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公開日 2023/01/07 14:18

<CES>DTS:XやIMAX Enhancedの展開がさらに拡充。「I'll be back」で作品が音声検索できるTiVo OSも

編集部記者がデモを体験
編集部:平山洸太
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米Xperiは、米ラスベガスで開催されているイベント「CES2023」に出展。IMAX EnhancedのDisney+におけるDTS:X対応、LG製テレビへのDTS:X搭載、TiVo OSの展開などを発表した。

同社のブースでは、これらの新発表を含めたデモを展開。具体的には、DTS、IMAX Enhanced、TiVoの3ブランドついて、CES2023のメイン会場となるラスベガス・コンベンション・センターから少し離れたPark MGMというホテル内にてプライベートブースを構えている。

Xperiのプライベートブース

■PCやスマホでも3Dオーディオを



DTSといえばオーディオで知られているが、実は近年、コネクテッドカーや自動運転の普及を想定し、「DTS AutoSense」や「DTS AutoStage」という技術の開発が進んでいる。これら自動車関連については、先述のコンベンション・センターの中でも自動車関連が多く集まるウェスト・ホールにブースを展開しているので、記事後半でご紹介したい。

一方で上述のPark MGMのブース内においてDTSでは、主にPCやスマートフォン上で効果を発揮する技術を紹介。まず記者が体験したのは、ゲーミングヘッドセット等でバーチャルサラウンドを実現する「DTS Headphone:X」だ。

DTSのエリア

DTS Headphone:Xは、日本でもロジクール、JBL、HyperXといった有名ブランドのヘッドセットがサポートしている。利用するにはWindowsストアで提供されている「DTS Sound Unbound」をインストールする必要があるが、対応のヘッドセットでは無線ドングルなどを挿すだけで自動的にアクティベーションされる。

「DTS Sound Unbound」

多数のヘッドセットが対応する

アナログ接続のモデルではUSBのようにソフト側で認識できないため、その場合は提供されるコードを入力することで登録されるという。未対応のヘッドセットを使っているユーザーであっても、有料(米国では20ドル)で利用することも可能だ。

実際にヘッドセットを装着し、再生させる音の位置をソフト上で移動させてみると、左右や後方、音との距離まではっきり体感できる。担当者は「(ゲームで)アドバンテージを与えてくれる。他のプレイヤーであろうと、モンスターであろうと、どこからやってくるのかがよくわかる」と話しており、没入感だけでなく “勝つ” ことにも貢献するのだとアピールしていた。

デモの様子

こういったバーチャルサラウンドの技術は、PCの内蔵やAndroidスマートフォンにも展開。同社の3Dオーディオ技術「DTS:X Ultra」を用いることで、これらデバイスにおける没入感を高めることができる。

PCとスマホでDTSの技術を体験

デモに用意されていたのは、HPのゲーミングブランド “OMEN” のノートPCと、Honor(オナー)のAndroidスマートフォン。ノートPCではこの他にASUSのモデルも対応しているというが、スマホは日本未上陸のHonorブランドのみになるという。

まずノートPCで映像コンテンツを再生してみると、セリフ部分がしっかりと中央に定位して聞き取りやすく、また効果音は左右など広い範囲から聞こえてくる。「Music」「Voice」「Movies」などのプリセットを切り替えてみると、特にMoviesでは低音が強調され、より迫力にあるサウンドに変わった。スマートフォンのデモについてはゲームのプレイ動画を視聴したが、効果音などの定位位がはっきりとしており、ゲームプレイを有利に進められそうだ。

サウンドモードを切り替えられる

そのほかDTSのエリアには、最大24bit/192kHzの伝送が可能な「Play-Fi」を用いたマルチチャンネル環境が構築。ワイヤレスで6つのスピーカーを接続し、サラウンドが体感できるようになっていた。

ワイヤレスで6つのスピーカーを接続

■「映像配信サービスを横断」に力をいれたTiVo OS



続いて訪れたのはTiVoのエリア。CESに合わせて発表が行われたが、TiVo OSがVestel社のスマートテレビに搭載されるとのことで、いち早く実演が行われた。なお2023年春にはVestelだけでなく、Daewoo、Regal、Hitachi、Telefunken、JVCなどのブランドで採用される予定とのこと。

TiVO OSのトップ画面

TiVoではこれまでスティック型のストリーミング端末「TiVo Stream 4K」を展開していたが、これをスマートテレビ上で動くOSに作り直したという。さらに半導体大手のAmlogic社とも協力し、スマートテレビ用の2K/4KチップにTiVo OSを搭載して展開する準備も進めているという。

TiVo OSの大きな特徴が、「コンテンツを横断してTiVoがリコメンドを行う」ということだ。メニューには「Home」「Free」「TV Show」「Movies」「Watchlist」という項目が用意されており、それぞれ表示されるコンテンツはユーザーごとに最適化されたものとなる。そして表示されるコンテンツは、サービスに関係なく混ざって表示される。

メニューの項目

複数の配信サービスが一覧表示される

また、リコメンド対象とするサービスについては、設定画面から細かくオンオフできるので、再生しようとしたら登録していないサービスだった、ということも起こりにくい。テレビ用のプラットフォームは他社にもあるが、担当者がTiVoのメリットとして強調していたのは、「どのサービスを利用したいかはユーザーに委ねる」ということ。上述のとおり、設定からオフにしたサービスは表示されなくなる。

横断の対象にするサービスを選べる

コンテンツを再生する際にも、再生ボタンに各サービスのロゴが表示される

またTiVo OSの使いやすいポイントが、TiVoの画面から各アプリを立ち上げずに、直接再生が開始されることだ。特にTiVoは、Netflixがディープリンキング(アプリ内の特定の箇所に直接移動すること)を許可している数少ないプラットフォームであり、「N」のロゴ無しでホーム画面から直接再生を開始できる。つまり、各サービスを横断してリコメンドされるだけでなく、横断している感覚なしに各サービスを使えるというわけだ。もちろん、Netfixなどのアプリを立ち上げて、そちらから作品を選んで再生することもできる。

ほかにもTiVo OSでは、音声認識による検索にも対応している(アシスタント機能は非搭載)。音声検索といえば、「○○ 映画を見せて」のようにやや不自然なワードになりがちだが、同社のメタデータの活用もあり、名セリフなどのワードでも検索ができたりする。

テレビのリモコン。TiVoボタンを備える

音声検索の様子

たとえば、「I'll be back」で音声検索すると、ターミネーターの作品がずらっと表示される。「I am your father」でも同様に、『スター・ウォーズ/帝国の逆襲』が表示される。一方でセリフの一部を間違えても問題なく検索される。これはTiVoが単なるテキスト検索ではなく自然言語理解を行っているため、あいまい検索でも問題ないとのことで、こういった部分も使いやすさに貢献していくのだろう。

なおこのTiVoのプラットフォームは、自動車のカーナビゲーションシステムへの活用も進んでいる。自動運転が普及した未来では、移動中のエンターテインメントが求められると言われているが、そういったシーンに向けてすでに動いているようだ。

TiVoのプラットフォームを採用するカーナビのデモ

ウェストホールにあるXperiのブースでは、このTiVoのプラットフォームを用いた自動車用のデモも行われていた。今回のCESでOEM向けの提供を発表したばかりで、導入先などは明かされていないが、「これは集約されたメディア体験になります」と説明員は話していた。

ナビから配信映画も楽しめる

■さらなるコンテンツ拡充で注目高まるIMAX Enhanced



もう1つ、Xperiのプライベートブースに設けられていたのが、IMAX Enhancedのエリアだ。IMAX Enhancedといえば上述の通り、Disney+のDTS:X音声の開始(これまでは映像のアスペクト比のみIMAX Enhanedだった)、およびソニー・ピクチャーズ エンタテインメントのIMAX Enhanced配給が発表されたばかりとなる。

IMAXのデモには7.2.6chのシステムを使用

IMAX Enhancedは、自宅でよりクオリティの高い映画を楽しむために作られたプログラム。シネマスコープのアスペクト比(2.35:1)よりも縦の長さが広い(1.77:1)ため、一般的な16:9のテレビであっても画面全体を活用して映像を再生できる。加えてIMAX独自の技術で画質調整が行われるほか、音声にはIMAX Enhanced用にマスタリングしたDTS:Xを採用する。

今回のデモではDisney+をDTS:Xで再生することは叶わなかったが、7.2.6chのシステムを用いて『アンチャーテッド』を視聴できた。見せ場のシーンで縦横比がシネマスコープからテレビ全体に広がるのはIMAX Enhancedの魅力であり、鮮明かつ迫力のある音声と相まって、没入感のある体験が行えた。なお、Disney+でのDTS:X開始は2023年とのみ発表されており、具体的な開始時期は未定だとしている。

IMAX Enhancedデモの様子

■コネクテッドカーに向けて開発、DTSの自動車用技術



最後にDTSの自動車用技術にも触れておこう。ウェストホールのXperiブースでは、上述のTiVoのプラットフォームに加えて、「DTS AutoSense」や「DTS AutoStage」という2つの技術、そして「HD Radio」のアピールが行われた。

Xperiブースの様子

ブースには実際に車が設置されており、このなかでデモを体験できる。DTS AutoSenseは搭乗者を認識し、その人が誰か、そのようなことをしているか、という状態を認識できるシステムだ。ルームミラーに認識用のカメラが組み込まれており、これで認識を行っている。

搭乗者の状態を認識する

ルームミラー下部にカメラが取り付けられている

またラジオ用のソリューションであるDTS AutoStageが組み込まれた別の車では、FMラジオやAMラジオ、そしてXperiのデジタルラジオ技術「HD Radio」などがカーナビゲーションから操作できるようになっていた。

パイオニアやJVCなどのHD Radio搭載ナビも紹介

DTS AutoStageを採用する車のデモ

このようにXperiは多くの技術を持っており、その中でDTSは今年で30周年の節目を迎える。オーディオやビジュアルだけでなく、自動車といった領域にも広がっていく同社の技術に今後も期待したい。

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