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公開日 2016/01/12 19:47
オーディオテクニカ、成瀬本社新社屋を披露。電波暗室の新設など研究開発施設も拡充
11年の計画開始から約5年かけ完成
オーディオテクニカは、東京都町田市にある同社本社の新社屋を披露。本日1月12日、報道陣向けに内覧会を行った。
設計を行ったのは早稲田大学の赤坂喜顕教授。設計施工は、お茶の水のテクニカハウスや福井県にあるテクニカフクイ社屋と同じく竹中工務店が担当した。
赤坂氏はテクニカハウス(2001年竣工)の設計も務めた。2005年から早稲田大学の教授職に就いたが、その時から約10年間を、この新社屋の設計に費やしてきたのだという。「全勢力を投入して設計した自負がある」と、熱を込めて語る赤坂氏。設計にあたっては松下社長を建設委員長に、赤坂研究室にて産学協同で進めたという。
プロジェクトの具体的なスタートは2011年。12案のなかから、2013年12月に現在の様式が選ばれた。コードネームは「モビィ・ディック」。メルヴィルの小説『白鯨』に出てくる、白いマッコウクジラの名前だ。1,612坪の敷地に対し建蔽率は51%と、従来よりも周囲の空間に余裕を持たせた一方、容積率は122.7%と床面積に対しての空間容積を確保した。
メインテーマは「一回性の建築(ONLY ONE)」。他のどこにもないオリジナリティを表現することで、グローバルな展開を加速するオーディオテクニカのフラグシップを象徴するとともに、新社屋の建築自身がひとつのコーポレート・アイデンティティ表現になることを目指したという。
特徴のひとつは、北から南にかけて高低差がある“町田ならではの”地形を活かした設計としていること。地上5階建てで内部は南側が事務管理ゾーン、北側が研究開発ゾーンに分けられており、両者はLIGHT COURT(光庭)でつながれている。高低差を活かしたため基準階のない、各フロアの床の高さが異なるスキップフロア構造だ。そのため事務管理/研究開発の部屋は、独立性を保ちつつ、中央の光庭を通してフロアの様子をうかがうこともできる。
また、研究開発の施設が拡充された点も大きな特徴だ。北ゾーン低層階には本格的な「無響室」「電波暗室」「電波シールド室」「試聴室」を備えた。
無響室は別敷地にある成瀬事業所や、テクニカフクイにも同条件のものが用意されており、マイク特性やヘッドホン特性の測定を行うことができる。
電波暗室は、これまでは外部施設を使っていたというが、今回新たに社内に用意された。こちらも、テクニカフクイにも同じ条件の施設があるという。
また、南ゾーンの事務室はフリーアドレス制。新社屋竣工にあたり、これまでお茶の水にいた商品企画部隊と成瀬の開発部隊が同一社屋に集まったこともあり、自由な空間とすることで活発なコミュニケーションを狙う考えもあるという。
南ゾーン5階には、美術を愛した創業者・松下秀雄氏が収集した絵画やヨーロッパ製シャンデリアを集めた「Century Room」や、大規模な会議ができる「Round Table Room」、海外とのビデオ会議にも使える「Multi Meeting Room」も用意されている。
さらに、1階のフロントには松下秀雄氏が集めた蓄音機の一部を展示するギャラリースペースも備える。貴重な銘機の数々は、いまでも音が出るものとのことだ。
敷地西部には社員食堂を用意。前社屋のアットホームな雰囲気を受け継いだつくりとしており、ガス式の暖炉も設けられている。ランチ時間帯の稼働はもちろん、社員同士の親睦を図る催しなども行っていくという。
◇
設計を行った赤坂喜顕氏は「新社屋は長い時間をかけ、多くの方々の協力で生まれた建物。ここから素晴らしい製品が生まれ、世界に感動を与えていくことを願っている」と語っていた。
株式会社オーディオテクニカ 本社
・建築地:東京都町田市西成瀬2-46-1
・設計:早稲田大学 赤坂喜顕研究室
・設計施工:竹中工務店
・敷地面積:5,327.84平方メートル(1,612坪)
・建築面積:2,719.24平方メートル(建蔽率:51.0%)
・容積対象床面積:6,536.76平方メートル(容積率:122.7%)
・延べ面積:6,838.16平方メートル
・規模:地上5階
設計を行ったのは早稲田大学の赤坂喜顕教授。設計施工は、お茶の水のテクニカハウスや福井県にあるテクニカフクイ社屋と同じく竹中工務店が担当した。
赤坂氏はテクニカハウス(2001年竣工)の設計も務めた。2005年から早稲田大学の教授職に就いたが、その時から約10年間を、この新社屋の設計に費やしてきたのだという。「全勢力を投入して設計した自負がある」と、熱を込めて語る赤坂氏。設計にあたっては松下社長を建設委員長に、赤坂研究室にて産学協同で進めたという。
プロジェクトの具体的なスタートは2011年。12案のなかから、2013年12月に現在の様式が選ばれた。コードネームは「モビィ・ディック」。メルヴィルの小説『白鯨』に出てくる、白いマッコウクジラの名前だ。1,612坪の敷地に対し建蔽率は51%と、従来よりも周囲の空間に余裕を持たせた一方、容積率は122.7%と床面積に対しての空間容積を確保した。
メインテーマは「一回性の建築(ONLY ONE)」。他のどこにもないオリジナリティを表現することで、グローバルな展開を加速するオーディオテクニカのフラグシップを象徴するとともに、新社屋の建築自身がひとつのコーポレート・アイデンティティ表現になることを目指したという。
特徴のひとつは、北から南にかけて高低差がある“町田ならではの”地形を活かした設計としていること。地上5階建てで内部は南側が事務管理ゾーン、北側が研究開発ゾーンに分けられており、両者はLIGHT COURT(光庭)でつながれている。高低差を活かしたため基準階のない、各フロアの床の高さが異なるスキップフロア構造だ。そのため事務管理/研究開発の部屋は、独立性を保ちつつ、中央の光庭を通してフロアの様子をうかがうこともできる。
また、研究開発の施設が拡充された点も大きな特徴だ。北ゾーン低層階には本格的な「無響室」「電波暗室」「電波シールド室」「試聴室」を備えた。
無響室は別敷地にある成瀬事業所や、テクニカフクイにも同条件のものが用意されており、マイク特性やヘッドホン特性の測定を行うことができる。
電波暗室は、これまでは外部施設を使っていたというが、今回新たに社内に用意された。こちらも、テクニカフクイにも同じ条件の施設があるという。
また、南ゾーンの事務室はフリーアドレス制。新社屋竣工にあたり、これまでお茶の水にいた商品企画部隊と成瀬の開発部隊が同一社屋に集まったこともあり、自由な空間とすることで活発なコミュニケーションを狙う考えもあるという。
南ゾーン5階には、美術を愛した創業者・松下秀雄氏が収集した絵画やヨーロッパ製シャンデリアを集めた「Century Room」や、大規模な会議ができる「Round Table Room」、海外とのビデオ会議にも使える「Multi Meeting Room」も用意されている。
さらに、1階のフロントには松下秀雄氏が集めた蓄音機の一部を展示するギャラリースペースも備える。貴重な銘機の数々は、いまでも音が出るものとのことだ。
敷地西部には社員食堂を用意。前社屋のアットホームな雰囲気を受け継いだつくりとしており、ガス式の暖炉も設けられている。ランチ時間帯の稼働はもちろん、社員同士の親睦を図る催しなども行っていくという。
設計を行った赤坂喜顕氏は「新社屋は長い時間をかけ、多くの方々の協力で生まれた建物。ここから素晴らしい製品が生まれ、世界に感動を与えていくことを願っている」と語っていた。
株式会社オーディオテクニカ 本社
・建築地:東京都町田市西成瀬2-46-1
・設計:早稲田大学 赤坂喜顕研究室
・設計施工:竹中工務店
・敷地面積:5,327.84平方メートル(1,612坪)
・建築面積:2,719.24平方メートル(建蔽率:51.0%)
・容積対象床面積:6,536.76平方メートル(容積率:122.7%)
・延べ面積:6,838.16平方メートル
・規模:地上5階