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ガジェット 公開日 2023/08/30 15:41
修理業者のiFixit、「マクドナルドのソフトクリーム・マシンをハックする権利」を米議会に要請
記事執筆時点では全米で1割以上のマシンが故障
マクドナルドのソフトクリーム・マシンは故障しやすいことで有名であり、マックフルーリー等が食べたいときに食べられない事態はよくある。実際、全米各地でどれだけ故障しているかを可視化しているサイトもあるほどだ。
が、これは笑い事では済まされない。お客ががっかりするだけではなく、フランチャイズ店舗の経営者たちにとっても深刻な問題となっていたからだ。
この件につき、最新スマートフォンの分解記事で有名な修理業者iFixitが「ソフトクリーム・マシンをハックする許可」を米議会に要請している。
なぜ、マクドナルドのソフトクリーム・マシンは頻繁に故障するのか。1つには、バクテリアの繁殖を防ぐために毎晩、熱洗浄サイクルを行う必要があることが挙げられるという。この洗浄は非常に時間がかかる上に、サイクル中に故障することもある。そうなれば修理業者が来て復元するまでは、当然ながら使えなくなる。
しかし、マシンの修理が認められているのは、マクドナルドと提携しているTaylor社のエンジニアか、認定修理業者のみだ。新型コロナ禍が続いた期間には待ち時間が長くなり、なかなか修理に来てもらえないとの苦情が相次いでいたという。米FTC(連邦取引委員会)がマクドナルドの調査に乗り出したとの報道もあった。
そのため米スタートアップKytchは、マシン内に設置する装置を開発して2019年から販売していた。マシン内部の通信を傍受してウェブまたはスマートフォンに転送し、リモートで監視し、トラブル対応を可能にするものだ。
が、マクドナルドはこの装置が「機密情報の傍受」に使われているとして、全店舗のオーナーに手紙を送り、使わないよう指示したという。これによりKytchは10億ドル相当の損害を被ったとして、同社に損害賠償を求める訴訟を起こしていた。
さてiFixitは、マクドナルドの店舗と同じソフトクリーム・マシンを購入し、何時間もかけて稼働させようとした。ハードウェア的には3枚のプリント基板、モーターとベルト、熱交換器といった「簡単に交換できる部品」で構成されているに過ぎない。
そして「マニュアルを何時間もかけて読んでも、意味不明で、直感に反し、一見デタラメのように見える」多くのエラーコードを吐き出したそうだ。内蔵されたソフトウェアが、稼働や修理を困難にしているわけだ。
そのためiFixitチームは、自分たちのやり方で(ソフトウェアを解析することで)修理を望んでいる。しかし、「エラーコードを読み取れるKytchのような装置を作りたいが、著作権法の関係でできない」という。
ここでいう著作権法とは、DMCA(デジタルミレニアム著作権法)のこと。デバイスのソフトウェアロックを回避して修理することを違法とするものだ。もともとは海賊版などを取り締まるためにコピーガードやアクセスコントロールの解除を封じるための項目だったが、結果として電子機器に内蔵されたソフトウェアのリバースエンジニアリングを行う妨げとなっている。
これをクリアするため、iFixitと非営利団体Public Knowledgeは、ソフトクリーム・マシンに関する法律の適用除外を申請した。しかし、たとえ免除を受けたとしても、修理ツールを配布することはできないとのこと。
そこでiFixitは米議会に対して、ソフトウェアロックやその他の制限を回避して製品を修理することを合法とする「修理の自由法案」の再提出を求めている。
もし米議会が法改正に踏み切れば、いずれ日本にも波及するはず。いつでも好きなときに店舗に行き、マックフルーリーを食べられる未来が、ついにやって来るのかもしれない。
Source: iFixit
via: The Verge
が、これは笑い事では済まされない。お客ががっかりするだけではなく、フランチャイズ店舗の経営者たちにとっても深刻な問題となっていたからだ。
この件につき、最新スマートフォンの分解記事で有名な修理業者iFixitが「ソフトクリーム・マシンをハックする許可」を米議会に要請している。
なぜ、マクドナルドのソフトクリーム・マシンは頻繁に故障するのか。1つには、バクテリアの繁殖を防ぐために毎晩、熱洗浄サイクルを行う必要があることが挙げられるという。この洗浄は非常に時間がかかる上に、サイクル中に故障することもある。そうなれば修理業者が来て復元するまでは、当然ながら使えなくなる。
しかし、マシンの修理が認められているのは、マクドナルドと提携しているTaylor社のエンジニアか、認定修理業者のみだ。新型コロナ禍が続いた期間には待ち時間が長くなり、なかなか修理に来てもらえないとの苦情が相次いでいたという。米FTC(連邦取引委員会)がマクドナルドの調査に乗り出したとの報道もあった。
そのため米スタートアップKytchは、マシン内に設置する装置を開発して2019年から販売していた。マシン内部の通信を傍受してウェブまたはスマートフォンに転送し、リモートで監視し、トラブル対応を可能にするものだ。
が、マクドナルドはこの装置が「機密情報の傍受」に使われているとして、全店舗のオーナーに手紙を送り、使わないよう指示したという。これによりKytchは10億ドル相当の損害を被ったとして、同社に損害賠償を求める訴訟を起こしていた。
さてiFixitは、マクドナルドの店舗と同じソフトクリーム・マシンを購入し、何時間もかけて稼働させようとした。ハードウェア的には3枚のプリント基板、モーターとベルト、熱交換器といった「簡単に交換できる部品」で構成されているに過ぎない。
そして「マニュアルを何時間もかけて読んでも、意味不明で、直感に反し、一見デタラメのように見える」多くのエラーコードを吐き出したそうだ。内蔵されたソフトウェアが、稼働や修理を困難にしているわけだ。
そのためiFixitチームは、自分たちのやり方で(ソフトウェアを解析することで)修理を望んでいる。しかし、「エラーコードを読み取れるKytchのような装置を作りたいが、著作権法の関係でできない」という。
ここでいう著作権法とは、DMCA(デジタルミレニアム著作権法)のこと。デバイスのソフトウェアロックを回避して修理することを違法とするものだ。もともとは海賊版などを取り締まるためにコピーガードやアクセスコントロールの解除を封じるための項目だったが、結果として電子機器に内蔵されたソフトウェアのリバースエンジニアリングを行う妨げとなっている。
これをクリアするため、iFixitと非営利団体Public Knowledgeは、ソフトクリーム・マシンに関する法律の適用除外を申請した。しかし、たとえ免除を受けたとしても、修理ツールを配布することはできないとのこと。
そこでiFixitは米議会に対して、ソフトウェアロックやその他の制限を回避して製品を修理することを合法とする「修理の自由法案」の再提出を求めている。
もし米議会が法改正に踏み切れば、いずれ日本にも波及するはず。いつでも好きなときに店舗に行き、マックフルーリーを食べられる未来が、ついにやって来るのかもしれない。
Source: iFixit
via: The Verge