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公開日 2019/10/14 13:59
<CEATEC>シャープ、“AIoT”の他社連携強化へ。「真のスマートライフ」実現目指す
理念や子会社設立の背景を幹部が語る
シャープは、CEATEC 2019での出展内容や同社のIoT戦略に関する説明会を開催。同社独自の「AIoT」を“次のステップ”へ進めるべく他社機器との連携も強化することや、CEATECで120型8K液晶ディスプレイを展示することなどを説明した。
2015年のCEATECで“モノの人工知能化”としてAIとIoTを組み合わせた「AIoT」という概念を発表していたシャープ。家電をクラウドに接続して人工知能化することでもっと人に寄り添う存在にするというAIoTの考え方の下、2016年には“家電を暮らしのパートナーに変えていくプロジェクト”「COCORO+」を発表し、翌2017年には会員サービスや電子書籍サービスなど様々なサービスをCOCORO+ブランドに統合。AIoTプラットフォームの外販強化も行ってきた。
2018年にはAIoT対応機器の拡充や「COCORO PET」などAIoTサービスの拡大に加え、プラットフォーム提供のさらなる拡充、データ利活用といった4つの軸でAIoT事業をさらに強化。
そして今年2019年、「シャープの目指すスマートライフ実現のためには、会員サービス強化と他社機器/サービスとの連携拡大が不可欠だ」として、“COCORO”を冠する各サービスを提供する「(株)SHARP COCORO LIFE」と、他社へのプラットフォームや他社サービスとの連携を図る「(株)AIoTクラウド」という2つの子会社を10月から設立した。
なお、(株)SHARP COCORO LIFEは、シャープ専務執行役員 スマートホームグループ長 兼 IoT事業本部長の長谷川 祥典氏が会長に、シャープ・エレクトロニクス・インドネシアの社長など海外での経験も持つ大山貞氏が社長に就任。「AIoT技術を活かした特長的な商品やサービスで、スマートライフを提供する」とし、多数のCOCORO+サービスや会員サービス「COCORO MEMBERS」だけでなく、製品やサービスを快適に使ってもらうための「COCOROカスタマーサポート」、スマートライフに役立つソリューションを提供するという「COCORO STORE」といった事業も行っていくとした。
一方の(株)AIoTクラウドは、元VAIO副社長の赤羽良介氏が社長に、シャープ本体でIoTクラウド事業部長などを務める白石奈緒樹氏が副社長に就任。赤羽氏は「経産省がスマートライフ政策を推進しており、『データ連携による企業間アライアンスで、生活上のあらゆる情報がつながり、背活の不便を解消するなどのサービスが提供可能になる』としている。これはシャープがこれまで取り組んできたこと、これから一層力を入れることと方向性が合致している」とコメントする。
「パートナーのIoT化を支援し、パートナーと一緒に社会問題を解決し、真のスマートライフを実現する」ことが同社のミッションであるとし、“モノとサービスとヒトをつなげ、社会課題や生活課題を解決し、安心・快適・充実をもたらす”スマートライフの実現を目指すと説明した。
具体的には、同社と提携することにより、例えばシャープの調理家電「ホットクック」で「具だくさん味噌汁」の調理率が高い地域があったり、洗濯機での乾燥機能の利用率が高い地域やそのときの天気との相関などといった密度の濃い生活データが利用できるとのこと。
「そろそろカレーが食べたくなる頃ではないかというタイミングで牛肉の特売の広告を配信するなどといったことが実現できれば」などと具体的なイメージも挙げながら、「データをスマートライフにどう活かせるかをパートナーと一緒に考えていきたい」とした。
同社では、機器メーカーやサービス事業者などあらゆる分野でパートナーシップの拡大に取り組み、2020年度に50社との連携を目指す。すでにKDDIおよびセコムとIoT見守りサービスで連携を開始しているほか、クックパッドおよびトクバイとのスマートキッチンでの取り組み、ニューロスペースとの連携による睡眠サポートといったスマート室内環境の構築に向けた取り組みも協議中だという。また、「このほかにも現在30社ほどと話し合いをしている」とのことだった。
そして、会見での質疑応答で“AIoTへの本気度”を問われると「スマートライフのプラットフォーマーを目指す」と回答。「そういう点ではアマゾンやグーグルとは競争する部分もあるが、連携する部分もあるし、実際にシャープにもAmazon AlexaやGoogleアシスタント対応の製品がある」とし、「アマゾンやグーグルが彼らだけで完全に閉じてスマートライフを実現できるとは思っていない。そこを補完できればとも思っている」と述べるなどした。
以下、質疑応答の模様をお届けする。
Q. 経産省による「生活空間におけるサイバー/フィジカル融合促進事業費補助金」の対象である「スマートライフ家電キャンペーン」(※シャープの対象製品を購入してクラウドサービスを利用するとギフトカードがプレゼントされる)を行っているが、こうしたものの効果、進捗はどれくらいか。
A. 家電データを販売することに関して、サービスをやっている企業に販売するのは今回が初めてのこと。これまでは実証実験だった。データ販売だけで言うと、テレビや白物家電の分析データ、統計データの販売はこれまでもやっていたが、各ご家庭に関するデータの販売は今回初めてだ。2週間ほどたったが、販売店の協力もあって認知も進んできたかなと思う。ホットックックなど調理家電の認知が進んでいるのでそこからスタートしている状況だ。
Q. プラットフォーマー事業をどれくらいにしていきたいのか。
A. シャープのなかにおいては具体的な数字はまだ固まっていない。次の中期経営計画に向けて精査している段階だ。
Q. AIOTクラウドでの事業規模はどれくらいを目指しているのか。
A. 具体的な数字は控えさせてもらいたい。259名いるので、その人員を養って黒字になるところを目指しているところからのスタートだ。
Q. 事業のなかでどういった部分を大きくしていくのか。データ販売なのかプラットフォームの利用料なのかなど事業モデルを聞きたい。
A. 大きく分ければ、プラットフォームとしてのビジネスと、ソリューション提供いうというふたつがある。将来的にはそれを半々くらいにしていきたい。プラットフォームの利用やデータの加工販売、広告を収益源に考えている。立ち上がりの部分は開発支援が一番大きいと想定している。
Q. 連携先の業種はどこを想定しているのか。
A. あらゆる分野のパートナーとの連携に注力していく。機器メーカーとサービス事業者の割合ではサービス事業者のほうが多いかなと思う。
Q. IoT接続率の向上に向けての施策をどう考えているか。
A. 現在40%くらいの接続率で比較的に高いと思っているが、これをさらに上げていくためということでは、例えば今回のスマートライフ家電キャンペーンで実際に接続率が上がってきている。もうひとつは、Bluetooth LEなどを活用してもっと簡単に接続できるようにするといったことも目指していく。
Q. いつまでにこれくらいの接続率を目指すといった数値目標はあるのか。
A. 2020年度に接続率7割を目指していく。
2015年のCEATECで“モノの人工知能化”としてAIとIoTを組み合わせた「AIoT」という概念を発表していたシャープ。家電をクラウドに接続して人工知能化することでもっと人に寄り添う存在にするというAIoTの考え方の下、2016年には“家電を暮らしのパートナーに変えていくプロジェクト”「COCORO+」を発表し、翌2017年には会員サービスや電子書籍サービスなど様々なサービスをCOCORO+ブランドに統合。AIoTプラットフォームの外販強化も行ってきた。
2018年にはAIoT対応機器の拡充や「COCORO PET」などAIoTサービスの拡大に加え、プラットフォーム提供のさらなる拡充、データ利活用といった4つの軸でAIoT事業をさらに強化。
そして今年2019年、「シャープの目指すスマートライフ実現のためには、会員サービス強化と他社機器/サービスとの連携拡大が不可欠だ」として、“COCORO”を冠する各サービスを提供する「(株)SHARP COCORO LIFE」と、他社へのプラットフォームや他社サービスとの連携を図る「(株)AIoTクラウド」という2つの子会社を10月から設立した。
なお、(株)SHARP COCORO LIFEは、シャープ専務執行役員 スマートホームグループ長 兼 IoT事業本部長の長谷川 祥典氏が会長に、シャープ・エレクトロニクス・インドネシアの社長など海外での経験も持つ大山貞氏が社長に就任。「AIoT技術を活かした特長的な商品やサービスで、スマートライフを提供する」とし、多数のCOCORO+サービスや会員サービス「COCORO MEMBERS」だけでなく、製品やサービスを快適に使ってもらうための「COCOROカスタマーサポート」、スマートライフに役立つソリューションを提供するという「COCORO STORE」といった事業も行っていくとした。
一方の(株)AIoTクラウドは、元VAIO副社長の赤羽良介氏が社長に、シャープ本体でIoTクラウド事業部長などを務める白石奈緒樹氏が副社長に就任。赤羽氏は「経産省がスマートライフ政策を推進しており、『データ連携による企業間アライアンスで、生活上のあらゆる情報がつながり、背活の不便を解消するなどのサービスが提供可能になる』としている。これはシャープがこれまで取り組んできたこと、これから一層力を入れることと方向性が合致している」とコメントする。
「パートナーのIoT化を支援し、パートナーと一緒に社会問題を解決し、真のスマートライフを実現する」ことが同社のミッションであるとし、“モノとサービスとヒトをつなげ、社会課題や生活課題を解決し、安心・快適・充実をもたらす”スマートライフの実現を目指すと説明した。
具体的には、同社と提携することにより、例えばシャープの調理家電「ホットクック」で「具だくさん味噌汁」の調理率が高い地域があったり、洗濯機での乾燥機能の利用率が高い地域やそのときの天気との相関などといった密度の濃い生活データが利用できるとのこと。
「そろそろカレーが食べたくなる頃ではないかというタイミングで牛肉の特売の広告を配信するなどといったことが実現できれば」などと具体的なイメージも挙げながら、「データをスマートライフにどう活かせるかをパートナーと一緒に考えていきたい」とした。
同社では、機器メーカーやサービス事業者などあらゆる分野でパートナーシップの拡大に取り組み、2020年度に50社との連携を目指す。すでにKDDIおよびセコムとIoT見守りサービスで連携を開始しているほか、クックパッドおよびトクバイとのスマートキッチンでの取り組み、ニューロスペースとの連携による睡眠サポートといったスマート室内環境の構築に向けた取り組みも協議中だという。また、「このほかにも現在30社ほどと話し合いをしている」とのことだった。
そして、会見での質疑応答で“AIoTへの本気度”を問われると「スマートライフのプラットフォーマーを目指す」と回答。「そういう点ではアマゾンやグーグルとは競争する部分もあるが、連携する部分もあるし、実際にシャープにもAmazon AlexaやGoogleアシスタント対応の製品がある」とし、「アマゾンやグーグルが彼らだけで完全に閉じてスマートライフを実現できるとは思っていない。そこを補完できればとも思っている」と述べるなどした。
以下、質疑応答の模様をお届けする。
Q. 経産省による「生活空間におけるサイバー/フィジカル融合促進事業費補助金」の対象である「スマートライフ家電キャンペーン」(※シャープの対象製品を購入してクラウドサービスを利用するとギフトカードがプレゼントされる)を行っているが、こうしたものの効果、進捗はどれくらいか。
A. 家電データを販売することに関して、サービスをやっている企業に販売するのは今回が初めてのこと。これまでは実証実験だった。データ販売だけで言うと、テレビや白物家電の分析データ、統計データの販売はこれまでもやっていたが、各ご家庭に関するデータの販売は今回初めてだ。2週間ほどたったが、販売店の協力もあって認知も進んできたかなと思う。ホットックックなど調理家電の認知が進んでいるのでそこからスタートしている状況だ。
Q. プラットフォーマー事業をどれくらいにしていきたいのか。
A. シャープのなかにおいては具体的な数字はまだ固まっていない。次の中期経営計画に向けて精査している段階だ。
Q. AIOTクラウドでの事業規模はどれくらいを目指しているのか。
A. 具体的な数字は控えさせてもらいたい。259名いるので、その人員を養って黒字になるところを目指しているところからのスタートだ。
Q. 事業のなかでどういった部分を大きくしていくのか。データ販売なのかプラットフォームの利用料なのかなど事業モデルを聞きたい。
A. 大きく分ければ、プラットフォームとしてのビジネスと、ソリューション提供いうというふたつがある。将来的にはそれを半々くらいにしていきたい。プラットフォームの利用やデータの加工販売、広告を収益源に考えている。立ち上がりの部分は開発支援が一番大きいと想定している。
Q. 連携先の業種はどこを想定しているのか。
A. あらゆる分野のパートナーとの連携に注力していく。機器メーカーとサービス事業者の割合ではサービス事業者のほうが多いかなと思う。
Q. IoT接続率の向上に向けての施策をどう考えているか。
A. 現在40%くらいの接続率で比較的に高いと思っているが、これをさらに上げていくためということでは、例えば今回のスマートライフ家電キャンペーンで実際に接続率が上がってきている。もうひとつは、Bluetooth LEなどを活用してもっと簡単に接続できるようにするといったことも目指していく。
Q. いつまでにこれくらいの接続率を目指すといった数値目標はあるのか。
A. 2020年度に接続率7割を目指していく。