• ブランド
    特設サイト
公開日 2022/06/30 18:43

CO2を空気中から取り出す、Climeworksの大型プラントが着工。稼働すれば年3.6万トン回収へ【Gadget Gate】

回収CO2は岩石に固定して地下へ
Munenori Taniguchi
  • Twitter
  • FaceBook
  • LINE
大気中から年間3万6,000トンもの二酸化炭素を回収・貯蔵できるという「ダイレクト・エア・キャプチャー(DAC)」プラントを、Climeworksがアイスランドで建設開始した。

Image:Climeworks

Climeworksは、二酸化炭素(CO2)回収技術を開発するスイスのスタートアップだ。そして、2030年までに年間数百万トン、2050年までには年間10億トンものCO2の回収を計画している。10億トンと聞けば、とてつもない量が回収できるようにも思えるが、人類が2021年に排出したCO2の量は363億トンだという。

新しく建設するDACプラントは「Mammoth(マンモス)」と呼ばれ、完成予定は1年半〜2年後。操業は再生可能エネルギーを使って行われ、回収したCO2は玄武岩など(に含まれるカルシウム)に反応させて炭酸塩鉱物にすることで固定化し、地下に貯蔵するという。

Climeworksの共同創設者にして共同CEOのヤン・ヴルツバッハー氏は「我々は空気中のCO2をミリグラム単位で回収するところからスタートした」とCNBCに語っており、この会社が過去13年間進めてきた技術開発の進歩は、非常に大きかったとしている。ちなみにClimeworksは、活動初期には資金獲得のためもあり、回収したCO2を炭酸飲料メーカーなどに販売していたが、現在はそのようなことは「ほとんど」ないそうだ。

大気中からCO2を回収するための、最も自然な方法は植林だ。しかし回収量を高めようとするほど、植林に莫大な土地が必要になるほか、山火事や伐採、枯死などで失われたりもする。なにより木々が育つのに時間がかかるため、具体的に植林の効果を弾き出すのは難しい。そこでヴルツバッハー氏らは、技術を用いて積極的にCO2を回収する必要があると考えた。

Climeworksは2016年に、自然界なら数百〜数千年はかかるというCO2の無機化を、2年未満で実現できることを実証した。2017年に最初のCO2回収プラントをスイスに建設後、同年アイスランドにCO2の回収・貯蔵プラントを設置。そして2021年にはアイスランドに初の大規模プラント「Orca」を稼働し、年間4,000トンのCO2回収を可能としている。

こうした活動は、それまでの温暖化対策における「どうすれば排出を回避抑制できるか」という発想の方向を大きく変えることになり、CO2を吸収する藻類をはじめ、各国でCO2回収の研究が盛んになってきた。

今年4月には、国連の機関である「気候変動に関する政府間パネル(IPCC)」が、地球温暖化対策に関する報告書に「二酸化炭素除去(Carbon Dioxide Removal:CDR)技術は、二酸化炭素と温室効果ガスの排出を正味ゼロにしつつ、緩和しがたい残留排出を相殺するために必要」だと記している。

Climeworksでヴルツバッハー氏とともに共同創設者および共同CEOを務めるクリストフ・ゲバルト氏は、「我々が構築している規模のDACプラントは誰も作ったことがない」と述べ、「成功の秘訣は現実世界に可能な限り速くテクノロジーを稼働させることであり、迅速な技術導入によって、数メガトン規模の堅牢な運用が可能になるだろう」と説明している。

Source: Climeworks
via: CNBC



テック/ガジェット系メディア「Gadget Gate」のオリジナル記事を読む

この記事をシェアする

  • Twitter
  • FaceBook
  • LINE

トピック

クローズアップCLOSEUP
アクセスランキング RANKING
1 「オーディオのオンキヨー」復活へ。新スピーカーとセパレートシステムを年明けのCESで発表
2 【完全ワイヤレスイヤホン特集 PART.10】音のプロが選ぶベストバイは?
3 CD再生とファイル再生の架け橋に!Shanlingからリッピング機能付きトランスポート「CR60」が登場
4 今こそ「ミニコンポ」が面白い! デノン/マランツ/B&Wの令和ライフにマッチする厳選5モデルレビュー
5 水月雨、『崩壊:スターレイル』とのコラボ完全ワイヤレス。ダイナミック+環状平面駆動の同軸ドライバー搭載
6 【ミニレビュー】空き電源コンセントに挿入するだけ。オーディオみじんこ「SILVER HARMONIZER AC-ADVANCE」
7 モニターオーディオ「GOLDシリーズ」レビュー。ユニット大幅刷新の第6世代機は「ハイスピードで焦点の明確な音調」
8 AVIOT、『らんま1/2』コラボ完全ワイヤレスイヤホン。完全新録ボイス240種類以上搭載
9 Nothing、スマホ/イヤホンが最大30%オフ価格になるウィンターキャンペーン。先着順で靴下もらえる
10 要注目の新興ブランド、ラトビア「アレタイ」スピーカー試聴レビュー!広大な空間描写力が魅力
12/20 10:05 更新
MAGAZINE
音元出版の雑誌
オーディオアクセサリー193号
季刊・オーディオアクセサリー
最新号
Vol.195
オーディオアクセサリー大全2025~2026
別冊・ケーブル大全
別冊・オーディオアクセサリー大全
最新号
2025~2026
プレミアムヘッドホンガイドマガジン vol.22 2024冬
別冊・プレミアムヘッドホンガイドマガジン
最新号
Vol.22
プレミアムヘッドホンガイド Vol.32 2024 AUTUMN
プレミアムヘッドホンガイド
(フリーマガジン)
最新号
Vol.32(電子版)
VGP受賞製品お買い物ガイド 2025年冬版
VGP受賞製品お買い物ガイド
(フリーマガジン)
最新号
2025年冬版(電子版)
DGPイメージングアワード2024受賞製品お買い物ガイド(2024年冬版)
DGPイメージングアワード受賞製品お買い物ガイド
(フリーマガジン)
最新号
2024年冬版(電子版)
音元出版の雑誌 電子版 読み放題サービス
「マガジンプレミアム」お試し無料!

雑誌販売に関するお問合せ

WEB
  • PHILE WEB
  • PHILE WEB AUDIO
  • PHILE WEB BUSINESS
  • ホームシアターCHANNEL
  • デジカメCHANNEL
AWARD
  • VGP
  • DGPイメージングアワード
  • DGPモバイルアワード
  • AEX
  • AA AWARD
  • ANALOG GPX