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公開日 2018/01/08 15:11
<CES> “網膜に直接映像を描く” メガネ型ディスプレイ、実際に試してみた
QDレーザの「RETISSA Display」
米ラスベガスで1月9日から行われる「2018 International CES」。本開催を前に、事前イベントとなる「CES Unveiled」が行われた。
CES Unveiledでは、1月4日に当サイトのニュースで紹介して多くの反響を得た、QDレーザ社の「網膜に直接映像を投映するヘッドマウントディスプレイ」(関連ニュース)が展示され、実際に体験することができた。かんたんなインプレッションをお届けしたい。
本機の名称は「RETISSA Display」で、今年7月に国内で発売する。受注開始は4月を予定している。
最大の特徴は、RGBレーザーを使って、網膜へ映像を直接描き出すこと。RGBの三原色レーザー光源からの微弱な光をプロジェクターで投射し、高速振動するMEMSミラーを組み合わせ、ブラウン管テレビのように高速でラスタースキャンする。
この光を瞳孔の中心で一旦収束させ、そののち網膜上へ投映させることで、直接映像を描き出す。QDレーザは、このレーザー網膜走査技術を「VISIRIUMテクノロジ」と呼んでいる。
このRETISSA Displayによって恩恵を受けるのは、視力が弱い方だ。記者も視力が悪く、裸眼視力は0.1を大きく下回る。このため普段からメガネを着用しており、多くのメガネ型ウェアラブルデバイスやヘッドマウントディスプレイでは、使用する際に「メガネonメガネ」の状態になってしまう。快適な着け心地とはいかない。
実際に視力矯正用メガネを外し、RETISSA Displayを装着してみた。RETISSA Displayのメガネ部は透明なので、外の様子が透けて見えるのだが、視力矯正用メガネを外しているので、その部分はぼやけている。
一方で視界の右側には四角い映像が表示されており、これがRGBレーザーを使って表示したもの。その映像は、異様なまでにクリアに表示される。視力が悪いことに慣れきってしまっているので、裸眼でこんなに鮮明な動画が見られるとは、今まで想像もしていなかった。感動的なほどだ。
視力が悪い方なら、眼科医で視力を測定する機器の、気球がピタッと合焦した画像を覚えている方も多いだろう。あれに近い鮮明な映像が、しかも動いて表示されるとイメージしてもらえたら、大まかな見え方が伝わるだろうか。
表示される映像の解像度は1,024×600ドット/16対9で、フレームレートは60fps。長時間じっくりと見たわけではないが、短時間の視聴では、動きボケ等は気にならなかった。またレーザー光源のためか色域も広く、鮮やかな色を実現できていた。
本機は、メガネ型ディスプレイ部と、RGBレーザー光源やバッテリーを搭載した外付けユニットに分かれている。ユニット内でRGBのレーザー光を出力し、それを合波して、光ファイバーケーブルでメガネ部のプロジェクターに伝送する。その後、上述のようにMEMSミラーでスキャンする仕組みだ。外付けユニットのサイズは大きめのポータブルヘッドホンアンプ程度だが、今後、小型化もロードマップに設定されているという。
なお、視力が低いと装着時に外界がぼやけてしまう問題は、フレームに度入りのレンズを装着することでクリアできる。本機のキモは、フレームの外側ではなく内側に、プロジェクターとMEMSレンズ、ミラーを実装したこと。これらのデバイス類を別のフレームに付け替えたら、自由なデザインのメガネ型ディスプレイを実現できることになる。
また、レーザー光を目に投射すると聞いて「安全性は大丈夫か」と心配になる方もいそうだが、出力はマイクロワットオーダーと弱く、これによって目に悪影響を及ぼす心配は無い、と同社では説明する。
■医療用の視力矯正機器としての展開も視野に
またQDレーザ社は、メガネのフレーム中央部にカメラを備え、撮影した映像をリアルタイムに表示するデバイスも参考展示していた。これは、弱視の方の視力矯正を行う医療用器具として実用化することを目指したものだ。
装着してみると、ピントがピタッと合った外界の映像が、文字通り目に飛び込んで来る。効果は抜群だ。「カメラで撮影した映像をまったく処理せず出力している」(同社説明員)とのことで、ディレイも感じられない。
試作機には5メガピクセルのカメラが搭載され、0.4相当の視力が得られるとのこと。将来的には1.0相当の視力を実現することを目標にしているという。
ただし医療用として認められるには、安全性の評価など、様々なハードルを超えなければならない。またコスト面も課題となる。今回一般向け製品を発表したのは、一般向け製品も作ることで量産効果を出し、単価を引き下げることも念頭に置いたとのことだ。
この「RETISSA Display」の一般向けモデル、気になるのはやはり価格だ。4月の受注時に正式発表されるとのことが、現時点では50-60万円程度を目指しているという。
CES Unveiledでは、1月4日に当サイトのニュースで紹介して多くの反響を得た、QDレーザ社の「網膜に直接映像を投映するヘッドマウントディスプレイ」(関連ニュース)が展示され、実際に体験することができた。かんたんなインプレッションをお届けしたい。
本機の名称は「RETISSA Display」で、今年7月に国内で発売する。受注開始は4月を予定している。
最大の特徴は、RGBレーザーを使って、網膜へ映像を直接描き出すこと。RGBの三原色レーザー光源からの微弱な光をプロジェクターで投射し、高速振動するMEMSミラーを組み合わせ、ブラウン管テレビのように高速でラスタースキャンする。
この光を瞳孔の中心で一旦収束させ、そののち網膜上へ投映させることで、直接映像を描き出す。QDレーザは、このレーザー網膜走査技術を「VISIRIUMテクノロジ」と呼んでいる。
このRETISSA Displayによって恩恵を受けるのは、視力が弱い方だ。記者も視力が悪く、裸眼視力は0.1を大きく下回る。このため普段からメガネを着用しており、多くのメガネ型ウェアラブルデバイスやヘッドマウントディスプレイでは、使用する際に「メガネonメガネ」の状態になってしまう。快適な着け心地とはいかない。
実際に視力矯正用メガネを外し、RETISSA Displayを装着してみた。RETISSA Displayのメガネ部は透明なので、外の様子が透けて見えるのだが、視力矯正用メガネを外しているので、その部分はぼやけている。
一方で視界の右側には四角い映像が表示されており、これがRGBレーザーを使って表示したもの。その映像は、異様なまでにクリアに表示される。視力が悪いことに慣れきってしまっているので、裸眼でこんなに鮮明な動画が見られるとは、今まで想像もしていなかった。感動的なほどだ。
視力が悪い方なら、眼科医で視力を測定する機器の、気球がピタッと合焦した画像を覚えている方も多いだろう。あれに近い鮮明な映像が、しかも動いて表示されるとイメージしてもらえたら、大まかな見え方が伝わるだろうか。
表示される映像の解像度は1,024×600ドット/16対9で、フレームレートは60fps。長時間じっくりと見たわけではないが、短時間の視聴では、動きボケ等は気にならなかった。またレーザー光源のためか色域も広く、鮮やかな色を実現できていた。
本機は、メガネ型ディスプレイ部と、RGBレーザー光源やバッテリーを搭載した外付けユニットに分かれている。ユニット内でRGBのレーザー光を出力し、それを合波して、光ファイバーケーブルでメガネ部のプロジェクターに伝送する。その後、上述のようにMEMSミラーでスキャンする仕組みだ。外付けユニットのサイズは大きめのポータブルヘッドホンアンプ程度だが、今後、小型化もロードマップに設定されているという。
なお、視力が低いと装着時に外界がぼやけてしまう問題は、フレームに度入りのレンズを装着することでクリアできる。本機のキモは、フレームの外側ではなく内側に、プロジェクターとMEMSレンズ、ミラーを実装したこと。これらのデバイス類を別のフレームに付け替えたら、自由なデザインのメガネ型ディスプレイを実現できることになる。
また、レーザー光を目に投射すると聞いて「安全性は大丈夫か」と心配になる方もいそうだが、出力はマイクロワットオーダーと弱く、これによって目に悪影響を及ぼす心配は無い、と同社では説明する。
■医療用の視力矯正機器としての展開も視野に
またQDレーザ社は、メガネのフレーム中央部にカメラを備え、撮影した映像をリアルタイムに表示するデバイスも参考展示していた。これは、弱視の方の視力矯正を行う医療用器具として実用化することを目指したものだ。
装着してみると、ピントがピタッと合った外界の映像が、文字通り目に飛び込んで来る。効果は抜群だ。「カメラで撮影した映像をまったく処理せず出力している」(同社説明員)とのことで、ディレイも感じられない。
試作機には5メガピクセルのカメラが搭載され、0.4相当の視力が得られるとのこと。将来的には1.0相当の視力を実現することを目標にしているという。
ただし医療用として認められるには、安全性の評価など、様々なハードルを超えなければならない。またコスト面も課題となる。今回一般向け製品を発表したのは、一般向け製品も作ることで量産効果を出し、単価を引き下げることも念頭に置いたとのことだ。
この「RETISSA Display」の一般向けモデル、気になるのはやはり価格だ。4月の受注時に正式発表されるとのことが、現時点では50-60万円程度を目指しているという。