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公開日 2018/12/04 17:32
ジャパンディスプレイ、音楽を“見る”プレーヤーなど発表。「ディスプレイ屋を脱却しインターフェース屋に」
戦略発表会を開催
ジャパンディスプレイ(JDI)は、戦略発表会「JDI Future Trip - Creating Beyond -」を開催。立体感のある映像表現によって“見る音楽”を再現するという“ライブ・パフォーマンス・音楽プレーヤー”「KLP-01 MiOn」など多数の新製品や、Arm Treasure Dateとの戦略的協業、エアレース選手・室屋義秀氏との技術協力などを発表した。
■音楽を“見る”プレーヤーなどコンシューマー向け新製品を発表
本日発表された新製品は、前述の“ライブ・パフォーマンス・音楽プレーヤー”「KLP-01 MiOn」のほか、バイクのヘルメットに着脱可能な外付けヘッドアップディスプレイユニット「XHD-02 KAIKEN」、映像と香りを組み合わせることで新たな体験の送出を狙う“紡ぎシリーズ”「XAQ-01 AQUARIUS」「XHL-Halley」の計4製品。
これに加え、Arm Treasure Dateの戦略的協業、鳴海製陶およびコクヨ「ワークスタイル研究所」それぞれとの製品共同開発、湘南工科大学との産学連携、そして前述の室屋義秀選手との技術協力といったアライアンス関連でも多数の発表を行った。
・“ライブ・パフォーマンス・音楽プレーヤー”「KLP-01 MiOn」
同社の高精細な透明ディスプレイと、独自開発のボックス型光源を組み合わせることで奥行き感および立体感のある映像を実現させるとともに、スピーカーも一体化。2次元ながら立体的な映像とともに音を楽しむ“見る音楽”を再現するプレーヤーだとしている。
本製品用のコンテンツはウェブ配信によって行われ、市販化の際に配信プラットフォームも用意される予定。「本製品用コンテンツを簡単につくれるようなツールを提供し、コンテンツホルダー企業や一般のクリエーターの方々が作品をつくって投稿や配布、販売していただけるようにするなどを考えている」(説明員)という。
最終的な仕様は現時点では未定。2019年にクラウドファンディングでの販売を予定している。
・外付けヘッドアップディスプレイユニット「XHD-02 KAIKEN」
8月の発表会(関連ニュース)で発表した「スパルタ」に続く“HUD搭載スマートヘルメット”第2弾製品。前回がヘルメット内部にHUDを搭載した一体型であったのに対し、今回は外付けユニット化することで一般に市販されているヘルメットでも使用できるようにする。2019年度中の発売を目指し開発を進めている。
こちらもまだ仕様は確定していないが、位置情報などはペアリングしたスマートフォンからのデータを活用することを想定しているとのこと。なお、製品名のKAIKENは“懐剣”に由来しており、「“懐刀”はもともと身を護るものであることと、頼れる懐刀になるというダブルミーニングになっている」という。
・“紡ぎシリーズ”「XAQ-01 AQUARIUS」「XHL-Halley」
ディスプレイとアロマデュフューザーを一体化させることで、視覚と嗅覚の両方で新たな体験の提供を目指した製品。ティーポッド型の「XAQ-01 AQUARIUS」は陶器のトップブランドである鳴海製陶と共同開発を行っている。
ホテルのロビーやオフィスなどでの空間演出のための活用を想定。中長期的にはAIを活用し、顧客属性情報をもとにしたソリューションを開発するため、実証実験で効果を検証していく予定だという。
■「ディスプレイ屋から脱却しインターフェース屋になる」
発表会には、同社常務執行役員CMO(チーフ・マーケティング・オフィサー)の伊藤嘉明氏、同じく常務執行役員でCTO(チーフ・テクノロジー・オフィサー)の長岡一孝氏、執行役員でディスプレイソリューションズカンパニー社長の湯田克久氏が登壇。「ディスプレイからインターフェースへ」という言葉を掲げ、BtoCビジネスを推進していく戦略を語った。
伊藤氏は、「ディスプレイは見るだけのものだが、インターフェースになるとあらゆるもののが対象になる」とコメント。今後はディスプレイだけでなくセンサーデバイスも自社開発して製品を“インターフェース化”させていくことで、外部企業にディスプレイパネルを販売するだけではない、様々なビジネスを行っていく考えを示した。
「実はディスプレイの製造技術とセンサーの技術とは親和性がある」と語るのは長岡氏。「TFTから微弱な電流を流して液晶電子やEL材料を動かすのがディスプレイ。一方、センサーは外で起きていることをなんらかの手段でTFTに伝えるものだからだ」と、その理由を説明する。
そして同社では、ゼロベースでトランジスタやアルゴリズムを新規開発。領域すべてで指紋認証を行える大面積認証センサーや、一般的なものよりも感度や精度の高い空中映像でのタッチ操作を行えるホバーセンサー、曲げたり伸び縮みさせることが可能なストレッチャブルセンサーを開発したという。大面積認証センサーとホバーセンサーは2019年の量産開始、ストレッチャブルセンサーは2019年中の正式発表を目指している。
そして、こうした「ディスプレイからインターフェース」戦略に重要なのが、Arm Treasure Date(日本法人名はトレジャーデータ株式会社)を始めとする各社との協業だと説明。
Arm Treasure Dateとの協業において、JDIはArmのIoTプラットフォーム「Arm Pelion IoT Platform(ぺリオンIoTプラットフォーム)」を活用。同プレットフォームを使い、製品をインターフェイス化し生成されるデータを使ったサービスの展開を目指す。さらにB2Cのサブスクリプション事業モデルも視野にいれ、2019年以降エンターテイメント、ライフスタイル、アウトドア、スポーツなどの領域でソリューション製品・サービスをローンチする予定だという。
加えて、「Arm Treasure Data eCDP (エンタープライズ・カスタマーデータプラットフォーム)」も活用。プロダクツを通して取得できるユーザー情報やデバイス情報を収集し、IoTの領域でデバイスを管理するという利用目的以外にマーケティングでも利用していく。
また、Armの各プラットフォームの活用によって、BtoBマーケティングの強化、および、IoTとAIを導入することによる生産や流通の完全自動化「インダストリー4.0」の実現も目指す。
こうしてエコシステムを構築することによって、「あらゆる分野で我々JDIの製品が展開されていくことになる」と伊藤氏はコメント。「JDIはディスプレイ屋から脱却し、インターフェース屋になる」と述べた。
■「我々JDIは『やる』を選択する」
室屋選手との技術協業は、最高時速370キロ、重力加速度10Gという極限の環境下における操縦技術精度の向上を目指すというもの。過酷な環境下で正確な情報を瞬時に得られるよう、JDIと室屋選手とで未来の新たな技術開発プロジェクトをスタートさせるという。
そして、コクヨ「ワークスタイル研究所」との協業においては、両社の技術やソリューションを組み合わせることで“新しい働き方を実現するためのプロダクト”開発を目指す。そのほか、湘南工科大学ともデザイン分野で協働を開始しており、前述の“紡ぎシリーズ”の品質向上などを目指していく。
また、発表会では、西鉄グループおよび安川情報システムの推進する“スマートバス停”に、JDIの32型超低消費電力反射型液晶ディスプレイが採用されたことも紹介。消費電力わずか0.3Wの省エネ性能を実現し、備え付けの太陽光発電パネルで充分に駆動でき外部電源の敷設が不要だというメリットを改めて紹介した。
湯田氏は、全国に50万のバス停が存在することを紹介し、「そのうち、スマート化されているのは1%以下、データによっては0.1%にも満たないと言われている」とコメント。スマート化にあたっては電源の問題がネックになっているとし、JDIの超低消費電力ディスプレイが適していることを説明した。
そして、会見の最後に再び登壇した伊藤氏は「前回、そして今回とBtoC製品を発表したが、それらをどう売っていくのかが気になる方もいることだろう。次回の発表会ではBtoC参入戦略を発表する」とコメント。
「現在の市場環境は我々にとって非常に厳しいものであることは重々承知している。こうしたタイミングで今回のような発表をしてもよいものか悩んだのも事実だ」とし、「これまで様々な会社でビジネスに携わってきたが、新しいことにトライしようとすると『前例がない』だとか『できるわけがないだろう』とほぼ間違いなく言われてきた」と語る。
「だが、『できるかできないか』ではない。『やるかやらないか』だ」とし、「我々JDIは『やる』を選択する」と宣言して発表会を締めくくった。
■音楽を“見る”プレーヤーなどコンシューマー向け新製品を発表
本日発表された新製品は、前述の“ライブ・パフォーマンス・音楽プレーヤー”「KLP-01 MiOn」のほか、バイクのヘルメットに着脱可能な外付けヘッドアップディスプレイユニット「XHD-02 KAIKEN」、映像と香りを組み合わせることで新たな体験の送出を狙う“紡ぎシリーズ”「XAQ-01 AQUARIUS」「XHL-Halley」の計4製品。
これに加え、Arm Treasure Dateの戦略的協業、鳴海製陶およびコクヨ「ワークスタイル研究所」それぞれとの製品共同開発、湘南工科大学との産学連携、そして前述の室屋義秀選手との技術協力といったアライアンス関連でも多数の発表を行った。
・“ライブ・パフォーマンス・音楽プレーヤー”「KLP-01 MiOn」
同社の高精細な透明ディスプレイと、独自開発のボックス型光源を組み合わせることで奥行き感および立体感のある映像を実現させるとともに、スピーカーも一体化。2次元ながら立体的な映像とともに音を楽しむ“見る音楽”を再現するプレーヤーだとしている。
本製品用のコンテンツはウェブ配信によって行われ、市販化の際に配信プラットフォームも用意される予定。「本製品用コンテンツを簡単につくれるようなツールを提供し、コンテンツホルダー企業や一般のクリエーターの方々が作品をつくって投稿や配布、販売していただけるようにするなどを考えている」(説明員)という。
最終的な仕様は現時点では未定。2019年にクラウドファンディングでの販売を予定している。
・外付けヘッドアップディスプレイユニット「XHD-02 KAIKEN」
8月の発表会(関連ニュース)で発表した「スパルタ」に続く“HUD搭載スマートヘルメット”第2弾製品。前回がヘルメット内部にHUDを搭載した一体型であったのに対し、今回は外付けユニット化することで一般に市販されているヘルメットでも使用できるようにする。2019年度中の発売を目指し開発を進めている。
こちらもまだ仕様は確定していないが、位置情報などはペアリングしたスマートフォンからのデータを活用することを想定しているとのこと。なお、製品名のKAIKENは“懐剣”に由来しており、「“懐刀”はもともと身を護るものであることと、頼れる懐刀になるというダブルミーニングになっている」という。
・“紡ぎシリーズ”「XAQ-01 AQUARIUS」「XHL-Halley」
ディスプレイとアロマデュフューザーを一体化させることで、視覚と嗅覚の両方で新たな体験の提供を目指した製品。ティーポッド型の「XAQ-01 AQUARIUS」は陶器のトップブランドである鳴海製陶と共同開発を行っている。
ホテルのロビーやオフィスなどでの空間演出のための活用を想定。中長期的にはAIを活用し、顧客属性情報をもとにしたソリューションを開発するため、実証実験で効果を検証していく予定だという。
■「ディスプレイ屋から脱却しインターフェース屋になる」
発表会には、同社常務執行役員CMO(チーフ・マーケティング・オフィサー)の伊藤嘉明氏、同じく常務執行役員でCTO(チーフ・テクノロジー・オフィサー)の長岡一孝氏、執行役員でディスプレイソリューションズカンパニー社長の湯田克久氏が登壇。「ディスプレイからインターフェースへ」という言葉を掲げ、BtoCビジネスを推進していく戦略を語った。
伊藤氏は、「ディスプレイは見るだけのものだが、インターフェースになるとあらゆるもののが対象になる」とコメント。今後はディスプレイだけでなくセンサーデバイスも自社開発して製品を“インターフェース化”させていくことで、外部企業にディスプレイパネルを販売するだけではない、様々なビジネスを行っていく考えを示した。
「実はディスプレイの製造技術とセンサーの技術とは親和性がある」と語るのは長岡氏。「TFTから微弱な電流を流して液晶電子やEL材料を動かすのがディスプレイ。一方、センサーは外で起きていることをなんらかの手段でTFTに伝えるものだからだ」と、その理由を説明する。
そして同社では、ゼロベースでトランジスタやアルゴリズムを新規開発。領域すべてで指紋認証を行える大面積認証センサーや、一般的なものよりも感度や精度の高い空中映像でのタッチ操作を行えるホバーセンサー、曲げたり伸び縮みさせることが可能なストレッチャブルセンサーを開発したという。大面積認証センサーとホバーセンサーは2019年の量産開始、ストレッチャブルセンサーは2019年中の正式発表を目指している。
そして、こうした「ディスプレイからインターフェース」戦略に重要なのが、Arm Treasure Date(日本法人名はトレジャーデータ株式会社)を始めとする各社との協業だと説明。
Arm Treasure Dateとの協業において、JDIはArmのIoTプラットフォーム「Arm Pelion IoT Platform(ぺリオンIoTプラットフォーム)」を活用。同プレットフォームを使い、製品をインターフェイス化し生成されるデータを使ったサービスの展開を目指す。さらにB2Cのサブスクリプション事業モデルも視野にいれ、2019年以降エンターテイメント、ライフスタイル、アウトドア、スポーツなどの領域でソリューション製品・サービスをローンチする予定だという。
加えて、「Arm Treasure Data eCDP (エンタープライズ・カスタマーデータプラットフォーム)」も活用。プロダクツを通して取得できるユーザー情報やデバイス情報を収集し、IoTの領域でデバイスを管理するという利用目的以外にマーケティングでも利用していく。
また、Armの各プラットフォームの活用によって、BtoBマーケティングの強化、および、IoTとAIを導入することによる生産や流通の完全自動化「インダストリー4.0」の実現も目指す。
こうしてエコシステムを構築することによって、「あらゆる分野で我々JDIの製品が展開されていくことになる」と伊藤氏はコメント。「JDIはディスプレイ屋から脱却し、インターフェース屋になる」と述べた。
■「我々JDIは『やる』を選択する」
室屋選手との技術協業は、最高時速370キロ、重力加速度10Gという極限の環境下における操縦技術精度の向上を目指すというもの。過酷な環境下で正確な情報を瞬時に得られるよう、JDIと室屋選手とで未来の新たな技術開発プロジェクトをスタートさせるという。
そして、コクヨ「ワークスタイル研究所」との協業においては、両社の技術やソリューションを組み合わせることで“新しい働き方を実現するためのプロダクト”開発を目指す。そのほか、湘南工科大学ともデザイン分野で協働を開始しており、前述の“紡ぎシリーズ”の品質向上などを目指していく。
また、発表会では、西鉄グループおよび安川情報システムの推進する“スマートバス停”に、JDIの32型超低消費電力反射型液晶ディスプレイが採用されたことも紹介。消費電力わずか0.3Wの省エネ性能を実現し、備え付けの太陽光発電パネルで充分に駆動でき外部電源の敷設が不要だというメリットを改めて紹介した。
湯田氏は、全国に50万のバス停が存在することを紹介し、「そのうち、スマート化されているのは1%以下、データによっては0.1%にも満たないと言われている」とコメント。スマート化にあたっては電源の問題がネックになっているとし、JDIの超低消費電力ディスプレイが適していることを説明した。
そして、会見の最後に再び登壇した伊藤氏は「前回、そして今回とBtoC製品を発表したが、それらをどう売っていくのかが気になる方もいることだろう。次回の発表会ではBtoC参入戦略を発表する」とコメント。
「現在の市場環境は我々にとって非常に厳しいものであることは重々承知している。こうしたタイミングで今回のような発表をしてもよいものか悩んだのも事実だ」とし、「これまで様々な会社でビジネスに携わってきたが、新しいことにトライしようとすると『前例がない』だとか『できるわけがないだろう』とほぼ間違いなく言われてきた」と語る。
「だが、『できるかできないか』ではない。『やるかやらないか』だ」とし、「我々JDIは『やる』を選択する」と宣言して発表会を締めくくった。