家電公取協会長にソニー槙公雄氏。環境変化にも消費者が不利益を生じない家電製品の表示ルール徹底へ

■安心して家電を購入できる環境を提供

公益社団法人 全国家庭電気製品公正取引協議会は、「令和5年度 定時社員総会・表彰式」を開催した。執行部役員は任期満了に伴い新体制を発足。会長をはじめとする三役の顔触れは以下の通り。

会長　槙 公雄氏（ソニー株式会社 代表取締役社長 兼 CEO）
副会長　峯田 季志氏（全国電機商業組合連合会 会長）
副会長　宮野 譲氏（日立グローバルライフソリューションズ株式会社 取締役 CMO）
副会長　岡嶋 正幸氏（株式会社エディオン 上席執行役員）
専務理事　東出 浩一氏

会長に就任した槙公雄氏は、会長を退いた野村氏に対し「コロナ禍で協議会活動が制限されるなか、会員が規約および関連法令を学べる場としてのeラーニングの開設、家電公取協の紹介動画による協議会活動のPRなど、公益社団法人としての組織運営と表示の適正化に向けた様々な取り組みに大変ご尽力をいただいた」と感謝の意を述べた。

「昨今わたしたちを取り巻く環境は、地政学的リスクや景気後退リスクが高まり厳しい状況がある一方、デジタル社会におけるコミュニティ形成や消費行動の高まり、AIやIoTの進展など様々なチャンスも見られる。当協議会の目的でもある“正しい表示”という観点でも、店頭の紙のチラシがデジタルへ移行したり、AIにより表現が多様化されたりするなど新たな環境が発生してきている。そのような変化があっても、お客様に不利益が発生しないように、私どもメーカー、お取引先様、行政の皆様と力を合わせることが大変重要になる」と力を込めた。

来賓挨拶では、消費者庁 審議官・真渕博氏が、「豊かな生活を享受できる家電製品が次々に出てくるなか、一般消費者が適切な商品選択をするためには、まずは適正な表示が大前提として不可欠。その点において、協議会で運用されている公正競争規約は大変重要になる」とあいさつ。続けて、違反行為に対する抑止力の強化等を目的とした景品表示法の改正について説明した。

公正取引委員会 事務総局 経済取引局 取引部長・片桐一幸氏は、最近の公正取引委員会の取り組みとして価格転嫁を取り上げ、「様々なコストが値上がりしているが、現在、政府の最重要政策のひとつとして、成長と分配の好循環が掲げられ、賃上げと価格転嫁の円滑化の推進が進められている。公正取引委員会としても、中小企業が原材料価格や労務費、エネルギーコストなどの上昇分を適切に価格転嫁できるように、それがまた、賃上げに資する力を持つことにもつながる。優越的地位の濫用に関する緊急調査を実施するなど、公正な取引環境の整備に重点的に取り組んでいる」と説明した。

経済産業省 商務情報政策局 情報産業課 課長補佐・籠寛之氏は、様々な社会変化を背景に2年ぶりに改定された「半導体・デジタル産業戦略」について触れ、「世界情勢は刻々と変化し、デジタル化やグリーン化への対応の重要性も高まっている。生成AIが生産性向上の新たなツールとして注目を浴び、世界中で様々な分野での利活用が急速に進んでいる」と改定に至る背景を説明。

「このような状況を踏まえ、半導体や蓄電池に対する取り組みを加速させるとともに、生成AIも念頭においた情報処理基盤の構築、高度情報通信インフラの整備の取り組みを包括的に進めるため改定を取りまとめた。国内投資の拡大やイノベーションの加速、所得向上といった好循環を生み出していく」と訴えた。

定時社員総会に続いて行われた表彰式では、支部長・副支部長を5年以上にわたり務めた支部役員のなかから9名が表彰され、代表して和歌山県支部の深見宗孝氏、滋賀県支部の坂口昌弘氏に、槙会長から表彰状と記念品が授与された。

令和5年度の被表彰者9名は、長野県副支部長・伊藤千織氏（在任期間8年）、静岡県副支部長・溝下正美氏（同5年）、滋賀県支部長・坂口昌弘氏（同6年）、滋賀県副支部長・橋本和彦氏（同6年）、滋賀県副支部長・安本久志氏（同6年）、大阪府副支部長・田中勇治氏　（同6年）、和歌山県支部長・深見宗孝氏（同6年）、兵庫県副支部長・中谷昌治氏（同6年）、徳島県副支部長・渋谷正寿氏（同9年）。