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公開日 2013/11/15 19:49
天井から音が降ってくる − 「Dolby Atmos」をTOHOシネマズ船橋で体験
「TOHOシネマズ ららぽーと船橋」が11/22オープン
TOHOシネマズは、独自のラージスクリーン規格「TCX」や、ドルビーの劇場用シネマ音響技術「Dolby Atmos」(ドルビーアトモス)に対応したスクリーンを備えた劇場「TOHOシネマズ ららぽーと船橋」を11月22日にグランドオープンする。本日、プレスや関係者向けの内覧会が行われ、デモ映像をDolby Atmosで体験することができた。
■Dolby Atmosとは何か?
Dolby Atmos(ドルビーアトモス)は、観客を全方位から取り囲む、現実に近い音の世界の創出をねらった、新たなサラウンド技術。前方や後方、サイドだけでなく、天井にもスピーカーを設置し、3次元の音声表現が可能となる。音声に<オブジェクト>という概念を持ち込み、その位置データをメタデータとして埋めこむことで、劇場内のどこにでも自由自在にピンポイントで音を定位させたりコントロールすることができる。
また柔軟性が高いことも特徴の一つで、第一世代のシネマプロセッサーでは最大64chのサラウンド音声データを生成できるが、映画館のスピーカーの数やチャンネル数にあわせ、最適な再生が行える。評論家の大橋伸太郎氏がアメリカで先行して体験した際のレポートはこちらで紹介している。
これまでDolby Atmos対応スクリーンは、アメリカや中国を中心に、世界中で約300程度まで増えていたが、日本で導入されるのはTOHOシネマズ ららぽーと船橋が初めてとなる。
今回のグランドオープンにあわせてドルビー本社から来日したスチュアート・ボーリング氏は、「Dolby Atmos対応のスクリーンは世界でますます増えている。またコンテンツも同様で、過去1年半だけで、85の作品がDolby Atmosで制作された。ハリウッドからボリウッドまで、メジャースタジオから非常に高い評価を受けている」と胸を張った。その上でボーリング氏は、「お客様は映画館へストーリーを体験しに来る。その時に、音はとても大切な要素。音によって制作者と観客がよりつながることができるようになる」と、サウンドの重要性を強調した。
■TOHOシネマズ独自のラージスクリーン規格「TCX」
なお、今回の「TOHOシネマズ ららぽーと船橋」では先述のように、TOHOシネマズのラージスクリーン規格「TCX」も導入されている。TOHOシネマズの内部ではTCX対応を謳う際の規定があるとのことだが、外部には規定を公開してしない。ただしTCX共通の特徴は3点ある。左右の壁から壁まで、一面に広がったスクリーンを導入していること、画面サイズは同規模座席数のスクリーンに比べ、画面サイズは120%程度となっていること。また床や壁、天井、シートのカラーをダーク系に統一し、光の反射を抑えていることだ。
TOHOシネマズ ららぽーと船橋では、405席とこれまでの倍の座席数を備えたメインスクリーンのみ、TCXとDolby Atmosに両対応している。なおTCXとDolby Atmosは必ずしもセットというわけではなく、TCXのみ、あるいはDolby Atmosのみの対応という選択もあり得る。実際、11月28日にオープンする「TOHOシネマズ 市原」はTCXのみ採用し、Dolby Atmosには対応していない。
TOHOシネマズ ららぽーと船橋の施設のスペックは、公開されていない部分が多い。たとえば音声では、スピーカーをいくつ設置しているか、何チャンネルなのか、またスピーカーのメーカーやモデルについては非公開だ。スクリーンサイズは縦約10メートル、横約19メートルであることが発表されているが、プロジェクターのメーカーやモデルも公開されていない。
■Dolby Atmosをデモ映像で体感
今回のデモでは、約8分のデモ映像がアトモス仕様で上映された。まず森の中のシーンでは、音が文字通り「360度」回るだけでなく、上方にドーム状のような音の広がりが得られることに驚く。虫の羽音が右から左上方に移動していくことがはっきりと聴き取れる。さらに雨のシーンでは、雨音が文字通り上から降り注ぐ。風が吹いたときの葉擦れの音は、自分が本当に木々に取り囲まれているような臨場感が得られる。
映画「ホビット」では、ホビットと主人公が洞窟で会話するシーンを再生。洞窟のなかの反響音が、これまでにない感じたことのないリアリティで迫ってくる。コウモリの鳴き声や飛来する音も、平面的な移動ではなく、高さ方向の上方が加わるため、より実在感がある。極めつけはホビットの音が洞窟の天井から聴こえてくるシーンで、上方前方の右側から左側、そして後方に声が移動する。物理的にスピーカーが上方に存在するからこそ可能になった表現力は圧倒的だ。
そのほか、「パシフィック・リム」もアトモス仕様を試聴できた。それほど上方スピーカーの存在を強調するようなミックスではなかったが、上から物が落ちてきたり、巨大なロボットや怪獣が上から攻撃したり、踏みつぶしたりするようなシーンでは、上方スピーカーの恩恵が活きると感じた。
なお12月13日に公開される「ゼロ・グラビティ」では、これらの作品のサウンドをさらに越える、Dolby Atmosに最適化して制作された、非常に凝った音声が楽しめるとのこと。そのサウンドを事前に聴いたドルビーのスタッフからも「ゼロ・グラビティのサウンドは本当に凄い」とのコメントが得られたので、ぜひ注目して欲しい。
■14年3月には日本橋の新劇場もDolby Atmosを採用
本日の体験会には、TOHOシネマズ(株)社長の瀬田一彦氏が登壇。「音が自由自在に劇場内を駆け巡る」とDolby Atmosの素晴らしさをアピールするとともに、「壁から壁まで、サイズを120パーセント拡大した大スクリーンのTCXの魅力も体感して欲しい」と語った。
また瀬田社長は「東宝がららぽーと船橋に映画館を出したのは1988年で、シネコンはまだない時代だったが、邦画3社が1箇所に集積していたのは先進的だった」と振り返り、「今回のリニューアルに合わせ、新たな革新性がTCXとDolby Atmosによってもたらされる。10スクリーンというスクリーン数は変わらないが、座席数は以前の1259席からかなり増える。さらにメインスクリーンは405席と、これまでの倍の座席数になる」と述べた。
瀬田社長は「ららぽーと船橋の、約60名のスタッフによるおもてなしの心で、満足度の高いサービスを提供したい。また地域の映画文化、ららぽーとの発展にも微力ながら貢献しできれば」とコメント。
また同氏は今後のTOHOシネマズの展開にも触れ、すでに当サイトのニュースでもお伝えしているとおり、2014年3月20日に開業予定のTOHOシネマズ日本橋にも、TCXとDolby Atmosが導入されることを紹介。日本橋にも大きく注力する考えを強調した。
■Dolby Atmosとは何か?
Dolby Atmos(ドルビーアトモス)は、観客を全方位から取り囲む、現実に近い音の世界の創出をねらった、新たなサラウンド技術。前方や後方、サイドだけでなく、天井にもスピーカーを設置し、3次元の音声表現が可能となる。音声に<オブジェクト>という概念を持ち込み、その位置データをメタデータとして埋めこむことで、劇場内のどこにでも自由自在にピンポイントで音を定位させたりコントロールすることができる。
また柔軟性が高いことも特徴の一つで、第一世代のシネマプロセッサーでは最大64chのサラウンド音声データを生成できるが、映画館のスピーカーの数やチャンネル数にあわせ、最適な再生が行える。評論家の大橋伸太郎氏がアメリカで先行して体験した際のレポートはこちらで紹介している。
これまでDolby Atmos対応スクリーンは、アメリカや中国を中心に、世界中で約300程度まで増えていたが、日本で導入されるのはTOHOシネマズ ららぽーと船橋が初めてとなる。
今回のグランドオープンにあわせてドルビー本社から来日したスチュアート・ボーリング氏は、「Dolby Atmos対応のスクリーンは世界でますます増えている。またコンテンツも同様で、過去1年半だけで、85の作品がDolby Atmosで制作された。ハリウッドからボリウッドまで、メジャースタジオから非常に高い評価を受けている」と胸を張った。その上でボーリング氏は、「お客様は映画館へストーリーを体験しに来る。その時に、音はとても大切な要素。音によって制作者と観客がよりつながることができるようになる」と、サウンドの重要性を強調した。
■TOHOシネマズ独自のラージスクリーン規格「TCX」
なお、今回の「TOHOシネマズ ららぽーと船橋」では先述のように、TOHOシネマズのラージスクリーン規格「TCX」も導入されている。TOHOシネマズの内部ではTCX対応を謳う際の規定があるとのことだが、外部には規定を公開してしない。ただしTCX共通の特徴は3点ある。左右の壁から壁まで、一面に広がったスクリーンを導入していること、画面サイズは同規模座席数のスクリーンに比べ、画面サイズは120%程度となっていること。また床や壁、天井、シートのカラーをダーク系に統一し、光の反射を抑えていることだ。
TOHOシネマズ ららぽーと船橋では、405席とこれまでの倍の座席数を備えたメインスクリーンのみ、TCXとDolby Atmosに両対応している。なおTCXとDolby Atmosは必ずしもセットというわけではなく、TCXのみ、あるいはDolby Atmosのみの対応という選択もあり得る。実際、11月28日にオープンする「TOHOシネマズ 市原」はTCXのみ採用し、Dolby Atmosには対応していない。
TOHOシネマズ ららぽーと船橋の施設のスペックは、公開されていない部分が多い。たとえば音声では、スピーカーをいくつ設置しているか、何チャンネルなのか、またスピーカーのメーカーやモデルについては非公開だ。スクリーンサイズは縦約10メートル、横約19メートルであることが発表されているが、プロジェクターのメーカーやモデルも公開されていない。
■Dolby Atmosをデモ映像で体感
今回のデモでは、約8分のデモ映像がアトモス仕様で上映された。まず森の中のシーンでは、音が文字通り「360度」回るだけでなく、上方にドーム状のような音の広がりが得られることに驚く。虫の羽音が右から左上方に移動していくことがはっきりと聴き取れる。さらに雨のシーンでは、雨音が文字通り上から降り注ぐ。風が吹いたときの葉擦れの音は、自分が本当に木々に取り囲まれているような臨場感が得られる。
映画「ホビット」では、ホビットと主人公が洞窟で会話するシーンを再生。洞窟のなかの反響音が、これまでにない感じたことのないリアリティで迫ってくる。コウモリの鳴き声や飛来する音も、平面的な移動ではなく、高さ方向の上方が加わるため、より実在感がある。極めつけはホビットの音が洞窟の天井から聴こえてくるシーンで、上方前方の右側から左側、そして後方に声が移動する。物理的にスピーカーが上方に存在するからこそ可能になった表現力は圧倒的だ。
そのほか、「パシフィック・リム」もアトモス仕様を試聴できた。それほど上方スピーカーの存在を強調するようなミックスではなかったが、上から物が落ちてきたり、巨大なロボットや怪獣が上から攻撃したり、踏みつぶしたりするようなシーンでは、上方スピーカーの恩恵が活きると感じた。
なお12月13日に公開される「ゼロ・グラビティ」では、これらの作品のサウンドをさらに越える、Dolby Atmosに最適化して制作された、非常に凝った音声が楽しめるとのこと。そのサウンドを事前に聴いたドルビーのスタッフからも「ゼロ・グラビティのサウンドは本当に凄い」とのコメントが得られたので、ぜひ注目して欲しい。
■14年3月には日本橋の新劇場もDolby Atmosを採用
本日の体験会には、TOHOシネマズ(株)社長の瀬田一彦氏が登壇。「音が自由自在に劇場内を駆け巡る」とDolby Atmosの素晴らしさをアピールするとともに、「壁から壁まで、サイズを120パーセント拡大した大スクリーンのTCXの魅力も体感して欲しい」と語った。
また瀬田社長は「東宝がららぽーと船橋に映画館を出したのは1988年で、シネコンはまだない時代だったが、邦画3社が1箇所に集積していたのは先進的だった」と振り返り、「今回のリニューアルに合わせ、新たな革新性がTCXとDolby Atmosによってもたらされる。10スクリーンというスクリーン数は変わらないが、座席数は以前の1259席からかなり増える。さらにメインスクリーンは405席と、これまでの倍の座席数になる」と述べた。
瀬田社長は「ららぽーと船橋の、約60名のスタッフによるおもてなしの心で、満足度の高いサービスを提供したい。また地域の映画文化、ららぽーとの発展にも微力ながら貢献しできれば」とコメント。
また同氏は今後のTOHOシネマズの展開にも触れ、すでに当サイトのニュースでもお伝えしているとおり、2014年3月20日に開業予定のTOHOシネマズ日本橋にも、TCXとDolby Atmosが導入されることを紹介。日本橋にも大きく注力する考えを強調した。