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公開日 2019/02/20 15:42
ソニー、スタートアップ支援を拡充。『品川バレー』発想で社内外問わない協創を推進
お試しキャンペーンや東大との連携を発表
ソニーは、スタートアップ創出と事業運営を支援するプログラム「Seed AccelerationProgram(SAP)」の正式名称を「Sony Startup AccelerationProgram(SSAP)」へと変更。ソニー社外も含めたスタートアップ支援のさらなる拡充方針を打ち出し、「1ヶ月お試しキャンペーン」を本日2月20日より開始すること、および、産学協創エコシステム発展のため東京大学と社会連携講座設置に関する契約を締結したことを発表した。
■『オープンイノベーション・エラ』に協創拡充で『品川バレー』を
もともと、SAPは主にソニー社内の新規事業創出を主眼にしていたプログラム。これまで、一部に社外からメンバーが加わったりするなどソニー社外に対しても門戸は開かれてはいたが、その方針をより拡充。実は昨年12月に京セラの新規事業プロジェクトにサービスを提供するなど社外のスタートアップに対する支援を拡充していたが、今回、その方針がより鮮明に打ち出された格好だ。
ソニー(株)Startup Accelerataion部門の副部門長などを務める小田島伸至氏は、「従来、オープンイノベーションと言うと、ハードウェアの提供やIP提供など自社のアセットをうまく使ってもらおうというものだったり、出資で支援するというものが主だった。しかし、SAPでは新たにノウハウと環境をクリエイターに提供している」と説明。
「2014年にスタートさせて以来5年間、非常に大変だったがそれ以上にエキサイティングだった。これを社外のクリエイターと一緒にやることで、よりエキサイティングな環境をつくっていきたい」と語る。
SSAPでは、アイデアを創る「Ideation」、そのアイデアを形にする「Incubation」、アイデアを世に出す「Marketing」、事業をスケールさせる「Expansion」という4つのサービスを用意。エンジニアやデザイナー、工場など海外企業との交渉や財務管理など、幅広い分野で豊富な経験を持つ100人以上のソニーのアクセラレーターが、それぞれの段階に応じてサポートを行っている。
小田島氏は、「スタートアップでは、ひとりの天才が現れてその人に引っ張られて事業が形になることも多いが、SSAPでは(ひとりの天才に頼るのではなく)そこをきちんとノウハウ化できるようにしている」と説明。「そうして環境を整えることで、例えば途中で誰かが抜けたとしても事業を成長させていける」とコメントした。
また、「品川にはソニー以外にもたくさんのメーカーが存在しているし、(シリコンバレーならぬ)『品川バレー』という発想を持って活動していきたい」ともコメント。「今後は『オープンイノベーション・エラ(Era/世紀)』と位置づけ、社外の方と一緒に事業をつくっていきたい」と意気込みを語った。
■支援メニューの一部をトライアル提供するお試しキャンペーン
今回の1ヶ月お試しキャンペーンでは、前述のSSAPの4つのサービスのうち、「Incubation」を気軽に体験できるようにするというもの。
「新しい事業を世に出したいという熱い想いがあるクリエイター(起業家)や、事業化支援サービスを検討中の方」が対象だとしており、SSAPのウェブサイトから申し込みを受け付けている。申し込み期間は本日2月20日より6月28日まで。申し込み状況によっては申込み終了日を早める場合もあるという。
申し込み受け付け後、ソニーが支援可能だと判断した申し込み者に対して支援メニューの一部をトライアル提供。専門ツールを用いての、アイデアの実行計画の完成度や不足点を診断、プロデューサーによる事業検証アドバイス1回、専門チームによる商品化アドバイス1回、起業専門家による起業コーチング1回を利用できる。
■東大との連携で若い世代の人材育成とスタートアップ発展を狙う
東京大学との契約では、SSAPの事業育成の枠組みを、2019年4月より東京大学大学院工学系研究科の社会連携講座のカリキュラムに導入。同カリキュラムを通じて、将来の事業化が見込める学生のアイデアの発掘や育成を行い、学生はスタートアップのための考え方やスキルを習得しながらアイデアを事業の形にしていく一連の事業開発プロセスを実践することができる。また、学生からのフィードバックを加味して、よりよい支援プログラムの共同研究を実施するとしている。
両者では、ソニーがこれまで培ってきたスタートアップの創出と事業運営の経験によるノウハウと、東京大学の若い起業家人材と世界最先端の科学技術知見を活かし、日本での産学協創エコシステムを充実させることで、若い世代の起業精神を持った人材の育成と、日本のスタートアップの発展に貢献していく、としている。
■社外のメンバーがソニー社屋に常駐して活動
これまで、SAPからは、バンド部にスマートウォッチ機能をもたせることでどんなヘッド(時計本体)部も利用できる「wena wrist」や、スマート知育玩具「toio」など様々な製品が事業化されてきた。発表会には「wena wrist」を生み出した對馬徹平氏と「toio」開発陣のひとりである田中章愛(あきちか)氏も登壇し、對馬氏が「今後、SSAPの仕組みを使って私のような人間がひとりでも多く出てきてくれればと思う」と語るなどした。
なお、前述の小田島氏によれば「実はwenaは最初の書類選考の段階では落とそうと思っていた」とのこと。「しかしプレゼンテーションを聞いてみるとダントツだった。エンジニアは書類を書く人ではない。書類が下手だというのを気にしてはいけないと思わされた」などと裏話も明かされた。
また、京セラとの取り組みは、京セラが開発した圧電デバイスを用いて新たなユーザー体験創出を狙うというもの。京セラ 研究開発本部の横山敦氏によれば、「まだ具体的に紹介できる段階ではないが、昨年のCEATECで参考展示していたオーディオ振動アクチュエーターを用いて、一般消費者の皆さんに新しい価値を提供できるような商品を考えている」という。
横山氏は、「京セラは材料やデバイスでは強いノウハウを持っているが、それを一般消費者に価値をつけて提供する提案力やその事業化のプロセスが若干弱かった。そこをソニーのSSAPに参加して学ばせてもらいたかった」と、SSAPでの取り組みの背景を説明。「ダイヤの原石みたいなアイデアを磨きあげてもらうのをサポートしてもらった。いまはその次のインキュベーションの段階にある」と説明した。
なお、このプロジェクトでは京セラのメンバーがソニー社屋に常駐して活動。「やってみるとあまり違和感がない。隣の部署と話しているような感じで活動できている」(ソニー 小田島氏)とのことだった。
■『オープンイノベーション・エラ』に協創拡充で『品川バレー』を
もともと、SAPは主にソニー社内の新規事業創出を主眼にしていたプログラム。これまで、一部に社外からメンバーが加わったりするなどソニー社外に対しても門戸は開かれてはいたが、その方針をより拡充。実は昨年12月に京セラの新規事業プロジェクトにサービスを提供するなど社外のスタートアップに対する支援を拡充していたが、今回、その方針がより鮮明に打ち出された格好だ。
ソニー(株)Startup Accelerataion部門の副部門長などを務める小田島伸至氏は、「従来、オープンイノベーションと言うと、ハードウェアの提供やIP提供など自社のアセットをうまく使ってもらおうというものだったり、出資で支援するというものが主だった。しかし、SAPでは新たにノウハウと環境をクリエイターに提供している」と説明。
「2014年にスタートさせて以来5年間、非常に大変だったがそれ以上にエキサイティングだった。これを社外のクリエイターと一緒にやることで、よりエキサイティングな環境をつくっていきたい」と語る。
SSAPでは、アイデアを創る「Ideation」、そのアイデアを形にする「Incubation」、アイデアを世に出す「Marketing」、事業をスケールさせる「Expansion」という4つのサービスを用意。エンジニアやデザイナー、工場など海外企業との交渉や財務管理など、幅広い分野で豊富な経験を持つ100人以上のソニーのアクセラレーターが、それぞれの段階に応じてサポートを行っている。
小田島氏は、「スタートアップでは、ひとりの天才が現れてその人に引っ張られて事業が形になることも多いが、SSAPでは(ひとりの天才に頼るのではなく)そこをきちんとノウハウ化できるようにしている」と説明。「そうして環境を整えることで、例えば途中で誰かが抜けたとしても事業を成長させていける」とコメントした。
また、「品川にはソニー以外にもたくさんのメーカーが存在しているし、(シリコンバレーならぬ)『品川バレー』という発想を持って活動していきたい」ともコメント。「今後は『オープンイノベーション・エラ(Era/世紀)』と位置づけ、社外の方と一緒に事業をつくっていきたい」と意気込みを語った。
■支援メニューの一部をトライアル提供するお試しキャンペーン
今回の1ヶ月お試しキャンペーンでは、前述のSSAPの4つのサービスのうち、「Incubation」を気軽に体験できるようにするというもの。
「新しい事業を世に出したいという熱い想いがあるクリエイター(起業家)や、事業化支援サービスを検討中の方」が対象だとしており、SSAPのウェブサイトから申し込みを受け付けている。申し込み期間は本日2月20日より6月28日まで。申し込み状況によっては申込み終了日を早める場合もあるという。
申し込み受け付け後、ソニーが支援可能だと判断した申し込み者に対して支援メニューの一部をトライアル提供。専門ツールを用いての、アイデアの実行計画の完成度や不足点を診断、プロデューサーによる事業検証アドバイス1回、専門チームによる商品化アドバイス1回、起業専門家による起業コーチング1回を利用できる。
■東大との連携で若い世代の人材育成とスタートアップ発展を狙う
東京大学との契約では、SSAPの事業育成の枠組みを、2019年4月より東京大学大学院工学系研究科の社会連携講座のカリキュラムに導入。同カリキュラムを通じて、将来の事業化が見込める学生のアイデアの発掘や育成を行い、学生はスタートアップのための考え方やスキルを習得しながらアイデアを事業の形にしていく一連の事業開発プロセスを実践することができる。また、学生からのフィードバックを加味して、よりよい支援プログラムの共同研究を実施するとしている。
両者では、ソニーがこれまで培ってきたスタートアップの創出と事業運営の経験によるノウハウと、東京大学の若い起業家人材と世界最先端の科学技術知見を活かし、日本での産学協創エコシステムを充実させることで、若い世代の起業精神を持った人材の育成と、日本のスタートアップの発展に貢献していく、としている。
■社外のメンバーがソニー社屋に常駐して活動
これまで、SAPからは、バンド部にスマートウォッチ機能をもたせることでどんなヘッド(時計本体)部も利用できる「wena wrist」や、スマート知育玩具「toio」など様々な製品が事業化されてきた。発表会には「wena wrist」を生み出した對馬徹平氏と「toio」開発陣のひとりである田中章愛(あきちか)氏も登壇し、對馬氏が「今後、SSAPの仕組みを使って私のような人間がひとりでも多く出てきてくれればと思う」と語るなどした。
なお、前述の小田島氏によれば「実はwenaは最初の書類選考の段階では落とそうと思っていた」とのこと。「しかしプレゼンテーションを聞いてみるとダントツだった。エンジニアは書類を書く人ではない。書類が下手だというのを気にしてはいけないと思わされた」などと裏話も明かされた。
また、京セラとの取り組みは、京セラが開発した圧電デバイスを用いて新たなユーザー体験創出を狙うというもの。京セラ 研究開発本部の横山敦氏によれば、「まだ具体的に紹介できる段階ではないが、昨年のCEATECで参考展示していたオーディオ振動アクチュエーターを用いて、一般消費者の皆さんに新しい価値を提供できるような商品を考えている」という。
横山氏は、「京セラは材料やデバイスでは強いノウハウを持っているが、それを一般消費者に価値をつけて提供する提案力やその事業化のプロセスが若干弱かった。そこをソニーのSSAPに参加して学ばせてもらいたかった」と、SSAPでの取り組みの背景を説明。「ダイヤの原石みたいなアイデアを磨きあげてもらうのをサポートしてもらった。いまはその次のインキュベーションの段階にある」と説明した。
なお、このプロジェクトでは京セラのメンバーがソニー社屋に常駐して活動。「やってみるとあまり違和感がない。隣の部署と話しているような感じで活動できている」(ソニー 小田島氏)とのことだった。