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公開日 2024/04/11 12:49
パナソニック、再生家電販売を10カテゴリーに拡大強化。サステナブルな社会に貢献する家電の循環スキーム構築へ
メーカー監修の高品質なリファービッシュ品
■“所有”から“利用”へと変化するライフスタイルに新たな選択肢
パナソニックは、パナソニック検査済み再生品(保証付)「Panasonic Factory Refresh」の陣容を10カテゴリーに拡大し、公式ショッピングサイト「Panasonic Store Plus」にて2024年4月10日から販売および定額利用サービスを開始すると発表した。
Panasonic Store Plus では、2020年よりサブスプリクション(定額利用)型サービスを開始。2023年12月からは中古品でも安心して使える1年間の保証を適用したリファービッシュ品の販売をドラム式洗濯乾燥機と4K有機ELテレビでスタートした。さらに、リファービッシュ品の定額利用サービスとして2023年6月よりヘアードライヤー「ナノケア」、2024年2月から卓上型食器洗い乾燥機を提供している。
そしてこの度、販売ラインナップにポータブルテレビ、ブルーレイディスクレコーダー、ミラーレス一眼カメラ、冷蔵庫を加え、2024年9月には電子レンジと炊飯器を加えた計10カテゴリーに拡大を予定する。また、パナソニックグループ製造事業部監修のもと、厳格な出荷基準を満たした高品質なリファービッシュ品を「Panasonic Factory Refresh」と新たな名称を採用した。
商品の提供はお客様のニーズにあわせ、買い切り型とサブスプリクション型を併用する。価格については明確なルールは存在しないが、4月10日時点の例として、冷蔵庫、洗濯機で通常販売時の約2割引きになっているという。
発表会で説明を行った同社執行役員・宮地晋治氏は、「お客様の消費スタイルが “所有” から “利用” へと変化するなか、新しい選択肢を提供することで新しい顧客との接点の拡大を図る。一度製造された製品を市場で循環し、資源を最大活用するため、本サービスの取り扱いカテゴリーを順次拡大していく」と訴えた。
■サブスクや初期不良・店頭展示の戻り品を再生
Panasonic Factory Refreshには、サブスプリクション型サービスの拡大に伴い増大している契約終了後に戻ってくる商品、初期不良や店頭展示の戻り品が活用される。リファービッシュ品に対するお客様の関心や安心を向上させる取り組みにも力を入れ、再生・再利用する循環スキームの構築を目指す。
現在、洗濯機やテレビなど大型の初期不良品は、宇都宮の同社工場に集めて再生されている。全国から商品を集めるためには大きな物流コストがかかり、CO2の排出にもつながる。宮地氏は「経産省でも言われているように地域で循環する世界をどうつくりあげていくか。自治体と連携してスキーム作りを行っていくことが重要で、われわれ単独でできることには限界がある」と地域と連携した取り組みにも注力していく考えを示した。
自動車では中古のスキームが整っているが、「家電製品でそれをお客様がどこまで求めているのか。長く使うことを考えれば、例えば修理部品の保有を8年から15年にすれば、7年間安心してお使いいただける環境を提供することもできる」と説明した。
「持続型社会へパナソニックとして家電製品を通じて貢献したい、日本の暮らしにお役だちしていきたい、そのスキームを立ち上げるためのスタートであり、その意思を表明させていただいたとご理解いただきたい」と力を込めた。
新製品との兼ね合いについては、「お客様のくらしを豊かにすることができる、お客様に愛される商品、感動される商品を作り続けるのはメーカーとして当然の使命。一方で毎年商品を発売することによる負荷もある」と語る。現在進めている指定価格制度を例に挙げ、製品を提供するサイクルが3年、4年と長くなることで技術者が考える時間が創出され、食洗器「SOLOTA」、シェーバー「ラムダッシュ パームイン」などのヒットモデルが誕生している。
「SOLOTAやラムダッシュ パームインを開発した技術者は新たな感動を与えられたやり甲斐感を持っている。そこに中古再生のスキームがあれば、お客様の買い替えのサイクルを早めたり、まだ手が出ないお客様にパナソニックの商品を使っていただいたりすることもできる。このビジネスが日本の暮らしを豊かにし、ウエルビーイングにつなげられる」と語る。
なお、指定価格制度の進捗については、2023年度は家電全体で25%の構成比まで拡大。白物家電だけでは4割、なかには6割、7割のカテゴリーも見られるという。2024年度は白物で5割以上をターゲットに定めている。
■「IoT延長保証サービス」も拡充。「つながるお客様」は約900万
パナソニックでは「くらしを守る、地球・社会を想う。」という新しい商売の基準を掲げ、今回発表されたリファービッシュ品の強化とともに、商品購入後もIoTを活用してお客様とつながり続けることで購入後の満足度を向上する「IoT延長保証サービス」を2023年2月より開始している。
対象となる購入製品をアプリにつなげることで、無料で保証期間を2年延長するというもの。対象機種は7カテゴリーの約500品番まで拡大し、2023年度末での「つながるお客様」は約900万まで伸長。2024年度末の目標「1,000万」に向けて順調な進捗を見せているという。
冷蔵庫、洗濯機の配送・設置時に、IoT接続を無料でサポートするサービスを2023年12月から新たに地域限定でスタートし、今後エリアを順次拡大していく予定だ。IoT接続により蓄積されたお客様からの使用データをもとに使いこなしを向上する通知は、エアコンに加え、ドラム式洗濯機乾燥機と冷蔵庫へ拡大。メンテナンスサービスも拡充を目指し、現在エアコンで行っているクリーニングサービスを、2024年5月よりドラム式洗濯機乾燥機でも関西地区からスタートする。
パナソニックのドラム式洗濯機乾燥機は熱交換器(ヒートポンプユニット)が本体上部に配置されているため、大掛かりな分解作業が不要で、専用の治具を開発し、同社認定技術員が安全丁寧なクリーニングを実施する。クリーニングサービス後の2年間のアフターサービスがパックされ、サービス料金は16,500円(税込)。
これまで年を経るごとに右肩下がりであった家電に対する満足度を、「IoTでお客様とつながり続けることで、毎日蓄積されるくらしログデータをお客様価値に変え、パナソニックならではの購入後の体験価値を提供していく」と取り組みをさらに強化していく。
順次拡充されていく「IoT延長保証サービス」に加え、再生品事業の新たなスタートを切ったパナソニック。宮地氏は「この事業が決して儲かっているわけではない。しかし、このスキームをつくり、地球温暖化に貢献し、最終的にはパナソニックがそうした価値のあるブランドとして認知され、圧倒的なご支持をいただける家電メーカーになることができれば、事業としても必然的に利益貢献にもつながっていく。まずはお客様の体験価値や満足度をいかに上げていけるか」と気を引き締めた。