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公開日 2012/07/24 10:55

サウンドだけじゃない、機能も大きく進化した − DENON「AVR-3313」集中ハンドリングレビュー

「Denon Remote App」最新版も徹底チェック
レビュー/高橋 敦
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デノンからHiFiクオリティの高音質を追求したAVアンプ「AVR-3313」が登場する。本機の魅力はネットワーク音楽再生やAirPlay対応、さらにはオリジナルアプリ「Denon Remote App」が実現する便利な使い心地まで多岐に渡る。今回は本機の詳細なハンドリングレポートをお届けしよう。


“HiFiクラスのサウンド”だけじゃない、機能面でも大きく進化した「AVR-3313」

デノンAVアンプのミドルレンジを固めるモデルが、AVR-3312からAVR-3313へと進化を遂げた。全7チャンネルディスクリート構成のパワーアンプなど、オーディオアンプとしての基盤部分は前モデルを踏襲した、高い完成度を実現している。さらに機能面での強化も、今回は見逃せないものとなっている。


デノンの新しいAVアンプ上位機種「AVR-3313」
映像周りでは「4K」がポイントで、入力された映像信号の3,840×2,160ピクセルへのアップスケーリングに対応。4K対応はディスプレイが先行しているが、4Kソースの普及はもう少し先の話になりそうだ。そこで当面は、既存のフルHDなどの解像度の映像ソースを、4Kアップスケーリングして視る楽しみ方が中心になる。本機においては新世代のIPスケーリング機能と合わせて、その処理をハイクオリティに実現している。

さらに4K映像入力信号のパススルーにも対応。将来に4K対応機器が揃ってきた際に、それらとの組み合わせも抜かりはない。

音声周りでは「Denon Link HD」に注目だ。この接続方法を利用すると、アンプのDAC回路を制御しているクロックを使用して、本機能に対応するBDプレーヤーに対してジェネレーターロックをかける。これにより、DACの処理に悪影響を及ぼすジッターを極限まで低減。音質面での優位を得ている。なおDenon Link HD対応のBDプレーヤーは今秋発売の予定だ。

本機の背面端子部。Ver.1.4 HDMI端子を入力7系統、出力3系統備える。うち1系統はフロント側に設けた

使い勝手の面も進化している。ひとつは導入時に活躍する「セットアップアシスタント」だ。アンプの設置〜設定をスクリーン上でグラフィカルにガイドしてくれる機能だ。そしてバージョンアップが実施された「Denon Remote App」によって操作性のさらなる向上も図られている。これらは大きなポイントとなる部分なので、後ほど詳しく説明しよう。


AVアンプ初心者でも迷わない「セットアップアシスタント」/サラウンド再生はさすがの底力

今回は「AVR-3313」の実機を、音元出版の試聴室に導入して各機能のハンドリングや、サウンドの試聴を行った。まず始めに本体の設置と、サラウンド再生までのステップを紹介していく。

AVアンプをディスプレイに接続した後、本体フロントパネルの端子に専用のセットアップマイクを接続、リモコン操作で「セットアップアシスタント」を呼び出す。メニューより「初めから設定を行う」を選べば、様々な初期設定が一括して行える。

アンプの背面にケーブルを接続したところ

本体付属の「Audyssey MultEQ XT」対応マイク


フロントパネルにセットアップマイクの入力端子が搭載されている

マイクの底面には三脚穴も設けられている


マイクを三脚にセットした状態。複数の測定ポイントを移動するときには三脚に設置しておくと便利だ

リモコンには「SET UP」ボタンが設けられている


ガイダンスが実に丁寧だ。スピーカーケーブルを接続する段階では、画面にアンプの背面端子のイラストが表示され、赤白を間違えないよう指示も伝えてくれる。いわゆる自動音場補正機能「Audyssey MultEQ XT」も、画面の案内に従って同梱されるマイクをアンプにつなぎ、順次測定位置を移動させるだけでOKだ。

セットアップメニューから「セットアップアシスタント」を選択

最初の画面でオートセットアップに必要な機材や、本機を楽しむ際に必要なAV機器の一覧が表示される


オートセットアップの導入画面。「スタート」選択で測定を開始する

マイクをリスニングポイントに設置するよう促される


アンプに接続されたスピーカーを1本ずつ測定していく

検出されたスピーカーの構成を確認


スピーカー構成の確認画面

自動測定されたスピーカーの距離の確認画面


必要に応じてアンプの割り当てなどマニュアルで行うこともできる

アンプをメインゾーンのほか、2つのゾーンに割り当てられる


スピーカーの接続は端子の+/-をしっかりガイドしてくれる

背面端子部の図解とともに、ユーザーがスピーカーを接続する端子を間違えないよう、丁寧なガイドで解説


続いてソース機器の接続と、AVアンプのネットワークの設定へ。ガイダンスに従って進めていけば、すべて迷わずに設定完了。なるほどこれは簡単で安心だ。

今回はデノンの最新BDプレーヤー「DBT-1713UD」を組み合わせた

ユーザーが使用するソース機器を選ぶ


HDMIケーブルのどのポートを使えば良いか指示を表示してくれる

セットアップアシスタントの全メニューが完了



良い気分のまま、本機のサラウンド再生の実力を確認してみた。

映画『ドラゴン・タトゥーの女』からは会話中心の場面をチェック。まず声の厚みと深みに納得。声が役者の胸で響き、台詞が説得力を持って届いてくる。

場面の雰囲気を伝える、背景音の描き込みも良い。ひと気のない早朝の雑誌編集部での会話。その背景には外を通る車の音が距離感を持って混じり、室内の静かさとコントラストの印象を強める。静けさの中での細かな物音の描き込みも生々しく、その場の気配感にリアリティがある。S/Nと解像感を実感。

派手なアクションシーンのサウンドは『エンジェルウォーズ』でチェック。刀と長刀が豪快に交錯、その後にガトリングガン掃射という場面だ。

刃の金属質の効果音のキレはエッジを強調し過ぎずに、しなやか。ニュアンスで言うならば「ジャキン」ではなく「シュイン」といった感触だ。ガトリングガンの銃声は低重心から自然に抜けてくる。空薬莢が排出されて床に落ちる音の精密感も良い。ダイナミックさと緻密さを兼ね備えた描写力が感じられる。


次ページAirPlay再生で気軽に音楽三昧/NASを用意して音楽をもっと高音質に聴く

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