公開日 2009/02/26 13:47
パナソニックBDレコーダー「DMR-BW950」徹底レビュー − 「録画機能」&「ワンセグ持ち出し」編
ケースイが最新モデルを斬る!
パナソニックのBDレコーダー“DIGA”シリーズのラインアップが一新された。2008年9月に発売された「DMR-BW930」などラインナップから、およそ半年の間隔を空けて登場した新機種は、短い期間の間にかなりの進化を遂げているので要注目だ。
ツインチューナーモデルは「DMR-BW950/BW850/BW750」の3種類で、シングルチューナーモデルに「DMR-BR550」がある。全機種が5.5倍録画とアクトビラ ビデオ ダウンロードに対応したほか、後述する「ワンセグ持ち出し」が可能になった。さらにツインチューナーモデルでは、YouTube視聴やDLNAのサーバー機能にも対応した。ラインアップの詳細については既報を参照して欲しい。
今回は最上位モデルの「DMR-BW950」を使いながら、最新モデルの実力をレビューしよう。
■開梱一番、コンパクトな筐体に驚かされる
まず実機を見て小柄な本体に驚く。まるでスリムタイプのDVDプレーヤー並に小さい。そもそもテスト機が到着した時から、梱包の箱がとても小さいことに気がついたが、本体もここまで小さいとは思わなかった。幅は一般的な430ミリで変わらないが、奥行きは従来モデル(BW930)の315ミリから239ミリへ76ミリも短かくなっている。さらにタテの厚みも66ミリから59ミリと薄くなった。ともすればコンパクト&スリム化により、チープ感が漂うところだが、天板にもクリアパネルをあしらうなど、デザインに工夫を凝らしたことで高級感を損なわない仕上がりになっている。
コンパクトながらも高級感の漂うデザインだ。
AVファンきの間では「重くてデカイ=高画質&高音質」というイメージがあるように思われる。筆者もそう考える1人だが、AV機器もインテリアの一つと考えるユーザーには、薄型テレビとのマッチングやラックへの収まりがよいので、こういったコンパクトなデザインの方がウケけそうだ。例えば最近のAVラックを見ると、薄型テレビ用に奥行きを30センチ前後にした、製品も見かけるようになったから、これらに設置するには最適なサイズだろう。もちろん、ここまのコンパクト化を実現した背景にはパナソニックが誇るプラットホーム「UniPhier(ユニフィエ)」が貢献している部分も大きいのだろう。
■録画ファン大満足の操作感を実現した新リモコン
リモコンの使い勝手が大きく高まった点にも注目だ。筆者もDIGAユーザーの1人なのであえて言わせてもらうが、これまでシリーズに付属していたリモコンはとても使いづいと感じていた。初心者向けの操作を優先しすぎて、ボタンを減らしたことが使いづらい原因だと感じている。たとえば他社のリモコンには必ずついている「スキップバック(一定時間早戻し)」の専用ボタンが省かれていた。デジタルレコーダーを使っている人にはわかっていただけると思うが、「スキップ(一定時間早送り)」と「スキップバック」はセットで使うべき機能で、録画番組のCM飛ばしには欠かせない。他にもHDD/BD/DVD/SDのメディア切り替えボタンが共通化されていたのも気になっていた。このことは何度となくレビューで“不便”と書いてきたのだが、今回のモデルからようやくスキップバック専用ボタンやドライブボタンが独立して配置されたデザインとなった。
デザインを一新して使いやすくなったリモコン。「ドライブ選択」、「スキップバック」が独立したボタンになって使いやすい。
それだけではない。デザインも一新され、従来のリモコンよりも手になじむスティック型になっており、操作感が飛躍的に向上している。これまで以上に快適に不要なシーンを見飛ばせるようになった。
インターフェースを見てみよう。スタートメニューが「新スタートメニュー」になって、かなり見た目の印象が変わっている。メニューを「録画した番組を見る」にあわせると、録画番組のサムネイルがまるでWindows Vistaのようなインターフェースで表示され、なかなかカッコイイ。ただこのサムネイルから番組が選べるわけではなく、演出だけだったのは残念だ。このほかに写真や音楽など、本機が備える多彩なAV機能がわかりやすく選択できる。
スタート画面が一新されさらに使いやすくなった。録画番組の再生は従来のイメージのままだった。
番組表は小型テレビから、40インチを超える大画面テレビでの利用を考えて従来の「3・5・7・9チャンネル」表示に加え、「11チャンネル(8時間)」と「15チャンネル(10時間)」、「19チャンネル(12時間)」を追加している。50インチクラスのテレビで使うなら情報量の多い「19チャンネル」表示が使いやすい。さらにスカパー!e2などの専門チャンネルの番組探しに重宝する「放送局別表示」にも対応した。局別表示に対応するメーカーは少ないのでテレビ好きにとって、膝頭を打つほどうれしい改善点といえる。
番組表は「3局表示から」最大で「19局表示」が可能。画面が小さいと見づらいが、大画面なら番組探しがしやすい。できれば選択した番組のタイトルや放送内容を欄外に表示するなどひと工夫が欲しかった。
この番組表を最大限に活用できるのが「ジャンル別表示機能」だ。「洋画」、「バラエティ」など番組ジャンルを指定することで、対象の番組だけがアクティブになり、一目で見つけやすくなっている。
番組表を使って検索もできる。お笑い、コメディで検索をかけると…
「笑っていいとも!」が見つかった。
フリーキーワードでの予約にも対応。「落語」を入力すると…
1日の放送分でこれだけの番組が見つかった。便利なように見えるが、検索結果を日にちごとで表示するので、一覧性が悪く使い勝手はいま一つ。
「なぜこの番組が?」と思って確認すると放送内容に「八代目桂文楽」師匠のキーワードが見つかった。検索機能は上手に使うと興味のある番組と出会える。
さらにさらに筆者を驚かせたのが毎週、毎日の繰り返し予約の詳細設定画面だ。なんと“曜日ごと”に設定が可能になっている。これはスゴイ! 録画好きの方には“ピン”と来るはずだ。
例えばほとんどのレコーダーの週間予約は月曜始まりで「月=金」、「月=土」での設定になっている。しかしこれだと月曜深夜から1週間続く番組を録画する際、日曜深夜の番組から録画する事になり、ムダ録りが発生する。この場合は“火曜”スタートの週間予約が必要なのだが、筆者の知る限り「火曜=土曜」という予約設定ができるレコーダはなかった。こだわった録画機能を搭載する東芝RDシリーズでさえ、最新モデルのRD-X8でも、週間予約は月曜スタートしか用意されていないのだ。
かゆいところに手が届く、ありそうでなかった繰り替えし番組録画設定。
DIGAの自動録画機能は新番組のみに対応している。
このほかに「笑っていいとも!」など、月=金の帯番組で「火曜日だけは録画したくない」と考えたとき「月=金」で帯予約をして、あとで火曜日だけ消去するか、「毎月、毎水、毎木、毎金」で予約することになる。前者は録画後に不要に録画した“火曜放送分”を消去しなければならず、後者は予約数が増えてしまう。レコーダーの予約数には上限があり、できれば一つの予約で、まとめたいので、1予約で曜日を細かく設定できた方がメリットはあるのだ。電子番組表(EPG)は番組探しに欠かせない録画機の顔とも言える機能だが、本機ではこれがかなり使いやすくなっている印象を受けた。
■DIGAで録画した番組を「ワンセグ持ち出し」してみる
目玉機能の一つ「ワンセグ持ち出し」機能をチェックする。本機には通常の地デジチューナーとワンセグチューナーが搭載されており、地デジで予約した同じ時刻に放送されいている、同じ局のワンセグ番組を同時録画して、ワンセグ番組だけをSDカードや対応機器に転送できるという機能だ。持ち出し時に録画番組を変換しなくて良いうえ、高速でダビングできるのがメリットだ。
「ワンセグ持ち出し」を利用するにはメニューの「その他の機能」から入り、あらかじめ設定が必要。設定画面になかなかたどり着けず、マニュアル片手で作業した。
メニューの「モバイル機器へ持ち出す」からSD動画で録画した番組を一覧表示する。一度設定をすると録画した全ての地デジ番組をワンセグでも録画する。
転送はSDカードだけでなく対応するUSB機器にも行える。
番組を選んで一括転送する。
SDカードに録画した番組はDIGAのメニューを使って削除できる。
動画の持ち出しと言えばソニーのBDZシリーズが搭載する「おでかけ転送」機能があるが、これと本機の「ワンセグ持ち出し」は異なる。まず地上波=ワンセグではない。ほとんどのワンセグ番組が地デジと同一の番組を放送しているが、これは放送局の都合で今後いつでも変更される可能性がある。制作費が厳しい放送局は地デジと同じ番組を放送するし、資金に余裕のある放送局はよりモバイルに特化したコンテンツをワンセグ用に制作して放送することになる。そのため、ワンセグ同時録画機能の場合は、「必ずしも地デジと同じ番組を録画して持ち出せるとは限らない」ということを知っておきたい。
一方、ソニーは地デジを録画しながら動画変換を行い、PSPもしくはウォークマン用のファイルを作成する。録画しながらの変換なので、外部機器への転送は早い。こちらのメリットは、確実に地デジと同じ番組が転送できることと、さらにWOWOWを含むBS放送と110度CS放送も持ち出せることだ。この機能の便利さについては、筆者が以前レビューした記事を参照いただきたい。
録画番組のほとんどを移動中に視聴する事が増えた筆者にとって、「ワンセグ持ち出し」は大歓迎の機能だ。ソニーの「おでかけ転送」のように再生機種が限定されておらず、ワンセグ録画に対応した携帯電話でも楽しめるのが大きな魅力だ。ただ、どう頑張ってもワンセグの映像なので、5型のワイド液晶を搭載するポータブルワンセグテレビ「SV-ME750」などで再生すると、やや映像の粗さが目立ってしまうと感じた。ソニーのおでかけ転送で持ち出した映像をPSPで見ても、さほど映像の粗さを感じないので、やはりワンセグの映像は携帯電話程度の画面サイズで見るのが適切だと感じた。例えば今後もしニンテンドーDSあたりで再生できれば面白そうなのだが。とはいえ、携帯電話で楽しむにはまったく問題はないので、通勤・通学時のお楽しみとして活用できそうな機能だ
※初出時、筆者がテストしたポータブルワンセグテレビの機種名を「SV-MD75」と記載しておりましたが、正しくは「SV-ME750」になります。お詫びして訂正いたします。
5V型液晶を搭載するワンセグテレビだと、画面の荒さが気になった。携帯電話はワンセグ録画が可能な機種でマイクロSDに対応している機種なら再生できそうだ(詳細はホームページにて)今回はP903iTVでテストしたが、無事に再生できた。
次回は「アクトビラダウンロード」と「YouTube視聴」の機能について、詳しく紹介しよう。
レポート:鈴木桂水
元産業用ロボットメーカーの開発、設計担当を経て、現在はAV機器とパソコン周辺機器を主に扱うフリーライター。テレビ番組表を日夜分析している自称「テレビ番組表アナリスト」でもある。ユーザーの視点と元エンジニアの直感を頼りに、使いこなし系のコラムを得意とする。そのほかAV機器の情報雑誌などで執筆中。
>>鈴木桂水氏のブログはこちら
ツインチューナーモデルは「DMR-BW950/BW850/BW750」の3種類で、シングルチューナーモデルに「DMR-BR550」がある。全機種が5.5倍録画とアクトビラ ビデオ ダウンロードに対応したほか、後述する「ワンセグ持ち出し」が可能になった。さらにツインチューナーモデルでは、YouTube視聴やDLNAのサーバー機能にも対応した。ラインアップの詳細については既報を参照して欲しい。
今回は最上位モデルの「DMR-BW950」を使いながら、最新モデルの実力をレビューしよう。
■開梱一番、コンパクトな筐体に驚かされる
まず実機を見て小柄な本体に驚く。まるでスリムタイプのDVDプレーヤー並に小さい。そもそもテスト機が到着した時から、梱包の箱がとても小さいことに気がついたが、本体もここまで小さいとは思わなかった。幅は一般的な430ミリで変わらないが、奥行きは従来モデル(BW930)の315ミリから239ミリへ76ミリも短かくなっている。さらにタテの厚みも66ミリから59ミリと薄くなった。ともすればコンパクト&スリム化により、チープ感が漂うところだが、天板にもクリアパネルをあしらうなど、デザインに工夫を凝らしたことで高級感を損なわない仕上がりになっている。
AVファンきの間では「重くてデカイ=高画質&高音質」というイメージがあるように思われる。筆者もそう考える1人だが、AV機器もインテリアの一つと考えるユーザーには、薄型テレビとのマッチングやラックへの収まりがよいので、こういったコンパクトなデザインの方がウケけそうだ。例えば最近のAVラックを見ると、薄型テレビ用に奥行きを30センチ前後にした、製品も見かけるようになったから、これらに設置するには最適なサイズだろう。もちろん、ここまのコンパクト化を実現した背景にはパナソニックが誇るプラットホーム「UniPhier(ユニフィエ)」が貢献している部分も大きいのだろう。
■録画ファン大満足の操作感を実現した新リモコン
リモコンの使い勝手が大きく高まった点にも注目だ。筆者もDIGAユーザーの1人なのであえて言わせてもらうが、これまでシリーズに付属していたリモコンはとても使いづいと感じていた。初心者向けの操作を優先しすぎて、ボタンを減らしたことが使いづらい原因だと感じている。たとえば他社のリモコンには必ずついている「スキップバック(一定時間早戻し)」の専用ボタンが省かれていた。デジタルレコーダーを使っている人にはわかっていただけると思うが、「スキップ(一定時間早送り)」と「スキップバック」はセットで使うべき機能で、録画番組のCM飛ばしには欠かせない。他にもHDD/BD/DVD/SDのメディア切り替えボタンが共通化されていたのも気になっていた。このことは何度となくレビューで“不便”と書いてきたのだが、今回のモデルからようやくスキップバック専用ボタンやドライブボタンが独立して配置されたデザインとなった。
デザインを一新して使いやすくなったリモコン。「ドライブ選択」、「スキップバック」が独立したボタンになって使いやすい。
それだけではない。デザインも一新され、従来のリモコンよりも手になじむスティック型になっており、操作感が飛躍的に向上している。これまで以上に快適に不要なシーンを見飛ばせるようになった。
インターフェースを見てみよう。スタートメニューが「新スタートメニュー」になって、かなり見た目の印象が変わっている。メニューを「録画した番組を見る」にあわせると、録画番組のサムネイルがまるでWindows Vistaのようなインターフェースで表示され、なかなかカッコイイ。ただこのサムネイルから番組が選べるわけではなく、演出だけだったのは残念だ。このほかに写真や音楽など、本機が備える多彩なAV機能がわかりやすく選択できる。
スタート画面が一新されさらに使いやすくなった。録画番組の再生は従来のイメージのままだった。
番組表は小型テレビから、40インチを超える大画面テレビでの利用を考えて従来の「3・5・7・9チャンネル」表示に加え、「11チャンネル(8時間)」と「15チャンネル(10時間)」、「19チャンネル(12時間)」を追加している。50インチクラスのテレビで使うなら情報量の多い「19チャンネル」表示が使いやすい。さらにスカパー!e2などの専門チャンネルの番組探しに重宝する「放送局別表示」にも対応した。局別表示に対応するメーカーは少ないのでテレビ好きにとって、膝頭を打つほどうれしい改善点といえる。
番組表は「3局表示から」最大で「19局表示」が可能。画面が小さいと見づらいが、大画面なら番組探しがしやすい。できれば選択した番組のタイトルや放送内容を欄外に表示するなどひと工夫が欲しかった。
この番組表を最大限に活用できるのが「ジャンル別表示機能」だ。「洋画」、「バラエティ」など番組ジャンルを指定することで、対象の番組だけがアクティブになり、一目で見つけやすくなっている。
1日の放送分でこれだけの番組が見つかった。便利なように見えるが、検索結果を日にちごとで表示するので、一覧性が悪く使い勝手はいま一つ。
「なぜこの番組が?」と思って確認すると放送内容に「八代目桂文楽」師匠のキーワードが見つかった。検索機能は上手に使うと興味のある番組と出会える。
さらにさらに筆者を驚かせたのが毎週、毎日の繰り返し予約の詳細設定画面だ。なんと“曜日ごと”に設定が可能になっている。これはスゴイ! 録画好きの方には“ピン”と来るはずだ。
例えばほとんどのレコーダーの週間予約は月曜始まりで「月=金」、「月=土」での設定になっている。しかしこれだと月曜深夜から1週間続く番組を録画する際、日曜深夜の番組から録画する事になり、ムダ録りが発生する。この場合は“火曜”スタートの週間予約が必要なのだが、筆者の知る限り「火曜=土曜」という予約設定ができるレコーダはなかった。こだわった録画機能を搭載する東芝RDシリーズでさえ、最新モデルのRD-X8でも、週間予約は月曜スタートしか用意されていないのだ。
このほかに「笑っていいとも!」など、月=金の帯番組で「火曜日だけは録画したくない」と考えたとき「月=金」で帯予約をして、あとで火曜日だけ消去するか、「毎月、毎水、毎木、毎金」で予約することになる。前者は録画後に不要に録画した“火曜放送分”を消去しなければならず、後者は予約数が増えてしまう。レコーダーの予約数には上限があり、できれば一つの予約で、まとめたいので、1予約で曜日を細かく設定できた方がメリットはあるのだ。電子番組表(EPG)は番組探しに欠かせない録画機の顔とも言える機能だが、本機ではこれがかなり使いやすくなっている印象を受けた。
■DIGAで録画した番組を「ワンセグ持ち出し」してみる
目玉機能の一つ「ワンセグ持ち出し」機能をチェックする。本機には通常の地デジチューナーとワンセグチューナーが搭載されており、地デジで予約した同じ時刻に放送されいている、同じ局のワンセグ番組を同時録画して、ワンセグ番組だけをSDカードや対応機器に転送できるという機能だ。持ち出し時に録画番組を変換しなくて良いうえ、高速でダビングできるのがメリットだ。
「ワンセグ持ち出し」を利用するにはメニューの「その他の機能」から入り、あらかじめ設定が必要。設定画面になかなかたどり着けず、マニュアル片手で作業した。
メニューの「モバイル機器へ持ち出す」からSD動画で録画した番組を一覧表示する。一度設定をすると録画した全ての地デジ番組をワンセグでも録画する。
動画の持ち出しと言えばソニーのBDZシリーズが搭載する「おでかけ転送」機能があるが、これと本機の「ワンセグ持ち出し」は異なる。まず地上波=ワンセグではない。ほとんどのワンセグ番組が地デジと同一の番組を放送しているが、これは放送局の都合で今後いつでも変更される可能性がある。制作費が厳しい放送局は地デジと同じ番組を放送するし、資金に余裕のある放送局はよりモバイルに特化したコンテンツをワンセグ用に制作して放送することになる。そのため、ワンセグ同時録画機能の場合は、「必ずしも地デジと同じ番組を録画して持ち出せるとは限らない」ということを知っておきたい。
一方、ソニーは地デジを録画しながら動画変換を行い、PSPもしくはウォークマン用のファイルを作成する。録画しながらの変換なので、外部機器への転送は早い。こちらのメリットは、確実に地デジと同じ番組が転送できることと、さらにWOWOWを含むBS放送と110度CS放送も持ち出せることだ。この機能の便利さについては、筆者が以前レビューした記事を参照いただきたい。
録画番組のほとんどを移動中に視聴する事が増えた筆者にとって、「ワンセグ持ち出し」は大歓迎の機能だ。ソニーの「おでかけ転送」のように再生機種が限定されておらず、ワンセグ録画に対応した携帯電話でも楽しめるのが大きな魅力だ。ただ、どう頑張ってもワンセグの映像なので、5型のワイド液晶を搭載するポータブルワンセグテレビ「SV-ME750」などで再生すると、やや映像の粗さが目立ってしまうと感じた。ソニーのおでかけ転送で持ち出した映像をPSPで見ても、さほど映像の粗さを感じないので、やはりワンセグの映像は携帯電話程度の画面サイズで見るのが適切だと感じた。例えば今後もしニンテンドーDSあたりで再生できれば面白そうなのだが。とはいえ、携帯電話で楽しむにはまったく問題はないので、通勤・通学時のお楽しみとして活用できそうな機能だ
※初出時、筆者がテストしたポータブルワンセグテレビの機種名を「SV-MD75」と記載しておりましたが、正しくは「SV-ME750」になります。お詫びして訂正いたします。
5V型液晶を搭載するワンセグテレビだと、画面の荒さが気になった。携帯電話はワンセグ録画が可能な機種でマイクロSDに対応している機種なら再生できそうだ(詳細はホームページにて)今回はP903iTVでテストしたが、無事に再生できた。
次回は「アクトビラダウンロード」と「YouTube視聴」の機能について、詳しく紹介しよう。
レポート:鈴木桂水
元産業用ロボットメーカーの開発、設計担当を経て、現在はAV機器とパソコン周辺機器を主に扱うフリーライター。テレビ番組表を日夜分析している自称「テレビ番組表アナリスト」でもある。ユーザーの視点と元エンジニアの直感を頼りに、使いこなし系のコラムを得意とする。そのほかAV機器の情報雑誌などで執筆中。
>>鈴木桂水氏のブログはこちら