公開日 2011/10/25 10:00
【創立50周年記念モデルレビュー(1) 】オーディオテクニカのDJモニターヘッドホン「ATH-PRO700MK2ANV」を聴く
モニターライクだが独特の感触も備える
来年創立50周年を迎えるオーディオテクニカの、創立記念台数限定モデルのひとつとなるDJモニターヘッドホン「ATH-PRO700MK2ANV」(11月18日発売、予想実売価格26,800円前後)。ATH-PRO700MK2をベースとしているが、実はかなりの変更が施されている。
まずはドライバー。大口径53mmであるのはもちろん共通だが、こちらに搭載されるのは新設計専用ドライバーである。ベースモデルのドライバーも去年に設計されたものだから、性能的に不足はないはずだが、さらに改良してきた。
そしてハウジングなどに切削アルミニウムを採用。デザインにプレミアム感を持たせる意味合いと、音響的な意味合いを兼ねているだろう。
イヤーパッドはソフトレザー製となり、こちらもデザイン性と装着感を併せて向上。DJプレイ時のアクションに対しての確実な固定を意図してか、側圧は強めである。
他、様々なモニタリングスタイルに対応するハウジング回転機構、着脱可能でストレートとカールの2種類が付属するケーブルといった要素をベースモデルから継承する。
筆者は音について「2B以上の鉛筆のような濃さ」というような表現を用いることがあるが、この中低域はまさにその感触。しかも筆圧が強い。ぐいぐいと力強いタッチの濃い線で音像を描き出している。そして高域方向には硬筆の鋭さを見せ、全体にはハードな手応えとなっている。
Helge Lien Trio「Hello Troll」では、まず冒頭のピアノ右手の音色だ。キンとくるアタックと艶やかさが同居しており、ガツンガツンと攻めてくる音色とフレーズの魅力を存分に引き出す。
ウッドベースはゴムのような弾力を持っている。ぐにゃっとしたゴムではなく、硬く高密度なゴムのボールを想像してほしい。それを床に落とした際のゴツンという音。そんな感触だ。
ドラムスはパワフルで抜けも良好だが暴れは目立たせず、落ち着いた印象も受ける。シンバルは音色の響きの広がりよりも、音色の芯の明確さが印象的だ。
やくしまるえつこ「ノルニル・少年よ我に帰れ」のエレクトリックベースも、ウッドと同じく好感触だ。タイトに引き締められた音像に込められた重量感。制動も効いており、休符が生きている。
ボーカルは他にも数曲を聴いたが全般的に、刺さるというほどではないが、シャープな描写。定位とフォーカスが決まっており、立ち姿はシュッと適当に細身だ。
総じて前述のようにハード、そしてダークな音調と感じる。ダークというのは、それこそクラブやライブハウスの雰囲気。仄暗い密室感とでも言えばよいだろうか。それを音からも感じることができる。
モニターを謳うに不足のない再現性を確保しつつ、独特の感触も備えたヘッドホンである。
まずはドライバー。大口径53mmであるのはもちろん共通だが、こちらに搭載されるのは新設計専用ドライバーである。ベースモデルのドライバーも去年に設計されたものだから、性能的に不足はないはずだが、さらに改良してきた。
そしてハウジングなどに切削アルミニウムを採用。デザインにプレミアム感を持たせる意味合いと、音響的な意味合いを兼ねているだろう。
イヤーパッドはソフトレザー製となり、こちらもデザイン性と装着感を併せて向上。DJプレイ時のアクションに対しての確実な固定を意図してか、側圧は強めである。
他、様々なモニタリングスタイルに対応するハウジング回転機構、着脱可能でストレートとカールの2種類が付属するケーブルといった要素をベースモデルから継承する。
筆者は音について「2B以上の鉛筆のような濃さ」というような表現を用いることがあるが、この中低域はまさにその感触。しかも筆圧が強い。ぐいぐいと力強いタッチの濃い線で音像を描き出している。そして高域方向には硬筆の鋭さを見せ、全体にはハードな手応えとなっている。
Helge Lien Trio「Hello Troll」では、まず冒頭のピアノ右手の音色だ。キンとくるアタックと艶やかさが同居しており、ガツンガツンと攻めてくる音色とフレーズの魅力を存分に引き出す。
ウッドベースはゴムのような弾力を持っている。ぐにゃっとしたゴムではなく、硬く高密度なゴムのボールを想像してほしい。それを床に落とした際のゴツンという音。そんな感触だ。
ドラムスはパワフルで抜けも良好だが暴れは目立たせず、落ち着いた印象も受ける。シンバルは音色の響きの広がりよりも、音色の芯の明確さが印象的だ。
やくしまるえつこ「ノルニル・少年よ我に帰れ」のエレクトリックベースも、ウッドと同じく好感触だ。タイトに引き締められた音像に込められた重量感。制動も効いており、休符が生きている。
ボーカルは他にも数曲を聴いたが全般的に、刺さるというほどではないが、シャープな描写。定位とフォーカスが決まっており、立ち姿はシュッと適当に細身だ。
総じて前述のようにハード、そしてダークな音調と感じる。ダークというのは、それこそクラブやライブハウスの雰囲気。仄暗い密室感とでも言えばよいだろうか。それを音からも感じることができる。
モニターを謳うに不足のない再現性を確保しつつ、独特の感触も備えたヘッドホンである。