• ブランド
    特設サイト
ガジェット 公開日 2022/11/04 12:01

脳でiPhoneやiPadを操作。実用化に向け臨床試験中

マスク氏のNeuralinkも11月末に進捗発表の予定
Gadget Gate
多根清史
  • Twitter
  • FaceBook
  • LINE
アップルは長年にわたり、視覚や聴覚、身体機能をサポートする「アクセシビリティ」(誰でも必要な情報にたどり着き、機能を使いやすくすること)機能に真摯に取り組んできたことが称賛を集めている。文字を見やすく拡大する、文章を読み上げる、絵や写真を言葉で説明して状況を伝える、といった具合だ。

だが、その域を超えて「脳で直接、iPhoneやiPadを操作できる」アクセシビリティに取り組んでいる企業や研究者も存在している。ニュースメディアSemaforは、埋込み型の脳コンピューターインターフェース(BCI)「Stentrode」を開発するSynchron社の試みにスポットを当てている。

米ニューヨークに拠点のあるSynchron社は、現在6人の患者に「Synchron Switch」を使ってもらっているという。同社は、米国食品医薬品局(FDA)からBCIの臨床試験を行う許可を出された最初の企業である。

まずStentrodeを、身体への負担が小さい低侵襲性手術により、血管を介して脳の上部に挿入する。そして患者の胸元にあるSyncron Switchを使って、ワイヤレスで制御するしくみだ。

ちなみに、カテーテルという細いチューブの先端に取り付け、血管などの狭窄した部分を拡張する器具を「Stent(ステント)」と呼ぶ。Stentrodeの名前も、おそらくそこから取ったのだろう。

Synchron社の共同創業者兼CEOであるTom Oxley氏は、このStentrodeを埋め込むため必要なスキルは「ありふれたもの」であり、その簡易さこそが自社のビジネス戦略にとって重要だと語る。脳に直接埋め込むとなると脳外科手術が必須となるが、その技術を持つ医師は不足している。

このSynchron Switchによりアップル製品を使っている、ただ一人の患者が、元ソフトウェアのセールスマンであるロドニー・ゴーサム(Rodney Gotham)氏だ。ゴーサム氏はALS(筋萎縮性側索硬化症)を患っており、iPadを主なコミュニケーション手段としている。

ゴーサム氏が足を叩くことを考えると、iPadはそれをスクリーン上での指のタップと解釈する。それにより、ゴーサム氏の思考がiPadの画面上での動作に変換されるわけだ。実際にゴーサム氏が “会話” したスクリーンショットも公開されている。

現状ではSynchron社の研究は初期段階に過ぎないが、FDAに認可されている分、他社を大きくリードしている。アップル自らも米カーネギーメロン大学で同様の研究を支援しているというが、それでもSynchron社が先がけたのは、「要するに実用的だったからだ」とされている。

脳コンピューターインターフェースといえば、イーロン・マスク氏が2017年に設立したNeuralinkを思い出す人もいるだろう。当時マスク氏はあと4〜5年もすれば実用化できると発言していたが、それから約5年が経過している。

実はマスク氏は今年8月、Neuralinkのshow&tell(実演および発表会)を10月31日に行うとツイートしている。しかし、その日が近づくと11月30日に延期したと述べ、それ以上の情報は明らかにしていない。

Twitter社を買収したマスク氏は色々と多忙そうではあるが、アクセシビリティの未来のためにも、今月末のNeuralinkの発表に期待したいところだ。

Source: Semafor
via: 9to5Mac,

この記事をシェアする

  • Twitter
  • FaceBook
  • LINE

トピック

クローズアップCLOSEUP
アクセスランキング RANKING
1 楽天ブラックフライデーでJBLの超人気サウンドバー「BAR 1000/800」が激安!プロも驚く革新的モデルはどんな音を鳴らす?
2 評論家が厳選!マランツ「MODEL M1」でPolk Audio/KEF/TAD/Harbethのスピーカーを鳴らす
3 ビクター新ワイヤレスヘッドホン「HA-S99N」速攻レビュー! 評論家が「もう驚きでしかない」と高評価した魅力とは?
4 ボーズ、McIntosh Groupを買収。マッキントッシュ、ソナス・ファベールが傘下に
5 レグザが100型クラス大画面4Kテレビを拡充する理由とは? 目黒蓮の特別コメントも
6 パナソニック「2023年度 優秀ご販売店様謝恩会」を開催。21店が栄誉に輝く
7 山之内 正氏によるエソテリック×アキュフェーズ×マランツ比較試聴会、「ハイエンドオーディオ&アクセサリーショウ2024」で開催
8 オーディオファイル待望の物量投入型プリメインアンプ!デノン「PMA-3000NE」をクオリティチェック
9 B&Wの音は “信頼に値する重要な指標”。音元出版の新試聴室に「802 D4」が導入されたワケ
10 新開発ユニットを巧みに操る懐深いサウンド。ELAC「Debut 3.0」フロア型/ブックシェルフ型を聴く
11/22 10:41 更新
MAGAZINE
音元出版の雑誌
オーディオアクセサリー193号
季刊・オーディオアクセサリー
最新号
Vol.194
オーディオアクセサリー大全2025~2026
別冊・ケーブル大全
別冊・オーディオアクセサリー大全
最新号
2025~2026
プレミアムヘッドホンガイドマガジン vol.22 2024冬
別冊・プレミアムヘッドホンガイドマガジン
最新号
Vol.22
プレミアムヘッドホンガイド Vol.32 2024 AUTUMN
プレミアムヘッドホンガイド
(フリーマガジン)
最新号
Vol.32(電子版)
VGP受賞製品お買い物ガイド 2024年冬版
VGP受賞製品お買い物ガイド
(フリーマガジン)
最新号
2024年夏版(電子版)
DGPイメージングアワード2024受賞製品お買い物ガイド(2024年冬版)
DGPイメージングアワード受賞製品お買い物ガイド
(フリーマガジン)
最新号
2024年冬版(電子版)
音元出版の雑誌 電子版 読み放題サービス
「マガジンプレミアム」お試し無料!

雑誌販売に関するお問合せ

WEB
  • PHILE WEB
  • PHILE WEB AUDIO
  • PHILE WEB BUSINESS
  • ホームシアターCHANNEL
  • デジカメCHANNEL
AWARD
  • VGP
  • DGPイメージングアワード
  • DGPモバイルアワード
  • AEX
  • AA AWARD
  • ANALOG GPX