレビ需要縮小やIGZO液晶の遅れなどがダウンの要因になった
まず液晶テレビだが、第3四半期は地デジ移行完了による需要急減、32〜40V型モデルの想定以上の単価下落により、売上金額は4,669億円(前年同期比71.7%)、販売台数は1,009万台(同88.4%)と、ともに前年比大幅ダウン。

米国での大型化戦略が功を奏し、海外での販売台数は増加したものの、国内の落ち込みをカバーするほどには至らなかったという。

液晶は、大型液晶については海外液晶テレビの需要減少により外販1割程度まで低下。中小型液晶は、Android系スマートフォン向けモバイル液晶が「相当な販売減」となったという。これはIGZO液晶の出荷遅れなどが影響しているという。

次ページ第4四半期は液晶事業構造改革を強力に推進 − IGZOへの注力など

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