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公開日 2024/10/15 21:21

<CEATEC>パナソニック、ガラス建材一体型太陽電池を初展示/ジャパンディスプレイ、木材などをタッチパネル化する「ZINNSIA」

10/18まで開催中
編集部 : 伴 修二郎
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エレクトロニクス/IoT関連の見本市「CEATEC 2024」が、本日10月15日(火)から18日(金)まで幕張メッセで開催される。本稿では、HALL6にブースを構えるパナソニックと、HALL4にブースを構えるジャパンディスプレイの展示をレポートする。

「CEATEC 2024」が開幕

■パナソニック〈最新センシング技術活用のAIテクノロジーやサステナビリティ取り組みをアピール〉



パナソニックグループのブースでは、最新センシング技術と掛け合わせた「AI」の社会実装や、サステナブルな社会の実現に向けたテクノロジーといった、社会課題解決を行う技術・製品・サービスを中心に出展。主に「AI&センシング」と「Sustainability(サステナビリティ)」の2つのコーナーを設けている。

パナソニックグループのブース

AI&センシングコーナーでは、より低エネルギー消費を実現するAIモデル設計技術や、低消費電力デバイスへのAI実装技術の開発に取り組んでいることをアピール。その技術の1つとして、わずかなデータ入力・学習でAIの展開ができるマルチモーダル基盤モデル「HIPIE」を紹介している。

AIコーナーの様子

本技術の開発活用例として冷蔵庫を挙げ、従来までは庫内の野菜を認識する学習データを手動で構築していたところ、HIPIEを活用することで現場ごとの学習データを構築せずに画像認識が可能。これにより、多様な暮らしや現場ごとのデータ構築作業を省き、チューニングコストを削減できるのだという。

現場ごとの学習データを構築せずに画像認識が可能

また、大規模言語モデル(LLM)の面では、ストックマーク社による生成AIモデル「Stockmark-LLM-100b」に対し、パナソニックが保有する社内情報を追加事前学習させた同社グループ専用の日本語LLM「Panasonic-LLM-100b」を構築したと説明。これにより、汎用LLMの課題である事実に基づかない情報生成や、ビジネス領域の知識不足といった課題解決を促し、AIの開発・社会実装を加速させるとアピールしていた。

さらに、パナソニックグループのAI製品やサービスをユーザーに信頼して利用してもらえるよう、AI活用を実践するために定めたAI倫理原則や、未知の情報に対して「知ったかぶらない」AI技術に取り組む「RESPONSIBLE AI」を紹介。AIモデルにおける課題の1つが「知らないと判断することが苦手」という点を挙げ、未知の物体を無理やり当てはめてしまうことで予期しない誤認識が生まれると指摘。この「知ったかぶりご認識」を防ぐAI技術の開発にも取り組んでいるのだという。

そしてAIの社会実装事例の展示として、同社のAIカメラ搭載冷凍冷蔵庫を紹介する。AIテクノロジーを活用した野菜自動認識機能により、庫内の在庫管理や、先に消費した方が良い野菜とそれを用いたレシピを提案するデモンストレーションを実施している。

AIカメラ搭載冷凍冷蔵庫を紹介

庫内には、広角・狭角望遠の2つのカメラを搭載。野菜室の撮影画像からAIが野菜の種類や入庫日を自動認識するほか、食材を出し入れした後画像が更新されると新しく入った野菜を認識してくれる。

これにより、野菜の種類や入庫日を認識して食材管理をサポートしてくれるため、フードロス防止を促すとしている。また、日持ちの目安から早く使ったほうが良い食材から優先的に食材とレシピを提案する機能もサポート。登録している食材リストからレシピ検索も可能で、毎日の献立づくりや食材の使い切りをAIがサポートすると謳っている。

庫内に入れられた様々な種類の野菜

野菜の種類や入庫日を認識して食材管理をサポートする

あわせて、世界最高水準と謳う同社の顔認証技術についても紹介。その事例の1つとして、同技術を用いたカードリーダーを事例に、外乱影響に強いことで屋外でも顔認証が可能な点や、顔の向きや加齢、経年変化、見切れ、照明変動などへの対応、家電のDNAを受け継いだ誰でも使いやすいデザイン性といった、パナソニックの顔認証の特徴をアピールしている。

センシング技術の展示では、独自の圧縮センシング技術とデジタルカメラ開発のノウハウの融合によって、世界最高感度・スキャンレスでハイパースペクトル画像を撮影するセンシング技術を紹介。本技術を活用した試作カメラを展示している。

カメラ精度の比較イメージ

大きな特徴として高度な色の識別を謳っており、これにより食品の異物検査や車の塗装不良といった、これまで属人化していた検査体制の省人化・効率化を図れるのだという。

また、従来比10倍の感度を実現する独自の特殊フィルタ技術により、従来のRGBカメラでは困難であった僅かな色の違いを識別できるとするほか、ピントや露出補正といった撮影調整機能や、独自のAI画像分析ソフトとの連携などもサポートするとしている。

あわせて、広域・屋外の現場でも高精度・短時間に空間を3Dスキャンできると謳う高精度3Dレーザースキャナも紹介する。mm精度の距離計測や距離と速度の同時計測、照明光・太陽光の影響を受けずに屋内外問わずに高精度計測が可能。担当者によれば活用例として、現場の施工管理や自動運転アシストといった高度交通システム、高精度な物体認識や位置決めによるロボット用センシングといった管理業務や現場労働の効率化に貢献すると説明していた。

広域・屋外の現場でも高精度・短時間に空間を3Dスキャンできる

続いてSustainabilityのブースでは、持続可能な社会の実現に向けた地球環境課題や地域課題を解決する取り組みを多数展示。その1つが、独自の材料技術やインクジェット塗布工法で発電層をガラス基板上に直接形成した、ガラス建材一体型の「ペロブスカイト太陽電池」だ。

ブース内には、建材として実用サイズである1m×1.8mサイズのガラス面に発電層を形成した建材一体型太陽電池を今回初展示する。サイズや透過性、グラフィックパータンなどは自由にカスタマイズが可能。建築基準に適合した強度・厚みを備えることでガラス建材として使用でき、透過率は1枚のガラスの中でも自由に変更できるとのこと。

ガラス建材一体型の「ペロブスカイト太陽電池」

サイズや透過性、グラフィックパータンなどは自由にカスタマイズが可能

これにより、建築物と調和しながらオンサイト発電が行えると謳う。発電効率は世界最高レベルとする18.1%を実現するほか、劣化等の要因となる水や酸素を通さないガラスを基板として使用することで、長期的な耐久性も備えるとしていた。

また家電類の取り組みとして、ドラム式洗濯乾燥機「GX:Green Transformation」の取り組みを展示。主に再生プラスティックの使用に加えて、梱包材に新たにパルプモールドを使用することで発泡スチロールレスを実現した点をアピール。担当者によればパルプモールドの材料や形状を最適化したことで、発泡スチロールと変わらない耐久性を実現できたのだという。

梱包材に新たにパルプモールドを使用することで発泡スチロールレスを実現

さらに資源枯渇問題への対応策として、地球上の限られた資源を有効活用した、新たな資源循環に貢献する素材の開発・展開。その事例として、植物由来のセルロースファイバーを高濃度に樹脂に混ぜ込んだサステナブルな素材である「kinari」や、、リサイクル可能なポリプロピレン繊維強化樹脂「PPFRP」、アブラヤシの廃材から作る木材に代わる新しい材料「PALM LOOP」を、導入事例と共に紹介していた。

リサイクル可能なポリプロピレン繊維強化樹脂「PPFRP」

アブラヤシの廃材から作る木材に代わる新しい材料「PALM LOOP」

そのほかにも、パナソニックグループパビリオン「ノモの国」の資源循環の取り組みの展示や、iPS細胞樹立からT細胞への分化誘導を自動化することにより、低コストや高品質、安定製造を実現する閉鎖系小型細胞培養装置のコンセプト機を初展示なども実施。会期中にはブース内のステージにて、出展技術・製品・サービスについて担当者が語るトークセッションも開催している。

パナソニックグループパビリオン「ノモの国」

閉鎖系小型細胞培養装置のコンセプト機も初展示

■ジャパンディスプレイ〈様々な素材の表面をタッチパネルにする「ZINNSIA」



ジャパンディスプレイのブースでは、様々な素材の表面をタッチパネルへと変貌させる独自のセンサー技術「ZINNSIA(ジンシア)」を紹介。本技術を用いた様々な活用例のデモンストレーションを用意し、「素材を生かした新たなセンシング体験」が体感できると謳っている。

独自のセンサー技術「ZINNSIA(ジンシア)」をアピール

ZINNSIAは、同社独自のディスプレイ技術とセンサー技術を組み合わせて開発された、FPC(フレキシブルプリント回路基板)に実装した静電容量方式の薄型センサー。

本センサーを用いることで、木材や大理石、革、布、芝、石膏ボードといった、これまでタッチセンサーとして使用することが難しかった素材でも、指や人の動きを検知することが可能。これにより、タッチパネルの存在を意識しないセンシングを可能とし、「これまでにないデザインとセンシング体験を実現する」と説明している。

担当者によれば、金属以外の絶縁体であれば、ほぼどの素材にも対応するとのこと。木材であれば約10cmほどの厚さでも検知が可能で、活用例として観葉植物の下にタッチパネルを敷くことで、観葉植物の葉に触れると、触れた場所に応じて事前に設定しておいた音声が再生されるデモ展示も行っていた。

木材や大理石、革、布、芝、石膏ボードといった様々な素材をタッチパネル化

木材であれば約10cmほどの厚さでも検知が可能

また、フォスター電機と共同開発している、曲面形状の木材から音が奏でられる「曲面木材スピーカー」の試作機も展示。センサーが曲面形状に対応していることで、触れた場所によって任意の楽曲や環境音を再生できる様子が確認できる。担当者によれば、タッチ操作によるボリューム調整や曲送りといったことも実現可能とのことで、操作ボタン等を排除できることでインテリア性も確保できるとしていた。

フォスター電機と共同開発の「曲面木材スピーカー」

さらにZINNSIAは柔らかい素材の下でも検出が可能としており、その活用例として「なでる」「にぎる」といった細かい動作を区別して認識するぬいぐるみロボットを紹介。「なでる」や「ちかづく」といった立体的で繊細な動作にも対応し、よりリアルに触れ合えるぬいぐるみ開発にも活用できるのだという。

そのほかにも子ども向け教材への活用例として、ボードに描かれたイラストを触ると、そのイラストに応じた音声が出力されるデモもなども展示。担当者によれば現時点ではまだZINNSIAの正式導入例はないものの、来年以降を視野に目指していきたいと語ってくれた。

柔らかい素材の下でも細かな検出が可能

子ども向け教材への活用法も紹介

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